1 住民が主人公の自治体運営を
(1)施政方針について
(2)区政運営の基本姿勢について
2 人権を守る行政を
(1)生活保護制度について
(2)「住まいは人権」の立場にたった住宅政策を
3 職員の働き方と定数の改善について
4 区民のための区有地活用を
5 保育の充実を
(1)保育施設における重大事故検証委員会設置について
(2)待機児童解消の見通しについて
6 教育環境の改善を
(1)教職員の働き方の改善
(2)魅力ある学校づくりプランの見直しについて
7 障害児・者支援について
8 平和について
ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、施政方針に対する代表質問を行います。
初めに、住民が主人公の自治体運営を求めて質問いたします。
まず、施政方針についてです。
施政方針では、現在の経済状況と今後の見通しについて、景気回復が期待されているとし、区財政についても、歳入環境の改善が期待されるとしています。一方で、区財政の先行きは予断を許す状況にないとし、行財政改革を一層強力に推進することを強調しています。
私たちが問うのは、区民の暮らしや雇用、労働環境に対する区長の認識がどうかという点です。区長は施政方針において、雇用や所得環境が改善していると言います。しかし、実際はどうでしょうか。当初予算で見込まれている、新たにふえる納税義務者のうち6割は所得200万円以下の低所得層です。このことは雇用の問題と直結しています。
2012年から2016年までに新たにふえた非正規労働者は207万人に上り、全労働者の4割に迫る状況です。雇用の改善の内情は、低賃金で不安定な非正規雇用が拡大したということです。実際、働く世帯の平均世帯年収は4%しかふえておらず、物価上昇率を下回っています。また、平均実質賃金は5年前より年間で15万円も減っており、暮らしがよくなっているどころか、ますます苦しくなっているというのが現状です。加えて長時間労働や超過密労働によって、命や健康、暮らしを脅かす事態が広がっており、その是正が強く求められています。雇用や労働環境は改善などと言えるものではありません。
一方で、大企業の利益はこの5年間で2.5倍にふえ、内部留保は400兆円を超えています。株主への配当も1.7倍以上増加し、役員報酬は1人当たり10%もふえています。富裕層の上位40人の資産が人口の半分の国民の資産合計に匹敵するという大変な格差が広がっているのです。
私たちが行った区民アンケートでも、暮らしが厳しいという声が多くを占めています。また、働き方や雇用のあり方の見直しを求める声もふえています。ところが、区長の施政方針には、格差や貧困の広がり、深刻な雇用や労働環境について全く言及されていません。区民の暮らしの実態について、区長はどのように考えているのでしょうか。区長の認識を伺います。
【区長】
竹内 愛議員の代表質問にお答えいたします。
最初は、区民の暮らしの実態についてのご質問であります。
今年度実施いたしました製造業調査の速報値によりますと、売上高や営業利益が増加傾向または横ばいと回答した企業につきましては、約6割となっておりました。また、昨年の区内企業の倒産状況も、件数、負債額ともに前年を大幅に下回り、最新の景況調査におきましても、主要な業種において、次期の経営状況は持ち直す見込みとなっております。
一方におきまして、経営の見通しが厳しい企業や正社員になりたくてもかなわない若者の存在なども認識をしており、景気回復を確かなものとするための施策の展開が重要であると考えています。
また、当初予算のプレス発表では、再整備などの開発事業や公共施設整備、イベントなどの事業が列挙されています。一方で、区が行った区民意識意向調査によると、区に求める施策として、「子育て支援」「高齢者支援」「教育の充実」が上位となっており、市街地開発より地道で暮らしに密着した事業が求められていることがわかります。私たちは、予算編成のあり方として、市街地開発や備えのための基金積み立てより、暮らしを支える事業こそ優先すべきと考えますが、施策の優先順位について、区長の認識を伺います。
【区長】
次は、施策の優先順位に対する認識についてのご質問であります。
区政経営に当たりましては、社会情勢の変化や価値観の多様化などに対応しながら、今日的課題だけではなく、未来を見据え、将来に責任を持っていかなければならないと考えます。予算の編成につきましては、暮らしを支える事業に十分配慮するとともに、未来への投資も怠ることなく、区の持続的発展を図っていくべきものと考えております。
次に、区政運営の基本姿勢についてです。
まず、介護や医療など、社会保障費の負担についてです。
介護や医療など、社会保障費の負担が重くのしかかり、生活を圧迫する状況となっています。例えば、65歳以上の年金収入200万円の単身世帯では、平成29年度は税と社会保障費あわせて20万8,121円で、平成17年度の8万8,700円から約2.3倍も負担がふえています。しかも、年金は支給額が減額され続けていながら、新年度は、さらに医療も介護も負担増です。応能負担と言いますが、収入の1割をも超える負担を適切と言えるでしょうか。介護や医療の保険料を支払うために食費や交際費を削っている人や、払い切れず滞納となり、必要な社会保障が受けられない人を生み出していることこそ改めるべきです。社会保障の負担が命や健康、生活を脅かす状況となっていることについて、区長は深刻であると認識しているでしょうか。見解を伺います。
憲法25条第2項は、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と規定しています。健康で文化的な生活どころか最低限度の生活さえままならない状況を仕方がないとすることは、公的責任の放棄にほかなりません。独自に保険料を引き下げる区もあります。実態を受けとめ、費用負担の軽減に努めることを求めるものです。
