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竹内愛議員の反対討論
2018.10.30 平成30年第3回区議会定例会

報告第1号2017年度東京都板橋区一般会計歳入歳出決算及び報告第2号同国民健康保険事業、報告第3号同介護保険事業、報告第4号同後期高齢者医療保険事業の各特別会計の歳入歳出決算の認定についての反対討論

 ただ今より、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、報告第1号2017年度東京都板橋区一般会計歳入歳出決算及び報告第2号同国民健康保険事業、報告第3号同介護保険事業、報告第4号同後期高齢者医療保険事業の各特別会計の歳入歳出決算の認定について、反対する立場から討論を行います。

 2017年度決算は、歳入歳出差し引き額55億7800万円で、前年比28.8%増、実質単年度収支でも12億4800万円の黒字です。財政調整基金は、当初予算で取り崩したものの、その額を上回る積み立てが行われ、14億3200万円の増です。区は、歳入が増加した理由として、海外経済の回復、国内経済においては、雇用・所得環境の改善をあげています。
 しかしながら、納税義務者が増加しているのは、課税標準額200万円以下の低所得層で、区の納税義務者の6割を占める状況となっています。また、所得が増えていると言いますが、1人当たり所得は、月額1,874円増えたに過ぎません。
ところが、区は、今後の行政課題や人口減少社会の到来などを理由に、区財政が厳しくなることを強調する一方、目の前の区民の暮らしの厳しさには目を向けていません。このことが施策や予算執行にも現れています。
 年度の初日に出された副区長名通達には、歳入確保として、滞納対策による徴収強化、歳出に当たっては、経費圧縮を追求するよう強調されています。
 こうした方針は、区職員の自由な発想を委縮させ、また、区民を善と悪に振り分け、区民のために必要な事業の実施や事業改善に積極的に取り組む意欲をそぐものと言わざるをえません。

 そもそも、区の予算編成方針には、地方自治の基本である、住民の福祉の向上を施策の中心に据えるという視点が欠けています。そのため、生活保障の点でも、新たな経済的負担の軽減策や地域の商店や工場などへの支援策は盛り込まれませんでした。一方で、4つの開発事業に着手するなど、開発優先・基金積み立て優先の姿勢が示されました。
決算では、当初予算におけるこうした課題が執行段階でどのように改善、是正されたのかが問われます。以下、具体的に指摘します。

貧困と格差が広がるもとで、負担増を拡大し、徴収強化を進めてきた問題です。

 先に述べたように、区民の暮らしの実態は、厳しさを増しています。こうした中で、区が行なったのは、滞納対策強化・収入確保対策検討会です。いかに徴収するかが目的化し、区民の生活をどのように再建するかという視点はありません。差し押さえありきの姿勢を改め、個々の暮らしに寄り添い、生活再建を柱に据えた対策にすべきです。
また、直接支援につながる、経済的支援には背を向け続けています。学校私費負担では、同じ区立学校でありながら、教材費だけでも学校間で2~3倍もの金額の差が生じています。区は、なぜそうした差が生じているのか把握していません。現場任せの姿勢を改め、公費を増額し保護者の負担を軽減すべきです。
 国民健康保険では、実に98.6%の加入世帯が値上げされました。介護保険分を入れた40歳以上一人あたり平均保険料額は12万7985円と、前年度比で4.4%もの負担増です。一方で、決算では約46億円もの歳計剰余金が生じています。区が財源不足として一般会計から繰り入れた約19億円を差し引いても、一人あたり約2万円、保険料額を引き下げることが可能でした。国民健康保険は加入世帯の25%が保険料を納められない状況にありますが、その内7割以上が保険料年額10万円未満の低所得世帯です。こうした世帯も含め、徴収強化が図られ、差し押さえは過去最高の671件となっています。徴収強化によって、暮らしに追い打ちをかけるのではなく、保険料額の引き下げこそ行うべきです。
 介護保険では、滞納整理の一元化により、初めて差し押さえが行われました。介護給付費準備基金は、約17億9千万円に達しました。これは取りすぎた保険料であり、約13万人の被保険者に返還すべきです。また、利用料を2割に引き上げられた影響が2557人に及んでいます。3割負担の影響も含めると、階層別所得段階7と8で介護サービス利用者に利用抑制が見受けられます。必要な介護が受けられなくなっている状況に対し、区独自の利用料負担軽減、保険外サービスの実施などに、踏み出すべきです。
後期高齢者医療制度においても、国の所得軽減策の削減の影響により、約4300人が負担増となっています。必要な医療が受けられるよう、独自の医療費助成事業が必要です。

