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山内えり議員の一般質問
2016.09.23 : 平成28年第3回定例会(第2日)

 おはようございます。ただいまより、日本共産党板橋区議団を代表して、一般質問を行います。
 初めに、核兵器廃絶に向けた取り組みについてです。
 私は今年の8月5日から6日にかけて広島議員派遣に参加しました。5日に開催された80代女性の被爆体験を聞く会で、中学生との質疑応答の中で、「戦後最もうれしかったことは、兄弟に子どもができたこと、70代後半まで働いて人の役に立てたこと」という言葉がとても印象的でした。原爆投下によって何もかも失ってしまったからこそ、その気持ちが伝わってきて、改めて核兵器使用に対する憤りの気持ちや二度とこんな思いをする人たちをつくってはいけないと思いました。
 今年5月27日、アメリカの現職大統領として、戦後初めてオバマ大統領が広島を訪問しました。平和資料館を訪れ、追悼の献花を行い、追悼のスピーチを行いました。アメリカ大統領の広島訪問は大変意義のある前向きな一歩となる行動です。一方、被爆者への謝罪の言葉がなかった、資料館の滞在時間が短かったなど、被爆地、被爆者の思いを反映する声も上がりました。被爆国として、改めて核兵器のない世界へ具体的な行動を起こすことが求められています。
 ところが、安倍首相はオバマ大統領が検討していた核兵器の先制不使用政策について、アメリカ政府が核先制不使用を宣言すれば、核開発を続ける北朝鮮などに対する核抑止力に影響が生じ、地域紛争のリスクが高まるとして、反対の意向を直接伝達したと報じられました。唯一の被爆国として、核廃絶を訴えながらも核兵器の役割を低減する政策に首相自らが反対したことになります。安倍首相は、広島と長崎の平和式典で「核兵器のない世界に向けて努力を重ねていく」と述べたにもかかわらず、今回のような意向を表明したことに対し、広島、長崎の被爆者から「被爆地の思いに逆行する」と怒りと批判の声が上がっています。平和都市宣言を掲げている板橋区の首長として総理の姿勢に抗議をすべきと考えますが、区長の認識を伺います。

【区長】それでは、山内えり議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、オバマ政権の核兵器先制不使用政策に関する安倍首相の対応についてのご質問であります。
 オバマ政権の核兵器の先制不使用政策に関しまして、安倍首相がハリスアメリカ太平洋軍司令官に反対の意向を伝えたとのワシントンポスト紙の報道があったことは承知をしております。一方において、日本の新聞報道によりますと、安倍首相は、このときは先制不使用の話は出ていないとしております。
 板橋区は、平和都市宣言の中において、非核三原則を堅持し、核兵器の廃絶を全世界に訴えていくとしておりまして、今後も、平和都市宣言が目指す平和な社会の実現に向けて努力していく立場には変わりはないものと考えております。

 戦後71年となり、被爆者の平均年齢は80歳を超えました。核兵器使用の恐ろしさ、むごさを直接伝えられる方が減っています。残された時間もあまりありません。被爆者の思いを無駄にすることがないよう、残された私たちの核兵器廃絶へ向けた取り組みが重要です。
 ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名が今年から始まり、私も署名しました。この署名運動は2020年まで世界の数億人を目標に、毎年の国連総会に提出する国際的な共同行動です。世界規模での取り組みを大いに歓迎するものです。そこで区長にもヒバクシャ国際署名に署名していただきたい、また、他自治体の首長に呼びかけ、広げていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

【区長】次は、ヒバクシャ国際署名への署名と他自治体への呼びかけについてのご質問であります。
 ヒバクシャ国際署名は、全ての国に対して核兵器を禁止し、廃絶する条約を結ぶことを求めております。核兵器の廃絶を全世界に訴えていく点において、板橋区平和都市宣言と同様の趣旨と認識をするところであります。板橋区としましては、今後とも各種平和事業を通じて平和意識の醸成に努めるとともに、平和市長会議や日本非核宣言自治体協議会と連携を密にしながら、適宜適切な事業展開を図っていく考えであります。

 次に、小中一貫教育について質問します。
 先日、港区立小中一貫教育校、白金の丘学園を視察しました。もともとあった中学校の土地に近隣の小学校2校が加わり、施設一体型の小中一貫校として昨年よりスタートしました。校舎は6階建て、人工芝の校庭が3階にあり、広い敷地に1年生から9年生が過ごします。対応していただいた校長先生は当初の予想を大幅に上回る児童が入学し、教室が足らず、オープンスペースを教室に変更した。9割の児童が中学受験し、6割の児童が他校へ行くため、中学1年に当たる7年生で生徒が減少するなどの話をされました。
 昨年6月に学校教育法が改正され、今年4月より小中一貫の義務教育学校が法制化されました。これまでの小学校、中学校以外に義務教育学校という新たな学校種が加わった形です。
 2014年の中央教育審議会答申では、小中一貫教育を導入するのかどうか、義務教育学校制度を導入するかしないかは自治体の任意とされています。
 一方、板橋区は2010年度から中1ギャップによる不登校の改善を目的に、施設一体型の小中一貫校ではなく、各学校、園の状況に応じた保幼小中連携教育を進めてきました。しかし、新しく示された、いたばし学び支援プラン2018には、目標に、「義務教育学校を設置することにより、これまでの保幼小中連携教育を一層発展させ、子どもたちの心の安定と学力の向上に資する」とあり、施設整備に向けた検討が示されています。今年から板橋でも小中一貫教育に関する検討会を立ち上げ、既に3回開かれたと聞きました。
 そこで伺います。これまでの保幼小中連携教育の評価について、区の見解を求めます。

