ホーム > 板橋区議会における日本共産党板橋区議団の一般質問・代表質問 > 小林おとみ
小林おとみ議員の一般質問
2017.09.22: 平成29年第3回定例会(第2日)

1 経済政策の転換を求めて
2 国民健康保険について
3 第7期介護保険事業計画について
4 大山のまちづくりについて   
5 住宅政策について
6 ホタル生態環境館問題について
7 学校給食費の公費化について
8 児童相談所について

 引き続き、日本共産党板橋区議団の一般質問を行います。
 初めに経済政策の転換を求めて質問をいたします。9月1日に財務省から発表された2016年度の法人企業統計によると、資本金10億円以上の大企業の内部留保が、初めて400兆円を超え、403兆4,000億円になったとのことです。役員報酬や株主配当はふえても、労働者の賃金は物価上昇率を差し引くと実質マイナスです。安倍政権は、法人実効税率を政権発足時37.0%から16年度は29.97%へと7.03%も引き下げました。しかし、減税分は設備投資や賃金にはほとんど回らず、賃金抑制と雇用の不安定化が国内の需要を停滞させるという「経済の悪循環」に陥っています。
 国民が「景気回復」を実感できるようにするというならば、大企業の内部留保を賃金の引き上げや不安定雇用の解消、下請単価の引き上げ、さらに社会保障の財源に回せるような新たな課税を行うなど、経済の好循環につなげるための抜本的な政策を打ち出すべきです。
 そこで区長に伺います。区として、政府に対して過去最高に上った大企業の内部留保を、国内経済の好循環につなげるよう経済政策の転換を求めていただきたいが、いかがでしょうか。

【区長】
 小林おとみ議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、国内経済の好循環につなげる施策に関する国への要望についてのご質問であります。
 財務省が発表しました平成28年度の法人企業統計調査によりますと、全国の企業が獲得した税引き後の利益のうち、社外に分配せずに企業内に蓄積されている資産である内部留保が400兆円を超えたとされております。賃金の増加や設備投資、内部留保を活用することは経済成長につながるとの意見がある一方において、その切り崩しは資産の減少イコール企業活動の縮小を意味するため、世界経済の先行きが不透明な中において、将来の経営管理に必要な貴重な源泉は保持すべきとの考え方もございます。したがいまして、区としましては、企業経営の根幹であります経営判断事項に介入することは適当でないと考えております。

 大企業による「下請いじめ」が蔓延しています。下請法違反で公正取引委員会が指導した件数は、昨年度6,302件と過去最悪に上っています。一方的に安い契約を強いる「買いたたき」や不当な「労務提供要求」などが横行しているとのことです。働く人の7割を占める中小企業に利益を還元しなければ、経済の好循環にはつながりません。
 今年1月に下請2法が改正され、違反行為が66事例から141事例に拡大されました。追加事例としては、親事業者のコスト削減目標を一方的に下請代金の額に定めてくる事例や、量産が終了している製品を補給品としてわずかに発注するのに、量産時と同じ代金を定めてくる事例等々が挙げられています。板橋区として、下請2法改正を受けて、区内の中小業者への聞き取り調査をしていただきたいが、いかがでしょうか。

【区長】
 次は、区内の中小企業者への聞き取り調査についてのご質問であります。
 製造業を中心とする区内の中小企業に対しましては、区と産業振興公社が連携をしながら、ものづくり活性化専門員や企業活動コーディネーターが個別訪問をし、企業経営全般にわたって、専門的立場からの相談や助言などを実施しておりまして、取引関係につきましても、支援とともに情報収集を行っております。改正後、9か月が経過しているところでありますけども、現在のところ今回追加されました親事業者によります減額、支払遅延、買いたたき等を含めた違反行為事例の相談は受けていないところであります。相談を受けた場合におきましては、東京都の中小企業振興公社の相談機関に確実につなげる等して、適正な取引の確保に努めていきたいと考えております。

 次に、国民健康保険について質問します。今年度の国民健康保険料額の通知が加入者に送付され、6月20日から7月3日までの間に8,826件の問い合わせが殺到しました。その内容は「保険料が高すぎる」「収入が変わらないのになぜ保険料が上がったのか」「会社を辞めて収入が減ったのに保険料が高い」などなどです。改定された1人当たりの平均保険料は前年度の9万3,348円に対し、10.8%もの増で10万3,421円です。給与所得で200万円世帯、夫45歳、妻と子どもの3人世帯では、介護保険料分も入って24万2,550円です。年収の1割を超えるような負担は、くらしを大きく圧迫しています。「払えない」という声が上がって当然です。
 今回の値上げは、そもそもこれまでどおりなら上げる必要がなかった値上げです。国保の広域化に向けて、東京都の補助金カットや算定基礎に高額療養費を入れるなどして公費負担を減らすことを目的に上げたものです。来年4月からの国保事業の広域化に当たって、これ以上の保険料の引き上げを行わず、引き下げて、払える保険料にすることは喫緊の課題です。そのかなめは、公費負担をどう確保し、引き上げるかにあります。
 国保の財源不足について、かつては都が4分の1を都支出金として、また区が4分の3を都区財政調整交付金で確保してきたものですが、都支出金の削減が続き、2000年の都区制度改革前の段階で既に、特別区の国保歳入に占める都支出金の割合は23.2%から5.37%へと大きく低下しました。さらに、都区制度改革に当たって、東京都は国保財政への支出を実質60%以上もの大幅な削減を強行したのです。そうしたことによって、保険料の負担をなるべく軽減するという公的責任の考え方が大きく後退し、保険料を払えないために医療を受ける権利が脅かされるという社会保障制度としての根幹が問われるような事態が生まれてしまっているのです。
 そこで区長に伺います。
 来年度からの国保事業の広域化に当たって、保険料の引き上げにつながらないよう、東京都としての補助金を引き上げることを強く求めていただきたいが、いかがでしょうか。

