ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、一般質問を行います。
初めに、地球温暖化対策について質問をいたします。
昨年の台風15号や19号が日本各地に大きな被害をもたらしたことは記憶に新しいことです。2017年の九州北部豪雨、翌年の西日本豪雨や台風21号など、大きな被害をもたらす豪雨や台風の災害が頻発しています。地球温暖化の深刻さを実感する事態が進行しています。
2020年以降の温室効果ガスの排出削減のための新たな国際的枠組みであるパリ協定が採択され、今年から始動します。パリ協定は、産業革命以降の世界の気温上昇を2度より十分低く抑え、1.5度未満に抑えることを目標に掲げています。1.5度未満の目標にするためには2030年までに温室効果ガス排出を45%削減、2050年までに実質ゼロにする必要があります。
昨年10月、国連の気候変動に関する政府間パネルの報告では、海面の高さはこの100年で最大21センチ上昇し、海面の上昇の加速がこのまま続けば、2100年には海面は1.1メートル、2300年には5.4メートル上昇するおそれがあることや、今後、風水害の被害が拡大する危険を予測しています。また、8月の報告では、1.5度上昇の場合であっても、水不足、山林火災、永久凍土の溶解、食料生産の不安定化などが進むが、2度以上上昇になれば、さらに高いリスクが及ぶと警告しています。風水害にとどまらず、地球温暖化防止は人類の生存を脅かしている、最も重要な環境問題になっています。
地球温暖化や気候変動による危機的状況について、板橋区はどのように認識しているかを、お示しください。
板橋区は2021年度から実施の板橋区地球温暖化対策実行計画2025を策定するとし、ことし9月に新計画の素案を発表するとしています。長野県では、知事が気候非常事態宣言とゼロカーボンシティ宣言を行い、2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す決意を表明しています。世界を見渡せば、1,100を超える自治体や政府機関が気候非常事態を宣言し、地球温暖化に対して、総力を挙げて取り組むことを表明しています。
実行計画策定においては、区民との認識の共有が必要です。板橋区として、気候非常事態を宣言することを求めます。見解を示してください。
現在の板橋区の計画では、温室効果ガス削減目標は1990年比でわずか1.8%削減であり、板橋区も、計画の目標は、パリ協定を踏まえた目標水準と乖離していることを認めています。新計画が現行計画の延長であっていいはずがありません。
国際社会は、2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ、2030年までに45%削減に動き出しています。区の計画もこの水準で目標を設定することを求めます。
あわせて、区や区民、区内事業者の責務を定めた板橋区地球温暖化防止条例を策定することを求めます。見解を示してください。
板橋区内の温室効果ガス排出量の分野別の推移を見ると、1990年を100とした場合、運輸や産業部門では54、51と削減が進んでいますが、家庭や業務部門では、131、130と顕著な増加を示しています。その大きな要因は人口増加とそれに伴う電力消費量の増加にあります。国の第5次エネルギー基本計画では、電源構成は化石燃料を使った火力発電が56%と過半数を占め、再生可能エネルギーは、わずか22から24%にすぎません。電気を使うことが温室効果ガス排出に直結しています。また、原子力発電は核のごみの処分や安全性が確立しておらず、福島第一原発事故からの教訓は原発をゼロにすることです。原発をベースロード電源にすべきではありません。再生可能エネルギー中心のエネルギー政策に切りかえていく必要があります。
国に対して、再生可能エネルギー中心のエネルギー計画に見直すよう求めていただきたい。見解を示してください。
地球温暖化防止策として区は、太陽光発電や蓄電池システム、HEMS、エネファーム、住宅の断熱化やLED化への助成を行っています。しかし、最も電力消費が多い、家庭電化製品の省エネ化への助成を行っていません。省エネ型に切りかえるための促進政策が必要です。家電の省エネ化は、家庭部門の温室効果ガス削減に最も効果的な政策であり、都内では既に足立区や国立市で省エネ家電買換え促進補助制度として取り組まれています。
板橋区においても、省エネ家電買い換えを促進するための補助制度の実施を求めます。
板橋区は1993年にエコポリス板橋環境都市宣言を行い、95年には、エコポリスセンターを設立しました。エコポリスセンター条例には、環境情報の収集と発信、環境教育、地球温暖化などの意識の啓蒙などが事業として定められています。策定された環境基本計画においても、エコポリスセンターの役割が示されています。その一方で、エコポリスセンターは、そのあり方も問われてきました。2010年のエコポリスセンターあり方検討会報告書では、「現エコポリスセンターを生まれ変わらせる」との表現まで使って、事業が陳腐化しないよう、改善が検討されてきました。ところが、今はどうでしょうか。エコポリスセンターは、公共施設の配置検討での前野地区のエリアマネジメントの対象としてのみ検討されているだけで、エコポリスセンターが今日まで果たしてきた役割や今後の役割については全く触れられていません。
エコポリスセンターを現在の地球温暖化の状況に見合った施設にすべきであり、検討が必要です。認識を示してください。
次に、平和について質問をします。
