ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、「陳情第3号 板橋南部地域にコミュニティバスの運行を求める陳情」の委員会決定不採択に反対する立場で討論を行います。
大谷口・小茂根・向原などの板橋南部地域は、もともとバス路線が少なく、板橋区役所や文化会館などの公共施設、健康長寿医療センターや豊島病院などの医療機関へ行くことが大変不便です。本陳情は、この交通不便状況を改善するため、コミュニティバスを走らせることを求めるものです。
区のコミュニティバスは、赤塚地域にりんりん号があります。すでに10年が経過しており、バス1台で一時間に1本と十分といえませんが、地元の住民から喜ばれています。赤塚にりんりん号を走らせるための協議の期間も考えると、コミバスの検討が具体的に始まってからすでに10年以上が経過しています。
区は、公共交通が比較的少ない「大谷口・向原・小茂根」地域を対象として、2路線目を検討してきました。地域では「コミュニティバスが走れば、区役所や病院に行きやすくなる」と期待の声が高まっています。
しかし、その検討内容について、この10年、いつ、誰が、どのように検証してきたのか、その視点や検証内容などは見えず、区議会や住民へ、報告や説明などが行われてきたことは一度もありません。
コミュニティバス2路線目について、区は「交通政策基本計画」の中で示していくと言ってきたものの、計画には一言も触れられないまま計画策定が進んでいます。区は、計画策定後に設置する会議体で今後2年間かけて検討するといいますが、それがどういうメンバーで構成され、住民意見がどう反映されるのか、議題にいつ上がるのか、何も明らかになっていません。不採択を主張した委員は、「一定の結論を出す時期」と言いますが、区がさらに検討すると言っている段階で不採択する理由にはなりません。
本陳情を提出した方からは、コミュニティバスのルート案も出されていました。区は、この住民から提案された路線コースについては、「道路の幅員が狭い」「民業を圧迫する」として走行できないと示してきました。
陳情者が提出したルート案はすでにあるバス路線と重ならないよう作成されたものです。民間事業者が走らせていない所を走行するルート案に対し、わずかな部分が既存のバスルートと重なっていますが、それをもって「民業圧迫」とすることは、理由になりません。また、道路幅員については、たとえワゴン車にしても車両制限令にかかるため、双方向の場合、道路幅が4メートルでは難しいとしています。6メートルへの拡張がすすまなければ、コミュニティバス走行の可能性は乏しくなります。また、道路幅員については、白線の内側の幅がどれくらいあるかというものですが、白線の位置については「警察との境界協議」となります。しかし、これまでの委員会質疑では、警察と協議した形跡すらありません。
都市計画課は、板橋南部地域のコミュニティバスの実現にむけて、試行錯誤してきたはずです。しかし今後の検討に対しては、福祉タクシーなど、コミュニティバスとは別の方法を検討するとしています。
こうした区の答弁では住民にとっては、なぜコミュニティバスを通すことができないのか、納得できるものではありません。その結論や検討の総括が示されなければ、次の方法の議論には移れるはずがないのです。
区は、住民の切実な要望に向き合うために、この10数年の検討のあり方について総括し、コミュニティバスの2路線目について、その考え方や方針を、逃げずに住民に示すべきです。
交通不便状態を解決することは喫緊の課題です。区は責任をもって、一日も早く移動手段を確立でするよう、あらためて求め、私の討論を終わります。