【区長】
 次は、国民健康保険に関連いたしまして、広域化に当たって東京都へ補助金の増額を求めることについてのご質問であります。
 東京都に対する平成30年度の施策及び予算に関する要望としまして、財政運営の責任主体となる東京都の責任のもとに被保険者の保険料負担に配慮した、きめ細かい激変緩和措置を講じるとともに、低所得者に配慮した財政支援の強化を図るよう求めたところであります。
 また、広域化に向けての東京都と市区町村の協議の場であります東京都国民健康保険連携会議におきましても、東京都独自において区市町村に対する財政支援を講じるよう強く求めているところであります。

 また、国は自治体に対して、一般会計からの繰り入れの削減計画を示すよう迫っていますが、区として繰り入れを削減するのではなく、必要な繰り入れを行って、保険料が引き上がらないようにすることを求めますが、いかがでしょうか。

【区長】
 次は、一般会計からの繰り入れにより保険料の上昇を抑えることについてのご質問であります。
 板橋区は受益と負担の適正化の観点に立ち、保険料の収入確保等により、一般会計からの繰入金の減額に努めてきたところでありますが、国からの要請もあり、今年度中に繰入金削減計画を作成した上で、さらなる努力を続けていく考えであります。ただし、繰入金削減による急激な保険料の上昇は可能な限り回避すべきと考えておりまして、国も削減計画の年限を具体的に何年までにという形では示していないところでもあります。東京都が区市町村ごとに示す国保事業費納付金並びに標準保険料率の動向を注視しながら、今後の保険料率について慎重に検討していきたいと考えております。

 次に、第7期介護保険事業計画について質問します。2018年4月からスタートする第7期介護保険事業計画基本方針が示されました。7月20日に行われた板橋区の第4回介護保険事業計画策定委員会では、委員の方々から「財政的インセンティブを付与して、保険者機能を強化し、重度化を防止するということだけれども、軽度の認定への誘導は行われないか、ケアプランの抑制につながることにならないか」という心配の声や、「要支援といっても、家事援助があって一人暮らしが支えられていることを、往診をしながら実感している」と、介護のレベルダウンが生活状態のレベルダウンにつながるのではないか、自立支援という名で介護外しが行われるのではないかという懸念の声が出されていました。
 また、地域での助け合いに取り組んでいる委員からは、「我が事、丸ごとというが、地域で何が可能か。共助の強調によって、行政のリーダーシップがおろそかにならないようにしなければならない」「地域包括支援センターへの財政的支援が不可欠だ」等々の意見も出されておりました。
 計画づくりは、国から示されたデータをもとに、介護予防・重度化防止等の取り組み目標を計画に記載し、財政的インセンティブという「餌」に向かって、目標達成を強いられるというものになります。認定の軽度化や軽度者の介護保険からの「卒業」が誘導され、また、この目標達成は各事業者にも求められていくことになります。「卒業」が見込めない人を事業所が敬遠していくことも起こりかねません。実際に、先行的に行われている事例として、三重県桑名市などでは、ケアプランに「卒業」が明記できない利用者は、介護保険の利用を諦める事例まで生まれていると言います。
 そこで、区長に伺います。
 第7期介護保険事業計画の策定に向けて、介護給付費の削減を最優先にして、必要な介護が受けられなくなるような事態を生まないことを強く求めますが、いかがでしょうか。

【区長】
 次は、第7期介護保険事業計画に関連いたしまして、必要な介護サービスの確保についてのご質問であります。
 介護保険事業計画は厚生労働大臣が定める基本指針に即して策定することになっておりますが、今般の介護保険法等の改正に伴い、基本指針の内容も改定されております。
 今回の法改正と基本指針の改定の趣旨を踏まえ、高齢者の自立支援と介護予防、重度化防止のための方策や目標等を計画に記載し、介護を必要とする方に適切にサービスが提供されるよう取り組んでいく考えであります。
 また、本区の第7期計画においては、板橋区版AIPの構築に向けて、地域包括ケアシステムの深化を重点目標とし、地域ぐるみで要介護者等を支えていく仕組みづくりを加速していく考えであります。