【教育長】山内えり議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
 初めに、保幼小中連携教育の評価についてのご質問ですが、板橋区では、平成22年度から、区内を中学校区別に23の学びのエリアをつくり、各エリアの状況に応じた保幼小中連携教育を進めてきております。また、幼小中一貫指導計画、保幼小中一貫環境教育カリキュラム、キャリア教育推進資料を作成し、これらをもとに校種を超えて連続した指導を行うことにより、教員の意識改革を図ってきたところでございます。
 児童生徒は、保育園・幼稚園から小学校へ、小学校から中学校へ進学する際に連続した指導を受けることになり、小一プロブレムや中1ギャップの対策につながっていると認識しております。

 なぜ今、小中一貫教育に関する検討が進められているのでしょうか。板橋区での小中一貫教育の必要性についてお答えください。

【教育長】次に、小中一貫教育の検討が開始された理由についてのご質問ですが、学校教育法の一部改正が今年の4月1日から施行されたことから、各自治体において義務教育学校小中一貫型の小学校・中学校が設置できるようになりました。同時に、いたばし学び支援プラン2018において、保幼小中連携教育を一層推進させ、子どもたちの成長発達にあわせた質の高い教育の実現を目指すとしています。いわゆる中1ギャップの緩和や保幼小中のつながりを踏まえた教育の実践などの課題に対して、板橋区においても小中一貫教育のメリットを活かしていくことができるかなどを検討する必要から、今年度より小中一貫教育の導入の可能性について本格的に検討を開始いたしました。

 板橋区教育委員会が設置した小中一貫教育に関する検討会での他自治体の検証事例によると、全体的に教員の負担過重、多忙化が進み、小中一貫教育に取り組むための支障が大きくなった。独自の教科の取り組みが教員の個人的努力や頑張りに支えられている状況と、今でさえ忙し過ぎる教員に、さらに多忙感を広げることが指摘されています。
 子どもの発達面では5、6年生に、小学校高学年にもかかわらずリーダーシップが育たない、幼い、7年生は中学生の自覚が薄いなどの小5ギャップという新たな課題が生まれています。また、検証資料の中で、大規模校になる影響で自分の得意、よさを発揮する場面が少ないためか、「自分のいいところを伸ばそうと頑張っているか」との質問に対し、肯定的な回答をする割合が少ないなども挙げられています。多くの学校が小中一貫教育のための時間の確保や負担感、多忙感の解消を課題と認識しています。そうした課題が認識される一方で、その解消のための対応は、必ずしも進んでいない状況が明らかになっています。区は、自らが検証した課題についてどう認識していますか。お答えください。

【教育長】最後に、小中一貫教育における課題についてのご質問ですが、小中一貫教育を先行導入している自治体の事例や、文部科学省が行った小中一貫教育等についての実態調査についてを検討会の中で議題とし、成果と課題について共通認識を持ったところであります。具体的には、中学校への進学に不安を覚える児童が減少した。教職員の意識改革につながった等の成果が報告された一方で、教職員の負担感や多忙感、9年間の指導計画の作成や教材の開発等の課題が示されています。
 今後の検討の中で、それぞれの課題について検証し、板橋区で導入する際の新たな課題の有無を含めて検討を深めてまいります。
 いただきました教育に関する質問の答弁は以上でございます。

 小中一貫教育では、中学校の教員が小学生の教科別授業を行うなど、現在の教育システムとは異なる仕組みとなっています。しかし、そのための研修や準備時間は保障されていません。教職員の多忙化の解消にもならないことは、教育の充実とは言えません。また、現在の不登校や中1ギャップ等に対して、必ずしも小中一貫教育が有効かどうかの検証が不十分です。庁内検討会でなく、教育の専門家や研究者を加えるなど、開かれた検討を行うことを求めるものです。さまざまな課題が十分に検証されない中で、経費削減のための学校統廃合を理由に、拙速に結論を出すべきではありません。
 次に、奨学金制度の拡大を求めて質問します。
 「夫が奨学金を返済していることを、住居を新築するときに知り、とてもショックだった。奨学金とはいえ、借金は借金。離婚も頭をよぎった」という話を最近になって知人数人から聞き、私の周辺で今も奨学金を返済している人がいることがわかりました。私も奨学金を借りた1人です。多額の借金を背負うことをためらい、私は短期の大学を選ばざるを得ませんでした。また、正規雇用の仕事につかねばと必死だったことを思い出します。奨学金は、1998年から2014年の間に、貸与額で4.9倍、貸与人員で3.7倍に拡大し、今や学生の2人に1人が奨学金を借りています。今、奨学金を借りると平均で300万円、大学院進学など、多い場合は1,000万円を超える借金を背負って社会人をスタートします。
 しかし、非正規雇用の増大などで卒業後の雇用収入は不安定になっており、総務省の就業構造基本調査によれば、大学・短大などを卒業した30から50代の3分の1以上が年収300万円以下の賃金で働いています。  一方で、大学の学費は上がり続け、初年度納入金は国立で83万円、私立は、文系、約115万円、理系、約150万円にもなり、教育費負担は重くのしかかっています。このため学生生活に深刻な影響が及んでいます。文部科学省の調査でも、経済的理由で中退する学生が増えています。多額の借金を恐れて奨学金を借りずに、バイトに追われる学生や、進学自体を諦める学生も増えています。こうして大学進学のためには奨学金に頼らざるを得ない若者が増え続け、学びたくても学べない、奨学金の返済を気にして大学進学を諦めざるを得ない状況が広がっていることを区長はどのように考えていますか。認識を伺います。