核兵器廃絶を願う多くの人々によって、国際社会は大きく前進しています。今年1月23日、パラグアイが批准し批准国は35か国に達し、核兵器禁止条約の発効が目前に迫っています。
今年は広島と長崎に世界最初の原爆が投下されてから75年目です。わずか2発の原爆によって二十数万人がその年のうちに亡くなりました。核兵器廃絶は日本国民の悲願であり、核兵器禁止条約の一日も早い発効が求められています。
一方、唯一の戦争被爆国である日本政府は、核保有国と非保有国との橋渡しをするという名目で、核兵器禁止条約に背を向け、署名も批准も拒否をしています。地方自治体や地方議会から日本政府に対し、批准を求める声を大きく上げていくことが求められています。
坂本区長は、政府に批准を求めた私たちの質問に対して、政府の判断すべきこと、動向を注視という答弁にとどまっています。
区長も参加している平和首長会議の2017年第9回総会ではナガサキアピールが採択されました。条約参加を自国の政府に働きかけていくこと、特に核保有国と核の傘にある国々の政府に強く働きかけていくことが強調されました。平和都市を宣言し、平和首長会議に加盟している区長として、日本政府に対し核兵器禁止条約の早期締結を強く働きかけるべきです。
核兵器禁止条約の発効が目前に迫っている今こそ、日本政府に核兵器禁止条約への署名、批准を求めていただきたい。また、ヒバクシャ国際署名及び核兵器禁止条約の早期締結を求める署名に区長自らが署名することを求めます。見解を示してください。
政府はアメリカの求めに応じ、12月27日、中東への自衛隊の派兵を閣議決定しました。この決定に伴い、1月11日には、P3Cが2機、2月2日には海上自衛隊の護衛艦たかなみが中東に向かいました。政府は今回の自衛隊派兵の法的根拠は防衛省設置法第4条、調査・研究に基づくと説明をしています。しかし、行政組織法である防衛省設置法の調査・研究を、実力組織である自衛隊の中東への派兵の根拠にするとは、余りにもひどい法の恣意的な解釈です。しかも閣議決定では不測の事態の発生も想定し、その場合には、海上警備行動を発動するとしています。中東地域はアメリカとイランの緊張状態が続く危険な地域です。不測の事態が発生すれば、自衛隊の戦闘行為につながっていく危険が極めて高いと言わざるを得ません。
しかも、政府は自衛隊の派兵を国会に諮ることなく、閣議決定のみで決め、国会に対しては事後報告で済ますとしています。国会を無視し、シビリアンコントロールも効かない事態です。海外に自衛隊を派兵すること自体、憲法9条に反するものですが、その決定のあり方自体も明白に憲法に反する違憲の行為です。
板橋区平和都市宣言は憲法に高く掲げられた恒久平和主義の理念をうたっています。
板橋区の区長として、危険な中東地域への自衛隊の派遣についてどのように認識しているかをお示しください。
この項目の最後に板橋区の平和事業の充実を求めて質問します。
幼いとき受けた感動や強い印象は成長しても人の人生を大きく左右します。それだけに平和の大切さや戦争の悲惨さを子どもたちに伝えることが板橋区の平和事業に求められています。区では、平和事業として中学生平和の旅、板橋平和のつどいとともに、区役所ロビー、赤塚支所などを使っての平和絵画・原爆展・平和展を行っていますが、学校施設での展示は、行っていません。多くの子どもたちに戦争や平和を考える機会をつくっていただきたい。
区が所蔵する資料を展示する機会を拡充することを求めます。区の見解を示してください。
次に、教職員の働き方について質問します。
私の中学時代のある友人は、板橋区内で小学校の教員を務めてきました。教務主幹であるとともに、6年生の担任を受け持っていました。さらに、その小学校は、ある課題の研究校で、その担当も任されていました。土日は課題研究に充てられ、睡眠時間は5時間を超えることがなく、毎日が激務だったそうです。2017年11月、地方で行われた研究会からの帰宅後、意識がもうろうになり、病院に搬送され、一命は取りとめましたが、58歳で教員を退職しました。この彼が私に、「こうしたことはどこの学校でも起こりうる、それほど今の現場の教職員は疲弊しきっている」と語っています。
まず、お聞きしたいのは、板橋区の教職員の勤務実態についてです。
2017年に行った区の教員勤務実態調査では、過労死ラインである在校時間週60時間を超える教員が小学校で42.0%、中学校で58.3%と、深刻な実態が明らかになりました。区は2019年度、全校に在校時間管理システムを導入し、一人ひとりの教職員の在校時間が、把握できるようになりました。これは、教職員の働き方を判断する上で重要なデータになります。
2019年度から実施された教職員の勤務時間の調査結果と把握した勤務実態の公表を求めます。
昨年3月、教育委員会は板橋区立学校における教職員の働き方改革推進プラン2021を策定し、当面の目標として週当たりの在校時間が60時間を超える教員をゼロにするとしました。在校時間週60時間とは、過労死ラインであるにもかかわらず、区はこの目標をいつまでに達成するか、また、どのように実現するか、具体的な進め方が明確になっていません。
今年1月27日発表の文科省の指針では、教員の1か月の残業時間の上限を45時間以内にするとしています。文科省の指針が求める勤務時間は、区の改革推進プラン2021の目標より、はるかに短いものになっています。このことを考えると、在校時間週60時間を超える教員をゼロにすることは、直ちに実現すべき目標ではないでしょうか。
週60時間の在校時間達成に向けた取組み、スケジュールを明確にすべきです。区の見解を示してください。
