引き続き、日本共産党板橋区議会議員団の一般質問を続けます。
政府は昨年の12月24日、経済財政諮問会議を開催し、経済・財政再生計画の改革工程表を取りまとめました。
今回の工程表は、昨年の6月30日、閣議決定された政府の骨太方針で示された改革を着実に進めるために、スケジュールや成果を管理するため出されたものです。当日の会議において、安倍首相は、本プログラムにのっとって政府一丸となって制度改革を実施してほしいと指示を行っています。
この工程表に示されている案を見ると、まず医療では、高齢者の高額療養費を現役世代と同水準に引き上げる、入院食費・居住費を患者の預貯金等に基づく患者負担へ変更、一般病床の居住費を患者負担に変更、かかりつけ医以外の受診に対して追加負担、市販品類似医薬品の保険給付外し、75歳以上の窓口負担は原則2割負担、介護保険では、高額介護サービス費の負担上限引き上げ、軽度者に対する生活援助を原則自己負担に、軽度者の福祉用具・住宅改修を原則自己負担に、要介護1・2への通所介護を地域支援事業に、65歳から74歳までの利用料は原則2割に、75歳以上の利用料も原則2割に、さらに年金制度では、所得が一定以上の高齢者の年金は一部支給停止、支給開始年齢のさらなる引き延ばし、公的年金等控除を含めた年金課税の見直し、そして生活保護制度については、能力に応じた就労等を行わない受給者に対して保護費の減額、以上のような内容が工程表によって、具体的に法案を提出するスケジュールが示されてきています。
こうした財務省の示す社会保障制度の工程表は、完全に憲法第25条を無視したものであり、到底許されるものではありません。こうした計画を許さないと同時に、自治体として国の改革から区民の命を守るとりでとしての姿勢こそ強く求められます。
まず初めに、命を守る施策の充実についてです。
国民健康保険事業の都道府県単位化については、この間、東京都で具体的に検討されているようですが、既に国から示されている内容を見るならば、後期高齢者医療制度とは違い、議会を通すなどのチェックする機関を設けない内容です。事前に東京都から各区市町村に意見を聞き、東京都に設置する国保運営協議会で議論を経て定めていくということです。
そこでまず、被保険者の声が反映されるよう、最低限、議会の議決案件となるよう求めていただきたいのですが、いかがでしょうか。
【区長】それでは、かなざき文子議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、国保の保険者となる東京都へのチェック体制のご質問であります。東京都が国民健康保険の保険者として財政運営の責任主体となるに当たりまして、東京都にも国保特別会計が設置される予定であり、議会によるチェックがなされるものと考えております。あわせて、東京都国民健康保険運営協議会が設置されまして、運営方針等につきましては、被保険者の代表や社会保険の保険者等による議論がなされるものと考えております。
また、単位化となると、一般会計からの繰り入れ等が原則、行えなくなることになります。またこの間、経過措置で高額療養費が保険料算定基礎に入っていっていますが、その高額療養費全額が保険料算定基礎に入るなど、保険料がさらに引き上がっていく要素ばかりです。
そこで、保険料の見通しをお聞きしておきます。
【区長】次は、国民健康保険料の今後の見通しについてのご質問であります。制度改革に伴い、国の新たな財政支援が行われますが、1人当たりの医療費は毎年上昇しておりまして、また、特別区においては段階的に高額療養費を保険料算定基礎に入れる予定であることから、国民健康保険料率は上昇する見込みであります。平成30年度以降の保険料につきましては、東京都が区市町村ごとに示す国保事業費納付金と標準保険料率に基づき定めることとなっているため、その動向を注視しながら、特別区として保険料率をどうするか検討してまいりたいと考えております。
高過ぎる国保料がますます引き上げられることは、命を守る厳しさが広がっていくこととなります。そこで、入院に対するお見舞金制度や、窓口負担への助成制度など、何らかの医療にかかる独自の軽減策の実施ができると思います。また必要と考えます。いかがでしょうか。
【区長】次は、区独自の軽減策の実施についてのご質問であります。国は保険料負担の平準化を進める観点から標準保険料率を定め、将来的には地域の事情を踏まえつつ、都道府県において一本化するとしております。また、保険料率を政策的に調整することは望ましくないともしておりまして、新たに区独自の軽減を行うことは改革の趣旨とは逆の方向を示すものであり、実施は困難であると考えております。
次に、人権が守られる生活保護制度の事業実施を求めて、質問いたします。
生活保護法第1条には、生活保護制度は憲法第25条の理念に基づいて行われていることが明記されています。生活保護制度は、日本の唯一の公的扶助制度です。法の第2条には、「無差別平等に受けることができる」、第3条には、「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない」とあります。
さて、先進国での公的扶助制度を見てみると、生活保護支給額がGDPに占める比率は、OECD平均2.4%ですが、この日本は0.8%です。人口に占める受給率は、OECD平均7.4%ですが、この日本は1.7%です。このように、日本は国際的に見ても生活保護費に係る経費も生活保護の受給率も低いのが実態です。さらに、成人した親子間での扶養義務があるのは、この日本のみです。