【区長】次は、奨学金制度の拡充に関連いたしまして、若者が大学進学を諦めざるを得ない状況が広がっていることについての認識についてのご質問であります。
 意欲と能力があるにもかかわらず、経済的事情によって進学を断念せざるを得ない状況があることは、大きな問題であると認識をしています。国に対しましては、既に全国市長会から給付型奨学金の創設などを要望しておりまして、国においても具体的な検討が進んでいると聞いております。今後、国の動向を注視をしてまいりたいと考えています。

 日本の教育予算は、経済協力開発機構(OECD)諸国34か国の中で最低の水準です。高い学費の要因として、国立大学が法人化された後、運営費交付金が12年間で1,470億円も削減されるなど、国立大学への交付金や私立大学への私学助成の削減が背景にあります。日本は、大学の学費が世界有数の高さにあるのに、返済しなくていい給付奨学金がない異常な状態になっています。こうしたもとで奨学金を借りた既卒者の8人に1人が滞納や返済猶予になっています。奨学金の返済は、期日から1日でも遅れると5%の延滞金利息が上乗せされ、滞納が3か月以上続けば、金融のブラックリストに載せられます。
 国は世論に押された形で、2018年度実施に向けて給付型の奨学金制度の検討を始めています。しかし、対象者をごく一部の世帯に限定する内容です。「家庭の経済事情に関係なく、希望すれば誰もが進学できる」という理念を実現するためには、できるだけ制限をかけないことが必要です。国の検討を待つ姿勢を改めるべきです。
 区の貸付資金制度を活用し、独自の返済不要の奨学資金制度を検討すべきと考えますが、いかがですか。

【区長】次は、返済不要の奨学資金制度の検討についてのご質問であります。
 国の給付型奨学金の制度設計に当たりましては、貸与型奨学金以上に、税の使途として説明責任が問われるものとされております。また、大学の修学資金の給付につきましては、多額の経費を要することから、区独自で実施をすることは困難であると考えます。

 次に、福祉修学資金制度について伺います。
 現在、板橋区には、区内の医療施設・福祉施設において介護業務や訓練業務等に従事しようとする方に、修学や就業に必要な資金を貸す、福祉修学資金制度があります。人材確保を図ることを目的とし、社会福祉士・介護福祉士・理学療法士・作業療法士・機能訓練士・歯科衛生士において、制度が受けられます。区は、「今後も続くであろう高齢化社会のもとにおいては、制度の存続意義はあると考えている」としています。介護業務や訓練業務に欠かせない資格として、患者さんの嚥下機能やそしゃくのチェック、食形態の決定において重要な役割を果たしている言語聴覚士や管理栄養士などがあります。これら専門職の育成は、本制度の目的にも適しています。
 しかし、福祉修学金制度の対象外となっています。現状の6種の資格に限らず、この制度を利用できる職種の枠を拡大してほしいと考えますが、いかがでしょうか。

【区長】次は、福祉修学資金の対象資格の拡大についてのご質問であります。
 ご指摘の言語聴覚士は、平成9年に制定されました言語聴覚士法に基づく国家資格でありまして、理学療法士、作業療法士と並びリハビリテーション専門職と言われる新しい資格であります。資格によりましては、実務経験を受験要件とするものもありまして、修学資金の制度になじまないものもありますが、福祉修学資金の対象者資格につきましては、需要等を踏まえ、研究をしてまいりたいと考えています。

 区の制度には、条件により償還免除の規定があります。修学資金では、対象職種の資格取得後、1年以内に区内の医療施設等に就業し、引き続き5年以上従事すること、就業支度金では、就業支度金借受後、引き続き5年以上区内の医療施設等に従事することとあります。償還免除の条件に「区内の医療施設等で従事する意思をお持ちの方」とありますが、就業先を区内に限定することで、この制度を利用できる方が限定されてしまいます。区民であれば利用できるようにしていただきたいのですが、いかがでしょうか。