関連して、教員の変形労働時間制についてお聞きします。
教育長は、変形労働時間制について、教員の現状を長期の休業期間がある一方、学期末など長時間勤務となる場合が多いとして、「1年単位の変形労働時間制は、教員の働き方を見直す上で一定の効果のあるものと考えられます」と答弁しています。しかし、繁忙期と閑散期との勤務時間のつけかえでどうして教職員の働き方に効果があるのでしょうか。教員は子どもたちが夏休みの間も、行政研修や部活動指導が続き、閑散期どころか、年次休暇をとることもままならないのが実態です。現状の深刻な勤務実態は何も改善されない上に、閑散期とされる分を勤務時間として上乗せされる。これが変形労働時間制の実態ではないでしょうか。
教員の変形労働時間制についての認識を改めて示してください。また、教育長の答弁にある一定の効果とは何を指しているのかも示してください。
過労死ラインを超える教員をなくし、教職員の働き方を改善すること、それとともに、教員が子どもたちに向き合う時間を確保し、教育の質を向上させるためには、教員を増やし、少人数学級を実現することが決定的に重要です。
区費を使っての教員の増員を求めます。見解を示してください。
次に、区内小規模事業者への支援を求めて、質問します。
これ以上の増税はもうやめてという国民の悲痛な声を押し切って、政府は消費税10%への増税を強行しました。過去2回の増税との大きな違いは、実質賃金が下がり、経済が後退局面での増税であったことです。8%増税以来の家計消費の落ち込みは、10%増税によって、さらに加速し、10月の家計調査では対前年比マイナス5.1%を記録しています。家計消費は、商店の売り上げ減に直結し、10月の商業動態統計では、小売業販売額は前年比7.1%減となっています。私が行った聞き取り調査でも、増税以来、お客が激減した。飲み屋はみんな大変だ。売り上げが2割減ったなど、深刻な声が寄せられています。私の住む地域でも、飲食店の廃業やダイエー成増店の撤退が地元に深刻な影響を与えています。こうした区内で商売をしている事業者の実態を区はつかんでいるのでしょうか。
深刻な実態は板橋区においても予想されます。通年で実施されている四半期ごとの調査に加え、本格的な商業調査が必要ではないでしょうか。区の見解を示してください。
区は、区内全製造業者を対象に、3年ごとに板橋区製造業調査を実施してきました。前回の平成29年度調査では、事業承継の問題が浮き彫りになり、企業活性化センターの事業承継対策チーム立ち上げに結びついており、重要な調査です。
板橋区製造業調査の意義についての認識をお伺いいたします。
私は来年度実施予定の令和2年度調査に注目をしていました。それは、消費税増税の影響が区内製造業にどのような影響を及ぼしているのか、また、どのような支援が必要なのかのヒントを探るためです。
来年度の調査において、実効性ある調査を実施することが重要になっています。調査内容を示してください。
あらゆる経済統計が日本経済の落ち込みを示しています。板橋区内の商工業が深刻な状況にあることを認識し、直ちに対策を講じる必要があります。
新年度予算では、創業者向けの家賃助成が創設されましたが、区内で事業を続けてきた事業者への新たな支援策はありません。
特に影響の大きい小規模事業者への新たな支援が必要ではないでしょうか。区長の認識を示してください。
横浜市では、今年度、小規模事業者設備投資助成金を始めました。補助率は2分の1、限度額10万円となっています。20万円の設備投資をすると、半分の10万円を補助するという制度です。この制度の特徴は、補助対象が広く、使い勝手のいい制度にあります。
この横浜市が実施している助成制度のような生産性の向上や、成長を促す支援について、区の認識を示してください。
消費税の納税は事業者を苦しめています。このことは、税目の中で消費税の滞納がトップで群を抜いていることからも明らかです。個人事業者の場合、消費税の申告期限は3月31日、納付期限は4月23日です。滞納による延滞金の金利は8.9%と高く、滞納すれば、事業継続に深刻な負担となります。事業者にとって今年の消費税納付は増税の影響でさらに深刻になることが予想されています。
補正予算を組み、年度末の緊急融資を低金利で実施することを求めます。区の見解を示してください。
次に、農地の保全と農業の振興を求めて質問をします。
都市農業は、都市生活に欠かせない多面的な役割を持っています。しかし、1990年には70ヘクタールあった板橋区の農地は2018年には20ヘクタールへと激減し、生産緑地も地区数、面積とも3分の2に減少しています。
さらに、2022年には約8割の生産緑地が指定解除され、固定資産税や相続税の優遇措置が停止することから、農地の宅地化が一気に進むことが危惧され、特定生産緑地への移行を進めていくことが必要です。特定生産緑地制度とは、指定されることで、生産緑地同様の税制特例措置を10年延長して受けることができる制度ですが、現在指定が完了した生産緑地は28地区、3.49ヘクタールにとどまっています。期限が過ぎれば指定を受けることができないことから、積極的な取組みが必要です。
全ての生産緑地を特定生産緑地に指定することを目標に取り組むべきです。指定されていない生産緑地に対してどのように取り組むのかを示してください。
一方で、緑の保全計画で板橋区が農地を守るとしているのは、徳丸七丁目地区、大門地区、赤塚五丁目地区、成増四丁目地区の4地区に限られています。生産緑地では全体の20.8%にすぎず、これでは農地を減らさず、守ることはできません。
全ての農地を対象にして、農地を守るための方策を示してください。
