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大田伸一議員の一般質問
2018.02.15 : 平成30年第1回定例会(第1日)

大田伸一区議の一般質問
2018.02.15 : 平成30年第1回定例会(第1日) 
1 気候変動対策に正面から向きあう「エコポリス板橋」環境都市を
2 大地震に備える施策の充実を求めて
3 商工業支援について
4 建設業支援について
5 ひとり親支援、障害者ひとり親支援について
 (1) ひとり親世帯への支援をより本格的な支援へ
 (2) 障害のあるひとり親への支援を
6 道徳教育について
7 公文書管理のあり方について
8 補助26号線および大山のまちづくりについて

日本共産党の一般質問を行います。
 「エコポリス板橋」環境都市宣言は平成5年に行われました。宣言の第1項目に毎日の生活が地球環境に影響を及ぼしていることを認識し、地球市民として行動することを宣言しました。地球環境問題を認識し、地球市民として行動するための区の施策の充実を求めて質問いたします。
 2017年12月、京都議定書の採択から20周年を迎え、2020年までの第2約束期間終了後は、国際枠組みは、歴史的合意「パリ協定」に収れんされることになります。パリ協定は2016年COP22、2017年COP23でも確認され、トランプ政権の離脱宣言にかかわらず、世界では化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を軸とする脱炭素経済への挑戦が続きます。気候変動への対応とはエネルギー政策の大転換ですが、日本は石炭火力を拡大し、気候変動対策を理由に原発の新増設に動こうとしています。しかも、先進国の中で、排出とGDPのデカップリングも、削減も実現もできなかったのは日本だけです。日本のエネルギー政策は、世界の動きと真逆になっています。
 気候変動の影響は年を追って現実化し深刻化し、より加速的になっています。米国の最新の報告・USGCRPによれば、地球の温度は1901年から2016年の115年間で1.0度上昇し、特に海水温の上昇の深刻さが報告されています。日本でも、2016年の巨大台風、昨年の台風21号などの超巨大台風、時間雨量が100ミリを超える大雨が長期間続くなど、これまでの河川行政の想定を超えています。都市部を含め、どこに大災害が起きてもおかしくない状況にあります。
 そこで、区長に質問します。
 第1に、安倍首相は1月22日の施政方針演説で、「世界の脱炭素化をけん引していく」と述べましたが、実際やっていることは、既存の90基の石炭火力の発電に加えて、新規計画が約40基に上っています。この計画が全て実現されれば、石炭火発の能力は4割増となり、政府自身が掲げる2030年度のCO2削減目標すら、6,000万トン以上超過するとの試算が出されています。仙台市が昨年末、石炭火発の新立地を「自粛するよう強く求める」抑制方針を打ち出しました。板橋区自身も自粛を求めるべきではないでしょうか。見解を求めます。

【区長】
それでは、大田伸一議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は石炭火力発電所の新たな建設についてのご質問であります。
 仙台市では、仙台港周辺で石炭火力発電所の建設が相次いでおりまして、周辺環境への影響に対する懸念から、石炭火力発電所の立地抑制に向けた新な指導方針を策定したと聞いております。現在のところ、仙台市のような、事業者に対する指導方針を策定する予定はありませんけれども、低炭素社会の実現を目指す板橋として、他自治体の動向を十分に注視したいと考えております。

 第2に、環境都市宣言を行っている自治体としては、新エネルギー・省エネルギーの普及啓発事業が、特に事業者への取り組みが課題です。平成28年度から30年度の事業量が太陽光発電3件、省エネ設備30件という目標自体が低過ぎるだけでなく、進捗状況も22%でしかありませんでした。省エネに取り組むメリットを、経営のメリットと重ねて事業者自ら進んで取り組む啓発を抜本的に強化するべきです。
 例えば、エアコンは20年前のものを最新にすれば電気代が40~50%減になり、投資効果は8~10年でもとがとれます。同様に、冷蔵庫の電気代は60~70%減で5~10年でもとがとれ、照明をLEDに交換すれば、電気代は蛍光灯では50%減で2~3年でもとがとれ、窓や壁が1980年基準以前のものであれば、国の断熱基準達成水準にすれば電気代は40%減、工場の配管を断熱材で覆えば数か月から2年でもとがとれます。そのほか、工場の排熱を低温工程で活用すれば、省エネ効果は最大50%になります。
 事業所での省エネ取り組みは、経費を無理なく削減し、短期または中期にはもとがとれるものです。省エネにかかわって、工務店や町工場、電気店など仕事起こしと地域貢献にもなります。
 そこで、1、省エネ診断事例集の普及を全事業所対象に取り組むこと、2、省エネ設備導入に向けて、支援する設備単位をふやして、それぞれごとの支援メニューをつくること、3、「省エネ」「蓄エネ」などに関する知識を習得する講座を活用し、講習参加者資格を証明するカードを発行し公表すること。以上について、区長の見解を求めます。

