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かなざき文子議員の反対討論
2018.3.26: 平成30年第1回定例本会議

議案第33号「東京都板橋区国民健康保険条例の一部を改正する条例」に対する反対討論

 ただいまより日本共産党板橋区議会議員団を代表して議案第33号「東京都板橋区国民健康保険条例の一部を改正する条例」に対する委員会決定「原案可決」に反対し、討論を行います。

 本議案は2018年度の国民健康保険料を決めるために出された議案です。

 今回の議案では、基礎賦課額保険料の所得割率は2%引き下げていますが、均等割り額は1.6%の引き上げで3万9000円です。また賦課限度額は4万円増の58万円です。後期高齢者支援金等賦課額保険料は所得割率が13.3%の引き上げ、均等割り額は8.1%引き上げです。40歳から64歳までの介護保険第2号被保険者の介護納付金賦課額保険料について、今回は所得割も均等割も据え置かれました。

 区の資料によると、被保険者の一人当たり平均保険料は前年度9万8236円に比べ、5512円の増となり、10万3748円となり、全体への負担増額は3億6635円になります。
 今回も均等割り額の軽減対象となる所得基準が拡大されますが、新たに5割減額、2割減額となる
方は全被保険者のうち0.7%にすぎず、多くは負担増となります。

 反対する最大の理由は、今回の条例改正が、国が国民健康保険事業に対する責任をさらに削減するため、「都道府県単位化」への制度変更を行った、その制度改正を受けた条例改正であるということです。
制度改正において国はいっそう「徴収努力」と称して「取り立て強化」を自治体に求めています。さらに、今日まで高すぎる国保料を払えない事態を少しでも改善すべく、各自治体が行ってきた一般会計からの繰り入れに対し、あくまでも激変緩和であるとして、徐々に減額するよう国は求め、そのことが、加入者へのさらなる負担の増大につながろうとしています。

 国民健康保険制度は制度開始当初、社会保障制度として国庫支出割合を医療費総額の2分の1に責任を持っていました。ところが国はその後、臨調行革路線において、その負担割合を大きく減らし、その後も削り続けてきました。こうした改悪の影響を受け、自治体、被保険者に対する負担が、年々増え続けてきたのです。

 本当に国が求めるように一般会計からの繰り入れをなくすことになると、一人当たり医療分だけで8214円の負担増となります。ここには医療費の影響は含まれていません。区としては新年度、一般会計からの繰入額が約8億円減るとしています。委員会において、一般会計からの繰り入れがなくなるとやっていけるのかという質疑で、区は一般会計からの繰り入れが減る分、徴収強化でがんばると答弁しました。改めるべきは国保に対する責任を削り続けてきた国の支出割合を大幅に増やし、高すぎる保険料を引き下げ、誰もが安心して医療に係ることができるようにすることです。
国の社会保障制度を「自己責任論」にすり替える政策にのった改正はやってはなりません。        
 
 反対する第二の理由は、今回、新たな制度の下で、加入者が払うことのできる保険料に改善をした内容になっていないということです。
 国保加入者は高齢者、障害者、無職の人など、社会的に弱者といわれる人が多くをしめています。ですから医療を必要とする人が多く、かかる医療費は自然と膨らみ、その大きな医療費の半分を低所得者に保険料として課しているのですから、払いたくても払えない保険料額になって当然です。  たとえば給与所得者200万円収入世帯主45歳で妻と子どもの3人家族の場合、介護分も入れて保険料は24万7129円と、収入の12%を超える負担割合です。ちなみに7年前、住民税方式で保険料が計算されていた最後の年度である平成22年度は、この世帯では国保料は11万4960円でした。保険料の算定方式を変えられ、さまざまな激変緩和策もなくなり、倍以上の保険料負担を課され、どうやって暮らして行けというのですか。これ以上の保険料引き上げはもう無理な状況です。

 今回の保険料率を決める際、23区長会は統一保険料とすることは確認しましたが、各区が統一保険料額に合わせない判断も是とされました。その結果、保険料を引き下げる区、均等割り額を据え置き、一般会計からの繰り入れ解消を6年間ではなく、9年間にするなど、内容の良し悪しはあるにしても、独自で判断して決めた区が3区ありました。つまり板橋区も独自の考えで、保険料引き上げを止める手立てが取れたということです。
委員会において賛成とした委員から、区はできることは最大限行っていると評価するとの意見が出されていましたが、そうでしょうか。どの医療保険料よりも高い国民健康保険料です。その高すぎる保険料を引き下げてこそいえるのではないでしょうか。この間、区は区長会も通じて均等割り額について、多子世帯における負担の軽減などの改善策を国に要望してきました。ならばせめて、区として均等割り額を据え置くなど、なんらかの努力をすべきだったと判断します。

 また委員会において、「負担の公平性」から致し方ない、との意見がありました。しかし、どうみても他の医療保険に比べて収入に応じた負担となっていません。他の医療保険と同様の負担割合ならばまだしも、異常なほどの負担割合、それも社会的弱者が加入者の多くをしめているにもかかわらず、その負担割合を改善もせず放置したままで「公平性の観点」の論はないでしょう。

 以上、述べてきましたが、低所得者、医療を必要とする人が多くを占めている国保加入者に対し、これ以上の負担を課すのではなく、高すぎる保険料を引き下げることこそ政治の責任で行うべきであることを再度申し上げ、討論を終わります。