2018年、生産緑地の貸借が可能になる都市農地の貸借の円滑化に関する法律が制定されました。生産緑地を行政が貸借することで、区民農園や体験農園として農地を守る道が開かれ、高齢化によって営農できない場合でも農地を残すことが可能になりました。
また、区民農園の需要は高く、区画数も減っていることから、農地を守るために、生産緑地を区民農園として整備し拡充していくことが求められています。
生産緑地、特定生産緑地であっても、営農を続けることが困難な場合は、区民農園、体験農園として区が貸借していくべきです。見解を示してください。
今年度、3名1法人が認定農業者として認定され、認定農業者になると東京都から手厚い補助や無利子融資が受けられるようになります。今後の課題は、認定農業者の事業計画を実現することです。販路と利益をどう確保するか、板橋区の支援が必要になります。
板橋産の野菜を販売するマルシェは、エコポリスセンターで行われ、区民から好評を得ており、農家の作物の販路として拡充が期待をされています。
マルシェを拡大し、地域センターなどでの区内産の野菜の販売を実施してください。区の見解を示してください。
また、農機具などの購入を補助する都市型農業振興・農地保全推進事業費補助金についてですが、2016年度は予算を使い切り、補正予算を組んでいます。また、今年度は8月に既に予算額に達しています。
希望する農家が助成を受けられるよう予算の増額や補正に素早く取り組むべきです。見解を示してください。
さらに、生産緑地を区が貸借し、区民農園として農地を保全するためには、区民農園への整備が必要です。
しかし、区民農園の整備は、農業者が3分の2を負担することになっています。都市型農業振興・農地保全推進事業費補助金の中にある区民農園整備事業は独立した助成制度にし、全額を区が補助するなどの改善が必要です。区の見解を示してください。
次に、児童発達支援施設事業所における給食費を無償にすることを求めて質問をします。
現在、板橋区の児童発達支援施設事業所の給食費は国の定めるとおりに、有料になっています。その一方で、区立私立を含め、認可保育園の給食費は区の独自の判断で無償になっています。
区内に住む、同じ3歳から5歳の就学前の子どもたちが食べる給食が、保育園では無料、児童発達支援施設事業所では有料、これでは公平性が保たれません。
私たちは、児童発達支援施設事業所の給食費も公費負担にすべきと求めてきましたが、区長は、他の自治体の動向を注視するとのみ答弁をしています。
その後の23区の状況はどのようになっていますか。お答えください。
他区でもこの不公平の是正に向け、動き出しています。幼児教育の無償化の際、保育園の保育料も児童発達支援施設の利用料も無償になりました。
児童発達支援施設事業所における給食費も保育園同様、区の判断で公費負担にすることを求めます。見解を示してください。
次に、危険なブロック塀対策の拡充について質問をします。
2018年6月に発生した大阪北部地震では6名の命が失われました。このうち2人は倒れたブロック塀による犠牲でした。安全であるべき通学路や地域の道路で命が失われたことは極めて深刻です。ブロック塀の安全については1978年の宮城県沖地震の際にブロック塀倒壊で多くの死者が出たことで早くから問題が指摘されてきましたが、抜本的な対策はとられていませんでした。学校や通学路などにあるブロック塀にとどまらず、危険箇所を地域の人たちの知恵や力を借りながら日常的に点検し必要な改善を継続的に図っていくことが必要です。
地震調査委員会は、マグニチュード7程度の首都直下地震が今後30年以内に70%の確率で起きると予測しており、危険なブロック塀の撤去の本格的な取組みが必要です。
通学路を含む民間のブロック塀に対しては、2018年10月から2020年3月までの時限的制度として、ブロック塀等撤去助成制度が始まりました。この実績は、2019年12月までの15か月での申請件数は101件、危険度Dランクに指定された288か所のブロック塀のうち、撤去された箇所は24件、8%にとどまっています。危険性を除去するには到底至っていません。その原因を掘り下げていく必要があります。
私たちは、当初からブロック塀撤去助成だけでなく、新規フェンスの設置に対しても助成制度をつくるべきと訴えてきました。
2020年度当初予算案には、撤去制度の継続とともに、新規フェンス設置に対する助成制度が盛り込まれましたが、危険なブロック塀の撤去を進めていくための目標が明確になっていません。
危険なブロック塀の撤去を目標にした計画を策定することを求めます。
撤去等の助成制度をどのように周知するのですか、その周知方法も示してください。
来年度から、ブロック塀の撤去に加えて、新規フェンスの設置に対しても助成されます。対象者に対する区からの働きかけに加え、事業者からの具体的提案が実効性を持つと考えます。
ブロック塀を所有する区民に解体業者やフェンスの業者が具体的な計画や見積もりをもって働きかけてこそ事態を変えることが可能になります。今回の助成事業を機に区内事業者の仕事おこしとして位置づけ、推進することが有効ではないでしょうか。区の見解を示してください。
最後に、高島平多目的運動場について質問をします。
高島平少年サッカー場は長年、子どもたちが無料でサッカーを楽しみ、試合ができる場所として、また、少年サッカーチームの6年生の公式戦の会場にも使用されてきました。一方で、砂地のグラウンドは、けがにつながることや、使用中だけでなく使用していないときにも砂が舞い上がるため、サッカー関係者の方々だけでなく、地元住民の方からも、人工芝化を求める要望が長年にわたり出されてきました。現在、人工芝化の工事が進められ、待望のグラウンドができ上がろうとしています。