【区長】
次は、医療や介護等の社会保障費の負担についてのご質問であります。
少子高齢化の進行に伴い、医療や介護などの社会保障にかかる費用は増大をしております。社会全体の皆で支え合う社会保障制度を持続可能にしていくためには、サービスの受益や負担能力に応じた一定の負担は不可欠であります。その一方におきまして、社会保障費の増大を抑制していくためにも、健康寿命の延伸を図るとともに、地域包括ケアシステムのような地域ぐるみで支え合う仕組みの構築を急ぐ必要があると考えています。
次に、貧困対策についてです。
2012年の調査で、子どもの貧困率が16.3%に上り、6人に1人の子どもが貧困状態にあるという衝撃的な結果が示されて以降、貧困対策の取り組みが進められてきました。2013年には「子どもの貧困対策法」の制定、2014年には「子どもの貧困対策に関する大綱」が定められ、板橋区では、子ども・若者計画2021において、子どもの貧困対策が位置づけられています。しかしながら、この間の取り組みでも抜本的な改善に至っていないのが現状です。国の対策法では、貧困の連鎖を断つと言っても、貧困をなくすとは言っていません。このことは将来の貧困のリスクを軽減することにはつながっても、今、目の前の貧困の解決には至らないことを示しています。また、子どもの貧困は、貧困の一つの側面であって、あらゆる世帯や世代に広がっていることを認識する必要があります。
区の新年度予算では、子どもの貧困対策を進めるとして、子ども政策課内に新たに係が設置されました。子どもの貧困は親の貧困でもあり、家庭への支援が求められています。また、若者、女性、高齢者、障がい者など、貧困が広がっていることを鑑みれば、大きな枠組みが必要です。係では政策決定や庁内調整の権限が与えられず、不十分と考えます。足立区では、子どもの貧困対策として、部を設置し、強いメッセージを区内外に発信しています。区は係の設置で十分と考えたのでしょうか。なぜ部の設置に至らなかったのか、区長の見解を伺います。
【区長】
次は、貧困対策に関連いたしまして、担当係の設置についてのご質問であります。
子どもの貧困対策の推進に当たりましては、平成28年度から子ども・子育て支援本部のもとに、庁内連絡調整会議を設置し、子ども政策課を事務局として、全庁的な情報共有を、また、施策の調整・検討を行っております。このたび、昨年実施しました実態調査の結果を踏まえ、対策をより戦略的かつ効果的に推進していくために、子ども政策課に担当係長を設置いたしました。これによって、子ども政策課の事務局機能の強化を図り、スピード感を持った全庁的な施策の推進、効果的な施策の立案、対外的な調整の円滑化が図れるものと考えております。
また、新年度予算では、今年度同様に、新たな経済的負担の軽減につながる事業は盛り込まれませんでした。区が実施したひとり親家庭等生活実態調査では、お金がないために食糧が買えなかった経験について、「まれにあった・時々あった・よくあった」との回答をあわせると、実に48.2%にも上ります。ぜいたくなものではなく「食べ物が買えない」という実態があることを正面から受けとめるべきです。また、必要だと思う支援について、「子どもの就学にかかる費用の軽減」が最も多く、75.8%と断トツです。さらに、住宅探しや住宅費の軽減も5割を超えています。この結果からも、経済的支援の充実が強く求められていることがわかります。最も求められている経済的負担の軽減を拡充すべきです。区長の見解を伺います。
【区長】
次は、経済的負担の軽減についてのご質問であります。
子どもの貧困対策におきましては、教育支援、生活支援、保護者に対する就労支援、経済的支援を総合的に進めていくこととしております。経済的支援につきましては、児童扶養手当や就学援助など、各種事業を実施しているところでありますけれども、引き続き、子育て家庭の生活実態を適切に把握しながら、経済的負担の軽減のあり方について検討していきたいと考えています。
次に、区民の声を生かすことについてです。
地方自治体の役割は、住民福祉の向上を図ることであり、いかに住民の声を聞き、施策に反映させるかが問われます。しかし、この間、政策を練り上げる過程の情報公開や区民の声を聞くというプロセスが欠落している状況が多く見られます。例えば、認可保育園保育料が値上げとなる改定でも、区民や保護者の声を聞いていません。また、個別整備計画では、集会所の廃止に対し地域住民から反対の陳情が上がっています。当初、区が説明してきたことから変更になっても、その説明がなされていないものもあります。さらに、板橋駅の再開発事業では、住民説明会において納得できないとの声が圧倒的な中、翌日にはJRとの協定を締結してしまいました。いつ、どこで、誰が、どのように決定したのか、その過程が重要です。区民の声を聞く場もない、あっても説明するだけ、これでは住民の政策決定への参画の機会を奪い、住民自治をないがしろにしていると言わざるを得ません。区の計画が、区民の思いと合致しているか、区民の声を聞き、話し合い、ともに考えるべきではありませんか。区民の声を施策に生かすことについて、区長の認識を伺います。
【区長】
次は、区民の声を生かすことについてのご質問であります。
施設の再整備や各種計画の策定時におきましては、住民説明会の開催やパブリックコメントなどによって、区民の皆様からの声を聞かせていただき、区政に生かしているところであります。今後も、区民の皆様の声に耳を傾けながら、板橋区の未来を築いてまいりたいと考えています。
次に、委託における区の責任についてです。
