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2019/9.21

大山・上板橋駅南口・高島平・板橋駅周辺
住民要求を置き去りに、4つの大型再開発事業が同時進行


商店街を分断、まちこわしを進める大山のまちづくり

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◉写真:ハッピーロード署名



ハッピーロード大山商店街を分断する特定整備路線補助26号線

 「大山のまちづくり」は、再開発事業計画と特定整備路線補助第26号線という大きな道路建設計画と東上線の立体化計画を一体のものとして進めて行こうという大がかりなものとなっています。
 当初、大山のまちづくり計画は住民主体で「身の丈の開発」にしたいという願いのもと、地域のまちづくり協議会が2009年の6月3日を皮切りにスタートし、2012年3月22日に「大山駅周辺地区まちづくりマスタープラン」として板橋区長へ提出されました。このプランを受け、板橋区は2014年3月に「大山まちづくり総合計画」として発表しました。
 ところがこの計画が発表された翌2015年2月、東京都が特定整備路線補助第26号線の事業認可を国から受け、その後26号線の計画が先にありきの様相が強められていきました。

 この道路計画は戦後間もない1946年の焼け野原状況の時に戦後復興のためといってつくられた計画です。70年以上もたつ計画を2015年2月24日、国が事業認定を行いました。
 計画内容は長寿医療センターそばの東上線の踏切の所から川越街道の所までの未整備部分375m、幅20メートルから23メートルの道路で、ハッピーロード大山商店街の中心部分を約170mにわたって道路が分断する計画です。総事業費178億3千万円、1メートル5千万円もかける道路計画となっています。
 ハッピーロード大山商店街は経済産業省の『新・がんばる商店街77選』に選ばれてきた商店街であり、板橋区の商業の顔です。この商店街をつぶすことにつながりかねないこの計画を止めようと、地域住民から不服審査請求が国土交通省に提出され、2015年8月21日には、事業認可の取り消しを求めて、東京地方裁判所に提訴され、現在も裁判は続いています。
 道路建設の問題点は5点です。一つは都市計画決定そのものが存在しないということ。二つ目はハッピーロード大山商店街を170mにもわたって分断する「地域経済をこわす計画」だという点。3つ目は国が全国に都市計画道路の見直しの方針を出して、すでに全国で2356路線が廃止されたにもかかわらず、東京都ではほとんど見直されず、こうした国の方針に逆行しているという点。4つ目は「交通の円滑化」が目的となっていますが、円滑どころか交通渋滞を深刻化するだけだという問題。東武東上線は「開かずの踏切」状況でラッシュ時は1時間のうち約47分も遮断機がおりている状況で、東上線の立体化完成まで、どんなに早くてもまだ12年はかかるといわれています。5つ目は、都は防災対策として必要と言いますが、この地域はすでに防火率は達成しています。


地域の願いだった「身の丈開発」がなぜか高層ビル建設へ

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◉写真:大山駅前広場計画地



 戦後復興を成し遂げ、平和な街並みがつくられてきたにもかかわらず、道路建設で商店街を分断し、暮らしを、生業を、こわす権利が誰にあるというのか。現在、ハッピーロード商店街だけでなく、北区の十条商店街や品川区の戸越銀座など、全国、全都でも名高い商店街などが都市計画道路の強行によってつぶされようとしています。この計画に対し都内で12の道路裁判が行われています。
 補助第26号線と一体的に「大山のまちづくり」計画も進められています。商店街や町会からは、東京都と板橋区に対して「26号線による分断軽減のために回遊性のペデストリアンデッキの設置、道路へのアーケードの設置、もしくは歩道にアーケードの設置、さらに撤去となるアーケード、店舗に関わる補償」などが求められていました。しかしペデストリアンデッキは、「物理的に不可能」となり、さらにアーケードの設置については「予定はない」という回答が東京都からありました。撤去となるアーケードと店舗数激減の影響を受け、振興組合への多大な減収をもたらすことなどへの補償が求められています。
 区はこの間、クロスポイント地区、川越街道寄りのピッコロスクエア地区は民間の再開発事業として、そして大山駅前地区は区施工で進めて行くとしています。地域では何年も勉強会を重ね、「身の丈再開発」を進めたいと、地域のまちづくり協議会で構想を作り上げていました。 ところが身の丈どころか、27階建、26階建の高層ビルが建ち並ぶ再開発計画が住友不動産などのゼネコンによって進められていこうとしています。その描いた絵にはアーケードの姿はありませんでした。

