板橋区長 坂本 健 様
板橋区教育長 中川 修一 様
2022年9月8日
日本共産党板橋区議会議員団
安倍晋三元首相の国葬中止を政府に求めるとともに区民への弔意を強制しないよう求める要望書
岸田文雄首相は、故安倍晋三元首相の国葬を閣議決定し、9月27日に執り行うとしています。しかし、国葬を行うことに対し、法的根拠がない上に、多額の税金が充てられるなど、国民世論も中止を求める声が多数となっています。
岸田首相は、国葬を行う根拠として、内閣府設置法第4条3項33号で「国の儀式」が内閣府の掌握事務とされていることから国葬はそのひとつであるとしています。しかし、内閣府設置法は、所管業務の範囲を明確化する組織規範に過ぎず、国葬実施の根拠法にはなりえません。もともと国葬は、戦前に天皇と国家に貢献したとされる者に対して、天皇から「賜る」ものとして行われており、日本国憲法の国民主権や基本的人権に反するものです。だからこそ、「国葬令」は現憲法のもとで失効したのです。法的根拠のない国葬を国会も開かず、閣議決定によって強行することは、法治主義を破壊する暴挙に他なりません。
また、国葬を執り行うことは、国民の「思想及び良心の自由」にも反することも指摘されています。
岸田首相は8月10日の記者会見で、「国葬は個人に対する敬意と弔意を国全体としてあらわす儀式」と述べました。加えて、当日は、哀悼の意を表すため各府省において弔旗を掲揚し、職員に対しても黙とうすることを8月31日に決定しています。このことは各府省とそこで働く労働者に広く弔意を強制することはもとより、日本社会全体に同調を迫り、安倍氏への弔意を事実上国民に強制することにつながります。地方自治体などに強制するものではないとの通知が出されたものの、一部の首長などが国葬への参列や弔旗の掲揚等を表明する動きが出ていることからも明らかです。
さらに、法的根拠がなく国民への弔意の強制となる国葬の費用が国民の血税であることも重大な問題です。しかもその額は、儀式に直接かかる費用だけで2.5億円とされ、警備や要人対応などの費用を含めると16億円に上ることがわかりました。しかし全体の費用については国葬を実施した後に公表するとしており、幾重にも国民を愚弄する姿勢は到底受け入れられません。
そもそも、故安倍晋三元首相の政策的評価は、国民の中で大きく分かれており、批判的評価を無視して国葬を行うことは、民主主義を守ることとは真逆と言わざるを得ません。
日本共産党板橋区議会議員団は、区長に対し、自治体の長として憲法違反の国葬を中止するよう国に求めるとともに、区民への弔意の強制につながることから、学校施設含むすべての区施設において半旗や弔旗の掲揚、黙とうを呼び掛けるなど、国葬への協力を行わないことを強く要請いたします。
以上