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山内えり議員の賛成討論
2019.12.16 : 令和元年第四回定例会

 ただ今から、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、陳情第44号第1項、第4項、第72号第2項、第73号、第74号第1項、第3項、第4項、第5項、第75号、第76号、第77号に賛成する立場で討論を行います。

 本陳情は、補助第26号線道路計画と東武東上線大山駅付近の高架化によってハッピーロード大山商店街では多大な影響が生まれかねないとし、区、東京都、東武鉄道など横断的な組織の構築などの支援を求めるものです。
 また、駅前広場計画や大山駅付近の高架化により、立ち退き対象となる住民の不安や懸念が広がる中、関係する住民から強制収容を行わないこと、事前の説明、代替地の補償等を求めるものです。
 大山駅付近高架化と関連する側道、駅前広場計画は、都と区が年内に都市計画決定を行う段階となっていますが、その日程は、「年内」と言うこと以外、明らかになっていません。「都市計画決定されると建て替えや土地の売買などにどんな制限がかかるのか」、「事業認可まで進むと制限はどう変わるのか」など住民や商売に影響のある方々が不安や懸念の思いでいっぱいなのは当然です。

 陳情に賛成する第一の理由は、区が、補助第26号線道路計画を東京都と一緒に推進している以上、その対策は、東京都の指示待ちではなく、区として必要なことを検討し示すべきと考えるからです。
 道路計画によってハッピーロード大山商店街が170メートルも分断されることにより、40店もの商店に影響が及び、区の言う「にぎわい」そのものが大きく損なわれかねません。
 経済産業省の「全国がんばる商店街77選」にも選ばれ、板橋の顔と親しまれてきたハッピーロード大山商店街のにぎわいを守り、さらに発展させていくことこそ区の役割ではないでしょうか。
 商店会館の存続やアーケードの維持経費、商店街の年商に対する影響や補償内容の提示、道路計画の空き地活用、工事期間の事業継続への補償などは、商店街振興を進める区としてどうするか、積極的な対策が必要です。

 第二の理由は、駅前広場や側道は「道路」としての計画であることからも、強制収容に対する不安は非常に高く、区が「強制収容は行わない」という政治判断を示すべきと考えるからです。
 「強制収容」いわゆる「代執行」は、土地収用法によって、「公共性」が認められれば、持ち主の合意がなくても、行政が土地を取得できるという規定になっていますが、 そもそも土地収用法は改正を重ねたものの、土地を収用できる前提の「公共性」についての基準が曖昧という課題は未だ解決していません。駅前広場や高架化による土地収用が本当に「公共性」があるかどうかは、結果として計画主体の東京都の「収用委員会」が判断することになります。
 不採択した委員からも、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる」とする憲法29条第3項を理由に、強制収用を否定することは「違憲」だなどと言いましたが、あくまでも「できる規定」であり、違憲とは言えません。

 区は「強制収用はしたことがない」と言いますが、区として「しない」という答弁は一度もありませんでした。法律上できてしまうというのが現実であり、地権者の人たちが土地を奪われることへの不安をこれからずっと抱えていくことになります。だからこそ、区として本計画について「代執行はやりません」という政治判断を示す必要があるのです。

 第三の理由は、全体的な説明も不十分ですが、とりわけ高架化によって必要となる「側道」については、説明責任を果たしているとは言えず、住民合意形成への姿勢も見られないことです。
 約270人の地権者を対象にした説明は、行われていません。区は「素案説明会などで示してきた」と言いますが、過去3回配布された説明会の案内に「側道」の文字はひとつもなく、側道にあたる住所や位置が分かるものはありません。側道に影響する住民からは「説明会の開催を求めてきたがいまだに開催されていない」「知らなかった」という声が相次いでいます。都市計画法第3条では、区の責務として都市計画について「情報提供に努めなければならない」と示されています。説明責任を果たさないまま都市計画決定を行うべきではありません。
 また、不採択した委員は、「協議会などを立ち上げて約10年かけて結論を導き出したことを重く受け止める」と言いますが、住民と協議して平成26年に策定した「大山まちづくり総合計画」には、立体化を「高架」にすることも、側道の必要性も示されなければ、駅前広場の場所さえも言及しないものになっています。だからこそ、協議会に参加してきた人たちから「これまでの学習会や街歩きは何だったのか」「事前に説明もなく、結局最後は区が決めてしまうのか」と怒りの声が上がっているのです。
 そもそも、区内部の検討は、平成25年の「(仮称)大山まちづくり総合計画策定検討会」で「地下化ということであれば費用負担を区に求められる可能性があるため、高架が基本と考えている」と判断しているにもかかわらず、地元住民や区議会には「高架でも地下でも早期に実現」とごまかしてきたことは、これまでの議論は単なるガス抜きとしか言えず、住民や区議会への裏切りです。
 不採択した委員は、「都市計画審議会の結論を尊重する」と言いますが、尊重すべきは、採決を見送るべきとした動議が可否同数になったことや、計画決定に対し「反対」した委員が6人に上った事です。同時に、計画に対し、区や都へほぼ反対の意見書が2,000通を超えていることは、不採択の理由とした「一部の人の反対」とは到底言えことを示しています。

 第四の理由は、現在の代替地補償は、十分とは言えないからです。
 駅前広場計画の対象となっている医療機関とその患者から、今と同じ条件で診療や治療を受けられるよう代替地の補償を求めていますが、突然、降ってきた立ち退きについて、現状の水準補償を求めることは当然の要求であり、陳情文書には、その切実な思いが綴られています。
しかし、区は、その代替地について、「区有地の提供を検討している」に留まっています。そのうえ、どこの区有地が提供できるのかも委員会質疑では明らかになっていません。
 「なぜ、ふってわいたこの計画のために自分たちの家や営業権まで奪われ、移転先まで自分たちで決めろとなっているのか、納得できない」と怒りや不満の声が沸き上がるのは当然ではないでしょうか。
 以上、示してきたように、大山駅付近の高架化と駅前広場計画は、住民合意が得られているとは全く言い難く、区や都が住民の意見を無視して強行すべきではありません。むしろ、都市計画決定を一旦立ち止まって、住民要求を集約し、住民本位の立体化が進むよう転換すべきです。
 以上の理由で、本陳情の採択を求め、討論を終わります。