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かなざき文子議員の反対・賛成討論
2018.3.26: 平成30年第1回定例本会議

議案第1号「平成30年度東京都板橋区一般会計予算」、議案第2号「 同 国民健康保険事業特別会計予算」議案第3号「同 介護保険事業特別会計予算」議案第4号「同 後期高齢者医療事業特別会計」に反対し、議案第32号「平成30年度東京都板橋区一般会計予算に対する修正動議」に賛成する討論

 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、議案第1号「平成30年度東京都板橋区一般会計予算」、議案第2号「 同 国民健康保険事業特別会計予算」議案第3号「同 介護保険事業特別会計予算」議案第4号「同 後期高齢者医療事業特別会計」に反対し、議案第32号「平成30年度東京都板橋区一般会計予算に対する修正動議」に賛成する立場から討論を行います。

 5年にもなる「アベノミクス」は、より格差と貧困を広げ、大企業中心の政治の影響は地方自治体へも大きく広がり続けています。日本の富裕層上位40人の資産がこの5年間で2倍へと増え、その金融資産額は15兆9260億円と、日本の人口の約半数6000万人が持つ資産と同じです。一方、非正規労働者は2000万人を超え、貯蓄ゼロ世帯も全世帯の35.5%1788万世帯となっています。法人税減税と大企業にしか恩恵のこない課税方法によって、大企業の内部留保は、ついに400兆円を超えました。
 税金の集め方、そして使い方が間違っています。

 こうした国政の影響を受ける国民の暮らしをどう支え、温め、人間らしい暮らしを保障できるのか、いま地方自治体の使命、役割はますます重要になっています。

 板橋区の新年度予算が、こうした姿勢になっているかが問われていました。しかし、残念ながら新年度の予算案は、そうはなっていないと判断いたします。以下、具体的に指摘いたします。

 まず第一に「区民の暮らしによりそった予算」ではないということです。
 生活保護世帯数は微増で、新たに生活保護を受ける世帯はいわゆる現役世代である「その他世帯」と「高齢者世帯」に著しく、実質賃金の減、年金収入の減、社会保障にかかる負担の増など、これ以上どこを削るのかもう限界、という世帯が増えていることがうかがえます。

 国民健康保険は「都道府県単位化」制度へと変えられ、「徴収努力」と称して「取り立て強化」にいっそう自治体の取り組みが強められることが危惧され、同時に国は、高すぎる保険料を少しでも引き下げるために各自治体が行ってきた「一般会計からの繰り入れ」に対し、あくまでも激変緩和であるとして、徐々に減額するよう求めています。区は6年かけて繰り入れをなくし、繰り入れができない分を徴収努力で収入増をめざすとしています。一方で、人権侵害と指摘される差し押さえは、今年度はすでに600件を超えて過去最高となっており、それ以上の徴収強化を進めるのはやめるべきです。
これまでは23区は統一保険料方式で全区が同じ保険料率を用いていましたが、新制度では統一保険料方式を残しつつも独自の保険料率等にすることが可能となっています。こうした中で独自の保険料とした区も3区出ています。多子世帯などへの負担増大を改善すべく、区として均等割り額の据え置きなど、少しでも国保料を引き上げない独自の保険料額を設定することは十分可能であり、検討すべきでした。

 介護保険制度も新年度から始まる第7期事業計画の保険料はまたしても引き上げで、標準保険料の階層で前期対比10.4%の引き上げです。
後期高齢者医療制度は国の激変緩和措置として行ってきた所得割率減額の縮小・廃止の影響も受けるなど、約7割の世帯で保険料引き上げとなります。
 ここで見ておかなければならないのは、トータルとして社会保障にかかる高齢者世帯の負担増です。たとえば年収211万円の単身75歳以上では、医療と介護合わせて1万4千円の負担増に、2人世帯でも2万300円負担増です。こうした負担増が生活保護を受けざるを得ない事態を徐々に広げていることをみておかなければなりません。広がる生活困窮の実態を改善する予算の計上は何もないことが予算審査を通じて明らかになりました。独自の軽減策等の実施が求められています。

 「子どもの貧困対策」については、「子どもの貧困係」が新たに設置されたとはいえ、係では全庁的な調整を進めるには不十分です。また最も求められている「経済的支援」の拡充が図られておらず、子育て世帯の暮らしに寄り添った予算とはいえません。私費負担の軽減、給食費の無料化、就学援助の充実、保育料の引き下げなどが求められています。

