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2018/12.24

区立仲宿保育園の存続を求める申し入れ(11月28日)

 11月28日、日本共産党板橋区議団は、予算要望書の提出とあわせて、区が突如発表した区立仲宿保育園の廃止方針について、撤回を求める申し入れを行いました。
 また、第4回定例区議会に、保護者から、1)存続を検討すること、2)兄妹は引き続き入れるようにすること、3)保育の質を落とさないことを求める陳情が、480筆の署名とともに提出されました。陳情は12月3日の文教児童委員会で審議され、2,3項目は採択されましたが、1項目目は自民、公明、民主、無会派によって不採択となりました。12月13日の本会議で竹内愛議員が反対討論を行いました。
 申し入れ書および反対討論の全文は以下の通り。

◉区立仲宿保育園存続を求める申し入れ書


板橋区長 坂本 健 様
2018年11月28日
日本共産党板橋区議会議員団
日本共産党板橋地区委員会

区立仲宿保育園を廃止する方針の撤回を求める要請書

 区立仲宿保育園は昭和37年に都営母子アパートの一階部分に開設し、以来、東京都の行政財産使用許可を受けて使用してきました。しかし、建物自体の老朽化が進んでいることから、都は母子アパートの新規入居者の募集を2015年度から停止しています。区は、東京都が母子アパートの今後について、計画や方針を示していないことを理由に、使用許可期限を迎える2020年3月末をもって、保育園を閉園し、2019年度からの募集を停止するとの方針を、9月28日の文教児童委員会で初めて明らかにしました。また、現在在席している1,2,3歳児24名を対象に、大山東町の国有地に2020年4月開設予定の認可保育園への優先的な転園措置で対応するとしています。
 しかし、説明を受けた保護者からも区議会に陳情が出されるなど、区の方針に納得できないとの声が寄せられています。
 私たちは、母子アパートの今後の方針や区立保育園への対応について、都の見解を確認するため、徳留道信都議と共に11月14日、東京都都市整備部都営住宅経営部住宅整備課から話を聞いてきました。そこでは、東京都から板橋区に対して、2020年4月以降使用許可が出せないという話しもなく、そのような予定もないことを伺い、さらに、東京都の事情で使うことができなくなる時は、早い段階から区に情報を伝え協議も行うとの内容を確認しました。また、板橋区が1階から撤退する話は東京都としては正式に聞いていないことも伺いました。
 保育園の待機児童解消に向け、区自身も都有地や公有地を確保し、新設を進めている一方で、その可能性を追求しない姿勢は、全く理解することができません。
 また、昨年11月に示された「区立保育園のあり方」の基本方針では、区立中学校ごとに設定されている学びのエリアを基本に、育ちのエリアを設定し、それを踏まえた公立保育園の整備を打ち出しています。区立仲宿保育園が廃止されれば、加賀中の学区地域に区立園はなくなることになります。こうした点でも区の方針とも相いれません。
 今回示された区立仲宿保育園を廃止するとの方針は、都との協議も行わないなど、充分な検討を行ったとは言えず、また、議会への報告や保護者への説明も唐突で、保護者や児童への影響を考慮しておらず、自治体の姿勢として許されません。このような状況の中で、区立仲宿保育園の廃止は到底容認することはできず、改めて、廃止とした方針を撤回し、園の存続について再考するよう強く求めます。
以上

●第4回定例区議会本会議での竹内愛議員の討論(12月13日)

