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かなざき文子議員の反対討論
2018.3.2: 平成30年第1回定例本会議

議案第15号「東京都板橋区介護保険条例の一部を改正する条例」に対する反対討論

 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表して議案第15号、東京都板橋区介護保険条例の一部を改正する条例に対する委員会決定「可決」に反対し、討論を行います。
本議案は、一つは所得指標の改定で、政令改定に伴っての改正です。二つ目が、第7期介護保険事業計画において板橋区の第1号被保険者の保険料を改定するために提出されたものです。所得指標の改定については賛成ですが、板橋区として第1号被保険者の保険料が実質引き上げる改定については反対です。

 反対する第一は保険料を引き上げるということです。
 第6期の標準保険料額6万4500円を第7期は7万1200円に、10.4%の引き上げになります。介護保険制度が始まった時、第1期の標準保険料額は月3084円でした。それが第7期は5940円です。約2倍にまで負担が引き上がっています。介護保険料の引き上げは高齢者に重い負担となっています。法によって月1万5千円以上の年金受給者は原則年金引き落としのため収納率は確かに高いのですが、残った年金で暮らすことはとても厳しいものがあります。年金が月1万5千円未満のいわゆる普通徴収の人たちは昨年の11月時点で2万3367人ですが、そのなかで、保険料が未納となっている人は5460人です。23.4%もの人が払えない事態にあるということです。所得第4段階以上の人は、国が今後消費税を10%に引き上げた時に軽減を行うとしている階層にもあたりません。本人非課税の階層では、介護保険料が収入に占める負担割合は国民健康保険料や後期高齢者医療保険料より重くなっています。例えば二人世帯で年金収入168万円の世帯では、平成29年度13万5千円で8%の負担割合、新年度は14万6千円、8.7%と、負担は重くなるばかりです。国が第6期から公費を投入し、低所得者への保険料軽減に踏み切ったのは、介護保険料の負担が大きいという認識からです。自治体としてやるべきことは、さらなる保険料の引き上げではなく、公費の投入で保険料の引き上げをやめることです。

 第二の理由は、介護保険料を引き下げる努力についてです。
今回区は介護給付準備基金を17億8千万円強のうち15億円を投入して保険料の引き上げ抑制にあてるとしました。しかし、これまで基金はたとえ全額投入したとしても、必ずと言っていいほど、余って積み立てられてきました。第5期の最後は約12億円だった準備基金が第6期最後にはそれ以上に積み立てられたのですから、基金を全額投入するという判断も必要だったと考えます。実際に他区の基金の状況をみるならば、全額投入して保険料を抑制している自治体があります。

 区は減免3原則があるので、一般会計から保険料抑制のために公費を投入できないといつも言いますが、そのことについては、何ら法には決められたものではなく、法律として公費投入は違法でも何でもありません。この問題での国会質疑では、当時の坂口厚生労働大臣は「3原則を乗り越えて独自で公費を投入している自治体はあり、それを政府がやめろとは言っていない。自治体の主体性を尊重している。」と答弁しています。
 ですから、本議案で示されている保険料引き上げに対し、一般会計から保険料を引き上げないための必要な経費を投入することは区長の決断ひとつででき、その努力をすべきでした。

 毎年のように年金収入は減らされ、各種保険料などの引き上げで高齢者の生活保護世帯が増え続けています。生活保護世帯数は全体としては減っているにもかかわらず、高齢者世帯だけは増えている実態をみるならば、これ以上の負担増は医療難民・介護難民を増やすだけではないでしょうか。
 区も賛成した議員も「介護保険制度の維持」をしきりと強調します。しかしすでに介護保険制度は破たんしており、この制度の維持のために、暮らしていけない、医療や介護を受けることができないなど、区民の命、くらしが維持できない事態をもたらしてはならないことを述べ、討論を終わります。