 第二は、区民不在、区民の声が届かないまちづくり予算だということです。
JRと区が一体となって進めるとした「板橋駅前B用地」開発事業は、この間の地域住民の要望も無視し、35階建ての民間マンションを自治体がつくるというだけでなく、2月23日にJRと交わした基本協定文書も共同事業者が決まるまでは開示しないとしています。JRとの一体開発はやめるべきです。

 大山駅周辺のまちづくりについても、「26号線がハッピーロード商店街を分断し、さらに大幅にアーケードが失われてしまう」、また東上線の立体化と駅前開発計画の素案説明会では「「高架化に異議あり」と地下化を求める声の多さ」、そして「26階、27階建というクロスポイント地区再開発計画に対して周辺住民からは「風害、日照」に対する不安が出される」など、当初、大山まちづくり協議会が作り上げた「まちづくり構想」とは一転した内容と、その進め方に、「いったい誰のためのまちづくりなのか」と、東京都、板橋区、そして民間デベロッパーに対する疑義の声は今も強く寄せられ続けています。
高島平地区のグランドデザイン計画では、老朽化した区民館、プレハブのままの健康福祉センターなどが放置されています。大きなまちづくり構想のために区民の安心・安全が損なわれ続けてはなりません。待ったなしの公共施設整備の計画を手がけるべきです。

 第三は、広がる民への開放がもたらす弊害と公務労働のあり方の問題です。
 区は行革方針として、「民への開放」「退職者不補充」をかかげてきました。事業の民間委託、さらに施設管理・事業運営の指定管理者制度が進められ、毎年のように「委託料の見直し」が行われ、公務労働現場における「ワーキングプア」が常態化してきています。自治体が格差と貧困を広げてはなりません。官製ワーキングプアをなくし、生活できる賃金へ、さらに公共サービスの質の向上のために「公契約条例」を実施し、改善する必要があります。
新年度から食品検査の委託が導入され、区民の安全に係る細菌検査について、23区の多くが直営としている検査まで委託するとしました。その理由は「経費削減と退職者不補充」です。区民の安全第一は自治体の使命であり、行革方針のために公的責任を放棄することはやめるべきです。
あいキッズでは、現場は区の積算根拠に比べて実際は2倍から3倍の指導員の配置をしています。ですから一人当たりの賃金、給与は低く、処遇改善策は急務です。区として実態を調査の上把握し、委託費を増額すべきです。
 職員定数については同じとしましたが、過労死ラインである月80時間以上の時間外勤務を行っている職員が90名を超えていること、保育現場でのサービス残業の横行、学校現場でも過労死ラインを超えた働き方が小学校42%、中学校58.3%など、深刻な実態となっています。ただちに職員定数を拡大し、職員、教職員の配置増をすべきです。
 
 第四は、真に地域経済を温める予算になっていないということです。
 産業融資の実績が増えることは、新規事業や設備投資につながり、区内における事業活性化となります。ところが区の融資制度には、例えば11区が実施している震災後の復旧に対応する融資制度はありません。区内製造業の実態調査でも「運転融資資金の充実」を求める声が半数を超えており、区の融資制度の不十分さがうかがえます。融資実績1番の大田区に比べ、板橋区は実績件数は大田区の3分の1、実績額は半分です。融資制度の抜本的改善が必要です。また事業承継問題は深刻です。区内事業者で継承する人が決まっているのは30%にすぎません。2025年には区内事業者の3分の2が70歳以上になります。深刻な事業継承問題は喫緊の課題です。
 
 第五は未来をになう子どもたちの成長・発達が大事にされていないということです。
 まず、保育施設の4月入所1次申し込みは、4054人の申し込みに対して、認可保育園入所は区外も含めると1200名が不承諾となっています。区はこの間待機児童対策として認可保育園の増設を進めてきたものの、目標とした新年度の待機児ゼロは達成できない見通しです。公有地、空き公共施設、民有地含め、区が設置場所を確保するべきです。さらに、保育の質の確保という点で、区立保育園の新設に踏み出すべきです。
 放課後の全児童対策として実施されている「あいキッズ」については、就労家庭の児童の成長と発達を保障する取り組み後退させてはなりません。補食のメニューや提供方法など、改善が求められています。
 また、子どもたちの命と健康に係る問題である学校給食の牛乳における異味・異臭事件については、保護者・教職員・児童生徒の意見を尊重し、事実を明らかにするよう強く求めるべきです。教育委員会は児童生徒の安全最優先の姿勢を貫くべきです。