この日本では、生活保護を受けている人がパチンコに行った、昼間からぶらぶらしているなど、住民からの非難の声が後を絶ちません。こうした声が影響して、生活保護を受けることが悪いことという風潮さえあります。生活保護は、国民の権利です。第2条の無差別平等の原理においては、信条、性別、社会的身分及び困窮に陥った原因によって差別を加えないとうたわれています。困窮に陥った原因も差別の理由にならないということは、すなわち生活保護は自己責任論の範疇ではなく、人権として最低限の生活をすることが保障されているということです。
この板橋では、福祉事務所のケースワーカーは1人当たり平均約90世帯を担当しており、多忙を極めています。メンタルの疾患の相談者や被保護者もふえており、1件にかかる時間は予定どおりいかないのが日常です。ケースワーカーの仕事の中に、担当している保護受給世帯の訪問があります。本当は年に2回と言われていますが、人によっては電話での状況把握にかえるなど調整せざるを得ない状況です
。
こうした相談や訪問の合間を縫って、記録を書き、さらに生活保護費の算定を行います。事務処理が大量にあるからといって、デスクワークの時間を確保できるわけではなく、関係機関との連絡調整、問い合わせへの対応など、一つ一つおろそかにできません。受給者によっては、なかなか自分の気持ちを表に出さない方、そういう方に対しては、温かく丁寧に接しながら信頼を積み上げていく、そういう対応が求められます。また一方では、毅然とした態度での対応も求められています。自立につなげると簡単に言われますが、一言で自立といっても一人ひとりに合った自立につなげることが大事です。経済的自立、日常生活の自立、社会生活の自立と、自立とは単に経済的自立だけを言うのではありません。
このように、ケースワーカーは一人ひとりに対して本当に密度の高い対応が求められるのです。それなだけに、職員の心と体の健康維持はとても大切です。
そこで、3点についてお伺いいたします。
まずケースワーカーや相談係など、職員の対応についての研修のあり方、その視点はどうなっているのかお聞きします。生活保護へのバッシングが強まると、とかく不正探しや申請却下への研修が強化されていないか気になります。一人ひとりの人権を守る、職員一人ひとりが福祉そのものなのだという大事な仕事です。こうした観点からの研修となっているのか、お聞きします。
また、研修が年間どれぐらい実施されており、どれぐらいの職員が受けているかもあわせてお聞きしておきます。
【区長】次は、ケースワーカーに対する研修の視点と、研修実績についてのご質問であります。ケースワーカーの使命は、生活に困窮する区民に寄り添いながら、困窮の程度に応じて保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、あわせて、その自立の助長を行うことであります。ケースワーカーの資質やスキルを向上させるために実施している各種の研修は、この使命を実現することを視点に実施をしております。福祉事務所職員全員を対象とした3福祉事務所合同研修におきましては、生活保護制度のみならず、おとしより保健福祉センター職員を講師とした認知症対応研修などを実施し、多様なケースに適切に対応できるよう研鑽に励んでいるところであります。東京都の福祉事務所職員対象の研修は、平成27年度、14回開催されまして、延べ122名が参加をしております。このほか、精神障害者・発達障害者支援研修、児童虐待対応研修等の専門研修にも希望者が参加をしているところであります。
2点目には、同じ人間として平等な対応でなければなりません。やってやっているんだ、などというおごった態度、上下関係にしてはいけません。勇気を振り絞って来る相談者に対して、対等・平等の立場とあわせて、寄り添った対応が必要です。区長の見解をお聞きしておきます。
【区長】次は、相談者への対応についてのご質問であります。相談者の尊厳と人権を尊重し、寄り添いながら対等な立場でケースワークを行い、その自立助長をサポートすることは当然であると考えます。福祉事務所の職員には高い使命感と倫理観、また、もてなしの心を持って、相手の立場、目線に立って、心温まる対応をすることが特に必要であると認識をしております。
3点目は、障がい者への対応についてです。
受給者には、障がいを持つ人が決して少なくありません。知らず知らずのうちに差別していないか、障害者差別解消法も施行され、改めて各障がいへの認識を深める研修の実施含めて、いろいろな悩みに寄り添った対応を求めます。真摯な答弁を期待しております。
【区長】次は、障がいへの認識を深める研修の実施についてのご質問であります。区で実施する職員向けの障害者差別解消法研修や、国や東京都をはじめとした外部機関による障がい研修に、今後も福祉事務所職員を積極的に参加させていく考えであります。
また、福祉部や福祉事務所で実施する研修におきましても、改めて、各障がいの特性や対応方法、これらを学ぶ研修を実施し、適切な障がい者対応ができる、もてなしの心と高い使命感を持ったプロフェッショナルとしての職員の育成と指導を徹底してまいりたいと考えています。
次に、必要な介護を保障する公的介護の確立を求めて、幾つか提案いたします。
第7期に向けて事業計画委員会がスタートしています。2018年度から始まる第7期は、第6期以上に大きく変えられてくる内容が示されてきました。さきにも紹介いたしましたが、要支援1・2に続き、要介護1・2についても介護給付事業から外し、地域支援事業へ変える方向、また軽度者への福祉機器は原則、自己負担とする、原則、利用料は2割にするなどです。
この内容で行くと、ますます各自治体における公的介護の確立が不可欠です。国が進もうとする道は、既に介護保険そのものが崩壊していることを浮き彫りにしています。このままでは、ささやかな年金暮らしの人は保険料を払うだけで精いっぱい、必要なときに必要な介護を受けられない事態を広げかねません。