【区長】
  次は、省エネ診断事例集の普及についてのご質問であります。
 区内事業者への新エネルギー・省エネルギーの設備の普及啓発は、区としても重要な取り組みであると認識をしております。今後もクール・ネット東京や板橋中小企業診断士協会などと連携をしながら、区内事業者への普及啓発を図る中において、省エネ等に関する事例集も活用していきたいと考えております。
 次は、省エネ設備導入の支援メニューについてのご質問であります。
 区では、省エネ診断で効果があると診断されました設備については、照明でも空調でも対象を限定せずに補助を行っておりまして、柔軟で使いやすい制度であると考えております。
 また、省エネ診断に加え経営診断も行うなど、きめ細かいサポートも行っておりまして、今後、事業者へのPRの強化に努めながら、省エネ設備の導入を支援してまいりたいと考えております。
 次は、省エネ講座への区内事業者の参加促進についてのご質問であります。
 区内事業者が環境への意識を高め、効率的なエネルギーの使い方などを学ぶことのできる機会は重要であると考えております。区では、板橋産業連合会やクール・ネット東京と連携をしながら、環境や省エネに関するさまざまな講座や相談会、施設見学会などを実施しております。今後も、参加しやすい講座などの機会の提供に努め、区内事業者の新エネ・省エネ設備の導入の促進をしていきたいと考えております。

 大地震に備える施策の充実を求めて質問します。
 東日本大震災の発生直後から、この地震の震源域から離れた地域での地震が頻発しています。「3・11」後にふえた地震は典型的な内陸性の直下型地震で、地面の浅いところで岩盤が割れて発生しているものです。東京湾北部地震は、これまでの想定を上回る震度7の揺れが起きることが判明しています。地震を起こす震源が、以前の想定よりも10キロメートルほど浅い、地下20~30メートルであることがわかったからです。震度7ではピアノやテレビが空中を飛んで壁に激突し、人はまったく動くこともできず、ただうずくまっていることしかできません。耐震性のない木造住宅の多くは、10秒ほどで倒壊します。特に1981年の建築基準法が改正される前につくられた建物は、6割以上が全壊すると試算されています。
 また、立川断層は府中市から飯能市にかけて長さ33キロメートルの断層で、最後に大地震を起こしてから1サイクルの周期が過ぎていると言われ、銀行預金に例えれば、満期に近い状況で、いつでもおろせる状況となっています。さらに、長さ10キロメートルの荒川沈降帯という新しい活断層が埼玉県南部で発見されています。
 23区の西部は木造住宅による大火が予想されており、地震直後に至るところで火災が発生し、短時間に燃え広がり、その後、上昇気流によって、竜巻状の巨大な炎が伴う旋風が発生し、地震以上の犠牲者を出す恐れがあります。こうなると、消火活動は不可能になってしまいます。そこで区長に質問します。
 第1に、杉並区は地震被害想定を独自作成するとともに、耐震化助成や狭隘道路拡幅整備事業などの対策による効果を反映したシミュレーション地図を公表しています。対策を行えば、全倒壊数が約82%減、焼失棟数が約36%減となることをPRしています。独自版では、50メートル四方単位で震度や建物被害、人的被害を示しています。板橋区としても積極的に検討すべきと思いますが、見解を伺います。

【区長】
次は、地震被害想定の独自作成についてご質問であります。
 不燃化や耐震化などの防災施策の有効性を区民に周知する方法としまして、杉並区の先進的な取り組みは適切な手段の一つであると考えております。災害に強いまちづくりを推進する上において、防災施策に対する区民の理解は重要であり、今後も他自治体の取り組みを参考にしながら、防災や減災への意識を高める施策を研究していきたいと考えております。

 第2に、区の平成28年度の耐震化事業実績は、非木造建築物では改修助成1件しかなく、29年度も1件です。28年度木造建築物では補強21件にすぎません。想定される被害状況に対しての取り組みとしては深刻と言える状況です。国土交通省によれば、耐震化の阻害要因は、費用負担が大きいこと、耐震性があるという認識などの理解不足、業者の選定の困難さ、そして工法・費用・効果などが適切であるかどうかの判断が難しいことにあるとされています。
 高知県下では、耐震診断が無料の自治体も少なくないだけでなく、木造建築物の耐震工事については、工夫を凝らした低コスト工法を採用して普及を図っています。この工法では、工事費を半分以下にすることも可能であり、「1.0」以上への改修を行うものです。補強進捗を改善するには、こうした取り組みを取り入れて事業を拡大すべきと考えます。見解を伺います。

【区長】
次は、耐震診断の無料化と低コスト工法の普及についてのご質問であります。
 住宅の耐震化は、自助、共助、公助の原則を踏まえ、建物所有者によって行われることを基本と考えておりまして、耐震診断経費の無料化は難しいものと考えています。区の耐震化助成制度におきましては、従来工法に加え、東京都から一定の評価を受けております安価で信頼できる工法、装置による工事についても助成対象としておりまして、改修方法の選択肢を広げているところであります。

