[シリーズ]子どもの貧困
③全庁的な実態把握こそ
国の「子どもの貧困対策大綱」は、「子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されることのない」環境整備を掲げています。市区町村には計画策定と、実施する責務を示しています。指標は、貧困率と生活保護世帯の高校進学率の改善です。
生活保護世帯の進学率
区の生活保護世帯の進学率は、95・9%で、一般世帯より、3・4%低くなっています。2016年3月の生保世帯の未進学者は、中卒で7人です。このことに対し、いわい桐子区議の予算総括質問(3月16日)に、福祉部長は、「文科省調査と比べて、高い水準」と答え、その深刻さの認識はありません。生保世帯の未進学者全員が、塾代の支援を受けていません。生保世帯への塾代支援は、中1・2で年間10万円、中3で15万円です。しかし、実際に塾にかかる費用は中1で年間30万円、中3ではその2・6倍とも言われています。
私学助成は全く不足
ある都内の私立高校では、高1の入学前・入学後で、助成金を差し引いても80万円を超えています。部活にかかる費用やスキー合宿代、通学定期代などを入れると100万円を超える実態で、私立高校進学費用の助成は、進学を補償する物にはなっていません。
生活保護世帯について、福祉部長は「高校生の学費に対するアルバイトは収入認定していない」とし、高校生自身が学費を稼ぐ実態を改善する姿勢はありません。
全庁的な実態把握こそ必要
国の大綱は、「実態を踏まえる」ことを重要視しています。貧困の実態把握のため、区は、ひとり親家庭への実態調査実施を発表しました。貧困対策は、子育て世帯の生活、教育にかかる費用などの調査に加え、住宅費や若者の労働環境など、子どもを取り巻くあらゆる分野で視点を持ち、実態把握に努める必要があります。区の全庁的な検討にはこうした姿勢が不足しています。区の貧困対策は、「子ども・若者計画」の中に盛り込まれます。
写真:いわい桐子区議