 次に、ひとり暮らしの認知症高齢者の地域での支援について伺います。80代のひとり暮らしの女性の事例です。ずっと元気でいたのですが、このところ、友達に「お金がなくなった」と頻繁に電話をしてくるようになりました。電話を受けた友人は、デイサービスにも行っているようだし、ヘルパーさんも来ているようなので心配ないと思いながらも、電話がかかってきて、「調子が悪いの」「来てくれない」などと言われれば、時間の許す限り様子を見に行ったりすることになります。地域のひとり暮らしの高齢者の場合、キーマンとなる親族が遠方である場合も多く、介護保険のサービスが使えているとしても、24時間の生活全体にわたっては、隣近所が、見るに見かねて面倒を見ているという人は多いのではないかと思います。
 認知症サポーターなどの取り組みも広がっていますが、現在の開催状況ではまだまだ隣近所の助け合いに手が届くというものにはなっているとは言いがたいと思います。家族やキーマンでもないが、当事者本人から頼りにされている隣近所の方々に役立つような取り組みを充実させる必要があります。
 そこで区長に伺います。
 認知症サポーター養成講座を、地域センターごと、あるいは各おとしより相談センターで定期的に開催し、地域に周知もして、地域の人たちが気軽に行けるようにしていただきたいが、いかがでしょうか。

【区長】
 次は、認知症サポーター養成講座についてのご質問であります。
 認知症サポーター養成講座は、認知症に対する正しい理解と接し方を学ぶことを目的に実施をされておりまして、平成28年度は85回開催をし、3,006人の方が受講されました。養成講座はおおむね四半期ごとに1回、区内4か所を順次めぐる形で開催をしておりますほかに、区職員や各おとしより相談センターの職員等が地域からの要請に応じて出向く出前講座も実施をしております。今後、認知症高齢者の増加が見込まれる中において、認知症サポーターの養成もさらに必要と考えておりまして、各おとしより相談センターの圏域を中心として、計画的な養成講座の実施について検討していきたいと考えております。

 また、おとしより相談センターが、そういう人たちが気軽に相談できる窓口となることの周知を行っていただきたいが、いかがでしょうか。

【区長】
 次は、相談窓口の周知についてのご質問であります。
 おとしより相談センターは、認知症の方やその家族をはじめ、地域の方からの認知症に関する相談に応じております。おとしより相談センターが認知症に関する相談など、高齢者の総合相談窓口であることについては、広報いたばしや区のホームページ等により周知をいたしております。また、センターごとに広報誌を発行し、町会・自治会における回覧や、おとしより相談センターが関係する会議等での配付により周知を図っておりまして、今後も機会を捉えて、地域の方が認知症等について気軽に相談できる窓口であることを周知していきたいと考えております。

 認知症は根本的な治療薬がない現在、早期発見と適切なケアによって重度化させないことが一番必要だと考えます。そのためには、初期の段階こそ、専門職によるケアが必要です。おとしより相談センターの相談窓口では、認知症にかかわる相談の場合は、必ず「要介護認定」を受けるように勧めていただきたいが、いかがでしょうか。

【区長】
 次は、要介護認定についてのご質問です。
 おとしより相談センターで認知症に関する相談を受けた場合は、その方の状態に応じて、医師による診断の必要性や介護サービスの利用等について情報提供を行っております。介護サービスが必要と思われる場合、要介護認定の申請についてもご案内をしておりまして、その方の状態に応じて要介護認定の手続等について支援を行っております。

 次に、大山のまちづくりについて質問します。
 9月11日の都市計画審議会で、大山町西地区地区計画の決定及び第一種市街地再開発事業の決定と、それに伴う3つの都市計画の変更が決定されました。中心問題は、この計画によって、大山ハッピーロード商店街のアーケード180メートルの撤去が迫られること、及び買収が進まない都市計画道路補助第26号線の道路用地375メートルのうち130メートル、0.26ヘクタールがこの計画によって確実に確保されるということです。補助26号線全体の3分の1が再開発地域で確保でき、再開発地域の3分の1が道路用地です。道路をつくるための再開発であり、この計画によって、道路用地の対象とされているほかの住民にも、買収に応じる圧力が強められることになっていくということです。
 そもそも、終戦直後の1946年に行われた都市計画決定自体、根拠となる道路の大臣認可や原図について、国や東京都も示すことができず、法的根拠についての重大な瑕疵が指摘され、計画撤回を求める訴訟も起こされています。東京都知事に対して、特定整備路線の建設中止を求める要請や署名活動も全都で展開されています。
 都市計画決定を行うための住民説明会では、補助26号線の道路計画の見通しや、東武東上線の立体化の見通しなどについて質問が相次ぎました。しかし、区からは、道路計画は「東京都は平成32年までに完了すると言っている」、東上線の立体化は「東京都から具体的な計画は示されていない」という説明しか行われていません。3年間で道路を完成させるなどということは、到底住民は納得できるものではありませんし、東武東上線をそれにあわせて立体化するなど、物理的にも無理な話です。
 大山のまちを、アーケードの続く日本で有数のにぎわいのあるハッピーロード商店街を、今後10年も15年も、住民が住み続けることができず、金網と事業予定地の看板があちこちに立ち続けるようなまちにしてしまって本当にいいのでしょうか。
 また、防災に強いまちづくりが計画の目的となっていますが、この地域の不燃化領域率は28年度末で70.3%です。70%を超えると、市街地の延焼による焼失率はゼロ%と言われています。この地域の防災性を高めることは、再開発でなくても、これまでの防火、準防火地域としての対策で順次高めていくことができるのです。超高層ビルがそびえ立つことで、延焼遮断帯どころか、かえって風と火の粉を巻き起こす危険性が高まっているのです。計画の目的にある「防災」は、再開発の口実にすぎません。
 そこで、区長に伺います。
 この再開発事業は、地権者45名の66.6%の賛成で可能だと言っても、大山のまちづくりのみならず、板橋全体の経済や区民生活に大きく影響する事業です。事業認可の際ではなく、都市計画決定に当たって、再開発の総事業費の概算、税金の投入額の概算、そして権利変換のモデルをお示しください。

