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吉田豊明議員の反対討論
2017.10.11: 平成29年第3回定例会本会議

陳情第150号「消費税増税を中止して5%に戻し、生活費非課税・応能負担の税制実現での意見書を政府に提出することを求める陳情」不採択に対する反対討論

 日本共産党板橋区議会議員団を代表して、陳情第150号「消費税増税を中止して5%に戻し、生活費非課税・応能負担の税制実現での意見書を政府に提出することを求める陳情」について、不採択とした委員会決定に対し、反対する立場から討論を行います。
 本陳情は消費税率10%への増税を中止し、税率を5%に戻すとともに、現在売上高1,000万円の消費税免税点を3,000万円に戻すこと、また複数税率により導入されるインボイス制度を撤回すること、及び生活費非課税の原則及び所得に応じて税を累進的に負担する応能負担の原則を税制の基本とすべきとする意見書を政府に提出することを求めています。
 政府は、2014年4月に消費税率を5%から8%に引き上げました。この増税により、GDPの6割を占める家計消費は大きく冷え込み、未だに改善されていません。総務省が毎月行っている「家計調査」では、増税後41か月中36か月でマイナスを記録しています。そもそも消費税は、すべての商品・サービスに対して課税され、低所得者ほど負担が重くなる逆進性を特徴とする税であるとともに、家計を直撃する大衆課税です。生活保護を受けている世帯も、ひとり親家庭も、年金で暮らしている高齢者世帯も、すべての買い物にいや応なく課税されます。総務省の生活意識調査では、56%以上の世帯が「生活が苦しい」または「大変苦しい」と答えています。こうした区民の実態を板橋区議会は、直視しなければなりません。家計消費が長期間低迷し続けている中、2019年10月からの消費税率10%への増税が、区民生活にさらなる大打撃になることは、明らかです。消費税増税は、きっぱり中止すべきです。
 陳情者は、消費税の免税点を3000万円に戻すことを求めています。小規模事業者の売り上げは、1千万から3千万円に集中しています。免税点は、1997年税率が5%に引き上げられた際、3000万から1000万に下げられ、多くの小規模事業者から批判の声があげられました。免税点を3000万円に戻すことは、区内小規模事業者の営業を守り、産業を支援する施策として、極めて有効と考えます。
 また、陳情者は、インボイス導入の撤回を求めています。2019年10月からの増税では、軽減税率が導入され、インボイス方式が義務付けられます。インボイスとは、適用税率や税額など、法定されている事項が記載された取引伝票のことで、このインボイス導入によって事務負担はさらに大きくなります。その上インボイスを発行できない免税業者は、取引から排除される仕組みになっています。実際、「10%になったら商売は続けられない」との声が私のもとにも届いています。過重な事務負担が余儀なくされ、区内小規模事業者の事業存続を不可能にする、インボイス導入は撤回すべきものと考えます。
 本陳情を不採択と主張する委員の意見では、社会保障の充実のためには、消費税の増税や国民の税負担率の上昇は、やむを得ないとの意見がありました。そもそも低所得者ほど負担が重い消費税は、社会保障の財源には最もふさわしくない税制です。なぜなら消費増税を財源に社会保障を改善したとしても、その効果が相殺されてしまうことは、明白だからです。さらに消費増税を強行した安倍政権のもとで、はたして社会保障は多少とも充実されたでしょうか。消費増税では8兆2千億円もの負担が課せられた上、年金は削減され、医療や介護での国民負担増は6兆5千億円にも達しています。安倍首相は、消費増税の際、増税分はすべて社会保障に使うと公言しました。しかし、使われたのは、別の財源を充ててきた基礎年金の国庫負担や赤字国債の削減でした。社会保障の充実には1%分しか使われていません。首相のこの発言がまやかしであったことは、明らかです。消費税増税の1%分しか社会保障充実に使われなかった事実をまず認識する必要があります。
 以上述べてきたように、区民の生活を壊し、区内事業者にとって死活問題である消費税増税は、中止すべきものと考えます。また、消費増税を行わずとも、富裕層への適切な課税や法人税の見直し、大企業の特権的優遇税制の是正により、消費増税以上の税金が確保されます。本陳情を不採択とした委員会決定は否決されるべきと考えます。改めて陳情への賛意を表明して、討論を終わります。