ところが、4月からオープンするグラウンドの名称はもとの少年サッカー場ではありません。少年だけではない、サッカーだけではないという意味で多目的運動場となっています。
さらに、以前は無料であったものが、利用料として2時間で6,000円徴収することとしました。この有料化について、区は、サッカー連盟には説明してきたと言いますが、個々のチームへの説明はなされていません。12月に行われた個々のチームへの説明会で初めて有料化について知ったチーム関係者からは、聞いていない、納得できないとの声が出されています。
サッカー連盟少年部の参加費は現在8,000円だそうですが、有料化が実施されれば、参加費がはね上がり、参加できないチームが出てくる可能性や、連盟に加盟できても、連盟の使用する枠が減れば、人工芝のピッチでプレーできない子どもたちが生まれることが危惧されています。
高島平多目的運動場の来年度のサッカー連盟少年部の利用頻度はどのように変わりますか。お答えください。
板橋区スポーツ推進ビジョン2025では、基本目標の第一に区民の誰もが親しめるスポーツ環境の整備を掲げ、区民の利用しやすいスポーツ施策が第一にうたわれています。高島平多目的運動場利用を有料化することで、子どもたちの利用が減ってしまうことは、区のスポーツ施策にも反しています。
スポーツ推進ビジョンの精神に立ち戻り、高島平多目的運動場の利用料を無料に戻すことを求めます。区の見解を示してください。
以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴いただきましてありがとうございました。
◎区長 それでは、吉田豊明議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、地球温暖化や気候変動による危機状況についてのご質問であります。
地球温暖化や、それに起因するとされる気候変動につきましては、近年の異常気象が世界中にもたらしている災害をはじめ、人類の存亡にも関わる危機的な状況にあると認識しています。2015年のパリ協定においては、今世紀後半までの世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く保つとともに、1.5度に抑える努力を追求することとしております。区では、このような世界の潮流や国内外の動向も踏まえながら、現行計画の後継となる(仮称)板橋区地球温暖化対策実行計画(区域施策編)2025の策定を進めているところであります。
次は、気候非常事態宣言についてのご質問であります。
気候非常事態宣言につきましては、既に世界で1,000を超える自治体が行っておりまして、我が国におきましても、長野県や神奈川県など14の自治体が宣言を行っております。本区におきましては、平成5年にエコポリス板橋環境都市宣言を行い、区民や事業者とともに、都市生活が地球環境に及ぼす影響を認識し、リサイクルや省エネルギー等を推進してまいりました。来年度策定いたします板橋区地球温暖化対策実行計画(区域施策編)2025におきましては、気候危機への意識を高めるべく、区民と共有できるビジョンや、実効性のある取組みを示していきたいと考えています。
次は、板橋区地球温暖化対策実行計画2025における目標設定についてのご質問であります。
現在策定中の板橋区地球温暖化対策実行計画(区域施策編)2025におきましては、パリ協定やSDGs採択後の世界の情勢や国、東京都の最新の動向等を踏まえることとしております。昨年12月に発表されました東京都のゼロエミッション東京戦略においては、世界が気候危機に直面している状況を捉え、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目標としております。区では、この戦略との整合性を図り、2050年の目指すべき姿を共有するとともに、区内の二酸化炭素削減量の推移も踏まえて、計画最終年次の2025年度までの削減目標量を設定していく考えであります。
次は、区や区民、事業者の責務を定めた板橋区温暖化防止条例を策定することについてのご質問であります。
温室効果ガスの大宗を占める二酸化炭素につきましては、区内の排出量を部門別に見ますと、2016年度時点においては、家庭部門が約38%、業務部門においては約24%を占めております。このことから、区はもとより区民や事業者の取組みが必要不可欠であり、それぞれの主体が一体となって地球温暖化対策を進めていくことが肝要であると考えています。現在策定中の板橋区地球温暖化対策実行計画(区域施策編)2025におきましては、各主体の責務や取組みを明確化していく予定ではありますが、条例制定については、慎重な検討が必要であるとも考えています。
次は、国に再生可能エネルギー中心のエネルギー政策を求めることについてのご質問であります。
国の第5次エネルギー基本計画においては、再生可能エネルギーについては、2030年に向けては主力電源化への布石を行い、2050年には経済的に自立した主力電源化を目指しているところであります。一方、化石燃料につきましては、2030年に向けましては効率的、安定的な利用を行い、2050年に向けましては脱炭素化実現までの過渡的主力として位置づけているところであります。区では、国の政策を踏まえつつも、2050年の再生可能エネルギーの基幹エネルギー化を目指す東京都の戦略とも整合を図って施策を進め、必要に応じて国にも働きかけをしていきたいと考えています。