【区長】
 次は、大山のまちづくりに関連いたしまして、総事業費や税金の投入額、権利変換モデルについてのご質問であります。
 市街地再開発事業は、都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的として実施をする事業であり、補助金として、補助対象の要件を満たすものについて、対象事業費の3分の2の支出を予定しております。補助金等の収入を含む資金計画は、組合設立認可申請に必要となるものでありまして、都市計画決定時点では確定がされてないところであります。
 権利変換モデルは、地権者の従前資産が再開発ビルの床に置きかわる面積を示すものであり、一般に公開されるものではないと考えております。

 公告縦覧に寄せられた意見に、道路が通る以上、再開発をしないとまちが寂れるという意見がありました。しかし、まちづくり協議会で住民が検討を重ねてきたことは、商店街のにぎわいやコミュニティを大事にする身の丈に合ったまちづくりでした。それを受けて、板橋区の大山まちづくり総合計画は、人の流れを妨げないよう、アーケードやペデストリアンデッキなどを整備する等々の対策を示していたのです。それらは全て崩されて、結局、超高層ビルの大規模開発しかないという結論だけが押しつけられているのです。これまで積み上げられてきた議論は何だったのか、道路用地の確保と大規模再開発の採算性を最優先にして、住民が積み上げてきた提案を退けてきた結果ではありませんか。
 再開発は、莫大な税金投入が前提です。同じ税金を投入できるなら、大山のまちを再整備する別の道があるのではないか、さまざまな選択肢が検討され、区民に示されるべきだと考えますが、区長の見解を伺います。

【区長】
 次は、大山のまちの再整備についてのご質問であります。
 大山駅から川越街道までのクロスポイント周辺地区を含む大山駅西側の区域においては、総建物棟数約500棟のうち約53%が木造などの建物であり、火災などの都市災害に弱いとされている木造住宅密集地域が残されております。木造密集地域改善のためには、建物の不燃化と延焼遮断帯の形成が効果的であり、区では市街地再開発事業による建物の不燃化を進めております。
 一方、東京都におきましては、道路ネットワークの形成による利便性の向上と延焼遮断帯の形成による防災性の向上を目的に、補助第26号線の整備を進めております。さらに区においては、災害に強いまちづくりを進めているため、補助第26号線沿道30メートルの区域において、建物の不燃化を促進しております。

 都市計画審議会で、中小企業庁の全国の「新がんばる商店街77選」に選ばれた大山ハッピーロード商店街を、この計画で守れるのかとの質問に対して、「やってみなければわからない」という答弁が行われました。商店街を形づくっている旧川越街道の道幅は、人が行き交い、買い物をする、にぎわいの歴史をつくってきた道幅です。開発地域は、大きな空間はできるかもしれませんが、人が行き交う道幅ではなくなります。1階に商業施設が入るといっても、権利変換という手法では、今までのお店が今までどおりの条件を確保して入ることは到底不可能です。
 「やってみなければわからない」というのは、「あとは野となれ山となれ」ということではありませんか。板橋の商業、経済を担ってきた、全国に誇るハッピーロード商店街を、先の見えない再開発の手に委ねることはできないと考えますが、区長の見解を伺います。

【区長】
 次は、再開発事業による商店街の存続についてのご質問であります。
 クロスポイント周辺地区市街地再開発事業においては、新たに整備されるビルの入居者によります、さまざまな需要が見込まれると考えております。また、市街再開発ビル低層部には、商業施設などを配置する予定でありまして、これまでの商店街の連続性を確保する配慮がなされている事業であると考えています。

 アーケードについて地元から「住民の生活に役立っている公共性の高いアーケード施設は、行政に維持管理してほしい、道路計画によって撤去するというのなら、解体撤去費用や周辺部の補修費用は行政でもってほしい」という要望が出されています。8月24日の都市建設委員会では、区からアーケードについて、あくまで道路付属物であるので、区道部分のアーケードを引き取るつもりもないし、道路管理上支障があれば撤去していただくしかない。それが許可条件であり、守ってもらうのは当然だという答弁が行われています。であるならば、アーケードの撤去について、商店街の財政計画も含め、合意ができるまで再開発計画は進めるべきではないと考えますが、区長の見解を伺います。

【区長】
 次は、アーケードの撤去についてのご質問であります。
 アーケードは占用物件として、設置を希望する者が道路法による許可を受けて実費で整備するものであり、撤去についても原則として設置者が費用を負担するものであります。クロスポイント周辺地区市街地再開発事業における既存アーケードへの直接的な支障は生じないものと考えております。
 なお、今後のアーケードのあり方につきましては、現在ハッピーロード大山商店街により検討が行われておりまして、これに区と東京都はオブザーバーとして参加をしております。