【区長】次は、福祉修学資金の償還免除の要件の緩和についてのご質問であります。
 福祉修学資金は、区内の介護事業所等の人材確保を目的として、償還免除の制度を設けることによって借り受け者が区内事業者に従事する動機づけを行うとともに、人材確保による地域福祉向上を図るものであります。償還免除の要件緩和につきましては、地域福祉向上の目的に反するものでありまして、区民の理解を得ることは困難であると考えます。

 次に、保育の拡充を求めて質問します。
 まず、保育園の遊び場についてです。私はこの間、保活を2年間続け、ようやく今年の4月から認可保育園に入ることができた3歳児のお母さんから、保育園での過ごし方や夏の水遊びについての相談を受けています。相談内容は、「保育園に園庭がないため、外遊びさせてもらえません。夏場の水遊びも園内のシャワーを浴びるか、ベランダのビニールプールで水を体にかけておしまいです。認可保育園なのにこうした状況があることは区としてどう考えているのか」というものです。
 先日、相談のあった保育園を視察しました。この保育園には看板も案内表示もなく、周辺住民の中には、園があることを知らない人もいます。ビルの2階に保育園があり、園庭も屋上もありません。園長によると「近くに公園はいくつかあるが、すべて徒歩で20分ほどかかるため、熱中症を気にする保護者の声も受けて、7月から8月の夏場はほとんど散歩をしていない。水遊びは、室内のシャワーか、ベランダのビニールプールで行うが、近所に迷惑が掛からないよう、短時間しかできない」とのことでした。「外遊びも水遊びもできない。同じ認可保育園なのに不公平だ」という保護者の声にどう応えるのですか。お聞かせください。

【区長】次は、保育園の遊び場に関連いたしまして、保護者の声への対応についてのご質問であります。
 園の環境によりましては、水遊び等が難しい場合もございますが、それぞれの園で工夫をしながら取り入れているのが実情であります。遊びには、水遊びのほか、室内遊びや外遊びなど、さまざまな形態がございまして、そうした遊びを通じて身体活動を高め、子どもの成長を促していくべきものと考えます。

 子どもは、外遊びを通して「におい・質感・感触・色・温度・痛み」などさまざまな感触を養います。また、自分たちで遊ぶものや遊び方を決め、限られた人、限られたものでいかに楽しく遊べるか考える想像力や発想力が鍛えられます。ほかの子とやりとりする機会が増え、コミュニケーション能力や集団のルールを学ぶことができます。目や耳、皮膚感覚など、五感を通して自然のものと接していく中で、さまざまな物事に対する認識を深めていきます。
 夏の暑い時期は、水に触れて気持ちよさを感じ取ることができます。しずくが光に反射して、きらきら輝くのを見たりするだけでも不思議がって喜びます。水のように可塑性が高い素材に触れて遊ぶことは、子どもの発達にとっても大切なことです。区は、水遊びの必要性をどのように考えていますか。見解を求めます。

【区長】次は、水遊びの必要性についてのご質問であります。
 保育におきましては、季節に応じた活動の経験も大切であり、水遊びにつきましても、その活動の1つと捉えているところであります。

 区の認可保育園の遊び場の敷地基準は、一人当たり3.3平方メートル×当該園の2歳児以上の人数とあり、この基準を満たさない保育園は、代替の公園などを設定しなければなりません。区は、決定する公園として、トイレ・水飲み場等がある場所が望ましいとしています。しかし、保育園から代替の公園までの距離や、徒歩での時間設定の基準がありません。また、複数の保育園が同じ公園を代替地として設定し、利用した場合、1人当たり3.3平方メートルという基準が守れない可能性があります。調べてみますと、区内の認可保育園で園庭が敷地内にあったとしても、認可基準に満たないため公園や児童遊園を代替場所にしている園は40園あり、そのうち全く園庭のない保育園が12園あることがわかりました。小規模保育園などは、ほとんど園庭がありません。代替場所として設定している公園と保育園の距離を地図上で落とすと300メートルから600メートルの範囲になっています。代替場所と言うなら、園児を連れて行ける身近な場所でなければなりません。しかし、さきに述べたとおり、実際には外遊びや散歩ができていない園あるのです。現在の代替場所が日常的に外遊びする代替地として適しているか調査し、対策をとるべきと考えますが、見解を求めます。

【区長】次は、代替遊技場の調査についてのご質問であります。
 保育園の代替遊技場につきましては、園がその責任において使用する場所を選定するものでありまして、区としましては、それに対して適切な助言をしてまいりたいと考えます。

 次に、午睡中の事故を防ぐために質問します。
 9月2日、区内の認可保育園で1歳男児が午睡中に死亡する事故が発生しました。突然、子どもを失った保護者の悲しみは計り知れません。その後の司法解剖の結果、死因は不明とのことであり、現在、事故の原因については調査中です。原因解明と同時に、どうすれば事故を防ぐことができるのか、取り組みが求められます。
 厚生労働省によると、全国の保育施設で子どもが死亡する事故は、平成26年には17件報告され、そのうち11件が午睡中の事故で、最も多いと言われています。厚生労働省が示している認可外保育施設指導監督基準では、睡眠中の子どもの顔色や呼吸の状態をきめ細かく観察するよう示され、特に医学的な理由で医師から「うつ伏せ寝」を勧められている場合以外は、ゼロ・1歳児のうつ伏せ寝の禁止、見回り、呼吸の確認の徹底とあります。昨年4月から、保育施設などで事故が起きた場合、自治体への報告が義務づけられ、今年4月からは、事故後に、事故の起きた背景を探り、再発防止に活かすための検証が行われることになりました。保育施設を指導、監督する立場にある自治体が再発防止の提言を行うことになっています。
 午睡中における保育士の業務や体制について調査を行い、ゼロ・1歳児をうつ伏せに寝かさないことや、子どもが寝ている間に、保育職員が部屋を離れないことを保育事業者に徹底していただきたい。区の見解を伺います。