 また、耐震診断や工事の担い手の問題では、区内の耐震診断事務所は9事務所しかありません。まちの大工さんや設計士さんには、補助制度の利用条件や申請手続、耐震診断や改修設計を学ぶ場はほとんどないと言われています。耐震改修が進まない理由の一つは、地域の工務店の営業力にもあります。耐震診断事務所として登録できる力をつけて、自信を持って顧客に勧めることができるようになれば改修は進みます。区として、担い手の育成に力を入れていただきたいが、見解を求めます。

【区長】
次は、耐震診断や耐震工事の担い手の育成についてのご質問であります。
 耐震化に携わる建築士や施工業者の育成につきましては、財団法人日本建築防災協会や東京都が事業者向けに耐震化講習会を実施しておりまして、現時点におきましては、区による具体的な育成施策は考えていないところであります。区の取り組みとしましては、これらの耐震化講習会の周知に努めていきたいと考えています。

 また、耐震診断しかしていない建築物の工事実施率を引き上げていく取り組みが課題です。診断だけで終わっている区民への訪問事業なども検討すべきです。見解を求めます。

【区長】
続いて、耐震改修工事の実施率の引き上げについてのご質問であります。
 区の耐震診断助成制度を活用した建物で、耐震改修工事が必要とされた建物の所有者に対しましては、区から耐震化工事を促す通知をしております。戸別訪問などによる所有者に対するさらなる働きかけについては、今後、その効果や有効性などを見きわめながら研究をしていきたいと考えています。

 第3に、災害対策基金の運用については、災害前に充当するよう変更することを求めます。なぜなら、災害時に必要となる自治体の財政支出に対しては、東日本大震災以前から自治体の一般財源の充当を最小限にする制度的枠組みができています。つまり、自治体の財政状況の差や基金のあるなしで、地域の復旧・復興の格差が出ないようになっています。費用負担世代と受益世代とは、対応関係があるべきだということを念頭に置けば、基金の財源を負担する世代が安心安全という受益を受けるべきです。被災後に備えて基金を積み立てる必然性はありません。現時点での防災・減災に基金を活用した十分な歳出ができるようにすべきです。見直しを強く求めますが、見解を求めます。
 商工業支援について質問します。

【区長】
続いて、災害対策基金の運用の見直しについてのご質問であります。
 災害対策基金は、災害による被害者の救護及び復旧等の臨時的経費に充てるために積み立てているものであります。本格的な復旧・復興は震災復興基金を設立し対応することとなり、その資金につきましても大部分は起債によって賄われることとなっております。災害対策基金は、災害の発生に伴い臨時に必要となる経費を賄うものでありまして、災害前に活用することは想定をしてないところであります。


 全国商店街の中小企業庁2015年度実態調査報告書では、商店街の景況における繁栄している商店街について2%強でしかありませんでした。全国にある商店街は1万2,000とも1万3,000とも言われています。その中で回答できたのは、約3,200商店街ぐらいしかありませんでした。板橋区には、繁栄評価の商店街はありませんでしたが、苦境の中でも必死に頑張っている商店への支援は、板橋区で暮らす区民への支援でもあります。超高齢化社会のもとで、遠くの量販店まで買い物に行けない人がふえています。ネット通販がある、コンビニがあるといっても、対応できない人は多く、深刻な問題になりつつあります。
 商店・商店街振興と地域振興は密接に結びついています。商店街はもともと独立した個性豊かな経営者が集まって商店街を形成してきました。しかし、今日、多くの商店街でみんな一緒に活動することが難しくなってきました。商店街全体ではなくて、それを構成する各個店に対する支援を通じて、地域全体をよくしていく方向性が重要になっています。大田区でも、繁盛店創出事業が行われており、経営指導や店舗デザインの専門家を無料派遣して改善助成の一部を助成し、平成28年度21件に交付しています。
 全国ではさまざまな取り組みが開始されており、例えば、20万円以上の工事費用に対して上限50万円、3分の1の助成、長く営業してきた商店には営業加算として営業年数に応じて、上限額を30万円とした助成額を5%から20%上乗せ、空き店舗や空き家に新たな店舗を構える場合には、月5万円を上限に家賃補助を半年間支給する。こうした取り組みが広がっています。地域で地道に頑張る商店を力強く応援する制度です。既存店舗の魅力向上を図るための費用を補助することで、区内商業のにぎわいの創出に取り組むことを検討すべきです。見解を求めます。

【区長】
続いて、商工業支援に関連いたしまして、各商店への支援についてのご質問であります。
 現在商店街が実施する商業振興の取り組みにつきましては、家賃や施設整備経費などの費用補助を行っているところでありますが、個店レベルにおきましては、費用補助による支援メニューを持ち合わせていないところであります。
 店舗の魅力向上への支援としましては、昨年度から個店の経営者を対象に、お客様とのつながりを強めて、継続的な来店につなげ、売り上げ向上を目指す実践講座を実施しておりまして、人気を博しているところであります。引き続き経営相談や産業融資制度などを組み合わせ、本講座で学んだ取り組みを実施することによって、魅力ある店舗の増加を図っていきたいと考えています。