 さらに学校施設については、年度途中に予算精査を実施し、いったん見送られた工事に差金等を充てるなど年度内実施の改善が求められます。
新年度予算は小中1校ずつ「統廃合」が強行された予算です。板橋第九小学校の学区域では子どもが増えているにもかかわらず廃校されました。さらに、統廃合準備計画に、あいキッズの引継ぎ等が完全に抜け落ちているなど、廃校ありきに走り、強制的に転校をせまられた子どもたちが、安心して過ごせる放課後の保障について検討がされていませんでした。
また、あいキッズの施設のうち、3割強でトイレが男女兼用となっています。人権はぐくむ現場で人権侵害な状態を放置していることは許されません。ただちに改善すべきです。

 第六は、区民の知る権利が後退し、基金ありきの財政運営となっていることです。
 地域経済へは自己責任をおしつけながら、JRなどの大企業には区民の財産である区有地を、まるで無償で提供するようなことはしてはなりません。そのうえ、基本協定書を公開できないという不透明さの中で開発計画が進められていくことも異常です。
さらに野口研究所跡地を史跡公園にするための土地の売買について、なぜ区が直接野口研究所、あるいは財務省から購入できなかったのかなど、その経緯が明らかとなっていません。これらのことについては直ちに明らかにすべきです。

 自治体の財政は、「住民の暮らしに寄り添っているか」「住民の福祉の向上が第一になっているのか」が基本に貫かれるべきです。しかし区は「スクラップandビルド」「サンセット方式」としているために、各部署は、何かを削らないと新しいことができない、それも3年たったら見直すとなっています。この間、どの部署も、経費を削りに削り続け、これ以上削れない状況になっています。必要と判断された新たな事業を行いたくとも、代わりに必要な事業を削らなければできなくなっています。方針そのものが、真に住民に寄り添った予算にはなりえなくなっていることを指摘しておきます。

 その一方で、区は基金の積立額を増やし続けています。しかし、今、区がすべきことは、生活困窮が広がる実態に向き合い、住民本位のまちづくりを進め、体力消耗で倒れそうになっている区内中小零細業者、商店などにこそ、地域経済の活性化を託せる予算をかけるべきです。財源がないというのではなく、こうした施策を基金を使って実施すべきです。
住民の需要にこたえる予算編成こそ、民主的な区財政であるということを述べておきます。

 さいごに、私たち会派が提出しました予算修正動議についてです。
 「子どもの貧困対策」「子育て世代の支援」としての施策の充実と災害対策の強化、そして平和事業の拡充を願い、提出した修正です、修正案額は当初予算案の年度末見込みの財調基金額の約1.5%でしかありません。そしてこれらの内容は、住民の福祉の向上をはかるためであり、また切実かつ緊急性のある内容です。さらに産後1か月健診については、その必要性が国や東京都にも認められるものとなっており、尚且つ議決された事業であることからも、一日も早く実施することが求められています。

 分科会において、いくつかの事業が歳入の部で国や東京都からの支出金が盛り込まれていないことのご指摘がありました。ご承知の通り、国・都の支出金は前年度中に申請等の必要な手続きを行わなければなりません。しかし修正動議はあくまでも政治判断のもと提出しており、そうした手続きはとっておりません。結果、初年度については、区独自の財源で実施することとし、歳入の部に盛り込むことはいたしませんでした。
 その財源として財政調整基金としたことへの疑問も出されておりましたが、地方財政法第4条第3項は積立金の運用についての規定です。逐条解説をみるならば、「運用には行政水準を維持するために、その他必要やむを得ない理由が含まれる」とあり、必要と判断される事業の財源とすることが可能となっています。予算修正動議は、子どもの貧困対策など、区民の命、安全を守る事業として緊急かつ必要な施策に絞り込んでの提出であり、ご指摘はあたらないと考えます。

最 後に、本年3月をもって退職されます119名の職員のみなさまに、心から感謝を申し上げますと同時に、お身体をご自愛いただき、今後ともご活躍されますことを祈念いたしまして討論を終わります。