私たち区議団は、この間、荒川区や北区、さらに区内の総合事業の指定を受けた事業所を視察し、関係者の話をお聞きしてきました。そこで、以下の点について提案いたします。
今後ますます各自治体での介護事業の展開が求められていくと判断します。これまでのような国のマニュアル待ち、マニュアルどおりだけでは実態とかけ離れ、必要な介護が実施できないことにつながりかねません。
そこで、計画策定だけでなく、日常的に区内の介護現場、区民の実態、供給体制の把握など、介護事業に携わる多くの関係機関と協議を日常的にできる仕組みとして、23区内でも多くの区が実施もしています介護保険事業運営協議会の設置をしてはいかがでしょうか。答弁を求めます。
【区長】次は、介護保険事業運営協議会の設置についてのご質問であります。現在設置をしております板橋区介護保険事業計画委員会や板橋区地域密着型サービス運営委員会は、介護保険事業計画の策定時以外のときも常設されておりまして、計画の進捗状況や介護施設の運営状況などの検証も行っております。両会議体とも、学識経験者や介護保険事業所の代表、区民の代表などが委員となっておりまして、今後もこれらの会議体を活用しながら、介護現場の実態や施設の供給体制の把握などを行っていきたいと考えております。
今後、要介護1・2も地域支援事業に移行することが想定されます。介護保険課の体制強化を図るため、職員をふやすよう求めます。いかがでしょうか。
【区長】次は、介護保険課の体制強化についてのご質問であります。介護保険法改正に伴い、今年度も介護保険課に総合事業係を新設し、組織体制の充実を図ったところであります。あわせて、介護保険課介護予防係の体制強化を図るため、職員の増員も行ったところであります。今後も国の動向を把握しながら、必要に応じて介護保険課の人員、組織の体制強化を図っていきたいと考えております。
視察した総合事業の指定を受けている通所介護A型の事業所2か所では、利用者は1か所は1名、1か所はまだ利用はありませんでした。事業主のほうは、新しい事業がほとんど知られていないということを共通で出されていました。北区では国基準で実施しており、これまでと変わるものではないのですが、にもかかわらず区民に対して広く総合事業について臨時広報を発行して周知して、強化しています。
高齢者である当事者のみならず、これから介護を必要とする人、あるいは家族に対しても、どういった内容なのかを知らせることは大事です。そこで、北区のように総合事業について広報の臨時特集号を作成するなど、一人でも多くの人に理解を広げ、周知を強めるよう求めますが、いかがでしょうか。
【区長】次は、新しい総合事業の周知についてのご質問であります。新しい総合事業につきましては、広報いたばし3月12日号において、おとしより相談センターの新設の記事とあわせまして、中面の1ページ全面を利用して周知を行ったところであります。また、7月発送予定の保険料納入通知書、約12万通に新しい総合事業周知用のパンフレットを同封する予定であります。ご指摘の広報臨時特集号につきましては、新しい総合事業を含めた介護保険制度の特集号として発行できるよう検討してまいりたいと考えています。
次に、障害者差別解消法と障害者権利条約とかかわってお聞きいたします。
2014年1月20日、ようやく日本が障害者権利条約を批准しました。2006年12月、国連総会で同条約が採択されてから、およそ7年後の批准でした。
障害者権利条約は、障がい者の人権や基本的自由の享受を確保する、障がい者に関する初めての国際条約です。市民的・政治的権利、教育、保健、労働、雇用の権利、社会保障、余暇活動へのアクセスなど、さまざまな分野における障がい者の権利実現のための取り組みを、締結国に対して求めています。
しかし実際には、条約が具現化されるには時間がかかっています。ことしの2月16日付け東京新聞には、障がい者の貧困率は健常者の倍、4人に1人以上という見出しがありました。4人に1人が貧困状態で、障がいのない人に比べてほぼ倍になるという実態が、慶應義塾大学の調査によって明らかにされた報道でした。
これまでにも障がい者団体の調査結果が報告されています。年収100万円以下の人が56.1%と、深刻な実態です。6割弱の障がい者は親と同居しています。低収入になればなるほど、社会との接点が少なくなっていることなどが明らかにされています。
子どもの貧困、高齢者の貧困が大きな社会問題になっていますが、あわせて障がい者の貧困問題の解決にも取り組むべきです。
ことしの4月から、障害者差別解消法が施行されました。そこで改めて、障害者権利条約の精神、そして差別をなくす施策が本区でどこまで具体化しているのかについてお聞きしておきます。
まず、区として改善を必要としている条例や要綱、規則などの検証はいたしましたでしょうか。お答えください。
【区長】次は、障害者差別解消法と障害者権利条約に関連いたしまして、法施行による条例、規則等の検証についてのご質問であります。法施行に当たりまして、改正が必要となりました条例や規則はございませんが、法の趣旨に的確な対応を行うため、板橋区対応方針及び板橋区職員対応規程を定めたところであります。現在、区にも様々な相談が寄せられつつございます。今後とも法の趣旨に基づきまして、差別解消に向けて取り組んでいく考えであります。
次に、障がい児の放課後事業としては、1つはあいキッズ、もう1つに放課後デイがあります。あいキッズについては、私たちは制度実施以前から繰り返し、付き添いなしで利用できるよう求めてきましたが、この4月からようやく付き添いなしでさんさんタイムが利用できるようになりました。