新年度においても新たな委託が拡大されています。公務労働の委託は「効率化」の名のもとに、民間でできることは民間でと職員定数の削減とあわせて拡大されてきました。私たちは、これまでも、学校や保育園における調理や用務の委託、区窓口の委託、個人情報の取り扱いにかかわる業務の委託など、区民生活に直接または間接に係る業務について、委託をやめるよう求めてきました。それは区の責任において実施されるべきと考えるからです。同時に、委託事業であっても、小規模保育所や家庭福祉員、あいキッズなど区の事業として実施しているものには区としての責任が問われます。公の仕事である以上、事故や問題が生じた場合、区は関係ないでは済まされません。利用者や区民は区の事業と認識しているからです。委託における区の責任について、区長の認識をお伺いします。
【区長】
次は、委託における区の責任についてのご質問であります。
区の委託業務においても、公権力の行使を伴う行為により損害を与えた場合におきましては、国家賠償法に基づき、区が責任を負うこととなります。道義的な責任につきましては、個別具体的な事象ごとに判断し、適切に対応していく考えであります。今後も、事業の委託に当たりましては、適切な管理・監督に努めていく考えであります。
この項の最後は、財政についてです。
今回の最終補正予算では、多額の契約差金が減額され、基金に積み立てられた結果、基金総額は過去最高額を更新しました。これは昨年の4月1日に副区長名で出された依命通達による、「契約差金や事務事業の見直しなどにより発生した不用額は原則他の事業に転用しないこと」との方針があるためです。実際、所管課への聞き取りの中でも、差金の活用について求めると、「依命通達」に沿った説明がなされます。無駄なものに使わないことは当然のことですが、議決された予算は、可能な限り住民の福祉の増進のために活用すべきではありませんか。「差金等の不用額を他の事業に転用しないこと」とした依命通達を撤回し、必要な事業に活用すべきです。「依命通達」の方針を改めるよう求めますが、区長の認識をお伺いします。
【区長】
次は、財政についてのご質問であります。
予算は、議会の議決に基づき決められた額及び内容を、その範囲内において執行するものであります。自治体が執行する事務事業につきましては、さまざまな目的の中から優先度を決定し、その事業内容・手法を検討し、財源が確保できるか、できる見込みがあって、予算案として議会に提案しているところであります。当初予算編成後に生じた緊急工事や法令変更への対応につきましては、予算流用や契約差金を活用することもございますが、その後の補正予算により、適正に対応しているところであります。
次に、人権を守る行政を求めて質問いたします。
まず、生活保護制度についてです。
政府は、今年10月から3年かけて段階的に生活保護の基準額を現行より最大5%引き下げることを計画しています。厚生労働省の試算では、約67%の世帯が減額の対象となる見込みです。生活保護の基準額は2013年から15年にも最大10%引き下げられており、追い打ちをかける削減です。国が引き下げの根拠としているのは、2014年の全国消費実態調査のデータで、生活保護世帯の水準に相当する層の支出額が減ったからというものです。そもそも健康で文化的な最低限度の生活の基準である生活保護基準を他の貧困層と比較し引き下げることは、国が率先して貧困を生み出すものであり、やめるべきです。また、今回の引き下げが子育て支援にも逆行することも重大な問題です。子どもの基準額を引き上げ、児童養育加算を高校生にも適用するとしていますが、母子加算の額を最大で約2割引き下げ、ゼロ歳から2歳の児童養育加算も5,000円の引き下げです。その結果、母子世帯の37%で生活扶助費が引き下げられる見込みです。
病気で働けず、生活保護を利用しているひとり親の方は、子どもに申しわけないと苦しんでいます。ひとり暮らしの高齢者の方は、食事は1日1食から2食、入浴は週1回、親戚や友人とのつき合いもほとんどしないと言います。この生活が健康で文化的な生活と言えるでしょうか。区民の命と健康を守る自治体の長として、国に対し生活保護基準の引き下げをやめるよう強く求めていただきたい。区長の見解を伺います。
【区長】
次は、生活保護基準の引き下げについてのご質問であります。
今回の生活保護基準の見直しは、多人数世帯や都市部の単身高齢者世帯等への影響を考え、緩和措置を講じ、3年間かけ段階的に実施をすることとなっており、現時点では妥当なものと考えています。また、今回の見直しにおきましては、子どもの貧困の連鎖を防ぎ、生活保護受給者の自立をさらに促進するための内容も含まれております。なお、生活扶助基準の見直しにつきましては、基準額の詳細が明らかにされていないために、今後の動向に注視をしていきたいと考えています。
生活保護を利用している世帯では、大学などへの進学の場合、世帯を分離し、対応しています。しかしながら、同一世帯で生活しているにもかかわらず、生活保護費は学生を除いた人数で支給されるため、進学前より厳しい生活を余儀なくされています。貧困の連鎖を断ち切ると言いますが、大学等への進学は、学費の負担や生活費の確保など、非常に高い壁に阻まれているのが実態です。国に対し、生活保護制度における大学等への進学を保障するための改善を求めること、また、通学費や教材費など、通学に必要な費用について区として支援するよう求めます。区長の見解をお伺いします。
【区長】
次は、国に対して制度の改善を区が求めることについてのご質問であります。
特別区長会は、生活保護制度が最後のセーフティネットとして役割を果たせるよう、制度の見直しを図ることについて、国に要望を出しているところであります。なお、平成30年度に、大学等に在籍する子どもが同居する生活保護世帯に対し、住宅扶助費を子どもの分も含め支給するように生活保護法を改正する法案が現国会に提出をされているところであります。
次は、通学費や教材費などを、区として支援することについてのご質問であります。
