石川すみえ区議:活動報告

石川すみえ区議は、11月29日に「いたばしの彫刻をみてみよう!~ジェンダーの視点から見て歩く~」を実施しました。講師は区内在住のジェンダー研究者の吉良智子 さん。意識してみると、板橋区内にはあちこちに彫刻があることがわかりました。

以下は、当日のレジュメをもとにした石川のレポートです。

彫刻ってもともとは日本にはない!

仏像はお地蔵さんは信仰の対象なので、厳密にいうと「近代的な考えにもとづく彫刻」とは違います。

芸術や美術は、ぶっちゃけていうと、見ること以外に用途のないモノ。ではどうして、用途がないのに街中に作品があるのでしょうか?

公共彫刻は、基本的に簡単に動かすことができず、だからこそ置かれているその土地の性格をつくる目的があります。

ジェンダーって?
とてもざっくり言ってしまうと、社会的・歴史的に創られた性差のこと。

さらに公共彫刻は、男性偉人に戦勝を称える目的で作られる「エリートのためのアート」なので、女性彫刻家に発注されることがほぼありませんでした。

●《平和祈念像》1987年 北村西望(長崎出身の彫刻家)

戦前は《寺内元帥騎馬像》(金属供出で撤去)などの公共彫刻を手掛ける。

北村は「奈良の大仏に倣ってできるだけ大きな男神像をつくるべきだ」「国宝として残るようなものにしたいという一心から…数千年の後までもこの像とともに、私は死なずにすむ」と自ら売り込みに行った。

この像は「男性裸体像」であることが、非常に特異である。美術一般では平和は女性像で表現される。なぜなら、男性は兵士であり、そのことが戦争と直接結びつくので、見る者は平和を感じ取りにくいからである。

●《渋沢栄一像》小倉右一郎

香川県出身の男性彫刻家。ロダンの弟子でもあり、官展の彫刻家。

渋沢栄一は近代日本の実業家で、各種企業経営の他学校や病院の設立にかかわる。この彫刻は典型的な偉人像で、特に台座は4メートルと一般的なものより高い。これを見る者は見上げるしかない構造になっている。渋沢存命中に造られ、養老院の設立に尽力したことを称えるために敷地内に置かれた。戦時中は金属供出直前までいくが、敗戦で難を逃れた。

当日はこの2つの像を解説してもらったのち、渋沢像近くの「女性裸体像」をみました。これは台座も低く、裸体であるのでこの像に個性はありません。男性偉人像との比較がとてもグロテスクに感じられました。

最後に、講師の吉良さんから「女性裸体像があふれる街づくりは、果たして本当に『文化的』なのか?」「日本社会ではイメージを読み解く技術を教わらないが、メディアリテラシーや美術教育は大切。それがないことは大変危険だ」といった問題提起があり、お散歩会は終了に。本当に寒い日でしたが、しっかり2時間、楽しく刺激的な時間を過ごすことができました。

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