「43億円の黒字決算」区民要求に背を向ける板橋区
―2016年度決算から見る区政―
2016年度の板橋区一般会計、国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険の3特別会計決算が10月26日の区議会本会議で賛成多数で認定されました。日本共産党は認定に反対しました。
区が「黒字」の一方で厳しい区民生活
一般会計は、約43億3千万円の黒字です。国保・介護・後期高齢医療も黒字決算です。区は、約37億円を基金に積み増しました。
一方で区民生活をみると、最も増加した納税義務者は、課税所得200万円以下です。非正規雇用が増加し、高齢者も働かなければならない状況です。しかも、区民一人当たりの所得は、平均1万3千円(年) 増えたものの、物価が上がり、保険料や税などの負担増で、実質マイナスです。高齢者の生活保護世帯は、6669世帯(2009年度4072世帯) になり、国保も後期高齢者医療の保険料も負担増になっています。
住民サービスの後退
ふれあい館の有料化といこいの家の入浴事業縮小で利用する高齢者が激減。子どもの池1か所と児童館12館の廃止。住民福祉は大きく後退しました。障害者の福祉園や作業所の老朽化を放置した責任は重大です。
保育園は対策が実態に合っていないため、1069人定員増でも今年4月時点で希望する保育所に入園できない子どもは985人です。民営化を検討している場合ではありません。学校改修費の緊急な要望の約15%が見送られ7千万円余りました。
官製ワーキングプア拡大と過密労働
区職員の働く実態は、過労死ライン月80時間を超えた職員は66人、100時間を超えた職員は29人です。10年間で職員定数を352人も減らしてきた結果です。同時にしらさぎ保育園の民営化、国保窓口業務の委託化、学校給食調理と用務の委託化が進められ、官製ワーキングプアが拡大し、区政の劣化は進むばかりです。
基金積み立てと開発優先
余らせた税金を積み上げた基金残高は、過去最大の525億円に。使う目的や根拠がはっきりしているとは言えない基金が多く、積み上げること自体が目的化していると言わざるをえません。
一方で、防災を理由に、開発ばかりが推進され、危険ながけ・擁壁対策や住宅の耐震化など、本来あるべき防災対策は立ち遅れたままです。
共産党は厳しく批判
討論に立った吉田豊明区議は、「区民と職員の深刻な現状には目をふさぎ、切実な声には耳を傾けず、ひたすら再開発と基金の積み立てを推し進めるもので、地方自治の本旨とは相いれない」と厳しく批判し、暮らしと営業の応援、区民の声を活かす区政へ転換を強く求めました。
写真上:日本共産党板橋区議団・予算懇談会
写真下:吉田豊明区議