【区長】次は、午睡中の事故を防ぐためにの項目に関連いたしまして、実態把握についてのご質問であります。
 区では、小規模保育所や民間の認可保育園について、区の職員が指導、検査を定期的に実施をしておりまして、特に午睡時間に訪問をして実情の把握に注力をしております。また、必要に応じて注意喚起、指導等も行っておりまして、今後も保育環境の安全性に対する状況把握を行っていきたいと考えております。

事故のあった保育園は、当日の職員配置について、「69名の児童に対し、11名の保育士が保育にあたり、法令上、定められた職員配置を行っていた。睡眠時の呼吸チェックはゼロ歳児については、5分に1度、1・2歳児は10分に1度行い、確認したことを示すチェック表も記載していた。うつ伏せ寝の防止も徹底していた」と報告しています。死亡事故の多くは認可外施設となっていますが、国が定める保育士の設置基準を満たしている施設でも死亡事故が起きていることを危機感を持って受けとめるべきです。
 保育事故をめぐって、今年の3月、国は事故防止のガイドラインを発表しました。しかし、現場からは、周知されていない、人員不足で徹底できないといった声が上がっています。区として、保育士の加配を行うなど、再発防止に向けた対策をすべきと考えますが、区の見解を求めます。

【区長】次は、再発防止対策についてのご質問であります。
 このたびの事故を踏まえ、区では認可保育所や小規模保育所などに対し、再発防止の徹底を行ったところであります。徹底に当たりましては、午睡におけるうつ伏せ寝の防止や午睡チェックの徹底、午睡中の職員配置の再確認など、安心安全な保育を担保する上で必要な措置について指導及び注意喚起を行ったものであります。今後につきましても、必要に応じた指導、監督に努めてまいりたいと考えております。

 次に、待機児対策についてです。
 今年5月、平成28年度保育所入所状況が発表されました。今年4月1日現在の実質待機児数は376人で、昨年より2名減ったものの、認可保育園を希望しながら入ることができなかった子どもは993人に上ります。待機児1,023人のうち、97%が認可保育園を希望したことになります。区の基本計画では、5年で待機児ゼロを目指すとしていますが、どのような状態を待機児ゼロと見通しているのでしょうか。見解をお示しください。

【区長】次は、待機児ゼロの状態の認識についてのご質問です。
 待機児の数は国の通知に基づいて算出をしておりまして、転園希望者、認証保育所など他の保育施設に入所中の希望者、特定園の希望者、育児休業取得中の希望者が除かれております。

 区は、待機児童対策として、今年10月から来年度に向けて、前倒しで3園を含む8園の認可保育と5園の小規模保育所開設へ向けて取り組み、740名の定員拡大を行うとしています。しかし、今年4月現在の待機児童は、ゼロ歳から2歳児の低年齢児が864名、87%いることからしても、現状の計画では全く間に合いません。待機児童が解消されない要因として、待機児の定義に問題があることは否めません。国が言う待機児は、育休中や他の保育施設を利用している場合は含まず、保育を利用できていない児童に限定し、いわゆる実質待機児と定義しています。この定義から除かれている児童は隠れ待機児と言われています。この乖離を指摘され、国も定義の見直しを検討しています。
 実質待機児をゼロにしても、待機児解消とは言えません。私たち区議団は、第一次申し込みで入所が決まらなかった人を基準に、1,300人分の定員拡大が必要と提案しています。待機児解消は、希望する認可保育園に入れていない子どもを基準にし、計画の目標を引き上げるべきです。区の見解をお示しください。

【区長】次は、実質待機児童ゼロでの目標についてのご質問であります。
 国は待機児童の定義の見直しを検討しているところであります。国の定義の見直しがありますれば、区は国の示す内容で待機児童数を算出をするものであります。それによっては、整備内容の検討をしていくこととなると考えております。

 大規模なマンションが局地的に建設され、今後も人口増加が見込まれる地域もあります。JR板橋駅前のB用地に保育所の開設計画を盛り込んでいただきたいと考えますが、見解を伺います。

【区長】次は、B用地への保育園開設についてのご質問であります。
 JR板橋駅前のB用地に関しましては、現在、隣接するJA用地との一体的に活用事業を進めております。一体的活用事業におきましては、区の魅力を発信し、区全体の交流人口、定住人口の増加につなげていく戦略拠点として、多世代が集い、交流してもらえる場所として整備をするものであります。今後、本事業を推進していく中におきまして、集合住宅が計画された場合は、保育所の整備について、板橋区大規模建築物等指導要綱に基づいて検討する必要があると考えています。