一方で、重度の障がい児については、あいキッズではなく放課後デイの利用を勧められます。しかし放課後デイは、課税世帯だと結構な自己負担です。新あいキッズのさんさんタイムは無料です。放課後デイも同じく無料となるよう、区として独自での助成を実施すべきと考えます。いかがでしょうか。
【区長】次は、放課後デイもあいキッズと同じく無料となるよう、区として独自助成を実施すべきではないかとのご質問であります。放課後デイサービスは障害者総合支援法に基づく事業でありまして、自己負担額について、この法律に基づき定められております。一方、あいキッズは区の事業でありまして、区の施策として無料としているものであります。障害者総合支援法に基づく事業の自己負担額については、国の動向も注視しながら、負担のあり方について研究をしてまいりたいと考えています。
次に、全ての子どもの学ぶ、わかる権利守られる教育制度を求めて質問いたします。
まず初めに、板橋区教育ビジョン2025についてお聞きいたします。
板橋区教育委員会は、ことし3月に教育ビジョン2025を発表いたしました。このビジョンは、区の基本構想及び教育大綱を受けて策定されたとしています。そしてこのビジョンを実現していくために、板橋区学び支援プラン2018を策定して、具体的な施策を進めていくとなっています。
この学び支援プランは、教育基本法にある基本計画に相当し、いたばしNo.1実現プラン2018とも緊密に連動するようつくったとしています。議員となる前、教育現場で仕事をしていた私ですが、このプランを読んで気になる点が幾つかありました。その中で1点についてお伺いいたします。
先生たちは、授業をどう進めていこうかと、子どもたちのことを思い描きながら時間をかけて授業の中身をつくっていきます。一生懸命考えた教材、授業で、子どもたちが目を輝かせている姿にどれほど先生が喜びを感じるかは、教育長が一番ご存じと思います。子どもたちがわかる喜びを感じて授業を受けているということが、子どもたちだけでなく教職員にとってもどれほど成長につながっていることか。こんなとき教師冥利に尽きるなと、そうまた次の教材づくりへの意欲が湧くんです。
ところが、この学び支援プランに、確かな学力の定着・向上を目指し、区立小・中・園全てで一貫した授業規律、学習環境を進めるために、授業スタンダードを策定したとあります。授業の初めに、黒板にその授業の目当てを書く、授業の終わりに、学んだことを振り返らせるなどですが、このようなマニュアルを示すということは、画一的な教育になりませんか。私は豊かな教育、わかる喜びあふれる授業を実践していくためには、教育行政がやるべきことは、このような教育介入とも言える一律の基準を決めて現場に押しつけるのではなくて、一人ひとりの先生たちのよさが引き出される授業を支援するため、教材準備に係る経費の保障、わかる教育をしたいという思いを大切にした授業づくりが保障される条件整備こそ行うべきと思います。教育長の見解をお聞きいたします。
【教育長】かなざき文子議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
初めに、板橋区教育ビジョン2025についてのご質問ですが、文部科学省の研究によりますと、黒板に目当てを書き、授業の狙いを明確化させ、授業の最後に学習したことを振り返る活動を計画的に行う授業スタイルが確立された学校は教育効果が高いという調査結果が出ています。この授業スタイルを取り入れた板橋区授業スタンダードの実践に加えて、ICT機器の活用やアクティブ・ラーニングなどの効果的な導入により授業を革新させ、子どもたちの主体的・協働的な学びを引き出したいと考えています。
したがって、板橋区授業スタンダードは、子どもたちにわかる授業、学ぶのが楽しい授業を行いたいという教員の工夫と熱意が一体となって初めて成立するものであり、授業の画一化にはつながらないと考えます。教育委員会では、これまでも裁量予算により、教材準備や校内研究などにかかる経費の確保に努めてまいりました。また、ICT機器の導入やデジタル教科書の充実を図るとともに、教育支援センターではすぐれた授業の実践例を集積して、区内各校に発信していく計画です。これからも、教員が主体的に授業改革に取り組めるように条件整備に努めてまいります。
次に、特別支援教育についてです。
私たち区議団は、特別支援教室の拠点校と、拠点校ではない学校の視察を行いました。拠点校では、巡回に複数で先生を送り出しており、先生が足りません。また、子どもたちに対しては、昨年度まで週に1回、午前、午後と4時間保障されていた通級での学習が、今年度からは通級ではなくなりましたが、週1回、わずか2時間の指導となっており、指導が積み上がりにくくて足りないと言われていました。
こうした状況のもとで、来年度は全校実施です。拠点校1校当たりが9校も巡回担当するのは無理です。また、拠点校以外の巡回校では、特別支援教室1教室しかないのですが、プレイルーム的なところと、落ちついた環境で1対1の指導ができるスペースが欲しい、さらに巡回校には拠点校と同じ教材がないために、指導内容に限界が生じてしまうなど、たくさんの要望をお聞きしてきました。
全て要望したいところなんですが、せめて拠点校をふやす、そのことを求めます。いかがでしょうか。
【教育長】次に、特別支援教育についてのご質問ですが、特別支援教室の拠点校は、現在区内に6校設置しております。新たな拠点校については、いたばし学び支援プラン2018で「設置を検討する」としており、プランに基づき進めてまいります。
次に、魅力ある学校づくりプランについてです。
