区立板橋保育園を廃止する条例に、反対する討論

討論日:2023年10月6日

 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、議案第66号「東京都板橋区立保育所条例の一部を改正する条例」に「反対」の立場から討論を行います。

 本議案は、区立板橋保育園を廃止し、民営化するため、条文から名称と位置を削除するものです。

 反対する第一の理由は、大和町36番4号にある板橋保育園の廃園により、大和町、本町など、富士見地区を中心とした地域から公立保育園がすべてなくなることになり、公立保育園を選択したい保護者の願いがかなえられなくなるからです。

 区は老朽化していく公立保育園を再整備していくにあたり、「7つの視点」で民営化をすすめるとし、これまでに13園を民営化してきました。今回の板橋保育園は、その中の「代替地再整備」という手法で行われたものです。

 築52年、旧板橋児童館も併設され、園庭が十分に確保され、地下鉄の駅に最も近く、保育園としての環境をもっともよく兼ね備えた保育園です。現地での単独改築も十分可能であったにもかかわらず、区は、現在地から直線距離で628m、徒歩で15分くらいはかかるところにある都営板橋富士見アパートの改築にあたって、保育園用地が確保できたとして、板橋保育園の廃園を決めたのです。通園するにはあまりに遠い場所であり、「代替地再整備」といいますが、板橋保育園の代替措置になっているとは言えません。

 2020年、仲宿保育園が廃園になって以降、本町、仲宿、加賀などの地域には、公立保育園がなくなっており、板橋保育園の廃園によって、その地域から通える範囲内の公立保育園がすべて姿を消すことになります。近隣では数年前、清水町に私立保育園がビルの中に新設されましたが、園庭はなく、近所に公園もないという困難な条件の中で保育をしています。お日様が当たる園庭があり、保育環境もよく、保育士の安定的な雇用も保障されている板橋保育園の廃園は、公立保育園を選びたい保護者の願いに背を向けるものです。

 第二の理由は、公立保育所の役割を後退させることは許されないからです。公立保育園の再整備にあたって、民営化を手法としながらも、一方で公的機関としての公立保育園の役割を明らかにしてきました。それは2017年11月に策定した「板橋区公立保育所のあり方について」という文書が示した方向です。そこでは、公立保育園は、「いたばしの保育」をリードし、保育水準を確保する役割を果たし、地域の保育施設間のネットワークの構築をめざすため、いわゆる「育ちのエリア」の構築をめざすとしていました。しかし、委員会質疑では、すでに「エリア」という考え方はとらないことになった旨の答弁がありました。これは、大きな方針転換であり、地域における公的責任を後退させるものに他ならず、この方針転換は認められるものではありません。

 第三の理由は、公立保育園のもつ公的責任はますます重要になるということです。昨年7月には「子ども家庭総合支援センター」もスタートし、地域に密着した子育てのネットワークの構築がますます求められています。また保育要求は、待機児童解消という量の確保から、保育士の配置基準の見直し、要支援児保育や医療的ケア児の保育の拡充など、保育の質の充実へとすすんでいます。児童虐待や子どもの貧困など社会全体で取り組むべき重要な課題を解決するために公的機関としての公立保育園の役割はますます重要になっています。板橋保育園の民営化は、「公立保育所の再整備方針」により、2023年度までの第一期計画としてすすめられていますが、これ以上の民営化はやめるべきです。

 改めて公立保育園のあり方についての考え方を明確にし、その役割が果たせるようにすることを求めて、私の討論を終わります。

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