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◉ハッピーロード商店街・クロスポイント




住民無視の駅前広場と東上線の立体化は高架化ありき

 2018年2月、東上線の立体化事業と駅前広場の「都市計画素案」について説明会があり、12月には「都市計画案」について説明会がありました。
 東武東上線の立体化について都が示した計画は「高架化」でした。町会・商店街からは「街を分断する高架化をさけ、立体化は地下化での実施を」と何年も前から要望が出されていました。
 説明会の会場でも高架化への疑問、見直し求める意見が出され続けています。実際、地下でも高架でも工事は可能であるにもかかわらず、なぜ地域住民の要望を判断の基準から外すのか、かかる経費の安さ優先で高架化をとるのか、その姿勢は理解できないものとなっています。
 さらに区施工で進めている「駅前広場計画」に至っては、そこに居住し、商売をしている、医療機関、あるいは地権者に対して、なんら事前に知らせることもなく、駅前広場の地区にあたるので「立ち退き」の地域だと説明会で示されました。
 この間、区議会には住民本位、住民参画、住民との合意なき計画に対して、抜本的に見直すことを求めて陳情が出され続けています。
 しかし、区は、こうした反対の声を押し切って、東上線立体化と駅前広場計画について、2019年9月12日の都市計画審議会で「都市計画決定」を強行しました。
 まちづくりは住民が主体としてつくられるべき、という当たり前のことがなぜできないのか。現板橋区政は住民本位ではなく、ゼネコンのためのまちづくりを進めています。



地域をこわす上板橋駅南口駅前再開発

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◉写真:上板橋駅南口駅前再開発計画地域



 上板橋駅南口駅前再開発事業は、前区長時代に高さ140メートルの40階建てと130メートルの37階建てのツインタワーをメインに、駅前広場などが一体的に計画されていましたが、地権者の同意が得られず、事実上破綻しました。しかし、そのあとも坂本区政が見直しを重ね、現在の計画となっています。
 現在の計画は、同意できそうな東側地区と同意率の低い西側地区に分断し、西側を除く地域を東地区として準備組合を立ち上げて進めてきました。

 東側地区は、当初の高さから10階下げた100メートル27階建ての高層マンションと川越街道から駅南口を結ぶ道路と駅前広場計画、18階建ての中街区棟、5階建ての南地域棟を建設する計画です。
 東側地域の再開発をテコに、なし崩し的に西側地域の地権者と居住者に開発の同意を迫る手法です。防災対策は、再開発で達成されるという理由で、20年近くなおざりにされてきました。区民の目の前の不安よりも再開発ありきの区の姿勢が、永く住民の安全を阻害しています。

 日本共産党区議団は、当初から住民とともに運動し、再開発地域の大手土地保有者の土地ころがしの実態をつきとめ、区の姿勢を追及してきました。開発計画は、商店街や住民を追い出すものになりかねず、住民や商店街は開発に反対する黄色いノボリを立てて、運動を広げ計画の凍結まで追い込んだのです。

 坂本区長は、2019年の新年のあいさつで「駅前を中心としたまちづくり」を強調し、上板橋駅南口の開発もスピード加速の動きです。区は、実施計画事業として上板橋駅南口駅前開発事業に前年比で5.8億円の予算増額を見込んでいます。西側地域では、東地区の開発が進めば、西側の商店街の活気が失われることなどへの不安の声が上がっています。
 区は、まちづくりと言えば「高層マンション化」ばかりです。住民が求めているのは、町の構造をすべて入れ替える、高層マンション化のやり方ではなく、今の街並みが活かされ、住んでいる人が住み続けられ、商売が継続できるまちづくりです。
 日本共産党は、高層ビルありきのまちづくりを転換させ、再開発に頼らない防災とにぎわいのある商店街を実現し、「まちづくりは住民とともに」をモットーにがんばります。



