ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、議案第36号「東京都板橋区国民健康保険条例の一部を改正する条例」に対する委員会決定「原案可決」に反対し、討論を行います。
本議案は、2020年度の国民健康保険料率等を決めるために、出された議案です。
国民健康保険事業は、その法の第1条で、社会保障である、と定められています。にもかかわらず、国はその国庫負担割合を減らし続けました。しかも国保に対する国の責任をさらに減らすため、法を改正し、「都道府県単位化」へと制度変更を行いました。各自治体へは、交付金を使って徴収強化を誘導し、一般会計からの繰り入れ額を徐々に減額することを求めています。これを受け、板橋区では、新年度は、東京都への納付額の4%分を激変緩和措置として、一般会計から繰り入れるとして算定を行っています。6年間かけて繰り入れをなくしていくため、新年度は今年度より1%分繰り入れを減らすものになっています。
反対する第1の理由は、高すぎる保険料をさらに引き上げることです。
新年度の一人あたりの平均保険料調停額は、13万377円になります。今年度より2,792円、2.2%増え、総額でいうと、約1億3530万円の負担増です。
今年度に続き、新年度も均等割額の5割減額・2割減額の所得基準額が拡大され、減額を受ける対象が広がりは、しています。しかしその対象は、わずか452世帯に過ぎません。所得割では医療分で0.11%下がりますが、支援分で0.05%上がり、また支援分の均等割額が600円上がります。そのため、対象となる世帯で保険料が下がる世帯は、単身世帯で年収250万円以上、2人世帯で400万円以上、3人世帯で500万円以上の世帯に限られています。
特に世帯主が40歳から64歳までのいわゆる現役世代への負担割合が大きくなっています。介護分の所得割が0.29%も上がったため、すべての世帯が負担増になっています。
さらに賦課限度額も、医療分で2万円、介護分で1万円併せて3万円も引き上がることになり、収入に応じた保険料に、なっていません。
議案に反対する第2の理由は、負担の重い世帯への改善がまったく考慮されていないことです。
国保加入の88.5%が年間所得300万円以下の世帯です。新年度は、この所得の低いほとんどの世帯の負担が増えることになります。
モデルケースで見ますと、年収300万円、世帯主45歳で妻と子どもの3人家族の場合、介護分も入れて保険料は37万542円です。保険料が収入の1割を超えています。これ以上の保険料の引き上げは無理です。2018年度の加入世帯の24.7%が保険料滞納になっていることがこのことを如実に物語っているでは、ありませんか。ちなみに、協会けんぽで同じ前提で保険料を見ると、その額は17万2335円です。国保料の半分以下です。いかに国保料が高すぎるかは、明らかです。
国保加入者は、高齢者・障害者・無職の人など、社会的に弱者といわれる人が多くを占めています。さらに医療を必要とする人が多いため、医療費は必然的に膨らむことになります。
その医療費の二分の一を保険料として低所得者に課しているのです。払いたくても払えない保険料額になってしまうのは当然です。特に今回は新型コロナウィルスの影響を受け、保険料の納付が厳しくなるフリーランスなどの自営業への対応は待ったなしに求められています。
板橋区は、特別区長会を通じて、均等割額について、多子世帯における負担軽減などの改善策を国に要望してきた、としています。そうであるならば、せめて、子どもの均等割額を区として減額するなどの支援策を実行に移すべきです。
地方自治体は、住民の命を守る砦です。どの医療保険よりも負担率の高い国民健康保険料は、引き下げるべきです。議案第36号には、改めて反対を表明し、討論といたします。