文科省は、昨年の1月、統廃合に関する新たな手引を出しました。小学校で6学級以下、中学校で3学級以下の場合は、速やかに統廃合を検討するとしています。1956年、当時の文部省が標準的な学校規模を12から18学級とする通達を出して大問題になったことがありましたが、その後、1973年に、学校統合の方針についての3原則が確認されました。1つ、無理な統廃合の禁止、そして住民合意、2つ、小規模校の存続と充実、3つ、学校の地域的意義です。
今回の手引でも、この3原則については文科省は引き継いでいくという考えを国会の質疑で明らかにしました。つまり、地域住民の十分な理解と協力が前提であり、さらに一人ひとりにきめ細かな指導ができる小規模校のメリットを最大限に生かして充実させること、地域のコミュニティの核ともなり、災害時の拠点ともなる学校があってこそ、地域の活性化が図られる、そのことも認めた3原則です。
板橋区として、この文科省が言う3原則は今後も守っていくという立場なのかどうかをまずお聞きしておきます。
【教育長】次に、魅力ある学校づくりプランについて、学校統合の3原則についてのご質問ですが、板橋区教育ビジョン2025では、地域とともにある学校や地域の教育力の向上を掲げており、そのため、学校は地域コミュニティの拠点として重要な役割を担っていると考えています。また、いたばし魅力ある学校づくりプランでは、学校の適正規模及び適正配置について検討する際は、保護者や学校、地域の関係者から成る協議会を設置し、課題解決の方策を協議し、合意形成を図るとしております。ご指摘の考えに沿っていると認識しております。
ただし、小規模校の存続と充実については、離島や山間部など学校間距離が遠く、安全な通学ができない場合や、同一市町村内に1校しか学校がない場合など特別な状況の場合に、小規模校のデメリットを緩和し、教育を充実させていくという記述であるため、板橋区にはこの項目は該当しないと考えています。
魅力ある学校づくりプランにある適正な学校規模は、小学校が12から18学級、中学校は12から15学級としています。しかし学校の敷地面積という物理的な規模を考慮しない画一的な基準では、どうしても無理な状況が出てしまいます。狭い敷地に詰め込まれた環境では、子どもたちの成長に影響が及ぶのではないでしょうか。自己肯定感を育てるというのなら、WHOが人間的な教育を保障するためには、学校規模を100人以下にという勧告こそ受けとめるべきと考えます。学校の敷地も考慮した適正な基準を各学校別に検討するよう求めます。教育長の見解をお聞きいたします。
【教育長】次に、学校の適正規模についてのご質問ですが、学校の規模については、学校教育法施行規則第41条によって、小学校の学級数は12学級以上18学級以下を標準とするとされています。「平成24年の東京都板橋区立学校の適正規模及び適正配置について(答申)」でも、小学校の教育上望ましい規模を12学級から18学級としています。学校の適正規模や配置、通学区域の設定に当たっては、通学距離、通学路の安全性の確保、学校規模を考慮するとともに、町会・自治会の区域との整合性などについて優先的に検討すべきであります。校地面積につきましては、学校施設を整備する上で考慮すべき要因ではありますが、校地面積だけに注目した学校ごとの適正規模を設定することは考えておりません。
次に、学校施設の開放についてです。
昨年の第3回定例会において、板橋区学校施設開放条例が多数決で可決され、実施されています。これまで学校施設を利用していた登録団体の多くが有料化となり、その負担に怒りの声も寄せられています。登録団体だったある男声合唱団は、区内でも人気が高く、町会や老人クラブ、障がい者の施設などから演奏を依頼される合唱団です。月に定例で2回、イベントがあるときはほぼ毎週日曜日に利用しているのですが、この4月からの負担に、「ささやかな年金で暮らしている高齢者が多いのに、これでは団費を上げざるを得ない。これ以上の負担となるとやめる人が出てしまう。生きがいにもなっているコーラス活動をやめろというのか。なぜこんなことになったのか」との声が寄せられました。
学校施設は、地域住民の生涯学習等の発展に寄与するとして、無料で、学校教育に支障のない範囲で開放されてきました。これは一般の公共施設の利用とはその目的とするところが違います。
そこで改めて、これまでの利用者などの声を聞き、生涯学習として位置づけられる活動については無料に戻す改善を求めますが、いかがでしょうか。
【教育長】次に、学校施設開放条例の改善についてのご質問ですが、学校施設開放事業については、学校施設の維持管理にかかる経費の負担増や、他の区立有料貸し出し施設とのバランスをとる必要があるため、利用者の方に一定の受益者負担をお願いするという観点から、今年度より全ての学校施設を有料としました。
ただし、使用料の負担軽減を図るため、少年少女団体については全額免除、高齢者団体、PTA団体、障がい者団体については5割減額としています。利用者の皆様には、応分の負担についてご理解いただきたいと思います。
いただきました教育に関する質問の答弁は以上でございます。
次に、災害時に強いまちづくりを求めて質問いたします。
阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震など、この日本列島は火山列島、地震列島という別名がつけられるほど、いつどこで大地震が起きても不思議がないと言われています。政治の責任で、災害予防を最優先にして行うことは待ったなしです。
災害に強いという観点で言うならば、倒れない住宅、燃えない住宅などの対策強化ですが、阪神・淡路大震災で最も多かった出火原因は、電気関係が多かったと言われています。国会の答弁でも、内閣府政策統括官は、「感震ブレーカー等の設置で人的・物的被害は約半分、さらに住民等の初期消火が可能な限り達成された場合には1割以下にまで減らせると試算している」と述べています。