 この項の最後に、再開発用地の中にある千川上水の取り扱いについて伺います。当初、このまちを特徴づける大事な史跡として千川上水がありますとしていた板橋区でしたが、よく調べたら、史跡指定はされておらず、今は国交省が水路としての用途をもって所有し、東京都が管理をしているとのことです。区は今回の再開発に当たって、水路というのは法定外公共物であるので、機能を保全してつけかえ、切り回しを行うと説明しています。また、その費用は基本的には事業者、施行者が行うものとしています。千川上水は練馬区では一部分開渠にして、せせらぎを復活させるなどの事業も行われています。板橋区の歴史を残し、一度は史跡とまで位置づけた千川上水を今後どのようにしていくのか。例えば、練馬区のように復活させて、せせらぎをつくる選択肢も残されなければならないはずです。開発優先で、区民の意見を聞かず、千川上水の扱いを決めていくことは許されないと思います。千川上水の取り扱いについて区民の意見を聞くことを求めますが、いかがでしょうか。

【区長】
 次は、再開発事業に係る千川上水の取り扱いについてのご質問であります。
 市街地再開発事業区域内の千川上水の施設は、水路機能を保全するため、現在の道路の埋設位置から他の道路へ移設をする予定であります。本移設は道路下から道路下への移設となり、地上部への影響を及ぼさないために、区民からの意見聴取は予定をしてないところであります。

 次に、住宅政策について質問します。区内でのマンション建設が続いています。この間の5年間で、大規模建築物指導要綱に基づくマンションは238棟建設され、住戸数では、ファミリータイプで6,643戸、ワンルームが8,475戸建設されています。2013年の住宅土地統計調査では、全国の空き家は820万戸で、10年で1.2倍、20年で1.8倍とふえ続け、このままいけば、2035年前後には3戸に1戸は空き家になると言われています。マンションなどの空き室問題も同様です。OECD加盟国の多くが、「住宅総量目安」「住宅供給目標」といった指標を持っています。5年から10年間にどの程度の住宅を壊し、新築を建設するかという目安を持って、それにあわせて税制や金融をコントロールしつつ、各自治体レベルで都市計画を設定するという政策がとられています。
 しかし、日本ではこうした目安が一切なく、ただ、新設住宅着工戸数が減れば景気の足を引っ張るとして、常に新築住宅促進政策が景気対策として行われ続けているのです。企業の論理に任せたマンション建設頼みでまちがつくられていくことは、福祉や教育などを含めた良好な居住環境づくりにも大きな影響を与えます。
 そこで区長に伺います。
 新築の分譲マンションが急増していますが、このままマンションがふえ続けていいとお考えでしょうか。見解を伺います。

【区長】
 次は、新築分譲マンションの供給についてのご質問であります。
 次期住宅マスタープランとして検討中の「板橋区住まいの未来ビジョン2025」におきましては、生産年齢人口の増加や定住化の促進を図ることを視点として、新たな住宅施策の展開を目指しております。新築住宅、とりわけ分譲マンションの供給は、次期マスタープランでも目指している区内への定住化の促進に寄与するものであり、また、区内経済にも一定の効果があると考えられていることなどから、区が建設を制限することは難しいと考えております。

 また、この間、板橋区内では投資型のワンルームマンションが急増しています。ほとんど、ファミリータイプは1戸もなく、ワンルームのみの計画です。泉町では、200戸を超えるような大規模ワンルームのみのマンション計画が、周辺を狭い道路に囲まれた住宅地の真ん中に計画されて、住民の反対運動が起きています。板橋区のワンルーム条例では、一定数をバリアフリーにしてあれば、全ての住戸がワンルームのみでよいという規定になっています。
 他区では、29戸を超える部分は75平米以上にする足立区、15戸を超える部分は70平米以上にする江戸川区などなど、広さに制限をかけ、ワンルームのみのマンションとならないよう規制しています。住民の入れかわりが激しく、管理の責任体制が曖昧になりやすく、しかも急増しているワンルームマンションを規制していくことが必要だと考えます。
 そこで区長に伺います。現在の区の小規模住戸集合建築物条例について、バリアフリーは当然の要件として、ファミリータイプを必ず一定規模で入れるよう見直すことを検討していただきたいが、いかがでしょうか。

【区長】
 次は、ワンルームマンション条例の見直しについてのご質問であります。
 現在検討中の次期「住宅マスタープラン」におきましては、多様な世帯のニーズに応じた居住環境の形成を基本施策の一つとして検討しております。一定規模以上のマンションにファミリータイプの住戸の設置を義務づけることへの条例の見直しにつきましては、この基本施策を踏まえて、他区の条例や取り組み状況を参考にしながら研究を進めてまいりたいと考えております。