次は、省エネ家電買い換え促進のための補助制度についてのご質問であります。
現在、区では、太陽光発電システム、燃料電池システム、断熱化住宅、照明のLED化等に係る経費を一部助成する補助制度を設けております。家庭用電化製品を旧式のタイプから最新式のタイプに買い換えることによって、消費電力や二酸化炭素排出量を削減する効果が一定程度あることは認識をしております。区の補助制度につきましては、今後、地球温暖化対策実行計画(区域施策編)2025を策定していく中において、他自治体の動向等も踏まえながら、効果的な補助メニューを検討していきたいと考えています。
次は、エコポリスセンターを現在の地球温暖化の状況に見合った施設にすることについてのご質問であります。
エコポリスセンターは、平成7年の開設以来、環境情報の発信や環境啓発の拠点としての役割を主に担ってきておりまして、平成24年度からは、指定管理者制度を導入しております。現在は、世界的な地球環境問題に対する意識の高まりもありまして、区民や事業者、環境団体による自主的活動が活発化するなど、区の環境行政を取り巻く状況は大きく変化をしております。こうした状況の変化に対応すべく、出前事業等アウトリーチ的手法への転換や、若年層へのターゲット化、事業者、団体等の連携強化など、施設のあり方について幅広く検討していきたいと考えています。
次は、核兵器禁止条約への署名、批准についてのご質問であります。
国連総会において採択されました核兵器禁止条約は、批准国が35か国に達したことは認識をしております。ヒバクシャ国際署名と、平和首長会議による署名活動は、核兵器の廃絶を全世界に訴えていく点において、一定の理解を示しております。一方において、国際条約の批准等に関しましては、国が判断すべき事項でありまして、今後とも、国の動向を見守るとともに、平和な社会の実現に向けて努力をしてまいりたいと考えています。
次は、中東地域への自衛隊の派遣についてのご質問です。
政府は昨年12月27日に、中東地域での緊張が高まっている状況を踏まえ、防衛省設置法第4条に基づき、日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集のため、自衛隊の艦艇及び航空機の活用について閣議決定をいたしました。また、本閣議決定及び自衛隊による活動が終了した場合には、その結果を国会に報告することとしております。国家の安全保障に関わる施策等は政府が判断すべき重要事項であり、区としましては、政府の動向を見守っていきたいと考えています。
次は、本格的な商業調査の実施についてのご質問であります。
区内の経済動向の把握と分析は、産業振興施策の立案や、効率的・効果的な実施のために非常に重要と考えています。区では、四半期ごとの景況調査のほか、経営相談や企業活性化センターの経営改善チームによる支援を通じて、年間2,600件を超える事業者の経営課題に対して接しております。また、企業サポートコーディネーター事業を展開する産業振興公社や産業関連団体との意見交換などからも、中小事業者の経営状況の把握に努めておりまして、現在のところ、改めて本格的な商業調査を実施する予定はないところであります。
次は、板橋区製造業調査の意義についてのご質問であります。
製造業調査は、製造業を対象に、企業が抱える課題や行政機関への要望などをはじめ、区の産業施策の推進のために必要な基礎データの収集を目的に、平成20年度から3年ごとに実施をしております。調査に当たりましては、中小企業診断士が企業を直接訪問し、ヒアリングをすることによりまして、事業者の生の声を聞くことから、精度が高い実態把握につながる有意義な調査であると認識しています。
次は、製造業調査の調査内容についてのご質問であります。
ヒアリング形式の製造業調査は、有効性が高い一方において、製造業以外の業種の動向把握や経年比較をするために、新規の設問数に制約があるなど課題もあり、見直しの時期に来ているものと認識しています。こうした課題への対応や産業ブランドの構築などの新たな視点も加味した制度とするために、来年度の調査については見送ることとしております。
なお、制度設計に当たりましては、製造業以外の対象拡大や業種に応じた調査項目の見直し等を図るとともに、引き続き高い有効性を担保できるように、再構築をしていきたいと考えています。
次は、小規模事業者への新たな支援についてのご質問であります。
区では、消費税率の引き上げや自然災害などの区内経済への影響も勘案して、商店街の活性化事業や中小企業の先端設備投資、事業所の操業環境の整備に対する助成など、既存の補助制度を軒並み拡充することにしております。また、企業活性化センターの経営改善・事業継承チームによる相談体制や産業融資の拡充も行うことによりまして、小規模事業者への支援の拡充を図ることにしております。
なお、来年度から実施予定のベンチャー企業・起業家支援賃料補助事業は、創業者のほか、ベンチャー企業や区の産業支援施設からの退去者も対象としておりまして、要件を満たせば、既存の小規模事業者も活用が可能であるものと考えています。
次は、小規模事業者の成長を促す新たな支援についてのご質問であります。
区では、平成30年度から、中小企業による生産性向上のための先端設備導入計画の認定制度を開始するとともに、国の助成金が不採択となった場合の受け皿として区独自の設備投資への助成事業を実施し、約1年半において、92件の計画認定と32件の助成実績を上げております。また、日本商工会議所をはじめ、東京都や関係機関が実施しております類似制度の情報提供にも努めております。さらに、企業活性化センターの経営改善・事業継承チームによる小規模事業者からの相談体制を拡充することから、小規模事業者向けの新たな補助事業を行う予定はないところであります。