 ただ今より、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、陳情第204号 板橋区立仲宿保育園の閉園に関する陳情 第1項 区立仲宿保育園存続の検討を求める件について、賛成する立場から討論を行います。
 本件は、2020年度末を持って廃園することが示された区立仲宿保育園について、存続を検討するよう求めるものです。
 区立仲宿保育園は、都営母子アパート一階部分に設置されていますが、昭和37年建設のため、建物の老朽化が課題となっており、東京都も、2015年度からアパートへの新規入居の募集を停止している状況です。区は、これまで、5年ごとに更新となる、使用許可申請を東京都に行い、保育園の運営を継続してきました。しかしながら、使用期限となる2020年度末を持って、保育園を廃園すること、また、2019年4月の新規入園の募集を停止することを9月28日の文教児童委員会において、初めて報告されました。
 陳情に賛成する第一の理由は、保護者や議会への説明に問題があるからです。
 「突然のことに困惑している」「どうしたらいいかわからない」「なぜ、今になっての説明なのか」これらは、説明を聞いた保護者の方々の声です。当園の保護者には9月28日に説明会が行われましたが、その案内は、前日という突然のものでした。
区は、突然の公表となったことについて、「時間的限界だった」と答弁しましたが、それは、保育園入所申込に関する書類作成など、事務手続き上のリミットということでした。つまり、突然の公表は、建物の老朽化が直接的な要因ではないということです。
 また、説明会で示された対応策は、2019年4月に希望する園へ転園するか、2020年4月に大山東町に開設予定の新規園に転園するかというものでした。しかもその希望票を10月末に提出するよう求められたとのことです。板橋区が発行している保育案内には、保育園選びの7か条が掲載されています。園の見学を行うこと、施設環境や保育の状況をよく見ること、保育方針を聞き、給食や行事など具体的な内容をよく聞くことなどとなっています。委員会での質疑を通じても、現に保育園を利用している保護者にとって、非常に大変なことを強いるということに、区が十分配慮したとは思えませんでした。
 区は、2016年11月から検討を始めたと説明しています。
 区の資料には、民営化を前提とし、代替地の確保について検討したことが示されており、当初から、現在地での保育の継続は前提としない方針だったことがわかります。であれば、その時点で、区議会や保護者に説明すべきでした。委員会では、担当課長から「混乱を招き謝罪したい。また、今後に活かす。」との発言がありました。今、困難に直面している方々には今後は関係ないのです。混乱を招いたというなら、現方針を撤回すべきです。
 第2の理由は、廃園を避けるための検討や努力が十分なされたとは言えないからです。
 区は、廃園する理由として、建物の老朽化をあげています。ところが、区が東京都に行ったことは、建物の現況を確認しただけで、施設の使用の継続やその可能性について、協議や交渉を行っていませんでした。私たちは、11月14日に、徳留都議同席の下、東京都の見解を伺いました。そこでは、母子アパートの今後について、計画がないこと。耐震上は、直ちに対応する必要性は低いこと。2021年4月からの使用継続も可能であること。都の理由で使用の継続が困難になる場合には、これまで通り、早めに事前の協議を行うこととの話がありました。つまり、建物の使用を継続することは可能だということです。
 かつて、区立栄町保育園の廃園問題の際には、耐震診断の結果、Dランクのため、即時廃止とした方針を撤回し、東京都に直接交渉し土地の貸与を受け、プレハブの仮園舎を作ったではありませんか。当初、当地での建て替えは困難と言っていましたが、結局、元の場所に新たな園舎を作ったのです。
 区がなぜ今回、都に対して協議や交渉を行わなかったのか、全く理解できません。過去の経験からも、今回の区の対応は、充分努力したなどと言えず、廃園を回避するためにあらゆる手立てや検討を行ったということはできません。
 第3の理由は、2019年度の新規募集を停止する必要性はなかったという点です。
 都営母子アパートは、平成9年に耐震調査が行われ、翌年には保育園が入っている1階部分について、耐震補強工事が実施されています。東京都は、IS値は0.5以上で耐震性はBランクであり、直ちに対応する必要性は低いとしており、再整備計画にも現段階では盛り込まれていません。実際、母子アパートについても、新規入居は募集停止しているものの、現在入居している世帯は居住を継続しています。現に、仲宿保育園も2020年度末までは運営を継続するとしています。今回の審議を通じ、兄弟児のみ新規受け入れを行うことが示されましたが、転園の可能性も示しつつ、新規募集を行うことは可能だったと考えます。民営化の対象園でも、計画を示した上で、選択してもらっているのですから、今回もそうした対応ができたはずです。
 第4の理由は、区自らの方針にも沿っていないという点です。
 2017年12月1日の文教児童委員会に報告された、「板橋区公立保育所のあり方について」には、民営化を進めるとしつつ、公立保育所を中心とした地域の保育施設間のネットワークの構築を図ると記されています。それは、保・幼・小・中の連携を重視し、中学校ごとに設定されている「学びのエリア」を基本とした「育ちのエリア」を新たに設定するとしています。民営化に際しても、育ちのエリアを考慮するとしているのです。区立仲宿保育園が廃止されれば、加賀中学校区には公立保育所はなくなります。
 また、小規模保育所や家庭福祉員の連携保育所の設定についても、区立保育園でもその役割を担っていくとしています。委員会質疑で、検討状況を確認しましたが、今後検討とのことでした。
 区が、自ら示した公立保育所の役割という点からも、仲宿保育園を廃園するに当たって、どのような課題や懸念が生じるのか、検討さえ行っていないのです。
 これでどうして、充分に検討したと言えるのでしょうか。
 最後に、この間、公有地の活用を含め、待機児童解消に向け努力が進められてきました。にもかかわらず、継続した保育園運営の可能性がありながら、充分な検討も行わないまま、自ら投げ出すことは到底許されないと考えます。廃止の方針を撤回し、陳情にあるように、園の存続の可能性を追求すべきであり、再検討するよう、強く求め、陳情への賛意を改めて表明し、討論を終わります。