志村小・志村四中小中一貫型改築工事に関する説明会の開催等を求める陳情、に賛成する討論

 討論日:2023年12月14日

 日本共産党板橋区議会議員団を代表して、

陳情第31号 「志村小学校・志村第四中学校 小中一貫型学校改築基本設計説明会及び東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例に基づく説明会」の再開を求める陳情、

陳情第32号 志村小学校・志村第四中学校 小中一貫型学校の学区内の保護者向け説明会の実施を求める陳情

第1項、保護者向け説明会の件

第2項、教室型説明会実施の件

 及び、

陳情第38号 教育長出席による再度の「志村小学校・志村第四中学校 小中一貫型学校改築工事に関する説明会」開催を求める陳情

に対する、委員会決定「不採択」に反対し、陳情に賛成する立場から討論を行います。

 3つの陳情は、10月3日、7日に行われた基本設計及び紛争予防条例に基づく説明会の再開と、保護者に向けた説明会を教室型で行うこと、また、教育長が出席して説明会を再開することなどを求めるものです。

 陳情に賛成する第一の理由は、区のこれまでの説明が、その内容や方法において、十分に説明責任を果たすものになっていないからです。

 陳情に反対する委員は、区が住民説明会を、R2年度7回、R4年度9回、R5年度2回実施したこと、近隣住民には,教育長参加を含め2回説明会が行なわれたこと、説明会の動画配信をしたこと、個別訪問で出された要望に個別に応えてきたこと、10月3日、7日の説明会は会場外を含め14時間にわたって説明したことをもって、責任は果たしたので、説明会の再開は不要との意見でした。

 しかし、本当に、説明責任が果たされたと言えるでしょうか。R2年、R4年、R5年の説明会は計画段階に沿って行ってきたものです。今回の基本設計と紛争予防条例上の説明会は2日間しか予定されていません。しかも、当初それぞれ2時間程度しか予定されておらず、長時間にわたったのは、区の説明に納得できない保護者、住民、関係者がたくさんいたことの現れです。

 区は説明会を打ち切った理由について、「これ以上時間をかけても進展は難しい」「回数を重ねても解決できる内容ではなかったと判断した」と言いますが、区の説明は、すでに決まったことだということを前提に同じ言葉を繰り返すだけで、計画を押し付けるだけの説明にしかなっていないのです。説明会が長時間にわたったことをもって、責任が果たされたことにはならず、誠意が示されたことにも、丁寧な説明が行われたことにも全くなりません。

 また、陳情は、説明会の開催方法について求めています。

 一つは、保護者向けの説明会は展示型ではなく、教室型で行うことです。

 「基本設計」は、保護者にとっては初めて、詳細な設備、施設環境が明らかになり、この学校の中でどういう教育が行われるのかが具体的に見え始める段階です。教室や図書室、職員室がどういう教育方針の下で、どう機能していくのか、子どもたちは日々どのような学校生活を送ることになるのかが納得できるように説明されなければなりません。これまでの説明会は、そういう内容になっていません。区は、今後の保護者向けの説明を、展示型で行おうとしています。展示型が好評だったと言いますが、展示型は個別に話はできるものの、様々な角度から理解を深めるものにはなりません。例えば、校庭について、区はちゃんと「狭くなる」と書き、「室内空間が充実している」と書いて展示しているといいますが、「校庭が北向きで日当たりが悪い、サッカーコートぎりぎりの広さしかとれないので、コーナーキックは助走ができない」「運動会の時の、児童生徒席はこれから先生が考える。保護者は教室の窓から観戦」というようなことは、教室型説明会でのやり取りを聞かなければわからないことです。

 オープン図書室について区は、上二中の映像でイメージを持ってもらっており、上二中以上の広さ、蔵書数を確保していると説明していると言いますが、上二中は中学生のみ三百数十人、小中一貫校は千人近い小学生、中学生、さらに特別支援学級が小学校3学級、中学校5学級あることは展示型では説明されず、教室型で質問が出て初めてわかることです。

 フリーアドレスの職員室はメリットと言われることしか説明されていませんが、教室型説明会では、先生にとって職員室はどういうところなのか、現場の先生の発言でその役割がわかります。

 展示型の個別説明では、区による都合のいい説明が行われる傾向は否めず、理解は個人的、表面的にならざるを得ません。疑問のある人や学校関係者など様々な角度や立場からの意見を聞くことで、子どもにとって最も大切な教育環境について、参加者が理解を深めることができるのが説明会です。「教室型」の説明会は、それを保障するものです。