 工業に関しては、平成29年度板橋区製造業調査が昨年11月に行われました。平成26年度の調査では、平成23年度比較で、売上高では横ばい36%、減少48%、収益では均衡38%、赤字基調38%でした。価格競争が困難であり、主要取引先からの単価引き下げの圧力の厳しさが指摘されています。創業何十年という企業が設備を更新できない状況であり、古い建屋で古い機械を使っている。人材も採用や教育に苦労している。代表者の年齢構成は、23区と比べても高過ぎる。こうした報告がされています。国内の需要の縮小、大企業などが生産拠点を海外に移転するダブルパンチ、従業員の高齢化は技能を継承できる後継者がいなければ廃業を予定せざるを得ない状況です。大田区ものづくり産業等実態調査報告平成27年度版においては、業績動向として、今後3年間では売上高、従業員数、設備投資において、やや増加基調にあると述べています。課題を外注ネットワークの活性化、技術・技能の継承については早急に対策を打つ必要があると報告されています。板橋区も共通する課題を抱えており、一層の取り組みの強化が必要です。
 そこでまず、板橋区ものづくり企業活性化専門員が設置されています。役割は製造力の把握、企業能力の向上支援、新しい取り組みへの支援、連携の支援、立地情報と提供などです。要綱上では定数5人以内ですが、2名の配置です。企業連携サポート事業などとの連携を強化し、少なくても定数5人までふやすことを求めます。

【区長】
続いて、ものづくり企業活性化専門員の増員についてのご質問であります。
 現在、ものづくり企業活性化専門員には、光学機器と精密機械加工の分野において、それぞれ精通した2名を配置しております。専門員は区内企業を巡回訪問し、製造技術や生産能力の向上などの高度な助言、支援を行っておりまして、今年度は約300回の訪問で約1,000件の課題を解決しております。近年、人材の確保や区内への企業誘致に向けた支援の重要度が増していると感じておりまして、そうした分野に精通をした専門員の配置が必要であるとも考えています。

大田区の似たような制度では、ものづくりコーディネーターがありますが、2人から8人にまでふやしており、企業への訪問件数の目標を明確にして取り組んでいます。板橋区もさらに事業の充実を早急に行うことを求めます。見解を伺います。

【区長】
次は、区内事業者へのコーディネート事業の充実についてのご質問であります。
 板橋区産業振興公社におきましては、製造企業の受発注活動への支援などを目的として、企業活動コーディネーターを4名配置しております。中小企業を取り巻く環境変化に迅速かつ的確に対応するためにも、コーディネーターの活動内容についても時機を捉えた追加や変更が必要であると認識をしております。最近では、従前の活動内容に加えて、事業継承や産学官の連携、医工連携など新たな課題や次世代産業に対する取り組みを盛り込むことによって、支援の充実を図ることが重要であるとも考えています。

 また、板橋区の実態調査で希望する支援策として、販路開拓支援と運転資金融資が抜き出ています。この結果は、現状よりも改善を求めているとも言える要望です。特に運転資金融資については、区内業者の希望に応える支援策を求めますが、見解を求めます。

【区長】
次は、区内業者の希望に応える運転資金融資についてのご質問であります。
 区では、中小企業者の運転資金や設備資金について、低利での産業融資のあっせんと利子補給を行っております。平成30年度からは、小規模企業者を対象とした小口資金融資について、融資限度額を拡大し2,000万円とするなど、幾つかの充実策を実施する予定であります。なお、運転資金融資との併用も可能である、ものづくり設備資金融資の対象につきましても、現在の11業種から24業種に拡大をする予定であり、融資制度全体の充実にも努めているところであります。ぜひ区の窓口において、ご相談、ご活用を願いたいと考えております。

 建設業支援について質問します。
 建設業は、地域経済・雇用、地域社会・生活にとって重要な産業の一つであり、建設業者を支援することは地域産業政策として重要な課題です。しかし、板橋区産業振興施策として強く位置づけられてきませんでした。建設業は、事業所数の減少、就業者の高齢化が進んでおり、将来的な不安定要素は深刻化しています。建設業は、快適な住環境、地域環境を確保し、防災対策上重要な役割を果たします。
 そこで第1に、区内の建設産業は、地域経済・雇用の面から重要であると同時に、板橋区の広範な木密地域がある状況下では、地域の災害対応になくてはならない存在と考えますが、区長の見解はいかがでしょうか。

【区長】
次は、建設産業の存在意義についてのご質問であります。
 建設業は、それぞれの時代や地域の要請を受け、社会基盤や社会資本をしっかりとつくり、これらを適切に維持管理して、50年後、100年後を見据えた社会づくりに貢献する産業であると認識をしております。また、こうした社会資本の整備を通じて、雇用創出や地域経済の活性化にも寄与する産業であると同時に、防災や災害発生後におけるハード整備の担い手としても欠かせない存在であると考えています。