公共施設あとまわしの高島平グランドデザイン計画

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◉写真:高島平再開発予定地



 高島平1~9丁目地域を対象にした大規模な開発計画「高島平グランドデザイン」は、廃校になった旧高島平第7小学校跡地、図書館、区民館など2ヘクタールの区有地を種地として、定期借地権方式による最高31階のタワーマンション計画などでの公共施設再整備方針です。
 しかし、計画発表当時から区は「採算性がとれない」として区有地活用を棚上げしてきました。そのため、区民館老朽化や健康福祉センターのプレハブ状態の解消など、住民の強い要望は、置き去りにしてきました。区は、未だに区有地を周辺の団地建替えなどの種地にすることに執着しています。
 区有地に対する住民要望の多くは「介護施設」「保育園」「居場所づくり」などです。区は、2018年6月、区有地活用の方針を「今年度中に決定する」と答弁。しかし、その決定過程には、区民の意見を言う場はありません。住民不在の区有地高層マンション計画は白紙撤回し、住民要求に応じるべきです。

「高島平グランドデザイン」のもうひとつの柱は、三田線沿線の西高島平駅、新高島平駅、高島平駅、西台駅の駅前開発です。この手法は、国土交通省の「都市計画運用指針」からくるもので、複数の駅を中心として、「鉄道駅に近い業務、商業などが集積する地域等」を決めておくと、立地適正化計画の策定に基づく、国の予算措置があります。4つの駅前中心拠点は、高層ビルによる再開発と一体として進められることが想定されています。

 日本共産党区議団は、この計画に対し、区が参考にしたとする千葉県柏市の計画を視察し、区民との懇談会を行い、住民要求を聞いてきました。大規模な地域が対象になっていることから、「地域ごとに説明会の開催を」と求め、区による町ごとの説明会も開催されました。
 また、区が近隣の「分譲住宅建て替え推進」とする姿勢に対し、「建て替えは、持ち主が判断することで、区が推進するものではない」と指摘してきました。
 日本共産党は、まちづくりは、住民の要求を出し合い、住民とともに進めるべきです。民間資本のみの公共施設整備計画や開発企業の利益優先の事業計画案は、きっぱりと中止して、区が直接責任ある公共施設整備計画をたてるべきと主張しています。



一体誰のための計画か!?JR板橋駅前再開発

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◉写真:板橋駅前再開発用地 JR板橋駅ホームより



 JR板橋駅前の区有地(1675㎡)を活用し、板橋区がJR東日本と共同で進めている開発計画は2018年10月11日に都市計画決定されました。2019年度に権利変換計画作成・認可、2020年度以降着工予定です。
 区とJRが、それぞれ所有する土地(合わせて約3884㎡)を一体にし、野村不動産(株)と70年間の定期借地権を設定。58億9千万円の借地料は区とJRで折半します。
 野村不動産(株)は、高さ130m、地上35階、地下3階のタワーマンションを建設する計画を進めており、地下に駐車場、地上1~3階に商業施設、4階に公益スペース、5~35階がマンションで300戸以上になると言われています。
 区は、野村不動産(株)から70年間の定期借地権として地代を得る一方、多目的ホールや展示スペースを賃借すると説明しています。
 しかし、区は、70年定期借地権設定について何ら見通しを持っておらず、借地料金額の見積り、料金の収受方法、70年後の解体費用は誰が受け持つのかなど明確になっていません。また、区の税金支出総額について、「70年でならすと毎年9千万円になる」とした企画総務委員会での答弁は現在も修正や撤回はされていません。

 この土地は、1992年「国際交流会館をつくる」という理由で、板橋区土地開発公社が旧国鉄清算事業団から約36億円で購入しました(後に、土地開発公社から区が約40億円で購入)が、25年以上未活用のままでした。
 住民からは「保育所、病院、集会所、介護施設、地域センター等を」と要望が出されていましたが計画にどう反映されていくのか今も示されていません。区民の資産である土地の利活用を住民の福祉の充実ではなく、民間企業の利潤を優先する区の姿勢が現れています。

 住民から区議会に提出された「計画の見直しを求める陳情」は10月の本会議で自民・公明・民主クラブ等の反対で不採択となりました。区は、「駅前にふさわしい賑わいをつくる」、「いっそうの公共性が求められる」と述べています。しかし、計画段階から住民の要求を退けて「公平・公正」「公共性」もありません。
 駅前に大きな壁が立ちはだかり、日照、風の問題、急な人口増に対する不安の声が寄せられるなか、区民に詳細が知らされないまま計画が進められています。現計画は白紙に戻して見直すべきです。

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