ご提案の通学費や教材費は、法外給付となるため、区の財政状況からは、財源の確保が難しいものと考えています。なお、平成30年度に、生活保護世帯の子どもの大学等への進学支援としまして、一時金の支給ができるように、生活保護法の改正が現国会に上程されております。また、近年の生活保護法の改正では、貧困の連鎖を断ち切るために、子どもの教育に関係する見直しが行われてきておりまして、今後の動向に注視をしていきたいと考えています。
福祉事務所は生活保護法、児童福祉法など、いわゆる福祉六法に定められた援護・育成・更生の措置に関する事務を担う機関です。生活保護制度は金銭給付のみならず、対人援助が重要であり、そのための環境整備が求められています。しかし、庁舎南館の改築に伴い、グリーンホールに移転された板橋福祉事務所は、事務所機能の面からも、よい環境とは言えません。現在グリーンホールの2階から3階に配置されており、相談によってはフロアを行き来し対応する必要があります。また、各フロアに受付がなく、その都度職員の対応が求められ、業務の効率化も図られません。また、専用通路や階段がなく、DV相談など、被害者を緊急避難させる構造にもなっていません。さらに国の標準数80世帯に1人というケースワーカーの配置が守られていない状況においても、職員数と執務面積が合わず、過密な状況になっていることは問題です。福祉事務所を訪れる区民にとっても、プライバシーが守られ、安心できる場所でなければなりません。現在のグリーンホールへの設置は仮移転とし、適切な場所へ本移転すべきと考えます。区長の見解をお示しください。
【区長】
次は、板橋福祉事務所の本移転計画の策定についてのご質問です。
板橋福祉事務所は、東京都板橋区の福祉に関する事務所設置条例の一部を改正し、現在のグリーンホールへ本移転をしており、移転計画を策定する状況にないと考えています。なお、本庁舎周辺公共施設更新に当たりましては、板橋福祉事務所も検討の範囲に入ると考えております。
次に、「住まいは人権」の立場に立った住宅政策を求めて質問いたします。
2017年に成立した「改正住宅セーフティネット法」により「新たな住宅セーフティネット制度」が始まりました。これは、民間の賃貸住宅や空き家を活用し、「住宅確保要配慮者」への支援を行うというものです。住宅提供事業者の登録制度を創設し、要配慮者専用住宅には住宅改修費や家賃補助などが受けられます。しかし、全国でたった180戸しか登録がなく、家賃低廉化補助の対象住宅は79戸にとどまっています。板橋区の居住支援協議団体の登録数も28年度はゼロ件です。住宅確保が困難な方々への支援が位置づけられたことは重要ですが、若者が除外されていることや公営住宅等の拡充について言及されていないなど、十分とは言えません。
現在、住宅対策審議会において審議が行われている「住まいの未来ビジョン2025」では、「ずっと住むなら板橋区」とのスローガンが掲げられ、計画の基本方針で「住まいは命の基盤である」とうたっています。であるならば、住まいは人権という立場に立ち、具体的な対策に踏み出すべきです。
私たちはこれまでも、住宅確保が困難な区民への支援や良質で低廉な住宅の提供を求めてきました。区がビジョン策定のために行ったアンケートでも、住宅費の負担について、「生活必需品を切り詰めるほど苦しい」と回答した人が70代で18.7%、80代で16.1%と、高齢世帯での住宅費負担が重いことが示されています。区の住宅施策に対する需要度では、高齢者や障がい者、子育て、若者、低所得者世帯など、あらゆる世帯が公営住宅の整備や民間賃貸住宅への家賃助成を求めています。しかし、「住まいの未来ビジョン2025」(案)では、区営住宅の修繕・改修は示されていますが、増設とはなっていません。また、低廉な民間賃貸住宅の情報提供はあっても、家賃助成には触れられていません。区が実施したアンケートでは、公営住宅の整備や家賃助成が強く求められています。この声が施策に反映されていません。区長の認識を伺います。
【区長】
次は、住まいは人権の立場に立った住宅政策に関連いたしまして、ビジョンについてのご質問であります。
板橋区住まいの未来ビジョン2025の実態調査におきましては、「高齢になったときに望む住まいは」との設問の回答は、持ち家及び分譲マンションを選択する方が多かったところであります。ビジョンでは、持ち家のリフォーム等を支援し、分譲マンションの適正管理を推進するとともに、公営住宅については、区営住宅の再生が位置づけられております。アンケートの調査結果を踏まえ、将来にわたって安定的継続的な住まい方を提案するとともに、あらゆる世代の要望に応える住環境をめざしていきたいと考えています。
区民が求めているのは公営住宅の増設や家賃助成です。区として計画に盛り込むよう求めます。区長の認識を伺います。
【区長】
続いて、公営住宅の増設と家賃助成についてのご質問であります。
公営住宅につきましては、応募倍率が高いことは承知をしておりますが、住宅ストックについては、充足としているとの考え方から、東京都としましても、区としましても、増設をする考えはないところであります。家賃助成につきましては、経営革新の取り組みの中において、現金給付的な事業であることから縮小したものであり、財源の確保や将来の財源負担等を考慮し、慎重に検討すべきと考えております。
次に、職員の働き方の改善と定数の見直しについて質問いたします。
まず、「会計年度任用職員制度」についてです。
「会計年度任用職員制度」は、公務労働における臨時・非常勤職員の新たな任用制度として、2020年度から運用が予定されています。本制度は、非常勤職員の処遇改善を目指すとして導入されるものです。
しかし、子ども家庭支援センターのケースワーカーや保育士など、継続性が求められる業務と、非常勤や会計年度という任用形態は根本的に矛盾します。そもそも、長期にわたって同じ仕事があり、同じ人が正規職員と変わらない業務を担っている場合は正規職員として任用すべきであり、その上で非常勤職の処遇改善を図るべきです。