 新規開設が急増する中で保育の質をどう確保し、向上させるかが問われています。世田谷では昨年3月、保育の質を守る指針、世田谷区保育の質ガイドラインを策定し、公開しています。ガイドラインでは、子どもを中心とした保育を実施するための基本的な指針として、行政や事業者の果たすべき責任と役割を定め、保護者の参加、参画を推進すること、地域の資源を生かしながら包括的に支えていく仕組みを構築することにより、保育の質の向上を目指すとしています。当区でも、量だけでなく、質についての基準を持つべきです。板橋でも区独自の基準をつくり、公開していただきたいと考えますが、見解を求めます。

【区長】次は、保育の基準の作成についてのご質問であります。
 板橋区の区立保育園におきましては、これまで保育に関する研究の成果をマニュアルなどに集約し、保育の実践に活用しているところであります。今後は、板橋区の保育に関するガイドラインとして発展させるよう、作業を進めてまいりたいと考えています。

 次に、住まいは人権の立場に立った住宅政策を求めて質問します。
 「ひとり親です。子ども2人の成長に伴い、今の住まいでは狭くなってきた。それぞれが勉強できる部屋数、面積がある住宅を探しているが、家賃が高くて厳しい。都営住宅も検討しているが、倍率が高くて当選できない」や、「30代も半ばになり、自立したいが収入が低いため、親元を離れない」など、住まいに関する相談が寄せられています。
 働く貧困層が増え、年収200万円未満の若者の77%が親との同居で生活を維持しているとの調査があります。51%が相対的貧困状態にあると言われているひとり親家庭や、低年金の高齢者らは賃貸住宅の家賃の支払いが困難になってきています。低所得者ほど住宅費負担が重く家計を圧迫していることが浮き彫りになっています。住宅扶助費の削減で生活保護世帯も直撃しています。こうした住まいの貧困問題をどう認識していますか。

【区長】続いて、住まいの貧困問題の認識についてのご質問であります。
 現在、新たな板橋区住宅マスタープランの策定作業を進めておりまして、その中において区民の住まいに関するアンケート調査を行っております。アンケートには年齢や収入、家族構成、現在の住まいの状況といった設問もあることから、住宅費の負担状況等につきましても把握できると考えています。ご指摘の問題につきましては、アンケートの結果も分析をし、新たな住宅マスタープランの策定の過程において研究をしてまいりたいと考えています。

 区内には、都営住宅235棟(約1万1,000戸)や、区営住宅が15棟、区が借り上げて入居者の家賃負担の軽減を図った高齢者世帯向け住宅けやき苑が10棟あります。しかし、少ない募集に多くの希望者が集中します。最近の応募状況は、都営住宅は板橋区平均で26倍、区営住宅は世帯向けで18倍、単身者向けでは25倍と高く、入居はかないません。  区は現在、住宅マスタープランを見直しています。2010年に行った区民意識調査結果は、区の住宅政策に対する要望として、高齢者や障がい者等が安心して暮らせる住宅に関する支援や低所得者のための公的住宅の整備が高い割合でした。若年世代からは住宅に関する融資や助成制度など情報提供の充実、持ち家取得のための支援、子育て世帯が暮らしやすい住宅に関する支援が求められており、こうした区民の声にどう応え、今後の住宅マスタープランにどう反映していくかが問われています。低廉な家賃の住宅を求める世帯を把握すべきと考えますが、区の見解を求めます。

【区長】次は、低廉な家賃の住宅を求める世帯の把握についてのご質問であります。
 新たな板橋区住宅マスタープランの策定作業の中において行っているアンケートには、現在の住まいの状況や希望する住みかえ先と言った設問もあることから、低廉な家賃の住宅を求める世帯等の幅広いニーズを導き出すことができるものと考えています。

 住まいに困っている低所得者世帯への住宅供給を目的にした自治体の公営住宅は不足する一方で、民間の賃貸住宅の空き家は増加しており、区内に約3万戸の空き家があります。国土交通省は、空き家、空き室が約820万戸あることや、高齢者、若者、子育て世帯などで住宅に困っている人が増加している現状を踏まえ、今年3月に閣議決定した「住生活基本計画」で、新たな住宅セーフティネット制度の検討を進めています。しかし、具体的な政策は明らかにされていません。住宅ストックの有効活用を掲げているのであれば、区が民間住宅を借り上げるなどして、公営住宅並みの家賃で貸し出すことや、民間住宅への家賃助成を検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

【区長】次は、民間住宅借り上げによる公営住宅並み貸し出し家賃助成についてのご質問であります。
 住宅ストックである空き家の利活用につきましては、財政負担などの理由から、区立住宅の返還を進めておりまして、区が直接借り上げることは難しいと考えますけれども、所有者が利用者をマッチングするなどの空き家の有効活用を検討していきたいと考えます。また、家賃助成制度につきましては、経営革新の取り組みの中において、現金給付的事業であることから縮小していったものでありまして、財源の確保や将来の財政負担等を考慮し、慎重に検討すべきと考えております。

