福祉に関する事務所設置条例の一部を改正する条例に対する反対討論

討論日:2024年2月29日

 ただいまから、日本共産党板橋区議団を代表し、議案第21号 東京都板橋区の福祉に関する事務所設置条例の一部を改正する条例に反対する立場で討論を行います。

 本議案は、板橋・赤塚・志村の3か所に設置されていた福祉事務所の、赤塚福祉事務所と志村福祉事務所を廃止し、条例から削除するものです。そして、一つの福祉事務所として「板橋区福祉事務所」と名称を変え、板橋・赤塚・志村の所管区域は「板橋区の区域」と統合するものです。

 反対する第一の理由は、今後、福祉事務所の窓口が現在の3か所から箇所数や場所が変更することがあっても、議会の議決を経ずに区が変更することを可能にしてしまうからです。

 区の改正条例条文は、「板橋区福祉事務所」の名称と現在の板橋福祉事務所の「住所」だけが記されています。この間の健康福祉委員会では、一本化された福祉事務所所長は区福祉部長が兼任する事、3福祉事務所は「福祉課」という名称になると説明してきました。区は、それを条例ではなくその他の規則等で定めるとしています。結果として、今後の区の経営方針で、箇所数の増減があっても、議会の議決を経ずに区の判断で変更できることになります。

 区は、組織数の増減があっても、「組織改正などで報告する機会がある」などと言いましたが、それは、あくまでも区の説明です。区が福祉事務所の窓口箇所を減らす場合に、議会として歯止めになる担保はなく、二元代表制における議会の機能を軽視していると言わざるを得ません。

 第二の理由は、拙速な検討で、障害者や利用者を置き去りにした進め方だからです。

 区は、ナンバーワン実施計画において「福祉事務所のあり方検討」を示し、内部検討を進めてきました。昨年6月に「福祉事務所のあり方検討」として突如議会に報告され、その内容は、福祉事務所内の職員間で共有もされていませんでした。昨年9月の時点で、令和3年から連絡調整会議が16回、組織改正PTが22回、障害者分野検討会が5回行われていますが、次第も検討結果も資料はひとつも作成していないとし、いつ、どんな資料に基づいて、どういう方向性で検討したのかも何一つ示されていません。

 また、検討過程において、区は福祉事務所や健康福祉センターを利用する当事者や関係者への説明も行わず、意見も聴取していません。「サービス向上だから」とか、「組織内の変更だから」として検討段階における説明や意見聴取の必要性を否定してきました。「決定後に周知する」という姿勢は、情報提供によって障害者が意思表明をできる環境を整えるとした障害者差別解消法における「合理的配慮」を欠くものです。

 区は、当初、昨年11月の閉会中委員会が「最終報告」としていたスケジュールを今年1月の閉会中委員会まで延長しており、いま、あわてて変更する必要はありません。障害者やその家族、福祉事務所利用者の意見を聞き、時間をかけていっしょに再検討して、よりベストな形で進めるべきです。

 第三の理由は、今回の改正は区内部の「事務集約」であって、利用者にとって「利便性向上」とは言えないからです。

 区が示す「どこの窓口でも生活保護の申請ができる」のは、「事務移管」という内部の実務が簡素化されるもので、申請書を受け取る入り口がどこでも可能になるものの、申請直後から調査やケースワークに向けた対応は、各担当区域につなぐことになります。委員会質疑では、窓口で受理してから担当区域につなぐ過程で「システム上のタイムラグが発生する」「交換便なので窓口に来た直後に共有とはならない」などとし、申請する人にとっては「利便性が向上する」とは言えません。

 最も福祉事務所から遠い「東山町」は、赤塚庁舎の福祉事務所から、グリーンホールにある板橋福祉事務所に担当を移すと言いますが、1キロ程度の変更であり、現状でも担当圏域の条例改正を行えば可能です。

 また、福祉事務所のあり方検討において、区は「障害者への一貫した支援体制の整備」として、「窓口の一体化」と言い、さも障害サービスにおける「ワンストップサービス」へ移行するかのような説明をしてきました。

 しかし、2月の健康福祉委員会の質疑で「ワンストップになるのは、生活保護の分野で、障がい分野は、どこでも受けられるという体制にはならない」と答弁したように、障害者支援サービスがワンストップになるわけではありません。

 実際、精神障害者支援を一体化すると言って福祉事務所の障害者支援係を健康福祉センターの場所へ移すものの、健康福祉センターは5か所あるため、上板橋と高島平のエリアの人は、同じ場所でサービスを受けられません。知的や身体障害者は、手帳などの手続きは全て本庁舎だけで、板橋エリア以外の人の相談と支援は、今までの福祉事務所ではなく、赤塚・志村の健康福祉センターに行かねばなりません。

 児童の手続きは、精神の手帳や自立支援医療の手続きは5ヶ所の健康福祉センターで取れますが、その他の相談も申請も全て本庁舎でしかできなくなります。赤塚庁舎で手続きが済んでいた人まで、本庁舎に行かねばならず、「利便性が向上する」とは言えません。むしろ不便感と複雑な変更で混乱することは明らかです。

 福祉事務所のあり方検討の参考にしたという職員へのアンケート結果が査察指導員もケースワーカーも業務量の負担感を示しており、過半数以上が人員増を求めています。委員会でも障害者支援係の業務量が多く一人の負担が高いことをあげていましたが、それは集約しただけでは改善せず、人員増こそ必要です。検討結果が、利便性の向上とは言えない状況となったのは、区の人も施設も増やさない方針を前提としたからです。単なる事務集約に特化し、利用者の「利便性向上」は二の次になったと言わざるを得ません。

 改めて、福祉事務所を増やし、利用者にとっての「利便性向上」をベースに再検討することを強く求め、私の討論を終わります。

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