 第2に、建設業においても後継者・担い手不足が深刻な状況になっています。世田谷区では、若者の体験学習から就職につなげていくというマッチング事業を、建設業に特化した取り組みを始めています。板橋区でも、後継者・担い手対策を検討すべきではないでしょうか。見解を求めます。

【区長】
次は、後継者、担い手対策についてのご質問であります。
 リーマンショック後の悪化しておりました雇用情勢につきましては、近年では改善傾向にあるものの、中小企業における人手不足感や人材確保の困難さは年々高まっていると認識しています。板橋区では平成23年度から、セミナーや研修を受講した後、区内の協力企業での就業体験を経て、就職に結びつける若者就職サポート事業を展開しておりまして、毎年20名以上が協力企業への正規雇用につながっていると聞いています。今年度の協力企業には建設業者も参加をしておりまして、実際、正規雇用の実績も出ておりますものですので、引き続き協力企業を特定の業種に限定をせずに実施をしていきたいと考えています。

 第3に、区内の建設業者の実態を具体的に把握することが必要です。実態調査を行うことを求めます。この調査により、区内の建設業の抱える課題が示されます。建設業支援の方向についてのヒントが多く含まれているに違いありません。それは、災害時においても、見える形で区との連携を可能にします。見解を求めます。

【区長】
次は、実態調査の実施についてのご質問であります。
 定期的に建設業を含む事業者の声を傾聴することは、産業振興施策を立案、実施していく上において重要であると考えます。区ではこれまでも景況調査のほかに、経営相談や企業活性化センターでの経営改善チームによる総合支援窓口などを通じて、事業者の声を聞くことに努めているところであります。また、国土交通省が実施をしております構造実態調査や下請取引等の実態調査のほか、区内の信用金庫や日本政策金融公庫などとの連携の強化によって、一層の建設業の実態把握に努めていきたいと考えています。

 次に、ひとり親世帯への支援について質問します。
 板橋区ひとり親家庭等生活実態調査によって、深刻な生活苦が浮き彫りになりました。その原因は、収入の低さにあります。57.4%が非正規雇用であり、手取り収入300万円未満が70.1%。さらに200万円未満を見ると31.2%にもなっています。過去1年間に食材が買えないことがあった世帯は48.2%に上り、健康があまりよくないとの回答は20.7%です。近所づき合いも「まったくしてない」「していない」は70.5%となっています。生活をするのがやっとで、子どもと接する機会が少なく、居住は最低生活基準を満たしていません。
 生活する上で育児負担51.2%、住居負担45.5%と、負担感の二大要因となっていることがわかりました。この調査結果を受けた区の来年度予算案における事業は、情報冊子の発行と福祉事務所での窓口相談の充実です。ひとり親世帯の半数は孤立しています。相談窓口まで来ることさえ困難な世帯が多いはずです。スマホなどの活用も加えて、気軽に相談できる仕組みをもっと工夫を強めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

【区長】
次は、ひとり親世帯への支援をより本格的な支援への質問に関連いたしまして、気軽に相談できる仕組みについてのご質問であります。
 区では、支援を必要とするひとり親世帯が確実に支援につながるよう、支援策をまとめた情報冊子を各家庭へ配布するとともに、臨時相談窓口を実施しております。また、スマートフォン向けの子育てナビアプリや区のホームページにおきましても、各種支援策が一層わかりやすい内容となるよう改善を図るなど、多様な方法による情報提供に努め、気軽に相談できる仕組みづくりを構築していく考えであります。

また、さまざまな相談内容のうち、育児負担と住居負担については、経済的支援も含めた対応する施策を持つ必要があります。こうした支援の充実がなければ、相談しても一層気持ちが追い詰められかねません。調査結果は、その改善が自己責任では解決できないことを示しており、行政がこの深刻さを正面から受けとめた施策に踏み込むことを求めます。見解を求めます。

【区長】
次は、経済的支援も含めた対応についてのご質問であります。
 区が実施したひとり親家庭等生活実態調査におきましては、生活上の負担が大きいものとして、育児費・教育費、住宅費が上位に上がっておりました。ひとり親家庭の経済的支援としましては、現在児童扶養手当や児童育成手当、医療費助成のほか、保育料などにおいて低所得世帯を対象に一定の負担軽減を図っております。今後も、ひとり親家庭の生活実態を踏まえ、総合的な支援を行い、安心して子育てできる環境づくりを進めていきたいと考えています。

 また、実家に依存できないひとり親家庭では、親の具合が悪くなると、親本人の衣食住が全て滞ってしまいます。一時的・緊急的に対処できる支援として、大人のために派遣される在宅での病児ケアが必要です。例えば、ファミリーサポートなどが対象を現役世代に広げて、子どもの保育に加え、親も面倒見る視点で検討していただきたいが、いかがでしょうか。

