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竹内愛議員の反対討論
2020.3.3 : 令和2年第1回定例会

 ただ今より、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、議案第10号 東京都板橋区職員定数条例の一部改正条例について、反対の立場から討論を行います。

 本議案は、2020年度の職員定数を3,476人とし、各所管における増減等を新たに定めるものです。新年度の職員定数は、退職者174名に対し、新規採用は166名にとどまり、主に現業職員の退職不補充による更なる委託化や民営化を進める内容となっています。また、人口や業務の増加が反映されず、総数は、4年連続で増減なしとなっており、実態を無視したものと言わざるを得えません。以下、具体的に指摘いたします。

 ひとつは、職員の超過勤務を前提とした職員配置となっている点です。
 2018年度の区職員の超過勤務時間は、264,204時間で一人当たり平均では69.8時間でした。また、超過勤務が月45時間を超えた人は、279人、その内、3か月連続で45時間を超えた人は56名となっています。過労死ラインと言われる月80時間を超える人は39名にのぼり、部署によっては、正規職員を複数名配置できるほどの超過勤務の実態があり、改善されていません。区は、季節的な繁忙など一時的なものもあるといいますが、職員の健康相談にも一時の繁忙期の業務でも負担が大きいとの相談が寄せられています。また、区が、超過勤務の実態を正しく把握していないことも問題です。この間、区立保育園での超過勤務及びサービス残業の実態を示してきたにも関わらず、未だ調査さえも実施していません。新年度においても、勤務時間を把握するために必要なシステムや機器の導入は盛り込まれていません。これでは、適正な配置ができるはずがありません。職員の超過勤務を前提とした配置はやめるべきです。

 次に、現場の要求に応えていない点です。
 新年度の定数では、各所管からの人員増の要求74名に対し、51名の増に留まっています。
 福祉事務所では、ケースワーカーの不足はもとより、7人に一人の査察指導員という厚労省基準も適用せず、ケースワーカー9人で一係の配置は是正されません。より複雑化する利用世帯への対応や膨大な事務処理で体調を崩す職員も少なくない中で、さらに一部職員への負担が重くのしかかっています。
 また、現業職員においては、退職不補充を続け、新年度においても正規職員の新規採用を見送っています。他区においては、数年前から土木・調理・用務などの新規採用を進めており、世田谷・文京・墨田・中央・港・目黒・新宿にも広がっているのです。
 日常業務はもとより、災害時や今回のような感染症への対応でも、緊急時には、現場を熟知した現業職員の専門性が必要であり、それは直営だからこそ緊急対応に活かせるのです。現場からの要求に応え、必要な人員を増員すべきです。

 次に、委託化や民営化を一層推進する点です。
 既定事業では、保育園の廃園・民営化により保育職員26名、学校用務の委託化で6名の人員削減が行われています。区は、区立保育園の役割として地域の子育て支援の拠点とし、地域の保育施設の連携保育や支援・指導を行うとの方針を示しています。しかし、民間保育施設は、公設民営・私立認可園・小規模・家庭福祉員・ベビールームを合わせると、184園です。現状でも、区立1園に対し5園という実態です。さらに新年度開設予定の私立園4園が加わります。こうした民間保育施設では、保育職員が不足し、人材確保が困難なため、支援や手立てが求められています。このような状況が改善されない中で民営化を進めることは、公的責任の放棄に他ならず、区の保育水準の低下を招きかねません。
 区は、民営化や業務委託・指定管理制度の推進により区の人件費は抑えられていると言います。公務労働であるにもかかわらず、担うにふさわしい処遇にはなっていません。改善する策も示さず、むしろ区が率先して官制ワーキングプアを拡大していることを認識すべきです。加えて、公務労働のアウトソーシングにより、区として運営についてのノウハウが蓄積・継承されず、事業者を選定するだけの役割になっていること自体、行政の質を下げるものであり、容認できません。

 次に、特定事業主行動計画の実行や今後の行政需要に則した配置が示されていない点です。
 特定事業主行動計画は現在第4期の策定を行っていると聞いていますが、女性管理職の登用、ワークライフバランス、男性職員の育児休暇取得など、主要な目標において、全く達成できていません。また、令和4年度開設予定の児童相談所に関わる人材育成・確保についてのロードマップも示されていません。児童相談所の運営には、一時保護所を含め、児童福祉士・児童心理士・保育士・保健師など、専門職の確保・育成が欠かせません。そのためにも、区立保育園や保健所・健康福祉センターの充実こそ進めるべきです。こうした観点からも、委託化や民営化を進める姿勢は改めるべきです。

 最後に、新年度より、会計年度任用職員制度が始まりますが、現時点で必要人数が確保できず欠員が生じています。
 正規職員と同様の業務や産休・育休代替として任用されているケースもあるなど、本来、正規職員の増員で対応すべき職が散見されます。非常勤職の処遇改善はもとより、正規職員の抜本的な増員を図るべきです。

 職員が全体の奉仕者としての役割を果たすために、健康に働き続けることができるよう、また、災害などの緊急時の対応も踏まえた充分な職員体制を図るべきであり、全体として増員のない本議案に反対し、討論を終わります。

以上