さらに地震発生から1時間以降の出火原因は、電気が復旧したことによる通電火災と指摘されています。通電後、電気ストーブなどの暖房器具が、電気が戻ったために近くにあった燃えやすい衣類などに引火したことが原因と言われています。
専門家は、首都東京直下型の地震が襲った場合、最悪の想定でこうした火災だけでも1万6,000人の死者が出ると指摘しています。この通電火災の教訓から、今、多くの自治体で感震ブレーカー装置の取りつけ事業、その助成事業が広がっています。これまでも感震ブレーカーへの助成事業の創設を求めてきましたが、この間、感震ブレーカー設置へ向けた23区の状況も、世田谷区、そして目黒区、文京区、また足立区は拡充を、さらに杉並、品川と踏み切っています。
そこで、感震ブレーカー設置は、あっせんだけではなくて助成をぜひ行っていただきたい。その予定はございますでしょうか。また予定がなければ、その実施を求めますが、いかがでしょうか。
【区長】次は、感震ブレーカー設置への助成事業についてのご質問であります。感震ブレーカーにつきましては、震災時の通電火災を抑制する効果がある機器と認識をしております。一方におきまして、感震ブレーカーの機種によりましては、医療機器、照明、冷蔵庫など必要な電源まで遮断してしまうものもございまして、導入に当たりましては利用者の十分な理解が必要であると考えます。板橋区としましては、現在のところ、設置補助金制度の導入は考えておりませんが、今年度から簡易タイプの感震ブレーカーをあっせん対象用品として追加するとともに、区民に必要な情報を提供してまいりたいと考えています。
次に、大山のまちづくりとの関連で幾つかお聞きしておきます
。
特定整備路線補助第26号は、この防災という点から必要だと東京都は言っています。以前、東京都から受けた説明では、この道路は有事の際に特定車両を通すためと言っています。延焼遮断と言いますが、この道路に火が来ないことを目的として、道路沿いに高層の建物を建てるとしています。
この間、商店街を利用している方々から、また地域住民、地権者の方々から、さまざまな声が寄せられてきました。「この道路は、そこで暮らしてきた住民の暮らしもなりわいも壊し、高層ビルが立ち並ぶ、およそ大山らしからぬ街に変貌させていくことになるんじゃないか」、「結局は横断歩道を渡ってピッコロひろばのほうへ行かざるを得ない」、「アーケードも途中でなくなり、ハッピーロード商店街が分断されていくのではないか」、「この道路計画さえなければ、地域住民の考えるまちづくりができるのに」、「商店街を利用している者にとっても重大問題だ」、「大山西町のほうにできた26号線はそんなに車は通っていない。新たな道路なんて必要ない」、また、「立ち退けといいながら移転先は自分で探せなんて冗談じゃない」、「こんな補償金で、長年住んできたこの土地から出ていけというのか、冗談じゃない」と怒りの声はおさまるところを知らない状況になっています。
そこで幾つかお聞きいたします。
特定整備路線補助第26号線と交差する東上線16号踏切の遮断時間について、昨年度、区が調査を実施しましたが、1時間最大遮断時間をお聞きします。
【区長】次は、大山のまちづくりに関連いたしまして、東武東上線16号踏切の遮断時間についてのご質問であります。平成27年度に、東武東上線の7か所の踏切について、交通量、遮断時間の24時間の調査を行いました。東武東上線第16号踏切の1時間当たりの最大遮断時間は46分31秒でございました。
これまでの議会での答弁では、東上線の立体化までには調査だけでも2年から3年かかり、他の事例を見ても完成まで10年以上20年未満はかかるという内容でしたが、改めて東上線の立体化にあと最低でもどれぐらいの年数がかかるのか、教えてください。
【区長】次は、東武東上線の鉄道立体化までの期間についてのご質問であります。鉄道立体化につきましては現在、東京都が実現に向けて構造形式や事業範囲などの調査・検討を実施しております。東京都は事業着手前に技術的な課題の解決を図り、まちづくりの進捗状況を踏まえて進めていくと聞いております。最近完了しました事業の実績におきましては、事業化してから10年以上の長い期間を要するようであります。大山駅付近の場合におきましては、現在調査・検討中でありますので、スケジュールは未定であると聞いております。
さらに、立体化にならない中で26号線が通されるということは、交通の円滑化どころではなく、車の渋滞と大気汚染など環境への影響が心配されます。区長の見解を求めます。
【区長】次は、26号線による環境への影響についてのご質問です。東京都からは、補助第26号線が整備されることによって道路ネットワークが形成され、交通の円滑化が図れるものと聞いております。板橋区は鉄道立体化について早期実現が望ましいと考えておりますが、長期間を要することが想定されるため、その間の交通・踏切対策について東京都や鉄道事業者に対して要望していきたいと考えます。区といたしましては、踏切の安全性や周辺環境への影響に留意をしながら、東京都、鉄道事業者と連携をして、沿道のまちづくりを着実に進めていくように取り組んでまいりたいと考えています。
委員会での質疑で26号線の道路上にはアーケードはできないと答弁が繰り返されてきましたが、現段階でもその答弁は変更ありませんか。お答えください。
【区長】次は、道路上のアーケードの設置についてのご質問であります。商店街が所有しております既存のアーケードのうち、補助第26号線と重なっている部分につきましては、工事に伴って撤去される予定であります。新たに整備される補助第26号線へのアーケードの設置につきましては、商店街が東京都と現在、協議・検討を行っているところであります。