ところが、新たな制度では、臨時・非常勤職を固定化し、フルタイムとパートに振り分け、1分でも労働時間が短ければ、手当などで差をつける内容で、現行の職では時間の長短によって賃金等に差を設けていないことから、均等待遇の流れに逆行するとも指摘されています。実際に処遇改善につながるのか、疑問の声が上がっています。まず、現在の導入に向けた準備及び検討状況についてお示しください。
【区長】
次は、会計年度任用職員に関連いたしまして、導入に向けた準備、検討状況についてのご質問であります。
地方公務員法及び地方自治法の改正を受け、平成29年8月に総務省から会計年度任用職員制度導入等に向けた事務処理マニュアルが示されました。以降、人事課において、非常勤職員を雇用する各課に、法改正の趣旨及び導入に向けた留意点の説明を行い、検討に着手したところであります。任用等に関する23区共通基準の論点整理の状況を見きわめながら、平成30年度に具体的検討に入る予定であります。
また、区が実施する臨時・非常勤職員の実態調査は、実態が正確に反映される内容とするよう求めます。区長の認識を伺います。
現在の非常勤職員の更新が妨げられるなど、働く人が不利益をこうむることのないよう、適正な運用を求めます。
【区長】
次は、非常勤職員の実態調査についてのご質問であります。
区が毎年実施をしております非常勤職員勤務状況調査は、総務省が例示しております実態把握に関する調査項目を上回るものとなっております。会計年度任用職員導入に向けまして、正確な実態把握に努めていきたいと考えています。
次に、女性管理職の登用についてです。
昨年発表された世界各国の男女平等ランキング2017で、日本は114位となり、過去最低を更新しました。経済分野でも管理職は世界平均を下回り、政治分野では129位と、さらに深刻です。「女性の活躍」を掲げた現政権の取り組みが問われています。
板橋区では、特定事業主行動計画において、課長級以上の管理職のうち女性職員の比率を24%とする目標を掲げています。しかしながら、現在の女性管理職は部長級3名、統括課長3名、課長級13名となっており、管理職総数の18.8%にすぎません。女性職員の比率が職員総数の53.5%であることから見ても、あまりにも少ない状況です。
そもそも女性職員の昇進は男性職員に比べ10年の遅れがあり、現在の女性管理職の多くが50代で、待機者にも40代はいないと聞いています。人材育成も進んでいないということです。男女の賃金や昇任格差を改善するためには女性管理職の育成は重要です。区は、このままでは女性の管理職がいなくなるという危機感を持つべきです。
そこでまず、女性管理職の登用や人材育成の状況について、区長の認識を伺います。
【区長】
次は、女性管理職の登用に関連いたしまして、管理職となる人材の育成についてのご質問であります。
管理監督層の職責への不安や負担の増加による家庭、プライベートへの影響等により、昇任を躊躇する状況にあると考えています。平成30年度から運用が始まります、新たな行政系人事制度は、管理監督職を適正に確保することが改正趣旨の一つでありまして、人材活用のための弾力的な任用管理を促進し、昇任意欲の向上を図っていきたいと考えています。
区が行った職員アンケートでは、管理職について、「責任が重い」「家庭や育児との両立が困難」との回答が上位となっています。管理職の働き方を抜本的に見直す必要があると考えますが、区長の見解をお示しください。
【区長】
次は、管理職業務の見直しについてのご質問であります。
管理職の職責は、広い視野と洞察力を持ち、事務事業の責任者として、職員の能力を最大限に引き出しながら、区民福祉の向上に資する組織目標を達成することにあると考えています。係長職を含め、管理監督職の職責の重さ等に対する不安を持つ職員が多いことは承知をしておりますが、女性職員が心配なく挑戦できる環境づくりに引き続き取り組んでいきたいと考えています。
次に、定数改善についてです。
管理職だけでなく、区職員全体の働き方の改善も求められています。この間、繰り返し指摘してきましたが、月80時間以上の時間外勤務を行っている職員が90名を超えていることや、保育の現場でもサービス残業が横行している現状は直ちに改善すべきです。それは残業しないことを徹底することでは解決できません。一人ひとりの仕事を減らし、互いに協力し合える環境整備が必要です。そのためには、抜本的な定数改善が必要です。
新年度予算に向けて、各所管課が希望した人員の増員要求125名に対し、実際の増員は55名にとどまっており、大きな隔たりが生じています。まず、この隔たりの原因について、区長の認識を伺います。
【区長】
次は、所管の人員要求と人員査定結果についてのご質問であります。
各課が算出した業務量に基づく人員要求に対し、ヒアリング等を通じて業務執行方法の工夫や不断の見直しにより対応可能であると判断をした結果が、人員要求と査定結果の差となったところであります。人員査定結果については、限りある人的資源を効率的・効果的に配分し、決定したものであります。
区は、職員育成方針の中で、職員や職場の意識改革を進めるとしてきました。しかし、早く帰りたくても帰れない状況があるのです。現状を是正するには、業務を精査するだけでなく、業務に見合う職員の増員を図るべきです。区長の見解を伺います。
【区長】
次は、業務に見合う職員の増員についてのご質問であります。
これまでの業務改善にとどまらず、業務プロセスを考え直し、再設計する業務改革を積極的に行うことによりまして、効率性を高めていきたいと考えます。引き続き新たな行政需要への対応など、業務変化にあわせた効果的な人員配置を行い、一層の職員定数の適正化に努めてまいりたいと考えています。
次に、区民のための区有地活用を求めて質問いたします。