 次に、民泊問題について伺います。住宅宿泊事業法が6月の通常国会で成立し、来年6月までに施行されるとのことです。消防法や建築基準法の適用や24時間の管理体制など、宿泊客の安全を守るための旅館業法による規制を緩和し、民泊市場の拡大を図るものです。現在でも既に、ネット検索をすれば、板橋区内でもたくさんの物件が紹介されています。政府は、仲介業者の登録を義務づけるとしていますが、結局、登録さえすれば、これらの「違法民泊」が合法化されるだけのことです。家主不在で管理業者に委託するだけでも営業できるとのことで、本当に宿泊客の安全が守れるのか大いに疑問です。
 一方、板橋区においても、この間、「違法民泊」にかかわって、生活衛生課に寄せられている苦情・相談は、「ゴミ出し」「治安上の不安」「騒音」「マンションの管理規約違反」など、28年度271件、29年度は8月までで86件に上っています。その都度職員が現場の確認に出向くけれども、所在が確認できたのは29年度では18件にすぎず、しかも、そのうち14件は営業行為が確認できなかったとのことです。事実上、野放し状態と言えるでしょう。新法の施行を目前にして、板橋区として、宿泊客の安全を守り、また、近隣住民の住環境を悪化させないための規制が必要になると考えます。
 そこで区長に伺います。
 民泊新法について、いまだ政省令が国から示されないとのことですが、板橋区として権限移譲についてどのように考えているのか、準備状況をお示しください。

【区長】
 次は、民泊問題についてのご質問であります。
 特別区長会におきましては、本年2月に国土交通大臣に対して、住宅宿泊事業法を制定するに当たりまして、特別区にも権限を付与するよう要請を行ってまいりました。6月に公布されました住宅宿泊事業法におきましては、民泊を規制する権限は都道府県に付与されたが、特別区と保健所設置市にも都道府県との協議による権限の委譲が可能とされました。
 区は、区民の安心・安全に軸足を置きながら、地域の実情に応じた規制のもと、民泊が生活、住環境に調和して、適切に導入されますよう、条例の制定も視野に入れながら、権限の委譲を受けるべく、東京都と協議を進めていきたいと考えております。

 分譲マンションで民泊が増加している問題への対応として、国交省は、マンション管理規約の変更などで、「民泊禁止」を決めてほしいとしていますが、管理規約だけで管理し切れるのでしょうか。マンション住民が知らないうちに、頻繁に外国人が出入りしているなどの事態が生まれないようにすることが必要です。
 そこで区長に伺います。マンションの管理組合で、民泊の是非が決まらないマンションについては、届け出受け付けはやめていただきたいが、いかがでしょうか。

【区長】
 次は、分譲マンションの民泊の届け出についてのご質問であります
 民泊の届け出先等につきましては、現段階では明確には決定をしておりませんが、分譲マンションで民泊を行うかどうかにつきましては、管理組合の決議や管理規約等で定めるものでありまして、区が一律にこれを規制することは難しいものと考えております。

 次に、ホタル生態環境館の問題について質問します。ホタル生態環境館で累代飼育してきたとされるホタルが、外部から持ち込まれていたという疑惑が発覚して以来3年間、私たちは、ホタル生態環境館で何が行われていたのか、その全てを明らかにすることを求めてきました。しかし、多くは「係争中」を理由に、答弁が行われてきませんでした。
 2017年2月、板橋区は、ホタル生態環境館の元職員との間で争われていた2つの事件の和解に当たり、「検証報告書」を作成し、2つの裁判の争点、管理監督責任の及ぶ範囲、組織運営上の問題、再発防止策などを取りまとめました。しかし、「報告書」は事件の全容を、区民に対して区自ら明らかにするというものにはなっていません。
 そこで、以下、区長の見解をお聞きします。「検証報告書」では、ホタル生態環境館が元職員1人に属人的に委ねられ、「元職員の強い言葉を信じるしかなかったことが、区政に対する信頼と評価を揺るがすことになってしまった」とじくじたる思いが述べられています。しかし、なぜ元職員1人に25年にもわたって一つの事業が委ねられ続けたのか、その理由が明らかになっていません。
 元職員は、懲戒免職裁判において、ホタル再生の技術を他者にまねされないようにという話が出て、係長たちと特許の出願に行ったこと、その後、石塚前区長が特許料を取るのはいいが、水槽や水路をつくるのは、民間企業より茨城大学のベンチャー企業がいいと言ったこと、同席していた区の有力者のNさんが会社をつくるならお金を出すと言ってくれて、L社が立ち上がったことなどの事実を述べています。L社はその後、元職員が懲戒免職の理由となった非違行為、事業を紹介し利益をもたらしたり、主任記述者として事業にかかわったりすることになった会社です。
 区として、元職員と石塚前区長、茨城大学とのかかわり、L社設立にかかわる経緯について明らかにすることは、一つの事業が1人の職員のもとで属人的に行われてきた原因を明らかにすることにつながると考えますが、見解を伺います。また、区長や区の有力者が深くかかわって進めている事業であることが、行政の原則をゆがめ、不正を生む温床となったのではないかと考えますが、区長の見解を伺います。

【区長】
 次は、ホタル生態環境館問題に関連いたしまして、元職員、前区長、茨城大学との関係についてのご質問であります。
 当時の状況や経緯について区は承知をしていないため、明らかにすることは困難であると考えます。また、区政経営に当たりましては、一つひとつの事務事業について、適宜適切に対応してきたと考えています。