駅前からピッコロひろばのほうへ向かう動線として言われていたペデストリアンデッキもできない、エレベーターなどのバリアフリー機能がついた歩道橋もできない、そして26号線がハッピーロードと並行しつつも川越街道のほうに突っ切っていくところへのアーケードは設置できないということは、やっぱりハッピーロード商店街は26号線に分断されてしまうと判断しますが、区長の見解をお聞きしておきます。
【区長】次は、ハッピーロード商店街の分断についてのご質問です。板橋区としましては、商店街のにぎわいや歩行者の回遊性の重要性は十分に認識をしておりまして、地元の理解と協力を得ながら、補助第26号線の整備や沿道のまちづくりを進めていく必要があるものと認識をしております。
次に、JR板橋駅の駅改築にかかわってお聞きいたします。地域住民、利用者から強い要望もある板橋口側への仮設エレベーター設置については、その後どうなっていますか。一日も早く仮設のエレベーターが設置されるよう求めます。
【区長】次は、JR板橋駅板橋口駅前用地の一体開発に関連いたしまして、仮設エレベーターの設置についてのご質問であります。板橋口側のバリアフリー化につきましては、早期に実現すべきと認識をしているところであります。現在、整備手法につきましては、JR東日本と検討・協議を重ねております。区とJR東日本との間で平成28年5月に締結しました板橋駅板橋口側一体開発推進に関する基本合意書の中におきましても、バリアフリー設備につきましては、一体開発事業とあわせて整備をすることを基本としつつ、早期の供用開始も含めて検討すると明記し、確認を行っております。板橋口側のバリアフリー化の早期実現に向けて、引き続きJR東日本と積極的に協議を行っていく考えであります。
この間、みどりの窓口の閉鎖についての情報が寄せられ、区にJRのほうへ確認をしていただきました。JRからは、閉鎖はないとの内容が返ってきたにもかかわらず、先日、JR板橋駅にみどりの窓口を閉鎖する旨が貼り出されました。これから区とJRが一体開発を行うといいながら、なぜ区にきちんと連絡がされなかったのか、怒りだけでなく疑問、不信感を持たざるを得ません。
そこで、今後、本格的に駅舎改築に向けた工事が行われていくようですが、地域住民、利用者への影響などが危惧されます。工事の内容、今後の計画などつぶさに時間を置かず情報が伝わるよう、区としてJRに強く要望していただきたいのですが、いかがでしょうか。
【区長】次は、駅舎改良工事の情報開示についてのご質問であります。板橋駅の駅舎改良工事につきましては、板橋口側、滝野川口側ともに、工事内容や工程が駅利用者や周辺地域住民にわかりやすく周知されるように、JR東日本に伝えてまいりたいと考えています。
次に、羽田空港離着陸便の経路変更とふやすことについてお聞きいたします
。
6月4日、私も教育科学館で行われている国土交通省が実施したオープンハウス型説明会に行ってきました。このオープンハウス型というのは、実際の騒音の試聴もでき、展示物を見ながら、会場内で職員にいろいろ質問することができました。しかしどこが問題なのか、何が問題なのかについて、多くの地域住民と共有することができませんでした。
常盤台上空を飛行する、それも2分に1機、高さ1,220メートル上空を飛ぶという、地域住民にとって初めての状況に、オープンハウス型だけでは不十分と強く感じました。
新たな飛行経路と増便の狙いは、2020年開催のオリンピック・パラリンピックに向けて、国際便を増便するため、飛行経路を東京湾のほうからではなく陸地の上空活用をすることで時間短縮でき、増便ができる。特に国際線が集中する時間帯の午後3時から7時の間に必要だということです。
そのために、飛行経路が当初の赤塚・成増上空に加えて、新たに小豆沢から向原を結ぶ経路が突然、加わりました。午後3時から夜の7時の間、南風のときの着陸時、A滑走路を使用する飛行機は1時間に13回、C滑走路を使用する飛行機が1時間に31回、1時間に合わせて板橋区上空を通るのは計44回となります。そのうち小豆沢から向原のコースが31回です。
地域住民の方は、落下物などの事故について、騒音と同じく不安に思っています。国際線の集中する成田空港周辺では、過去10年間で18件の落下物が確認されています。
そこで、国土交通省に対し、オープンハウス型ではなく、アセスの実施とその結果も含めた情報提供と資料も配布し、専門家、責任者が答えるいわゆる教室型説明会の実施を求めていただきたい。また、地域住民の合意なき上空飛行については、やめるよう強く申し入れていただきたいのですが、以上2点についてお聞きいたします。
【区長】次は、羽田空港の機能強化に関連いたしまして、質疑が行える説明会の実施についてのご質問であります。環境影響評価につきましては、飛行場の設置または変更する場合に実施するものであり、飛行ルートの変更はその対象にならないため、国は実施する予定はないと聞いております。説明会につきましては、オープンハウス型の説明会でも個別の質疑は可能でありますが、区としましては、多くの人の質疑が行われる教室型の説明会の実施をこれまでも機会を捉えて国に要望してまいりましたが、実現に至ってない状況であります。
次は、板橋区上空の飛行に対する国への申し入れについてのご質問であります。平成26年7月公表の当初案から、高度を上げることにより、区内中心部を通ることになる本年4月公表の変更案に対しましては、国からの説明の際に、当初案の飛行経路のまま高度を上げる変更を強く求めてきたところであります。これに対し国からは、周辺の飛行場に離発着する航空機の安全確保の観点から、当初案のまま高度を上げることは困難であると説明を受けているところであります。