 次に、子どもの遊び場について質問します。
 道路や駐車場でキャッチボールをする子がいる、危ないと感じる、子どもの遊び場が少なくてかわいそう、今の子はどこで遊んでいるのか、公園にいてもゲームばかりという声がたびたび聞かれます。一方、区のアンケート調査では、回答した小学生のうち49%の児童が近所に望む施設として、サッカーや野球ができる公園、運動場を挙げています。子どもたちは自由に体を動かせる場所を求めているのです。
 今年4月1日現在、板橋区には、児童遊園を含む344の区立公園と3つの都立公園があります。それに対し、実際にボール遊びができる場所は、区立公園で13か所、緑道1か所、遊び場1か所の合計15か所しかなく、区内の公園全体の5%にすぎません。区内の数ある公園の中で、ボール遊びができる公園が限られている理由について認識を伺います。

【区長】次は、子どもの遊び場に関連いたしまして、ボール遊びができる公園が限られている理由についてのご質問であります。
 公園は住宅に隣接していることが多く、子どもたちの遊ぶボールが隣接する家に飛び込み、家や車を傷つけたり、公園利用者にボールがぶつかるなど、区への苦情や、対応の依頼が絶えないのが現状であります。このような理由から、ボール遊びにつきましては、キャッチボール広場のある公園に限って許可をしているものであります。

 子どもの遊び場や放課後の環境は、地域によってもさまざま違いがあります。区は、小学生はあいキッズでボール遊びができると言っています。しかし、あいキッズでは、使用できる時間帯や日数などに限りがあり、いつでもボール遊びに利用できるとは言えません。また、小学生以外は、さらに場所が限られ、取り合いになっています。区内にボール遊びができる公園が少ないと考えます。区長の認識を求めます。

【区長】続いて、ボール遊びができる公園の数についてのご質問です。
 公園内のキャッチボール広場を計画する場合におきましては、比較的大きな公園内に設置することとなりますが、既存の区立公園では、樹木等が障害になる場合や、隣接にお住まいのある方から設置に対して合意をいただくことが難しいところもございます。公園を利用する際には、他の利用者に気を配ったり、近隣に迷惑をかけないなど、社会の中で必要とされるルールを学ぶ機会にもなることから、今後も新しい公園の整備に努めていきたいと考えています。

 都市公園の整備を目的とする日本公園緑地協会が「キャッチボールのできる公園づくり」という活動の一環として、公園におけるキャッチボールとバット使用の制限状況を調査しています。そのデータによると、キャッチボールは全面禁止が52%、日時・場所により禁止が8%、禁止していないが40%、バット使用は、全面禁止が58%、日時・場所により禁止が7%、禁止していないが35%となっています。子どもの声がうるさいと苦情が寄せられることも増えていると聞きます。公園や広場そのものの使い方に、ほかの公園利用者に配慮した制約が多いこともあり、子どもたちが自由に遊べる場が少なくなっているのです。ボール遊びが禁止されているだけでなく、遊具が撤去されたり、使用禁止となる実態も影響しています。そうなれば、遊び場を求めて、本来遊ぶ場でない道路や駐車場など、危ない場所へ子どもを追いやることになりかねません。子どもの心身を健やかに育むため、スポーツの裾野を広げるためにも、自由な環境で遊べる公園の整備が求められます。ボール遊びができる場所を増やしてほしいと考えますが、いかがでしょうか。

【区長】次は、ボール遊びができる公園の増設についてのご質問であります。  現在、ボール遊びにつきましては、15か所のキャッチボール広場のある公園に限られております。この広場につきましても、最近、利用者のマナーが悪く、時間を守らない、直接フェンスにボールをぶつけるなど、近隣の住民の方から多くの苦情が寄せられているために、ふやせないのが現状でございます。

 次に、20代からの区民健診を求めて質問します。
 2014年、厚生労働省の国民健康・栄養調査の結果によると、調査当日に朝食を欠食した成人は、20代では、男性が30%、女性が25.4%、30代も、男性が26.3%、女性が13.5%で、欠食率は一昔前と比べると上昇傾向にあります。朝食を欠食すると、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病のリスクが上がることが多くの研究で示されています。
 さらに、今年の国立がん研究センターなどが実施している多目的コホート研究「JPHC研究」では、脳出血のリスクが高くなることがわかりました。若いころから食生活や睡眠、休養などの生活リズムを整え、健康意識を高めておくことは重要です。現在、食育基本法が制定され、学校などでは食に対する教育や健康について学ぶ機会があります。子どものうちに健全な食生活を確立することは、必要な栄養を摂取し、健やかな体をつくり、生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育んでいく基礎となります。若いころからの健診は、自らの健康状態を確認し、病気の徴候を早期に見つけることができるだけでなく、それまでの生活習慣を見直すことにもつながります。若いうちから健診を受ける必要性があると考えますが、区長の認識を伺います。

【区長】続いて、若いうちから健診を受ける必要性についてのご質問であります。
 区民一般健診や国保特定健診はメタボリック症候群の未然防止に重きを置き、生活習慣に由来する疾病等の予防や早期発見、早期治療を図るためのものでありますが、国の指針においてはいずれも40歳以上が対象となっております。本区におきましては、35歳から39歳までで健診を受ける機会のない方に対象年齢を引き下げて区民一般健診を実施をしておりますが、近年、若年層においても生活習慣病がふえておりまして、若いころからの健診の受診が望ましいということは認識をしているところであります。