公共施設等の整備に関するマスタープランに基づく個別整備計画は、施設総量の抑制を進め、約2割の経費削減を目指すものです。これまでに児童館や集会所など、多くの区民の施設が廃止・縮小されています。しかし、この間、地域住民や区民から撤回や修正を求める声が上がっています。また、計画では、区有財産の有効活用は位置づけられていますが、有効に活用しているとは言えない施設があることも議会の質疑で指摘してきました。
言うまでもなく、区が保有する公有地は区民の財産です。区民が必要とすることや求められていることにこそ活用すべきです。区長の認識を伺います。
【区長】
次は、区民のための区有地活用に関連いたしまして、活用方針についてのご質問であります。
区有地は区民共有の貴重な財産であり、将来的な行政需要等も踏まえ、適切な手法によって、資産価値を最大限活用する必要があると考えています。
板橋駅前B用地について、現計画には多くの区民、そして議会の中でも疑問が投げかけられています。2月22日に行われた住民説明会では、初めて超高層ビルの図面が示され、「まるで壁のようだ」「日照がなくなる」「公共施設はどうなったのか」など、計画への不満の声が噴出しました。ところが、区は、その翌日にはJRとの一体的活用に関する基本協定を締結しました。公益施設の内容も、どのような費用が幾らかかるかについても、共同事業者の提案次第とされており、一体誰のための、何のための事業かという怒りの声が上がっています。長年の住民要求であったエレベーターなどのバリアフリー化は、一体開発とは別に進められています。であれば、一体開発でなければならない理由はどこにあるのでしょうか。改めてJRとの一体開発の目的と区民や地域住民のメリットについて具体的にお示しください。
【区長】
次は、JR板橋駅一体開発の目的と区民のメリットについてのご質問であります。
B用地と隣接するJR東日本用地を一体的に開発し、広場などのオープンスペースや歩道を整備することにより、駅周辺の防災性、安全性、利便性の向上につながるものと考えます。さらに、建物全体が、板橋区の玄関にふさわしい魅力的な空間となり、まちの価値を高めていけるものと考えています。
旧高島第七小学校跡地利用について、現行計画では高層住宅及び商業施設を民間資金で建設し、敷地の地代収入を公共施設整備に活用するなど、4つの案が示されています。この案では、新たな公共施設は現在の床面積を維持する規模にとどまり、新たな地域要求は盛り込まれていません。また、公共施設整備は第2期の計画で進めるとされ、地域住民からは、老朽化した区民館の早急な改善が求められています。また、現在、高島平図書館の向かいの広場跡に設置されている仮設の高島平健康福祉センターも長期の活用は困難です。私たちは旧高島第七小学校跡地に高層ビルを建設する案はやめるべきと考えています。区として、早急に旧高島第七小学校跡地周辺の公共施設の整備計画を策定すべきです。区長の見解を伺います。
【区長】
次は、旧高島第七小学校跡地周辺の公共施設整備についてのご質問であります。
旧高島第七小学校跡地を含む周辺の公共用地の活用については、地域の都市再生に向けた起爆剤となり得ることから、公共施設整備を単体で考えるだけではなく、2ヘクタールの再整備地区を一体的に検討していく必要があると考えています。区としましては、UDCTakでの検討を踏まえながら、民間事業者やUR、三丁目団地などの周辺地権者との意見交換を進め、旧高島第七小学校跡地活用の整備方針を示せるよう、検討内容の充実を図っていきたいと考えています。公共施設の整備方針の策定時期につきましては、現時点ではお示しできないところであります。
次に、保育の充実を求めて質問いたします。
まず、保育事故の検証委員会設置についてです。
区内の民間保育施設で、午睡中に乳児が死亡する事故が発生し、1年半が経過をいたしました。亡くなられたお子さん、ご家族の皆様に心からお悔やみ申し上げます。
さて、私たちはこの件について、事故の経緯や要因について明らかにするため、検証委員会の設置を求めてきました。この間、全国でも重大事故における検証委員会の設置が進まず、厚生労働省は改めて保育施設における重大事故について検証委員会の設置を促す通知を出し、病死も含め、死亡事故は全て対象にするよう指導しています。板橋区では、議会で、検討中と答弁し続け、今もなお設置に至っていません。
こうした中、先日行われた区内の保護者や保育関係者との懇談会の中で、新年度に設置するとの発言があったと伺いました。検証委員会を設置し、事故の原因を明らかにすることは、今後の保育の安全・安心につながるものであり、重要な前進です。そこで、検証委員会の設置の時期と今後のスケジュールについてお示しください。
【区長】
次は、保育施設における重大事故検証委員会設置についてのご質問であります。
保育所等における死亡事故については、再発防止の観点から、事故の発生の経緯や対応状況など、一連のプロセスを検証することが重要と考えます。亡くなられました児童の保護者の心情に十分に配慮しながら、本年5月ごろを目途に事故検証委員会を設置するとともに、検証委員会において、検証スケジュールを決定していきたいと考えています。
次に、待機児童解消の見通しについてです。
厚生労働省が策定した「子育て安心プラン」では、2020年度までに待機児童を解消するため、現行計画の前倒しなどを自治体に求めています。この中で、保育ニーズについて、待機児童の見込みと発生の乖離について検証分析を行い、必要に応じて翌年度の見込みの見直しを図ることとされています。また、女性就業率が増加し、2022年には80%に到達する見込みであるとし、2022年度末時点で必要な整備数を2020年度までに前倒しし、計画的に整備することと、自治体の計画の精査を求めています。板橋区の計画では、今年度には待機児解消を目指すとされていましたが、その実現は困難であることが明らかとなっています。それは国も含め、保育ニーズを低く見積もっていたからです。申し込みを諦めている人も含め、潜在的なニーズを把握し、計画に反映させるべきです。女性の就業率の見通しについての見解と今後の待機児解消に向けた対策についてお答えください。
