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かなざき文子議員の反対討論
2018.3.2: 平成30年第1回定例本会議

請願第2号「生活保護基準の最大5%引き下げの「見直し案」に対し、国に撤回の意見書を提出していただく請願」不採択に対する反対討論

 ただいまより日本共産党板橋区議会議員団を代表して、請願第2号 生活保護基準の最大5%引き下げの「見直し案」に対し、国に撤回の意見書を提出していただく請願 に対する委員会決定「不採択」に反対し討論を行います。
 本請願は、厚生労働省が示している5年に1度の生活扶助基準の見直し案に対し、最大5%の引き下げ方針の撤回を求めて区議会から国に対し意見書を提出してほしいというものです。
 請願にもあるように、国は平成25年の8月から3か年、最大10%の引き下げを行いました。板橋での影響は約1億3千万円強とみられます。
 今回の引き下げが実施されるとどれぐらいの影響が出るかは、まだ詳細には出されていないのでわかりませんが、引き下がる世帯は大都市を中心として67%の世帯となります。引き下げ率は平均1.8%、最大で5%の引き下げに、総額210億円も生活扶助費が削減される内容となっています。
 採択すべきとする理由の第一は、これ以上健康で文化的な最低限の生活を切り下げてはならないということです。
今回の基準見直しは「一般低所得世帯」、いわゆる所得が最も少ない10%の層に合わせて引き下げるという方針です。では、その10%層の実質所得の推移をみるならば、1999年は162万円、2004年154万円、2009年140万円、そして2014年134万円と、実質所得が下がり続けています。
 OECD(経済協力開発機構)のデータでみると、各国の貧困ラインは日本以外、どの国も大幅に上がっています。ところが日本だけは『貧困ライン』が下がり続けています。貧困ラインが下がり続けているというのは、一般の国民の所得が下がり続けているということです。日本では、この5年間で働く人の実質賃金は年間15万円下がっているという異常さです。
 不採択を主張した委員はなんの質疑も行わず意見で「社会保障審議会において、低所得者世帯の消費実態と生活扶助基準のバランスが適切に図られているかという観点により検証が行われており、両者の間に認められた乖離を是正するということを行ってきた。今回の見直しは妥当であり、撤回には応じられない」と不採択としました。区の資料によると、前回の引き下げの前、平成25年4月時点母子3人世帯の生活扶助基準は月21万6798円でした。今回の出された基準でいくと、約19万8700円へ、2万円も引き下がる内容です。65歳のひとり暮らしでは、平成25年4月時点は月8万818円の生活扶助基準でしたが、約7万9075円に引き下げられる内容となっています。
 そもそも生活扶助基準は憲法25条で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を送るために定めた基準です。その基準を一般低所得世帯の水準が下がったから、そちらに合わせるということの方が大きな問題です。生活保護の基準以下であるにもかかわらず、生保を受けないでがんばっている区民はたくさんいます。真夏は電気もエアコンもつけずに扇風機ひとつで我慢をし、寒い冬はコートを着てこたつのスイッチを入れないでくらし、食べるものは100円ショップでインスタントラーメンを買って我慢している。一日の食費は500円までに抑えるようにしている実態は、憲法25条の最低限の文化的な暮らし以下です。いま政治がやるべきことは、こうした非人間的な状況を少しでも改善するために、生活扶助基準を引き上げ、年金の底上げ、非正規社員の正社員化、男女の賃金格差の是正、最低賃金の引き上げなど、国民の収入、暮らしの水準をあげていくことこそ、しなければならないのです。
 採択すべきとする理由の第二は、生活扶助基準の引き下げは、就学援助、住民税、保育料、介護保険料、最低賃金などに連動するものであり、全ての国民の権利に関わる問題だということです。
 例えば就学援助です。区内で就学援助を受けている児童生徒は、現在約3人に1人です。生活扶助基準が引き下がると、就学援助の対象からはずれる児童生徒が出てくることになります。そうなると給食など、子どもの学校教育にかかる負担が一気に増えることとなります。それがどれほどの負担を、そして新たな貧困を広げるか、はかりしれません。 
 本請願を採択し、区民の暮らしを守る政治への転換を求め、本請願を採択し、意見書を提出すべであることを述べ、討論を終わります。