日本共産党板橋区議会議員団は、市民クラブ・無所属の会とともに「高校生等の医療費助成条例」を提案しました。
10月11日の本会議で小林おとみ区議は、以下の通り、議案第90号東京都板橋区高校生等の医療費助成条例立場」について賛成を求めて討論をおこないました。
本条例は、高校生等の命、健康を守り、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るため、14名の板橋区議会議員が共同で提出したものです。内容は、現在中学3年生まで行われている板橋区子どもの医療費助成制度を高校生等18才まで広げるものです。子ども医療費助成制度と違う点は、高校生等が区外の学校の寮や下宿に住民登録をしている場合でも、保護者が区内在住の場合には対象とするとしている点です。
子育て世帯の経済的格差が広がる中で、子どもが病気やけがをした時に、お金の心配をせずに医療にかかれるようにすることは、子育て世帯への大きな支援となるものです。それは、すでに実施されている子どもの医療費助成が、父母の子育ての大きな安心につながり、また、学校の保健室の先生方から、「親の収入を心配せずに病院に行くようにと言えるようになった」と喜ばれてきたことなどをみれば、すでに明らかです。
厚生労働省の2018年4月1日現在の調査で、全国の市町村では、通院で474自治体、入院で511自治体が高校生まで助成の範囲を広げています。23区では千代田区が2011年4月から入院通院とも、北区も2011年に入院のみで助成を開始しました。さらに今年2019年7月からは、品川区が入院の助成を開始しました。品川区は、今回の助成拡大を「子育て世帯における経済的負担の軽減を図る」ことを目的としています。
お隣の埼玉県では、約4割の市町村で高校生までの何らかの医療費助成を開始しています。
委員会審議では、「区によって制度に差別があるのはいかがなものか」という意見がありました。そもそも、子どもの医療費助成は、長い間、父母や関係者の運動によって、地方自治体から制度が積み上げられてきたものです。板橋区においては、1994年1月に、3才未満児まで所得制限を付けて始まった制度ですが、他の区でも同様に制度化がされる中で、東京都の制度になり、徐々に対象を拡大しながら、中学3年生まで入院通院ともに所得制限なしの助成が実現したものです。対象を拡大していくためには、自治体からの取り組みがさらに求められていると考えます。
また、「社会保障費が増えていく中で、なんでもただというのは悪い部分もあるのではないか」という意見もありました。必要もなく受診する人が増えるのではないかという懸念だと考えますが、現在の子ども医療費助成でも過剰受診は問題になっていません。全国保険医団体連合会の医師たちの調査によれば、0才から19才が通院した際のレセプト件数は、2002年から2017年の間、1200万件前後で横ばいのまま推移し、2008年、2009年は1000万件台に減少しているとのことです。逆に、同年齢の時間外・夜間受診件数は全国で、2006年度72万件が、2017年度には52.8万件まで減少しているとのことです。助成制度の拡充で、子どもが早めに受診できるようになり、病気の重症化が防止された結果と考えられるとのことです。
医療費助成制度は、医療費の増大よりも抑制にこそ効果を発揮する制度であると考えます。
また、反対意見を述べた会派の方から、入院に関しては北区でやっているので、「いずれ板橋区でもそういう状況にしてもらいたい」という意見がありました。だからこそ、私たちは提案しているのです。北区は、人口35万人で、2017年度の実績は70件でかかった費用は、450万円ほどです。今年7月から入院費助成を開始した品川区は、人口40万人で、医療費部分の予算は800万円程度の見込みです。児童福祉法上は18才までは子どもですが、義務教育が終了すると同時に、様々な支援策が途切れてしまいます。「高校生になったとたんに、子育てに係るお金の負担が本当に重くのしかかる」という子育て世帯の声を受け止めようではありませんか。
今回の私たちの提案は、入院通院共に助成するものです。一人あたりに係る医療費の金額を千代田区の実績で積算すると、医療費部分では、総額3億4千万円ほどになります。この金額を必要な金額と見るかどうかが問われます。現在の板橋区の子ども医療費助成制度が、ここ数年来22億円前後で推移していることを見るならば、その総額を1割強上乗せするという規模のものです。板橋区の財政規模や財政状況からみればやる気になればできるものです。
また、前回の提案の際に準備期間が足りないという指摘をいただいたことを受けて、実施時期を令和3年4月1日としたもので、継続して検討していくことも十分できる提案です。
板橋区が大きく、高校生までの医療費助成に道を拓くことは、「板橋区子ども・若者計画2021」や「いたばし子ども未来応援宣言2025」が掲げる「年齢等で途切れることのない継続した支援体制の構築」「切れ目のない支援」の理念とも合致するものです。子どもたち、若者たちのライフステージにあわせて、誰一人取り残さず、すべての子どもたちが健やかに成長できる、切れ目のない支援を作り上げるために、子どもの医療費助成の年齢拡大は欠かせない事業と考えます。
委員各位のみなさんの絶大なるご支持をお願い申し上げまして、本議案の可決を求める討論を終わります。