【区長】
次は、待機児童解消の見通しについてのご質問であります。
国の子育て安心プランにおきましては、女性就業率80%に対応できる保育の受け皿を整備する方針を打ち出し、各自治体において、2020年度末までに待機児童解消に向けた取り組みを行うこととしております。この国の方針に基づき、今後の待機児童の状況を見きわめつつ、国の目標である女性就業率80%を踏まえ、待機児童を解消するための対策を検討していきたいと考えています。
次に、教育環境の改善を求めて質問いたします。
まず、教職員の働き方の改善についてです。
国が2017年4月に発表した教職員の勤務実態調査によると、2006年の調査に比べ長時間労働がさらに深刻化し、過労死ラインを超えている教員は小学校で3割、中学校では6割と、国際的にも異常な状況です。文部科学大臣も「深刻な事態」との認識を示し、学校における働き方改革に関する緊急対策を発表しました。しかし、その内容は、学校業務の見直しや外部人材の活用による教員の負担軽減策で、定数改善は示されていません。新年度予算では、定数改善どころか4,450人もの人員削減です。この10年間の取り組みで深刻さが増した要因は、次から次へと打ち出される教育改革による業務過多と、教職員定数の改善が行われてこなかったからです。だからこそ、全国市町村教育長の90%以上が教職員定数の抜本的増員を求めています。教員1人当たりの受け持つ授業数を減らし、授業準備や子どもと向き合う時間を確保するためには定員増を図ることが最も有効です。また、学校事務職員についても、業務や役割が増加しており、定数増と人材育成を進めるべきです。教職員の抜本的な定員拡大を国に強く求めていただきたい。区の認識を伺います。
【教育長】
それでは、竹内 愛議員の教育委員会に関する代表質問にお答えします。
初めに、教職員の働き方の改善に関しまして、教職員の定数増についてのご質問ですが、区立学校における教職員の働き方改革の目的は、教員がその専門性を発揮できる環境を整備し、児童・生徒に向き合う時間を確保し、教育の質の向上につなげていくものであると考えます。区立学校の都費負担教職員につきましては、東京都公立小・中学校教職員定数配当方針に基づき、教職員定数を決め、配置しているところです。教職員の働き方改革などに向けた教員の定数増に関しては、特別区教育長会などを通じて、国や都に今後も強く要望してまいります。
同時に、区としてどのように改善するかも問われ、具体的な改善策が求められます。新学習指導要領では、道徳教育の教科化やプログラミング教育、英語や武道、学力向上やテストなど、新たなプログラムが増大しています。そのための研修も強化されます。授業準備や子どもと向き合う時間をどのように確保するかが問われているときに、さらに仕事をふやすのでは解決できるはずがありません。例えば研修のあり方を見直すなど、業務軽減策について、教育委員会としての取り組みをお示しください。
【区長】
次に、区としての改善策についてのご質問ですが、教育委員会では、今年度、在校時間の管理、教員の意識改革、教員業務の見直しと業務改善の推進などを取り組みの方向性として検討を進めているところです。来年度は、教員の働き方改革に資するモデル事業を複数実施して効果の検証を行うとともに、事業化にも取り組み、年度内に働き方改革の実施計画を策定する予定です。また、取り組みを推進するに当たりましては、教員の勤務時間や部活動のあり方について、地域、保護者のご理解が不可欠であることから、さまざまな機会を捉えて周知を図ってまいりたいと思います。
次に、いたばし魅力ある学校づくりプランの見直しについてです。
いたばし魅力ある学校づくりプランは、将来を見据えた学校の施設整備と適正規模・適正配置の一体的な推進を目的とした平成28年度から20年間の計画です。区は、このプランに基づき、板橋第九小学校の閉校を進めました。しかし、板橋第九小学校を含む周辺地域では学齢期の児童が増加していました。区全体としても、今後も増加傾向が継続する見通しとされています。また、少なくない学校施設が児童数に対する校庭の面積基準を下回っていることも指摘してきました。プランでは、今後の大規模改修や改築では、教育内容の充実や特別支援教育、あいキッズなど、各学校施設の課題を改善できるよう整備するとしています。児童数の増加、学校施設の充実を前提とするなら、これ以上の統廃合はやめるべきです。統廃合を進める現在の計画は見直し、特別支援教育の充実や校庭を含む国基準の適用など、施設の改善を前提とした整備計画に改めるよう求めます。区の見解を伺います。
【教育長】
最後に、魅力ある学校づくりプランの見直しについてのご質問ですが、いたばし魅力ある学校づくりプランは、学校の改築等にあわせ、施設の老朽化対策と学校の適正規模及び適正配置について一体的に推進し、充実した教育環境を整備していくものであります。改築等を伴わない学校における特別支援教室の確保などにつきましては、それぞれの学校の状況に応じて対応していくものと考えております。
次に、障がい児・障がい者支援についてです。
板橋区は、新年度から3か年の新たな計画として、障がい福祉計画(第5期)及び障がい児福祉計画(第1期)を策定し、切れ目のない支援を目指すとしています。また、手帳を所持していない人も支援の対象とするなど、新たな支援が期待されています。一方で、当事者や家族、関係者の声がどのように具体化されるかが問われています。そこで、今回は施設整備について伺います。
まず、入所施設についてです。