【区長】
次は、親本人のサポートの必要性についてのご質問であります。
 ひとり親が就労や一時的な病気で家事、育児ができない場合、区では生活支援として、ひとり親家庭ホームヘルパー派遣事業を行っております。支援の必要な家庭に対し、今後も本事業の周知に一層努めていきたいと考えています。

 障がいを持つひとり親への支援について質問いたします。
 ひとり親にはひとり親手当と障害年金は併給されないのが基本です。障害年金を受けた途端、ひとり親であることは変わらないのに、ひとり親のための児童扶養手当は一律に廃止されてきました。平成26年に一部改正がされましたが、障害年金との差額の支給といっても、障害年金3級より軽度の人しか対象にならず、併給されたとしても、健常のひとり親が受け取る月額5万円前後が最高です。
 障がい者が連れ合いを失ってひとり親になると、二重苦以上の始まりなのに、現行の制度はさらに追い詰めています。特に児童扶養手当は支援の必要なひとり親家庭リストとして機能しているため、児童扶養手当が停止された途端にリストに掲載されなくなり、ほとんどのひとり親家庭支援サービスが停止されてしまいます。障害年金を受けるということは、就労に差しさわりがあるということですが、経済面で崖っぷちに立った障がいのあるひとり親から児童扶養手当を奪った上、ひとり親支援サービスのほとんどが剥奪されてしまいます。
 障がいのある親の子どもたちへの支援は、ほとんど存在しません。区として応急措置として、障がい親によるひとり親への支援を行うべきです。児童扶養手当相当を満額支給したとしても、年間約60万円です。人数も10万人に1人前後ではないでしょうか。手当を新設することによって、小さな予算でも障がいを持つ親と子どもの危機的状況を少しでも改善できます。見解を求めます。

【区長】
次は、障がいのあるひとり親への支援をとのご質問であります。
 障がいのあるひとり親家庭においては、子育てと生活における困難を抱えており、区としましても、生活の安定を助け、子どもの健やかな成長を支えていく必要があると認識をしております。区は、児童扶養手当のほか、区条例に基づき、年金受給者でありましても受給できる児童育成手当制度を実施しているほか、医療費助成制度など、児童扶養手当を受給要件としない各種の支援サービスを行っております。手当の新設につきましては、他の社会保障制度との関連において慎重に判断すべきものと考えています。

 道徳教育について質問します。
 道徳を教科にして、それが社会をよくし、子どもたちの成長を健全なものにするのだろうか。道徳の教科化について根本的な問いがここにあります。今、日本社会は、個人の側に責任に帰すことができない問題や矛盾、例えば、格差と貧困が驚くほどの深刻さで広がっています。にもかかわらず、道徳教育推進の方向は、社会の規範を守る個人の道徳性の弱まりこそが現代社会の活力を衰退させるとして、個人の規範意識や心構えの教育、自力で生きていく強い人間になれという生きる力を競わせる教育によって解決できるとしています。それは、過酷なグローバル資本の競争社会を受け入れ、自らも推進するような社会観、国家観を持つ国民意識を形成しようというものです。社会の問題を探究する目を育てるのではなく、個人の心のありようへと道徳性を一面化することにつながるものです。道徳の教科化は大きく見ると、3つの問題があります。
 第1に、教育内容が国家によって一方的に決定される仕組みができることであり、第2に、検定教科書の使用義務が生まれ、その内容、方法も、教育委員会、校長、管理層教員という階層的管理構造に組み込まれます。年間スケジュールによる道徳項目の授業と実践スキルが子どもに課せられることになります。これでは、個々の教師の自由な努力で、生活指導として道徳内容を自主編成したりすることが、管理されることになります。第3に、子どもへの評価が子どもの人格管理の方法となる危険性を持っています。そもそも内面的な価値規範を形成する指導に評価を持ち込むことは、教育の自己否定というものです。
 そこで教育長に質問します。
 第1に、小学校では学習指導要領上は、1・2年、3・4年、5・6年がそれぞれ一まとまりになっていますが、その3つのまとまりごとに示される徳目の領域は同じです。例えば、「きまりを守る」「正直である」などの項目が6年間を通じて、繰り返し教えられます。表現や教材が違っても、徳目は同じで固定化された教訓が出てくることになっています。他の教科のように、知識の展開によって、子どもたちの気持ちや好奇心、意欲が触発されていく構造になっていません。例えば、「いじめはいいことなの。」と聞いたら、「悪い」と答えるのが正解ということで、そう答えることを教科としての道徳は求めます。いろいろな考え方があるということを道徳教科書で考えることができるのか、見解を求めます。

【教育長】
 初めに、道徳教育に関しまして、道徳の考え方についてのご質問ですが、道徳科では物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深める学習を通して、道徳的な判断力、心情、実践意欲を育てることを目標としています。そして、児童が多様な感じ方や考え方に接する中で考えを深め、判断し、表現する力などを育む学習活動を充実することが求められています。その意味からも、学習指導要領に準拠した道徳科の教科書は、児童が多様に感じ、考え、議論する共通の素材であり、主たる教材として適切であると認識しております。