次は、年度末の緊急融資の実施についてのご質問であります。
消費税は、消費者の負担した税を事業者が納める間接税であることから、納税に的を絞った形での緊急融資を実施する考えはないところであります。一方、例年、年度末は融資のあっせん件数が増加するため、本年度におきましても、既存の産業融資制度を適正に運用し、中小企業における経営の安定化を図っていく考えであります。
次は、特定生産緑地指定への取組みについてのご質問であります。
区では昨年、生産緑地の所有者に対し、制度説明会を開催するとともに、意向調査を実施いたしました。また、説明会に加え、全所有者への制度関連資料の送付や個別相談会を実施するなど、きめ細かく対応してまいりました。特定生産緑地の指定については、生産緑地指定から30年が経過するまでに手続を完了する必要があるため、引き続き説明会や相談会を実施して制度の周知を図り、所有者一人ひとりに寄り添いながら、指定に向けて努めていきたいと考えています。
次は、全ての農地を守るための方策についてのご質問です。
平成24年に策定いたしました板橋区緑の保全方針においては、農地や樹林地が集積している4つの地域を農のみどり保全重点地区に指定し、生産緑地の買い取りも視野に入れて方針を策定しているところであります。また、4地区以外でも、区民農園の開設や農業体験農園の運営など、全ての農地を保全する方策と位置づけております。農業振興計画を兼ねる産業振興事業計画におきましても、特定生産緑地制度や生産緑地の貸借制度の活用や区民農園の維持を掲げておりまして、全ての農地保全に向けた施策を展開していく考えであります。
次は、区による生産緑地の貸借についてのご質問であります。
区では、生産緑地を区民農園として区が借りることが可能になったことについて、特定生産緑地の制度説明会や農業委員会だよりなどにおいて、積極的に所有者への周知を図っているところであります。また、農業委員会におきましても、JAをはじめとする各種農業団体の会合においてPRに努めていただき、区に貸したいという所有者からの相談も受けている状況でございます。引き続き、生産緑地の貸借制度への理解促進と高齢者や後継者問題を抱えた一人ひとりに寄り添った相談を通じて、生産緑地の保全につなげていきたいと考えています。
次は、マルシェの拡大実施についてのご質問であります。
区では、板橋ふれあい農園会の協力を得て、昨年1月の新春七草がゆの会場でのマルシェを皮切りにして、これまで9回のマルシェを実施してまいりました。エコポリスセンターでの実施に加え、仲宿地区まつりに出店したほか、さつきフェスティバルや区民まつり、農業まつりの直売もマルシェの名を冠して出店をしております。農業者にとりましては、JAなどへの出荷とは別に作付を計画して生産しなければならないことから、緊密に打ち合わせをしながら、様々な場所において出店できるように努めていきたいと考えています。
次は、農業振興等の補助金予算の増額補正についてのご質問であります。
区では、農業者からの要望を受け、平成28年度に栽培施設の整備に限定していた補助対象事業を大幅に拡大したことによって、多くの農業者に活用していただいております。しかし、現在の制度においては、大規模な施設整備などには対応できないために、今年度、認定農業者制度の導入を図り、東京都の補助金を区内農業者が受けられるようにしたところであります。大規模な施設整備や機械導入では東京都の補助金の活用をサポートし、従来規模の農機具や直売スタンドの導入では区が補助することによりまして、農業者の多様なニーズに応えていきたいと考えています。
次は、区民農園整備事業に対する補助についてのご質問であります。
生産緑地を区民農園として借り受けることが可能になったことから、区民農園の整備に対する農業者からの助成要望が増える可能性があることは、区の方としても認識をしております。一方、区民農園は、個人財産である農地を将来の返却を前提に区が一時的に借りるものであることから、区民農園として利用希望者に貸し出すに当たり、必要な土留めや柵の設置などについて、所有者にも一定の負担を求めているところであります。区民農園の整備に係る補助事業のあり方につきましては、現在のところ、従来の補助制度をベースに対応したいと考えています。
次は、児童発達支援施設事業所における給食費の無償化に関する23区の状況についてのご質問であります。
児童発達支援事業所における給食費の無償化は現在、23区中4区で実施をしております。
次は、公費負担による給食費の無償化についてのご質問です。
児童発達支援事業所における給食費につきましては、法のとおり、実費負担をいただくこととしております。導入に当たりましては、手続や運用等に係る課題もあるため、引き続き、他の自治体の動向を注視し、研究していきたいと考えています。
次は、全ての危険なブロック塀の撤去を目標とした計画策定についてのご質問であります。
危険なブロック塀等撤去助成による実績は、昨年までに100件を超え、一定の成果が出ておりまして、来年度からは、それに加えて新設助成も開始し、対策を強化したいと考えています。計画的な撤去の目標設定は、民有地のブロック塀等の強制的な撤去も難しいことから、引き続き粘り強く対応を行っていくことによって、危険なブロック塀等の解消を図っていきたいと考えております。
次は、危険なブロック塀等撤去等に対する助成制度の周知方法についてのご質問であります。