 20代の健診の必要性は、病気の発見とともに、健康意識を高めることに狙いがあります。東村山市では、健康相談事業として25歳からの健康診査を実施しています。2010年から2014年度では、25から29歳の枠、30から34歳の枠、それぞれで毎年、受診率が上がってきています。また、墨田区では、勤務先、学校等で健康診断を受ける機会のない若年の方を対象に、若年節目健診を実施しています。20・25・30・35歳の誕生日を迎える区民の方は、無料で健診ができます。ふだん病院に行くことの少ない若者が定期的に健診を受けることで、日常生活のあり方を見直すきっかけになると考えます。
 最新の労働力調査によると、働く人の37.1%が非正規雇用です。5年前の調査より5ポイント上昇し、国保加入者が増大しています。職場の健康保険組合などに加入している方、公務員などで共済組合に加入している方は、1年以内ごとに1回、定期健康診断が義務づけられています。しかし、非正規雇用の方や主婦の方は、健診が義務づけられておらず、板橋では、35歳未満の方は健診費用の自己負担しなければ受けられません。板橋区は平成8年に「いたばし健康福祉都市宣言」を決議し、区民の誰もが健康で生き生きと暮らせる“生涯を通じた健康づくりと福祉のまちづくり”を目指すとしています。若い方たちが生涯にわたって健康に過ごすことができるよう、具体的な施策が必要です。他自治体の取り組みを調査し、20代から区民健診ができるよう求めますが、区長の見解を求めます。

【区長】次は、他自治体の取り組みの調査と、20代からの検診の実施についてのご質問であります。
 区民一般健診につきましては、現在、本区も含めた多くの特別区において、40歳未満の若年層も対象として実施をしておりますが、他区をはじめ他の自治体の取り組みについては、健診の項目や方法、受診率などを調査を行っていくものであります。本区では、受診対象年齢を35歳まで引き下げて実施をしているところでありまして、現時点でさらに20歳代まで引き下げていくことにつきましては、財政上の制約もございまして、慎重に考える必要があるものと考えています。

 最後に、加賀福祉園児童ホームの水漏れ事故について質問します。
 加賀福祉園児童ホームは、発達に遅れのある就学前の児童に対し、支援、療育を行っている施設です。毎日約30人が通園し、10人前後のクラスやグループに分かれて過ごしています。先日、施設1階教室の現状やトイレから水漏れが1か月以上続き、教室が使用できないとのことで、緊急に加賀福祉園児童ホームを視察しました。1階教室とトイレにはバケツやたらいが置かれ、天井にはカビ、壁紙がはがれている箇所もありました。施設長の話によると、「8月1日に水漏れが発生したため、日ごろからお世話になっている業者に点検を依頼した。8月1日と4日に業者が施設に来園したが、原因不明で改善せず。施設は8月5日に区に報告した。営繕課にも連絡したが水漏れ部分がわからないため、対応してもらえなかった。その後、調査のため、業者が施設に4回来園したが、原因はわからなかった。結局、8月30日に業者が漏水調査会社に連絡し、対応依頼をした」とのことです。工事が大がかりになることが想定されますが、児童ホームの運営に支障をきたすことはあってはなりません。区として責任のある対応をすべきと考えますが、見解を求めます。

【区長】次は、加賀福祉園児童ホームの水漏れ事故に関連いたしまして、区として責任ある対応をすべきと考えるが、見解を求めるとのご質問であります。
 区立施設であり、利用者の安全と健康を守ることは当然のことであります。指定管理者とも十分に調整を行いながら、速やかに対応を進めていきたいと考えます。また、対応に時間がかかった点につきましては、原因を精査し、改善を図ってまいりたいと思います。

 驚いたのは、8月1日以降も1週間は、児童、職員がこの水漏れしている部屋で過ごしていたことです。区立の施設であるにもかかわらず、児童や職員の健康に対する危機管理意識が低過ぎると言わざるを得ません。なぜ、こんなに時間がかかり、対応が遅れたのかというやりとりの中で、指定管理に任せていたので時間がかかってしまったという話がありました。加賀福祉園は、10年前までは直営でした。指定管理に任せているから対応が遅くなってしまったというのであれば、区直営に戻すべきではありませんか。区長の見解を求めます。  最後に、児童、職員の健康を守る対策、さらに成人の施設にしわ寄せが行くことのないよう、区として責任ある対応をお願いして、私の一般質問を終わります。(拍手する人あり)

【区長】最後でございます。指定管理者を、指定管理者のため時間がかかったのであれば直営に戻すべきではと考える、見解を求めるとのご質問であります。
 区では、民間でできることは民間にお願いするという考え方に沿って、指定管理者制度を活用しております。施設の維持管理区分について、区の責任と役割を踏まえ、指定管理者が迅速に対応できるよう改善し、指定管理者制度を活用していきたいと考えております。