 第2に、道徳性の教育が最もリアリティを持つ場は、生活指導の場であると考えます。こうした日々の具体的な実践を丹念に集積していく課題が、教科化後においてもより豊かにされるべきですが、認識を伺います。

【教育長】
次に、道徳的な実践を集積していくことについてのご質問ですが、道徳科の授業におきましては、学校生活及び日常生活におけるさまざまな体験や、そのときの考え方を生かして道徳的価値の理解を深め、自己を見つめ直すことが大切であります。そのため、教科書とあわせて、生命、自然、伝統と文化、スポーツ等、具体的な実践と結びつく課題を題材として、児童が問題意識を持つように取り組んでまいります。

 第3に、来年度の中学校の教科書採択においては、展示場所を現在の2か所から巡回などの工夫を取り入れるとともに、そうしたことで実際に使用することになる教員にも自由に意見を言える条件を拡大していただきたいが、見解を求めます。

【教育長】
最後に、来年度の中学校の教科書採択についてのご質問ですが、教科書展示会は主に区民向けに、区内施設2か所で開催を予定しています。また、教員を対象とした学校展示はこれまでも実施しており、来年度は区立中学校5か所で約3週間実施する予定です。そして、各学校における調査研究及び学校の教職員を委員とする教科用図書調査委員会の調査報告により、教職員の意見は反映していると考えています。

 公文書管理のあり方について質問します。
 公文書管理のあり方については、国民的な関心を呼び起こしています。南スーダンPKO日報問題や森友学園との交渉記録などのブラックボックス化は、1年未満の行政文書が不存在や情報隠蔽の温床となっていると疑惑が持たれています。
 公文書管理法第34条は、「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、およびこれを実施するよう努めなければならない」と定めています。平成27年度総務省自治行政局資料によれば、公文書管理条例を制定しているのは25団体にすぎません。東京都下では、規則・規程・要綱等では39団体あるものの、条例を制定しているところはありません。
 こうした状況の背景には、行政文書は役所の仕事上のツールにすぎないという認識や、条例化しなくても新たな事務が発生しないため、その必要性を感じていなかったとも、条例制定をした熊本県が指摘をしています。行政文書は、行政内部規範によって管理される公用物という面を持ちながら、当該文書は情報公開条例や個人情報保護条例に基づく開示請求権の対象にもなっています。板橋区文書管理規程は、内部規範規定でしかありません。
 国が法律化した提案理由は、国民の貴重な知的資源である公文書を適切に管理し、後世に伝えること、不適切な事案の再発防止のために文書管理法制を確立する必要があったためです。不適切事案の再発防止という点では、板橋区も例外ではありません。
 板橋区文書管理における保存年限表においては、行政内部に保管された文書である現用文書のみで、1年未満の文書管理については取り扱いが不明です。保存・廃棄・移管をめぐる取り組みとしては、どのように保存されているかということと同時に、どのように廃棄されているかが重要です。問題が顕在化したときに文書が存在してないというのは、住民・主権者による行政活動の検証を不可能にするため、行政が説明責任を果たせないということになります。誤廃棄を防ぐためには、保存期間満了時に原課だけで決定せず、外部からの第三者チェックを複数回行い、行政文書等管理委員会のような機関で廃棄・保留を決定すべきです。見解を求めます。

【区長】
次は、公文書管理のあり方について、第三者委員会の設置についてのご質問であります。
 区では、起案文書のように管理されている公文書に関しましては、文書管理規程で定める保存年限に従い、保存年限が到来したときに適切に廃棄しております。また、文書管理規程に基づく保存年限が定められていない資料文書に関しましても、各課において資料文書管理簿を作成し、保存期間を明確にしております。文書管理に関する第三者機関の設置につきましては、現時点では考えていないところであります。

 公文書管理法の趣旨に照らせば、第34条の要点は、公文書館の設置のみならず、地方公共団体による住民に対する説明責任と公文書管理の目的の明確化、行政文書に関し情報公開条例・個人情報保護条例との整合性、公文書管理体制の再構築、公文書管理研修及び監査の義務づけなど、内部規範にとどまらない内容が含まれると解することができます。地方自治法244条の2第1項が公の施設の設置・管理を条例事項としているように、条例化を検討すべきではないでしょうか。健全な民主主義の根幹を支える住民共有の知的資源としても位置づけて検討すべきです。見解を伺います。

【区長】
次は、公文書管理の条例化についてのご質問です。
 板橋区では、文書管理規程に基づいて公文書の管理を行っております。文書管理規程は訓令に当たりますが、訓令は区長がその指揮監督下にある行政機関及び職員に対して発令するものであり、行政内部の意思を拘束するものであります。文書管理の条例化につきましては他団体の動向を注視し、条例化による効果を見きわめたいと考えています。