 2つ目には、教育長が出席して、直接説明し回答する説明会です。

 この間の説明会で、保護者、近隣住民、教育関係者の理解が得られない大きな理由は、説明が実務担当者の説明に終始しており、この計画によって、板橋の教育をどうしようとしているのか、その理念が全く語られていないことにあります。

 志村小の現地での改築は困難だという大前提が作られて、事情の積み重ねによって、志村四中という限られたスペースに、さまざまなやりくりが迫られる大規模な小中一貫校を作ることになったにもかかわらず、区は、「小中一貫校は非常に効果がある形態だ」「教育長も含めて小中一貫型学校を整備していきたいと考えていた」「もっともベストな結論だ」と言います。なぜ?どうして?の答えが説明されていないのです。そして、「組織が決定したこと」「教育長と話しても結論は変わらない」と一方的に言われているだけでは、納得できないのは当然です。

 教育長が近隣住民の説明会に参加したと言いますが、これは、突然7階建ての計画を知らされて、驚いた近隣住民が設定した意見交換の場に1回だけ教育長が参加したというもので、区が計画した説明会への出席ではありません。参加した住民の方からは「教育長は、ただよろしくお願いしますと言って帰って行った」と、7日の説明会で発言がされており、教育長が住民との十分な話し合いを行ったというものでもありません。

 近隣住民の理解と信頼回復が必要と考えるならば、一方的に打ち切った説明会を再開し、教育長自らが出席して、板橋の教育を語り、保護者や区民の理解と納得、合意を得る努力を行うべきです。

 第二の理由は、計画の進め方が住民本位、区民本位になっていないからです。

 今回の計画が地域の要求ではないことは明らかです。陳情書では、協議会の委員長であった町会長の発言が紹介されています。「今まだ反対の声が多いことに責任を感じています。協議会の最初は現志村小学校を残してほしいというのがみなさんの強い願いでした。志村小の廃校については反対から始まった協議でした。現地での改築は難しいという事務局からの厳しい意見をいただいて、4年間知恵を絞って苦労した苦渋の判断が現計画です」という発言です。まさに、この計画が区の強い誘導によって行われてきたことの証しではありませんか。

 協議会のメンバーだった人から、「何を言っても、次の会議には、できない条件だけが出されてきて、抵抗しきれなかった」との声を聞いています。

 委員会審議の中で「協議会が反対すれば進まなかったのか」との委員の質問に対して、「おっしゃる通り」とした答弁が、その後、協議会はあくまで方向性を出すだけであり、最終決定者は教育委員会であるとの答弁に修正されました。これまで、地域の声に応えたものだとの説明がされ続けてきましたが、この説明が覆されています。

 また、志村小敷地の借地部分を持つ権利者の方から、区が計画を決めて「お返しすることになる」と言われたから、それなら返してほしいといったが、今後も貸す用意はあるとのメールが教育委員会に届いていることもこの間明らかにされています。この問題でも、そもそも志村小・志四中の小中一貫型学校計画が地元要求でなく、教育委員会によって誘導され、押しつけられたものであることは明らかです。

 さらに、近隣住民は、本計画において最も環境への影響を受ける当事者でありながら、計画があることさえも知らされず、建設計画を一方的に通告され、住環境が大きく損なわれるものになっています。区は、今回の計画は「必要な当事者によって協議を進めた」と言いますが、近隣住民の意見を代弁する「必要な当事者」はいなかったことは明らかです。

 民主主義はプロセスこそが重要です。長時間かけた、何回も言ったということが民主主義ではないのです。関係者の納得と合意が得られないまま、計画が一方的に押し付けられるのは、民主主義ではありません。

 委員会審議の中で、説明会が長時間にわたったことについて、「パワハラ」「カスタマーハラスメント」などの言葉を使って表現した委員、および理事者の発言がありましたが、許される発言ではありません。説明会はすべて区の責任において行われたものであり、長時間にわたる状況を作ってしまったのは主催者の責任です。発言は撤回されるべきです。

 最後に、「魅力ある学校づくりプラン」は、人口減少、少子化を前提とした公共施設削減計画としてすすめられているものです。人口増が見込まれ、災害対策も重要となる志村地域で、住民にとって大事な公共施設である学校をなくすことは許されません。住民の納得も合意も得られず、狭い土地に大規模な学校を建設することになる、志村小、志四中の小中一貫型学校計画は立ち止まって見直すこと、設計の段階の今こそ、その決断を強く求めます。

 以上で、陳情に賛成し、不採択とした委員会決定に反対する立場での私の討論を終わります。

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