医療従事者への感謝の手紙を強制しないよう求める申し入れ

板橋区教育委員会

教育長 中川 修一 様

2020.12.23

日本共産党板橋地区委員会

日本共産党板橋区議会議員団

医療従事者への感謝の手紙を強制しないよう求める申し入れ

 新型コロナウイルス感染症の感染が急激に拡大し、東京都医師会始め、医療機関や専門家からは、『医療崩壊の危機』との懸念が表明されています。

 そうした中、小池百合子東京都知事は、2020年12月21日に緊急記者会見を行い、以下のように、『子どもたちに感謝の手紙を書くよう要請する』との発言を行いました。

 『現場の医療提供体制ですが、医療従事者の皆さんの献身的な頑張りにかかっていると言っても過言ではありません。皆様方への心からの感謝の気持ちを伝えるため、都内の小中学生の皆さんに、看護師さんをはじめとする医療従事者の皆さんに感謝のお手紙、ちょうどこの時期ですから年賀状をお送りするよう呼び掛けてまいります。東京の将来を担う子どもたちから、今コロナの最前線で奮闘しておられるすべての皆様に、感謝の気持ちを届けてもらえるようにしたいと思います。』

 言うまでもなく、今、医療の現場は、医療崩壊の危機と言われる状況であり、医療従事者への感謝の気持ちを表明すること以上に、その危機をどうのりこえるかが問われています。12月10日には看護管理学会が声明を発表し、国民に対し慎重な行動や医療従事者への偏見や差別を行わないよう求めた上で『私たちは自分の仕事を全うするだけですので、感謝の言葉は要りません。ただ、看護に専念させてほしいのです』と述べています。

 このような状況において、都内2100校以上の小中学生が感謝の気持ちとは言え、手紙を届けることは現場への新たな負担を負わせかねません。

 また、行政や学校が『感謝の気持ちを伝えるよう要請する』こと自体、子どもたちの心に踏み込むものであり、強制的に行わせるべきではありません。

そもそも『医療崩壊の危機』は政治の責任で起きている問題であり、そうした責任を曖昧にし、子どもたちの気持ちのありように求めるような取り組みはやめるべきです。

 東京都教育委員会は、各教育委員会を通じて要請するとしていますが、板橋区教育委員会として、各学校に強制しないよう強く求めるものです。

以上

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