 事業が属人的に行われたことの原因の一つに、特許技術と言われたものがあります。しかし、結局、区として放棄することになった特許技術について、そもそもその内容を検証してきたのかどうか、技術内容にどのように責任を持ってきたのか伺います。

【区長】
 続いて、ホタルに関する2件の特許技術についてのご質問であります。
 板橋区としましては、発明者である元職員の説明に従い、外部の特許の専門家である弁理士に委託して特許申請を行ったものであります。また、特許の更新とともに、特許技術の提供を求められた場合は、元区職員により技術の提供を行ってきたものであります。

 ホタル生態環境館で、ホタル生育のために必要と説明されていた蜂の飼育が、実は石川県の能登町ふれあい公社が行っている蜂の飼育事業のためのものであったことが発覚しました。蜂の飼育にかかわって、元職員がI企画に便宜を図り、契約行為を行ったことなどの事実が明らかになっていますが、蜂の飼育の全体像が明らかになっていません。能登町ふれあい公社の関係者は、元職員を通じて、板橋区から技術を提供されて事業を展開したのに、現在では事業は継続できず、国からの補助金をもらった事業は休止に追い込まれていると、懲戒免職裁判で陳述しています。区として、ホタル生態環境館で、蜂の飼育が、区が認めていた範囲を超えて、事業活動にまで拡大していった経緯を調査し、明らかにすべきではありませんか。見解を伺います。

【区長】
 次は、ハチの飼育が拡大した経緯についてのご質問であります。
 ホタルの飼育に有益であるとの元職員の説明を受け、その限りにおいて認めていたのでありまして、当時の状況において、それ以外の行為が行われていたことを把握することはできなかったものであります。また、解明につながる文書等を区は保有していないため、お尋ねの経緯について明らかにすることは困難であると考えています。

 委託業者の契約金支払い裁判について、7月31日に東京地裁で判決が下され、区側が勝訴したとのことです。原告が控訴して裁判が続くことになっていますが、東京地裁の判決で委託業者は、ホタル飼育についての「専門的な知見や技術」を持っていなかったことが明らかにされています。区がこの業者と委託契約を結んだのは、元職員の強力な推薦があったことが理由になっています。「専門的な知見や技術」を持たない業者に年間1,400万円もの区民の税金がなぜ渡されて、そのお金がどのように使われたのかは区民に明らかにされなければなりません。区として責任を持って、全容を明らかにすることを求めます。見解を伺います。

【区長】
 次は、管理業務委託料の使途についてのご質問であります。
 本件に関しまして、現在、裁判係属中でありまして、今回の答弁が裁判の当事者に対し影響を及ぼすことも懸念されることがありますので、現段階での答弁は控えさせていただきたいと考えております。

 今年3月の代表質問において、区として全容を明らかにすることを求めた我が党の質問に対して、今後は「しかるべき時期に業務委託にかかる件について」報告すると答弁していますが、裁判になっていることだけが全てではありません。ホタル生態環境館で何が行われていたのか、区民の税金がどのように使われたのか、全容について明らかにすることを改めて強く求めます。見解を伺います。

【区長】
 次は、事業の全容解明についてのご質問であります。
 本事業につきましては、さきに和解した2事件の議案をご審議いただく際に検証報告をさせていただいております。
 なお、契約金等請求事件について裁判が確定した際には、区議会に報告をさせていただきたいと考えております。

 次に、学校給食費の公費化について質問します。世田谷区では2017年度から、学校給食費の徴収業務を、教育委員会が直接徴収する方式に切りかえて、公費化を開始しました。文部科学省においても、教員の多忙化を解消し、教員が本来業務に専念できる環境確保の方策として、学校給食費など学校徴収金会計業務の負担から教員を解放することが必要という方向性が出されています。今後、こうした課題の緊急性からも、学校給食費の公費化の動きは広がっていくものと考えます。
 そもそも、地方自治法第210条は、地方自治体が集めて使うお金は公会計として処理しなくてはならないと定めています。学校給食費は、学校給食法に定められた教育の一環として提供されているものです。であるにもかかわらず、学校給食会計を校長等の個人口座で出し入れする私費会計処理を行っていること自体が問題です。公的な責任が曖昧な取り扱いが、不適切な会計処理や不正事件を生む原因にもなってきたのです。義務教育は公費で賄うという本来の姿に立ち戻り、教育に係る父母負担の軽減、そして義務教育の無償化へと向かっていくべきだと考えます。
 そこで、教育長に伺います。
 板橋区においても、教育現場の喫緊の課題としての教員の多忙化の解消と貧困格差の解消に向けて、教育費の父母負担の軽減を見通しながら、まず、学校給食費の公費化に向けた検討を開始すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

【教育長】
 小林おとみ議員の教育委員会に関する一般質問にお答えいたします。
 学校給食費の公費化についてのご質問ですが、学校給食費の公会計化は私費会計の課題を整理できるほか、教職員の負担軽減につながると認識しています。一方で、給食費公会計システムの導入や維持管理コストなどの新たな財政負担を伴うほか、収納体制の整備などが課題になると考えています。文部科学省は、現状の給食費徴収の課題を踏まえて、給食費徴収方法のガイドラインを策定する方向性を示しているため、その動きを注視するとともに、既に実施している自治体の状況を十分に調査し、研究を行ってまいります。
 いただきました教育に関する質問の答弁は以上でございます。

