ホーム > 板橋区議会における日本共産党板橋区議団の討論 > かなざき文子
かなざき文子議員の反対討論
2017.10.11: 平成29年第3回定例会本会議

陳情第155号「障害者・多子世帯・ひとり親世帯への国保料の均等割りの軽減を国と東京都に意見書の提出を求める陳情」不採択に対する反対討論

 ただいまより陳情第155号「障害者・多子世帯・ひとり親世帯への国保料の均等割りの軽減を国と東京都に意見書の提出を求める陳情」に対する委員会決定「不採択」に反対し、討論を行います。

 本陳情は、障害者、多子世帯、ひとり親世帯への国民健康保険料均等割り額の軽減を、国と東京都に求めて区議会から意見書を提出してほしいという願意のもとで提出されてきました。

 区はこの陳情の概要説明において、「多子世帯と、障害者・ひとり親世帯とでは、軽減の趣旨が違う。障害者とひとり親世帯は低所得者世帯であり、低所得者に対しては減額が実施されている。多子世帯において、所得のない子どもにも均等割り額が人数分、かかるため、保険料が高くなってしまう というものとでは、別問題として考えるべきだ」と述べています。
また、低所得者世帯へのさらなる軽減と、多子世帯への保険料軽減については、区長会、全国市長会から同趣旨の内容が要望として国に対して出されているとのことでした。
 まず第一に、今回のこの陳情が出されてきた背景、そして広がる現状をみるならば、決して別問題ではないということです。
 平成22年度以前、東京23区では大都市特有の物価の高さ、家賃の高さなどを考慮し、障害者、多子世帯、ひとり親世帯など、収入の低い世帯や子育て世帯の経済状態を配慮できるようにするため、さまざまな控除が反映できる「住民税方式」をとってきていました。
 ところが、都道府県単位化に向けて全国と同じ国保料の賦課方式に変更するとし、平成23年度からさまざまな控除が反映されない「旧ただし書き所得方式」へと変えられてしまいました。そのために障害者、多子、ひとり親などの世帯で保険料が引き上がり、「住民税方式に戻してほしい」など、その改善を求める声が広がっていきました。今回の陳情の、その一つとしてみておかなければならないということです。
 平成23年度の保険料通知が届いたとたん、ある障害者のおられる国保加入世帯の方から、これでは払えないという相談が寄せられてきました。障害者控除が反映されない旧ただし書き所得方式に変わったため、保険料が約1.5倍へと跳ね上がっていました。これまで生活保護を受けずに頑張ってこられたご夫婦でしたが、結局生活保護を受けざるをえなくなっていきました。ひとり親世帯も同じです。寡婦控除が反映されない旧ただし書き所得方式となったため、保険料が大きく引き上がっていきました。高すぎる保険料がその賦課方式を変えたことで、ますます払うことができなくない実態となったのは、なにも軽減を求めなければならないのは、区も認めているように多子世帯だけではありません。障害者もひとり親も同じなのです。

 第二は、低所得者に対しては均等割り額の減額措置があるといっても、保険料自体が高すぎるという問題です。
住民税方式だった最後の平成22年度、均等割り額は医療分だけでも3万9900円でした。しかし今現在は均等割りだけでも、さらに約1万円も引き上がっているのです。いくら減額措置があるといっても、毎年引き上がっているのですから、もう限界です。
 今年度の国保料の計算で、世帯主40歳、妻40歳、子ども2人 収入400万円で比較した国保料の順位をみると、板橋区は都内どこよりも所得に占める負担割合が高いという結果でした。荒川区と同じワーストワンです。均等割り額は同じですが、介護分も入れた所得に占める割合は18.34%です。さらに、子どもの国保料を比較するならば、23区は三多摩と比較しても高い子どもの保険料額になっているのです。
 社会保険では子どもであろうと障害者であろうと、扶養している人の保険料は取っていません。しかし国保は加入者すべてに均等割り額を課しているのですから、払えなくなる事態が広がるのも当然です。
委員会において不採択とした意見では「すでに必要なことは区がやっている、低所得者に対しては減額措置が取られており、多子世帯と同列に並べることはできない」、と言っていました。
区は市長会等を通じて国に要望は上げていますが、必要なことはやっているという認識に立つことはできません。さらに先に述べたように、障害者もひとり親もその負担をなくすことの必要性は多子世帯と全く同じに求められるものです。
    
 さらに本陳情は、区議会から意見書の提出を求めています。区が国に要望を提出していれば議会は出さなくていいというものでは決してありません。行政と同じく区議会としても、国と都に対して改善を求めてこそ、改善につながるのではないですか。板橋区議会としての姿勢が問われています。
 よって、区議会として本陳情の採択することを強く求めて、討論を終わります。