また、公共施設の統廃合を進め、区民の切実な要求に応えていない問題です。

 学校統廃合問題では、過小規模校を理由に板橋第9小、向原中の統廃合が行われました。小規模ならでは豊かな教育が行われていたことは区自身も認めていたことです。本当に子どもたちのよりよい教育環境のためというならば、大規模校の改善こそ行うべきです。
 6か所の区民集会所の廃止、ベビールームの統合が行われました。その目的は、維持管理コストの削減としています。集会所は災害時の拠点や地域コミュニティーの形成に必要な施設です。また、ベビールームにおいても、家庭的かつ一定の集団での保育が可能であり、必要とされている施設です。コスト削減を優先するのではなく、必要な施設として継続すべきです。
保育園待機児童問題では、今年4月1日時点での、待機児童数は837名で、国の基準である実質待機児童数も185名です。待機児童ゼロに至っていません。そもそも、待機児童の定義に実態との乖離があり、希望する園に入園でできることを基本とした計画にすべきです。
 また、都営母子アパートの1階部分にある区立仲宿保育園について、建物の老朽化により、平成32年度以降の運営が困難との見方から、閉園を視野に検討していることが報告されました。区は平成28年には状況を把握しながら、平成29年度も庁内での検討のみにとどめ、現在も都に対し、保育園運営の継続や土地の活用について、なんら相談や申し入れを行っていないことが明らかになりました。待機児童対策として新規園の拡大を進めながら、区立園を閉園することは区の方針とも矛盾するものです。都に対し、土地の活用を強く求め、園の運営を継続すべきです。
住宅問題では、公営住宅への入居希望が増加していると認識しながら、家賃助成や公営住宅の増設も検討さえ行っていません。仲介だけでは解決できないことは明らかです。
 障害者支援では、第5期障害者福祉計画が策定されましたが、重度重複障害者の入所施設、グループホームは盛り込まれていません。緊急課題として検討すべきでした。
 また、発達障害支援センターは、事業者選定が遅れ、当初の予定より開設が遅れています。障害者の特性に応じた的確な対応と当事者や関係者の声が活かされる施設にすることが求められます。開かれた会議体の設置など緊急に行うべきです。

次に、区民に必要な事業が後退するなど、実態に則していない問題です。
   
 コンビニでのマイナンバーカード利用による各種証明書発行が可能になる一方、区民カードが利用できる自動交付機を廃止しました。しかし、マイナンバーカードの発行数は伸びず、窓口での対応が増加しています。自動交付機の廃止によって、窓口業務の多忙化、住民の利便性低下を招いたことは、重大な問題です。自動交付機の利用を再開すべきです。
 がけ擁壁助成は、予算執行率は84%ですが、実績はわずか2件です。相談件数は34件ありますが、制度の利用に至らない状況です。また、家具転倒防止器具取り付け費用も障害者2件、高齢者44件と予算を大きく下回る実績に留まっています。助成額の更なる増額や手続きの簡素化など、利用促進につながる見直しが必要です。
応急福祉資金貸付事業は、実績ゼロで、前年度もわずか1件です。しかし、相談件数は150件に上っています。要件が合わず、実際には借りられないのが実態です。要件緩和を行うなど、実態に即した改善を図るべきです。
 高齢者のいこいの場、居場所の問題では、いこいの家・ふれあい館利用者の激減が顕著に現れています。いこいの家は、入浴事業の廃止により、すべての施設で利用者が激減し、平均利用者は平成25年度の36%にまで落ち込んでいます。ふれあい館でも入浴利用は有料化前の54.3%です。高齢者の居場所として相応しい内容に改めるべきです。