入所施設は、親亡き後や高齢化などにより、自宅での生活が困難になった場合に、生活の場として利用されるものです。現在、区内には2か所の施設がありますが、不足しているため、地方の施設に入所せざるを得ない状況です。しかし、新たな計画でも入所施設の新設は盛り込まれていません。区は、東京都が既に複数の入所施設がある場合は補助金の対象としないということを理由にしています。しかし、他区では区が独自に補助金を拠出し、整備しています。板橋区が策定を進めている「住まいの未来ビジョン2025」では、誰もが住み続けたいと願う板橋区を目指すとしています。板橋に住み続けたいと願っている障がいのある方々の思いを実現するため、入所施設の新たな整備に踏み出すべきです。今後の整備方針と具体的なスケジュールについて、あわせてお答えください。
【区長】
次は、障がい児・者支援に関連いたしまして、入所施設の整備方針についてのご質問であります。
障がい者の入所施設の区内設置を望む声は承知をしております。一方において、板橋区には2か所の入所施設があり、東京都からは、未設置の区市町村との均衡の面において、入所施設の増設は難しいものと聞いております。障がい者の住まいにつきましては、グループホームの整備を中心に、機会を捉えて進めていきたいと考えています。
次に、区立福祉園の整備計画策定についてです。
既存の区立福祉園の老朽化も深刻です。現在の区の計画では平成37年度までに小茂根・高島平・前野・赤塚福祉園の改修を行うとしています。しかし、新年度からの障がい福祉計画(第5期)では、「老朽化の状況を踏まえ計画的に改修」とありますが、具体的な内容は示されていません。個別整備計画の第1期に盛り込まれていない加賀福祉園は、特に老朽化が著しく、構造上もさまざまな問題が生じています。その対応についての記載もありません。加賀児童ホームでは、一昨年、大規模な水漏れ事故が発生し、子どもたちの療育に大きな影響を与えました。整備への着手は待ったなしの状況です。区立福祉園の改修・改築について、今後の検討スケジュールをお示しください。
【区長】
次は、福祉園整備計画の策定についてのご質問です。
福祉園の改修には、代替施設の確保等に課題がございまして、現在、調整を行っているところであります。早期の具体化に向けて、検討を進めてまいりたいと考えています。
最後に、平和についてです。
まず、平和事業と憲法第9条の改憲についてです。
安倍首相は、憲法9条に新たに自衛隊を書き加えるための憲法改正を行うとしています。自衛隊という文言を加えても、これまでと変わらないと説明していますが、であれば、なぜ改憲が必要なのかという疑問が指摘されています。自衛隊は、安全保障関連法の制定によって、専守防衛から攻撃可能へと、その任が大きく変貌しています。このことが戦力の不保持、交戦権の放棄を掲げた現行憲法9条の第1項及び第2項との矛盾を広げています。板橋区は、過去の戦争の過ちから、二度と戦争はしないと誓った現行憲法の理念にのっとり、平和都市宣言を制定しました。そして、日本国憲法が掲げる恒久平和主義の理念を次代に引き継いでいくため、中学生平和の旅の実施・拡充など、平和事業にも積極的に取り組んできました。安倍首相が言う改憲は、憲法の平和主義に反するものであり、区がこれまで行ってきた平和事業にも逆行すると考えます。平和都市宣言の立場から、憲法9条の改憲に対し反対の声を上げるべきと考えますが、区長の見解を伺います。
【区長】
次は、憲法9条の改憲についてのご質問であります。
報道によりますと、憲法9条の改正に関しましては、政府与党内でもさまざまな案が検討されていると聞いております。憲法の改正に関しましては、国会において議決の上で発議し、最終的には国民投票によって国民が判断する問題であると考えます。今後につきましても、憲法9条の改正に向けた動向について、注視をしていきたいと考えています。
最後に、米軍機・自衛隊機の事故についてです。
在日米軍の航空機事故が頻発しています。直近では、2月20日に、米空軍三沢基地のF16戦闘機が離陸直後にエンジン火災を起こし、湖に2本の燃料タンクを投棄する事故が発生しています。米軍は「人のいない場所に投棄した」とし、安全を確保したかのように説明していますが、落下地点から最も近い漁船までは200メートルしか離れていませんでした。また、沖縄県の普天間基地では海兵隊のオスプレイが沿岸に墜落し、また、別の部隊では牧草地に不時着、炎上する事故も起こしています。小学校の校庭や保育園への部品の落下も大問題です。訓練の内容や飛行ルートなどについて、ほとんど自治体には知らされません。また、昨日には、沖永良部島分屯基地の近くで、上空を飛行中の自衛隊の大型輸送ヘリコプターから後部扉が落下する事故も発生しました。板橋区上空においても訓練飛行が確認されており、他の地域で多発している事故が発生しないとは言えません。1つ間違えば市民を巻き込む重大事故が、いつ、どこで起きるかわからない状況です。
2月5日に発生した佐賀県の陸上自衛隊ヘリコプター、民家に墜落という重大事故に対し、神埼市議会は、全ての自衛隊機の徹底整備と安全が確保されるまでの飛行停止を求める意見書を全会派一致で可決し、飛行ルートの見直しや老朽化した自衛隊機の廃棄など6項目を要請しています。区民の命や生活を守る自治体の長として、政府に対し、米軍機及び自衛隊機による事故防止のための安全対策を強く求めていただきたい。区長の見解をお示しください。
以上で、日本共産党板橋区議会議員団の代表質問を終わります。(拍手する人あり)
【区長】
最後になります。米軍機・自衛隊機の安全対策についてのご質問であります。
最近、米軍機や自衛隊機による事故が頻発しており、大変憂慮すべき事態であると認識しています。本件につきましては、政府が責任を持って対応すべき事項であり、区としては、政府の対応を見守っていきたいと考えています。