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いわい桐子議員の賛成討論
2019.12.16 : 令和元年第四回定例会

 ただいまから、日本共産党区議団を代表して、陳情第67号高島平緑地に関する陳情に賛成する立場から討論を行います。

 本陳情は高島平緑地の伐採計画について、伐採する木の理由と根拠の提示や今後の計画を示すこと、鳥類、昆虫類などの生息調査実施、樹木医診断結果の公表、緩衝緑地帯としての機能について調査と維持を求めています。
 樹木医診断結果の公表以外は、ほぼ、平成30年4月に採択されたものと同様ですが、議会が全会一致で採択したにもかかわらず、執行機関の取り組みが十分ではなく、陳情者の願意がほとんどかなっていないことから提出されています。

 第一に、伐採する理由や根拠、また今後の計画が示されているとは言えない状況だということです。
 区は、11月の区政事務連絡会で高島平2丁目で21本、高島平3丁目で60本の木の伐採と高島平5丁目に新たに植栽することを報告しましたが、伐採は本数のみの報告で植栽は、何をどれくらい植えるのかは未定というものです。地元自治会からは、伐採計画について「説明会」を求める要望書が緊急に提出されています。
 11月の閉会中都市建設委員会では、区の答弁は、現地説明について「検討する」に留まっていました。その後、現地説明会を行うことが示されましたが、その掲示は遅く、掲示の仕方も不十分で、本委員会の質疑の中で掲示を再度求めたような状況です。
 また、現地説明会だけではなく、計画そのものを示してほしいという声には応えられていません。実施計画では、今後3年間で、毎年伐採、剪定を73本、100㎡の植栽、来年度には508本の樹木医診断の実施が示されていますが、その計画を区が地域住民に示したことはありません。
 しかも、今月19日に開催されるグランドデザイン説明会に、みどりと公園課が出席しないことには住民からも驚きと怒りの声が上がっています。10日に行われた現地説明会には20人以上が参加し、「現地説明会だけではなく、今後の計画や緑地の整備方針などの説明会を行ってほしい」という声が相次ぎました。こうした声に応えるべきです。

 第二に、緩衝緑地帯としての調査は行われておらず、その測定がもとめられています。
区は、測定しているといいますが、三園における測定であって、高島平緑地周辺の大気や騒音が樹木の伐採でどう変化したか分かるものではありません。
 高島平緑地と並行して通る高島通りは、トラックターミナルのトラックが、早朝から午後まで何十台も並び、アイドリングしたままのトラックも少なくありません。警察のパトロールは強化しているものの、トラックの駐車は後を絶たな現状です。地域住民にとって環境への影響を心配するのも当然です。区長は、「高島平緑地の緩衝緑地帯の機能を維持する」と答弁してきましたが、環境調査も行われていません。排気ガスや騒音の影響について環境調査を行うべきです。

 第三に、高島平緑地の生息調査を行う必要があるということです。
 区は、今年から3年間で区民参加型の「自然・いきものさがし」を環境政策課で実施していることで、願意はかなったかのように言いますが、とんでもありません。
 区の調査は、板橋区全域を対象に住民が見つけた生きものを登録するというもので、専門家が調査するものではありません。
 高島平緑地には、鷹の種類である「ツミ」が巣をつくっています。造園業などを営む専門家は「猛禽類が生息している所は、生態系が完成形に近い」と話します。また、過去に行われている生息調査も「高島平緑地」を対象にしたものではありません。地域住民は、生きものの生息状況を科学的に調査し、その生態系を守るための整備計画にしてもらいたいと願っているのです。

 第四に、樹木医診断の結果公表についてです。
 区は伐採する木の根拠を「樹木医診断結果による」と言いますが、その調査対象も本数も、伐採が必要な木がどれくらいあるのかも、地域住民にも区議会にも示してきませんでした。現在、情報開示請求を行わなければ、樹木医診断の結果を見ることができません。区は公表できない理由として「個人情報」といいますが、それは、委託業者の担当者名のごく一部で、マスキングすればその公開は何ら問題ありません。また、インターネット等で公開すれば量の多さは問題になりません。

 そもそも、こうした陳情が出される背景には、高島平グランドデザインのプロムナード構想によって、高島平緑地の木が減らされてしまうのではないかと危惧している住民が少なくなからです。
 しかし、プロムナード構想以降、その計画に対する考え方は、一切説明されていません。そうした中、高島平5丁目で大量の樹木が伐採されたことへのショックから、住民の区に対する不信感はとても大きくなっています。その信用も取り戻していないのに、「緑地の維持管理だから」と説明会を行わない姿勢が、陳情として現れているのです。
 区が「緑地の維持はみどりと公園課、今後の整備はグランドデザイン課だ」という主張を繰り返すことは「縦割り行政」を都合よく使って、住民への説明責任に背を向けることに他なりません。議会が全会派一致で採択したにも関わらず、区の姿勢が正されないのは、区議会の判断を軽視しているとしか言えません。「採択されたのに同じ陳情をだすことは、前回の議決を信じていない」などということは、不採択の理由にはなりません。むしろ、区議会として、区に対し厳しく要請すべきです。本陳情の採択を求めて討論を終わります。