 最後に、補助26号線及び大山のまちづくりについて質問いたします。
 国土交通省は、全国的に未着手都市計画道路の見直しを進めており、住民の理解と合意に基づき廃止される都市計画道路が現在も相次いでいます。国交省の見直し方針に基づいた東京都の取り組みでは、平成16年の区部における見直しの基本的考えが重要です。必要性の検証では、特に積極的に整備を行わない方が良い路線として、1、整備により道路交通を呼び込む道路、2、整備によりコミュニティを分断する道路、3、整備により商店街が解体して中心地が空洞化してしまう道路が挙げられています。
 さらに、合意形成の問題として、特に広域的な交通を担わない補助幹線道路である場合については、地域のまちづくりの方針について、地域住民の意向を踏まえることが重要であると述べています。この都の不必要チェックに基づけば、ハッピーロード大山商店街を100メートル以上にわたって分断する補助26号線がそのまま当てはまります。区長は、整備しない方がよい路線と判断できる路線の整備計画になぜ賛同したのか、その理由について答弁を求めます。

【区長】
次は、補助第26号線の必要性の検証についてのご質問であります。
 平成16年当時、国が検討事例の一つとして示した都市計画道路のあり方における不必要チェックは、整備の優先性の低い路線を対象にして検証するものでありました。補助第26号線、大山町付近は、平成3年及び16年に東京都と特別区で取りまとめました区部における都市計画道路の整備方針の優先整備路線に選定されており、ご指摘の不必要チェック路線には該当しないと考えています。

 第2に、補助26号線を特定整備路線として整備することと、再開発事業とは一体のものです。そのため、道路にかかわった人だけでなく、周辺住民までも地区に住み続けられない計画になっています。不燃化領域率を既に達成しているのですから、防災の向上というより、道路整備をてことした地域商業空間の再編を目的としたものと言えます。戦災復興計画に基づく道路計画は法的に根拠がなく、整備を進める理由が立ちません。訴訟中という事態は本当に必要なのかどうかという検証がされるのであって、見直しの対象かどうかという結論抜きに、これと事実上一体的開発事業を進めることは、今後の司法の判断を無視することになりかねないものです。司法の結論が出る前に再開発事業を進めていけば、最悪の場合は、防災のためという事業目的さえ失いかねません。再開発事業は、司法の判断が出るまで、これ以上の進捗を凍結すべきです。見解を求めます。

【区長】
次は、市街地再開発事業と補助第26号線の司法判断との関連についてのご質問であります。
 東京都は、国から平成27年2月に補助第26号線の事業認可を受け、現在整備を進めており、これまでに計画変更はしていないところであります。補助第26号線と一体的に進める市街地再開発事業の都市計画につきましては、都市計画決定する際に東京都と協議を行っておりますが、意見なしとの回答を得ております。区としましては、これまでどおり補助第26号線整備との連携を図りながら、市街地再開発事業を支援していきたいと考えています。


第3に、オリンピック終了後の景気の大後退予測は、現状の過剰な開発資本投資を前提に分析されているものです。東京の開発特需が今後破綻する可能性があるときに、違法な都市計画道路整備と一体となった再開発を進めることは、事業のリスクをあまりにも過小評価するものです。
 また、昨年6月の政府の「未来投資戦略2017」の閣議決定は、新築住宅市場に、さらにリフォーム・空き家等の活用による既存住宅市場を加えるというものです。これが進めば、既に住宅総数が世帯数をはるかに超えている状況では、ますます供給過剰になることは明らかで、住宅市場としては成立できません。既に投機的マンション購入が拡大しており、今後は資産価値の急落と住居の空洞化の波が押し寄せてきます。住み続けたいと願う周辺住民・区民が住み続けられなくなる状況をつくり、リスクいっぱいのデベロッパー開発による投機対象化されるような高層マンションの開発支援と、板橋区で最もにぎわいのある商店街を破壊するだけのまちづくりになる危険はないのでしょうか。リスクがまったくないと言い切れるのか、答弁を求めます。

【区長】
次は、市街地再開発事業のリスクについてのご質問であります。
 一般的に市街地再開発事業は、民間の開発事業と異なり、国や都からの補助金を活用し、施設建設物だけではなく、道路や広場などを整備する公共性の高いものであり、事業性の担保をしながら進められる事業であります。クロスポイント周辺地区の市街地再開発事業におきましては、商店街の連続性の確保とにぎわいを維持するため、現在準備組合において市街地再開発ビルの低層部に具体的な商業施設計画の検討が進められております。

 2018年度予算案では、「大山駅周辺のまちづくりが始動」とプレス発表され、約3億円の予算が計上されました。耐震のない住宅に住み続けざるを得ない区民や、最低基準未満の住居に住む区民の住宅環境の改善は進まず、区の直接支援はほとんどありません。一方、予定されている再開発ビルには、こうした区民には決して手の届かない高価な住宅が販売されます。貧困と格差が広がるもとで、区民のくらしを直接支援するさまざまな施策の充実が今ほど必要なときはありません。区長が、こうした区民の声をしっかり受けとめた区政運営を行うことを願って私の質問を終えます。ありがとうございました。(拍手する人あり)