区では、危険なブロック塀等の撤去助成と来年度より開始する新設助成制度について、ホームページ、広報紙、チラシの配布等により、区民等への周知を行っていく考えであります。また、特に危険なブロック塀等の所有者に対しましては、引き続き直接訪問するなど撤去に向けた指導を強化するとともに、助成制度についても活用を促していきたいと考えています。
次は、ブロック塀等撤去及び新設助成に対応できる区内事業者登録制度の導入についてのご質問であります。
ブロック塀等の撤去助成制度創設以来、この制度を活用し、区内外の多くの事業者により撤去工事が行われてきております。区では、既に区内事業者をリスト化し、ブロック塀等の所有者から事業者についての相談がある場合においては、近隣の複数の事業者を紹介しております。事業者が所有者に直接働きかけられる区内事業者登録制度の導入につきましては、区内事業者に意見を聞くなど、必要性やあり方について研究をしていきたいと考えています。
次は、高島平多目的運動場の来年度のサッカー連盟少年部の利用頻度についてのご質問であります。
高島平多目的運動場につきましては、利用者拡大や施設の有効活用を図るため、少年サッカー専用施設から多目的に利用できる施設として、本年の4月にリニューアルオープンする予定であります。施設の多目的化に伴いまして、フットサルやグラウンドゴルフなど、多様なスポーツ利用が可能となることから、サッカー連盟に対しまして、年間の利用日数の調整についての協議を重ねてまいりました。協議の結果、実態として独占的であった利用形態の見直しにより、昨年度と比較をし約半分の利用頻度となりますが、連盟の大会運営等には大きな影響はないと聞いております。
次は、利用料の無料化についてのご質問であります。
無料施設の有料化につきましては、受益者負担の適正化や区民負担の公平性の視点も踏まえ、持続可能な施設経営を推進する上においては必要な方策であると考えています。有料化した施設を再び無料施設に変更する考えはございませんが、利用開始後も引き続き利便性の向上や利用促進を図り、地域に愛される施設としていきたいと考えております。
残りました教育委員会に関する答弁は教育長から行います。
◎教育長(中川修一君) 議長、教育長。
○議長(元山芳行議員) 教育長。
〔教育長(中川修一君)登壇〕
◎教育長(中川修一君) それでは、吉田豊明議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
初めに、平和資料の展示機会の拡充についてのご質問ですが、郷土資料館では、戦時中の写真資料を中心に、空襲被害や学童疎開、成増飛行場などの関連資料を多く収蔵しております。社会科見学で多くの子どもたちが訪れる郷土資料館においてこれらの資料を展示することが、戦争や平和について考える機会の提供につながるものと考えています。あわせて、今後整備される史跡公園におきましても、火薬製造所等の遺構を通じて、子どもたちが平和の大切さや科学技術の平和利用について考えるきっかけを提供してまいりたいと思います。
次に、教職員の働き方に関しまして、教職員の勤務時間の調査結果と勤務実態の公表についてのご質問ですが、在校管理システムによる集計結果によりますと、年度当初や学期末、学年末、学校行事等が実施される時期は教職員が長時間勤務となる場合が多いなど、厳しい状況がうかがえます。今後も、在校時間の把握、分析に努めるとともに、集計結果の公表を含め、教職員の働き方の実態を保護者、地域に対して積極的に周知し、取組みに対する一層の理解と協力を求めてまいりたいと思います。
次に、目標達成に向けたスケジュールについてのご質問ですが、令和3年度を終期とする板橋区立学校における教職員の働き方改革推進プラン2021の取組みを着実に進め、本プランの当面の目標である週当たりの在校時間が60時間を超える教員をゼロにすることを目指していきたいと考えます。一方、教員の働き方の現状は目標に対して厳しい実態があり、目標達成が困難となった際には、長時間勤務の解消へ、さらに踏み込んだ対応が必要であると認識しているところです。来年度は本プランの目標に向かうステップとなる重要な年であり、学校、教育委員会が一体となって、働き方改革の取組みを一層推進してまいります。
次に、教員の変形労働時間制の認識についてのご質問ですが、本制度の導入自体によって勤務時間が削減されるものではなく、導入に当たって業務の縮減や改善が着実になされることが重要であり、他の施策と相まって効果が期待されるものと認識しています。また、休日のまとめどりは、教員が自己研さんやリフレッシュの時間を確保できるようになり、教員という職業自体の魅力向上にもつながると考えます。結果として、意欲と能力のある人材が教員を目指すようになることで、教育の質の向上を期待できるものと考えています。
最後に、少人数学級の実現並びに区費教員の増員についてのご質問ですが、少人数学級につきましては、小学校第1学年で35人学級が全国的に実施され、小学校第2学年及び中学校第1学年で東京都が独自に教員を加配しておりますが、区独自に教員を採用することは、財政的にも困難な状況であると考えます。教育委員会では、教員1人当たりの持ち時間数を明確にすることが教員の数を増やすことにつながると考え、中学校教員の持ち時間数を高等学校並みに引き下げるよう、また、現状、持ち時間数が設定されていない小学校教員に持ち時間数を設定するよう、教育長会や指導室課長会を通じて、東京都教育委員会に要望を伝えているところです。
いただきました教育に関する質問の答弁は以上でございます。