また、行政運営における透明性の確保と説明責任が果たされていない問題です。

 決算要求資料では、指定管理事業者が提出する収入・支出報告書が、ほとんどが黒塗りです。例えば、体育施設の確認書では、情報公開について『必要に応じて所管課等と協議し、指定管理者の責任で、全部公開、一部又は全部非公開、もしくは文書等の存否を明らかにできないことを決定する』となっています。これでは指定管理者の言うままで、全く透明性のない文書が出てくるはずです。現行でも、特記事項第2条に情報公開について指導できるとあり、透明性を確保するため、指導強化すべきです。
 ホタル生態環境館を巡って、区は委託契約請求事件の報告をもって終了としています。しかし、これまでの報告は、元職員や委託業者が裁判を起こした範囲や資料が残っている範囲にとどまっており、それ以前は『適切だった』とするものです。また、過去の管理職や区長含め調査するとしたことについても何ら示されず、これで終結することは許されません。累代飼育がいつから行われていなかったのか、委託契約の不履行がいつからだったのか、徹底解明し、区民への説明責任を果たすべきです。

次に、行革についてです。

 職員定数の適正化の名のもとに職員の削減が進められています。このことは、公務労働のあり方が問われるものであり、働き方改革とも矛盾するものです。
まず、区職員の人事や配置についてです。

 専門性が求められる、福祉事務所のケースワーカーは、経験年数1年以下が48%、3年以下が76%となっています。経験豊かなベテラン職員に深刻なケースが集中するなどの課題が生じており、生活保護行政の質の低下につながりかねません。各職員の専門性を高められるよう、経験年数に応じた職員配置や人員の増など、抜本的な改善が必要です。

また、非常勤のみ職場では、公務としての専門性の構築が保障されていない課題が生じています。

 スクールソーシャルワーカーは、非常勤職員からチーフを任命し地域担当制で取り組んでいるとのことですが、退職もあり人は入れ替わっています。また、学校現場との連携が重要であり、個人情報も含め、個人や家庭に入り込む仕事です。ところが、担当課には、専門性を有する区職員は配置されていません。
 消費者センターでも同様です。非常勤職員と正規職員とでは果たす役割が違います。正規職員の配置を行うべきです。

委託拡大による弊害も生じています。

 業務の細分化を図り、委託の拡大が進められています。しかし、業務追行の過程やその結果に、区は責任を負えません。また、誰がどのように作業を行うのか、人材育成にも関与できません。区民に直接かかわる業務において、区が、責任を負えない委託化は止めるべきです。
 保健所では、食品衛生検査の更なる委託化が検討されています。区民の命に直結する分野であり、区として責任を負う体制を維持すべきです。

区職員の働き方についてです。
 
 区議団は、区立保育園では、残業しなければ仕事が終わらない実態を示し、申告していないものも含め調査を求めてきました。ところが区は、残業を減らすといいながら、実態調査さえ行おうとしていません。こうした状況は保育園だけで起きているとは思えません。実態を掴まず、改善することはできません。全庁的な実態調査を行うべきです。
 女性管理職についても、平成29年度は全体の18.1%に留まっています。同時に、男性職員の育児休暇取得率も8.3%で平均期間はわずか1か月です。目標にも程遠い状況です。
 区立小中学校では、年間を通じ入れかわり欠員が生じています。その補完体制を整えるため、現場が苦慮しています。教職員の増員や働き方の見直しについて、待ったなしの課題です。
 人事方針を見直し、定数のあり方、教職員を含む、働き方を抜本的に改めるべきです。

最後に財政運営についてです。

 区の予算編成方針は、施策について、『スクラップアンドビルド』『サンセット方式』を基本としています。このことで、現場では、必要であっても新たな事業を行うことが困難になっています。一方で、基金は、義務教育基金に29億円、公共施設整備に20億円、財政調整基金に36億円の新たな積み増しが行われました。
将来への備えと言いますが、どれだけのお金が必要なのかという基準はありません。あればあるだけいいということでしょうか。
現金給付事業を含め、困難を抱えている人への直接支援、また、教育環境の改善や子育て支援など、子どもたちの未来を見据えた、積極的な支出を検討すべきです。

 以上述べてまいりましたが、改めて、区民の暮らしに寄り添う立場を求めて、本決算の認定に反対し討論を終わります。