次に、豊かな文化行政を求めて質問いたします。
人々に生きる力を与える芸術・文化は、社会の進歩に不可欠です。文化を自由に創造し享受することは国民の権利であり、その条件を整えることは国の責務です。
しかし、格差と貧困が広がる状況の中で、国民が文化に親しむ機会が奪われ、さらに芸術団体の運営は厳しくなるばかりです。大小さまざまな表現空間や展示場所、けいこ場といった芸術家・文化団体の活動の条件整備をどう充実させるかは、文化の発展に大きく影響します。
同時に、芸術・文化活動の拠点とする文化施設のあり方については、自治体の行政職員だけでは限界があり、専門家の活躍は不可欠です。文化施設の運営への芸術家と市民の参画を進め、また舞台技術者や学芸員など専門家の身分保障で各専門知識を大いに発揮してもらえる条件が重要と考えます。
区民に豊かな、よい文化芸術に触れる機会を保障するため、また区民の文化活動を支えるため、区内の文化施設のあり方が問われていると考えます。区内の文化施設の現状はどうでしょうか。
以前、文化会館で演奏に訪れた国内でも有名なオーケストラは、音響の問題、オケの団員の動線などから、今のままの文化会館大ホールでは演奏は不可能だと、演奏に来なくなってしまいました。区内に居住する有名な演奏家の方々も、大小を問わず音響設備がネックになりリサイタルの開催も板橋ではなく他区の文化施設を利用されている方が少なくありません。
和楽にとっても深刻です。グリーンホールの1階、2階、どちらのホールで和太鼓演奏をするのも、和太鼓の響きが筒抜けとなるために、両方のホールを借りなければ演奏できない状況です。また小ホールを使っているときは音が筒抜けになるため、第3練習室でドラムの利用はできません。さらに、区内のあちらこちらの多目的ホールも防音対策がとれていないために、実際の活用には制限が起きています。各地域センターのレクホールも、音響設備を使ってCDやカセットテープで音楽をかけることはできます。しかしアンプなどを使っての生の演奏は、防音問題がネックとなり禁じられています。これでは区民が身近でいい文化芸術に触れる機会を得ることや、区内での文化活動を行うことは厳しいばかりではないでしょうか。
そこで質問いたします。区民にとってより豊かな文化に親しむ、あるいは音楽活動などの文化活動を行えるようにするためには、文化会館、グリーンホール、また区内各地域での文化施設のあり方そのものが問われてきます。ぜひ文化施設の今後のあり方について、施設利用者、区内の演奏家、さらに舞台・ホールなどの技術、音響、照明の専門家も含めて、文化行政の拠点となる文化施設のあり方について検討する組織をつくり、今後の文化行政に生かしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
【区長】次は、豊かな文化行政を求めてとのご質問であります。文化会館は、区民の文化活動の発表の場や、芸術を身近で鑑賞できる場の提供を行うため、施設貸し出しを行っております。グリーンホールにつきましては、区民のコミュニティの拠点として、様々な行事や団体の交流を促すため、施設の貸し出しを行っております。公共施設等の整備に関するマスタープランに基づく個別整備計画におきましては、文化会館は平成28年から37年の第1期に大規模改修を予定しておりまして、グリーンホールにつきましては平成38年以降の第2期に更新時期を迎えます。こうした改修時期に合わせまして、区民の利用に即した施設整備のあり方については、区民等の意見を取り入れながら検討してまいりたいと考えております。
最後に、石神井川に発生する虫の対策についてお伺いいたします。
前回の一般質問でも取り上げましたが、依然として石神井川沿いの虫の発生は減っておりません。特に春から初夏にかけての虫の量全体がふえ、夕方から夜などは目をあけていられない状況が続いています。
そこで、前回の質問以降、区としてどのような対策に取り組んできたのか、また対策の経緯と今後の対策についてもお聞きしておきます。
【区長】次は、石神井川沿いに発生する虫の対策に関連いたしまして、虫対策についてのご質問であります。石神井川沿い不快害虫については、昨年の10月から今年の3月にかけ、専門の業者に委託し、詳しい調査を4回実施いたしました。調査により採集されました虫について確認をしたところ、いずれの調査ともユスリカの一種であるキイロケバネエリユスリカであることがわかりました。駆除につきましては、電撃殺虫器や捕虫器とあわせまして、護岸壁の卵塊の駆除などの準備を進めているところであります。また、ユスリカ以外の不快となる虫がほかに存在しないかどうかにつきましても、引き続き注視をしてまいりたいと考えております。
さらに、特に晴れた日が続いた後は、雨が降ってくると川から目にもしみるほどの悪臭がすごいのですけども、この対策についてもお聞きしておきます。
以上で、日本共産党板橋区議会議員団の一般質問を終わります。ご清聴、どうもありがとうございました。(拍手する人あり)
【区長】最後のご質問であります。悪臭対策についてのご質問です。大雨の際に上流から流れてくる水や、越流して下水道から放流される水に原因があると推測されております。下水道局におきましては、河川に放流する汚水の水質を改善するため、マンホール内の構造を改善し、汚濁防止に努めているところでございます。しかしながら、河川への放流は内水氾濫の対策と同時に考える必要があり、引き続き下水道局との関係を密にし、情報交換を行い、改善への方策を探っていきたいと考えております。