 次に、児童相談所について質問します。
 旧板橋第三小学校の跡地に、(仮称)板橋区子ども家庭総合支援センターを設置することになり、3月と8月に住民説明会が行われました。2021年度開設に向け、来年から体育館とプールの解体工事が始まります。住民説明会では、跡地活用の全体の計画や工事中の安全確保などについて質問や要望が出されていました。(仮称)子ども家庭総合支援センターの基本構想も説明されましたが、地域の皆さんに大きな異論はありません。今まで学校だったところが、子どもの福祉のために使われるのですから、子どもたちのために、よりよい環境をつくってほしいということに尽きると思います。
 (仮称)子ども家庭総合支援センターは、児童相談所の機能をあわせ持ち、一時保護所も設置することになりました。一時保護が必要な子どもは、年齢も乳幼児から18歳までと幅広く、虐待や非行、発達障がいなどさまざまな背景を持っており、一人ひとりの子どもの状況に応じた適切な援助が求められます。「子どもの権利条約の精神に則り」と初めて明文化された児童福祉法改正のもとで、東京都、23区、そして板橋区が一体となって、子どもにとっての最善の利益を守る実践が行われることを強く望むものです。
 新たに設置される児童相談所には、児童福祉にかかわるさまざまな職種と経験を必要とする人材が必要です。しかし、現実には板橋区においては、福祉事務所のケースワーカーでさえ、専門職でない一般の行政職の職員が多く配置されている現状のもとで、児童相談所で求められる専門性を持った児童福祉司などの人材をどう確保し、育てていくのか、区の方針が必要だと考えます。
 そこで区長に伺います。
 児童福祉司の量も質も確保していくために、板橋区として福祉職や心理職の採用をどのように進めているのか、お聞かせください。

【区長】
 次は、児童相談所に関連いたしまして、専門職の採用についてのご質問であります。
 福祉職は区として大学卒業程度、I類の福祉職採用を再開しました、平成22年度から平成29年度までの8年間において57名を採用しておりまして、福祉職の割合は増加の傾向にございます。また、心理職につきましては、退職者を補充する形で採用してまいりましたが、平成30年度は児童相談所の開設を見据えて採用する予定であります。今後も必要な人材確保を計画的に行う考えであります。

 福祉職や心理職の職員が広く現場で経験を積み、社会福祉や公的扶助についての理念をきちんと持って仕事に当たれるようなベテランが育成できるよう取り組みを進めていただきたいが、いかがでしょうか。

【区長】
 次は、人材育成についてのご質問です。
 区は、児童相談所の開設を見据え、平成26年度から職員を東京都の児童相談所に長期的に派遣をし、育成をしております。派遣先におきましては、児童相談所の職員と同様に、支援ケースを受け持ち、相談に対応するとともに、保護者への指導をはじめ、一時保護や施設入所などの法に基づく措置、支援の経験を積んでいるところであります。派遣終了した職員は子ども家庭支援センターに配属し、児童相談所開設に向けて、課内OJTの中心として、他の職員の指導を行っております。
 また、児童相談所の短期研修や同行支援、特別区の合同研修への参加などによりスキルアップを図りながら、理念と経験をあわせ持った人材を育成していきたいと考えております。

 一時保護所では、家庭が抱えている問題の一つひとつを、医療や福祉などさまざまな施策が連携して解決して、家庭に子どもが帰れるようにする取り組みが行われますが、現実には問題は複雑で、相当な時間がかかることであり、家庭に帰ることのできない児童が安心して生活できる場所が必要になります。児童養護施設や里親、グループホームなど社会的養護の拡充を区として進めていただきたいが、いかがでしょうか。見解をお聞かせください。

【区長】
 次は、社会的養護の拡充についてのご質問であります。
 現在、特別区は連絡調整会議を設置し、分野別に課題を整理し、対応策を検討しています。一時保護所を退所した後は、原則、家庭復帰ということでありますが、さまざまな事情によって家庭復帰ができない場合、社会的養護が必要となります。このため社会的養護の拡充が求められておりますが、特別区全体として考えていく必要があるために、全体需要の把握や現状の地域間の偏在への対応も含めて、現在、検討を進めているところであります。

 児童相談所の設置は、長年懸案となってきた旧板橋第三小学校の敷地内の国有地問題を解決する機会でもあります。児童福祉法改正の趣旨に鑑み、国として推進する事業を開始するに当たって、土地は無償で区に譲渡されるべきだと考えます。国に対して、旧板橋第三小学校跡地の国有地を無償譲渡するよう交渉していただきたいが、いかがでしょうか。

【区長】
 最後のご質問であります。旧板橋第三小学校跡地の国有地についてのご質問です。現在、旧板橋第三小学校跡地の一部に含まれております国有地の譲渡につきましては、長期賃借の実状を考慮した価格で取得ができるように、国と協議を現在進めているところであります。

 以上で私の一般質問を終わります。ご清聴、大変ありがとうございました。(拍手する人あり)