質問日:2024年11月28日
引き続き、日本共産党の一般質問を行います。
1 最低賃金 1500円以上を 中小企業支援とセットでただちに
初めに、働く人の賃金を抜本的に引き上げることを求めて質問します。
日本世論調査協会が今月2日にまとめた「暮らしと経済」に関する全国郵送世論調査によると、今の景気が悪くなっていると答えた人が79%に達しています。幅広い分野で進む価格高騰の生活への影響は94%が打撃になっているとする一方で、給与やボーナスの増加は83%が実感がないと答えています。それは日本が世界でも異常な賃金が上がらない国となっていることの現れです。労働者の実質賃金が33万6000円も減少する一方で、大企業の内部留保が600兆円を超えて過去最高などというゆがみを正し、労働者の賃金が上がる国にしなければ、日本経済は再生できません。日本の最低賃金は東京でも1163円と低く、ドイツの1923円やイギリスの1875円など、世界から大きく遅れています。政治の責任で賃上げを実現するために、中小企業への直接支援とセットで、直ちに最低賃金1500円以上への引上げが必要です。区内企業で働く労働者の実質賃金引上げのためにも、国へ求めていただきたいがいかがでしょうか。
また、働き方の改善も待ったなしです。学生は学費と生活費のため、深夜バイト、徹夜バイトに追われ、勉強する時間がないと悲鳴を上げ、女性は仕事と育児、家事に追われ、睡眠時間を削っている。自分の自由な時間が欲しいというつぶやきが日本の実態です。日本のフルタイム労働者の労働時間はヨーロッパ諸国に比べて年間300時間程度も長く、今なお過労死が大問題になっています。人間は、ただ働いて食べて寝るだけの存在ではありません。誰もが幸福な人生を送る権利を持っているのです。働く人が人間らしい生活を営む収入を得て、余暇や趣味を楽しみ、豊かな教養に親しみ、家族との時間を大切にする。そうした自由な時間を持つことができる社会こそ本当に豊かな社会と言えるのではないでしょうか。自由時間拡大推進法をつくり、賃上げと一体に、1日7時間、週35時間制に踏み出すことが必要と考えます。区長の見解をお示しください。
2 新年度予算編成について
⑴ 物価高騰対策と区民サービス向上
次に、新年度予算編成についてです。
まず、物価高騰対策と住民サービス向上を求めて質問します。政府は今月22日、物価高騰対策などを盛り込んだ事業規模39兆円の新たな総合経済対策を閣議決定しました。物価高騰対策として、住民税非課税世帯と子育て世帯への給付金、寒さ対策の電気・ガス代の補助を行うとしています。この間の経済的支援は対象が狭い範囲に限られていることが区民からも指摘されています。また、区の物価高騰対策としての暮らしへの直接支援は、国の対応待ちに陥っていると言わざるを得ません。区として、家計への経済的な支援策を年度中の補正予算による実施と新年度予算に盛り込むことを求めます。
区の基金総額は昨年度末で約1300億円です。区はコロナ以降、毎年100億円を超える基金への異常な積立てを行ってきました。その一方で、コスト削減と受益者負担を理由に、来年4月からの公共施設利用料値上げを行うことは、どんなに丁寧に説明しても区民の理解は得られません。しかも、減免規定は、区検討会において、社会情勢上、高齢者などに変化はないとして、現状の規定がどうなっているか調査も議論も行われず、区が検討したなどと言えるものではありません。現在、区の公の施設の使用料減免規則では、65歳以上や障がい者団体への減額規定は体育施設と美術館にしかなく、ホールや地域センターなどの集会施設には障がい者個人への減免規定すらありません。そこで質問します。区公共施設における減免の対象拡大と子ども料金無料化の実施を求めます。
12月2日から現行の保険証は新規に発行されなくなります。医療も介護現場も大混乱の上、政府も迷走を続けています。マイナ保険証を持たない人や、持っていても75歳以上の一部には保険証の代わりの資格確認書が送られます。マイナ保険証を持つ人にもトラブルに備えた資格情報のお知らせが発行されます。双方で388億円の税金を費やしましたが、現行の保険証を残せば不要な費用です。マイナカードの公的個人認証の仕組みは、政府が認める民間企業も活用できます。職業や健康状態、資産、免許や資格などの情報に購買履歴まで結びつくことになれば、企業にとっては宝の山です。それはプライバシーの侵害と隣り合わせです。現行の保険証新規発行停止が目前に迫っていてもなおマイナ保険証の利用率が10月時点で15.67%と微増にとどまっているのは、マイナ保険証の使い勝手の悪さだけではなく、マイナンバーカードに対する不信や不安の根強さを表しています。今からでも遅くはありません。改めて、保険証廃止やめよと国へ求めていただきたいがいかがでしょうか。
板橋区もマイナ保険証について案内送付や区広報などで区民へお知らせをしていますが、その情報が複雑過ぎて分からない。今持っている保険証はいつまで使えるのかなど、不安の相談は尽きません。また、無保険のリスク回避のために、マイナ保険証登録者も含めて全ての住民に資格確認書を届ける自治体も生まれています。区として、マイナ保険証がなくても医療が受けられますという表題による案内の配布と、既に登録したマイナ保険証が解除できることを今以上に徹底して周知することを求めます。また、無保険などのリスクをなくすため、マイナ保険証登録者も含めて、資格確認書を発行していただきたいがいかがでしょうか。
次に、区役所本庁舎における資源回収についてです。9月上旬から区役所庁舎内の自動販売機に設置されていた資源回収ボックスが撤去され、大変驚いています。撤去の理由は、これまで自販機の事業者が厚意で置いていた資源回収ボックスに、事業者の販売しているもの以外の缶やペットボトルが大量に入っていることから、資源回収を中止したとのことです。その結果、板橋区役所前駅の自販機の資源回収は、昼にはあふれる状況です。区が資源リサイクルの先頭を担う決意で、区として庁舎を利用する人や働く職員が持ち込んだものも含めて、缶、瓶、ペットボトルなどの資源回収を行うことを求めます。
⑵ 区も学校も女性の地位向上と抜本的な定数増を
次に、女性の地位向上と抜本的な定数増を求めて質問します。世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数2024年報告は、日本が146か国中118位と低迷し、男女の賃金格差や管理職に占める女性の割合などの経済分野は120位です。2023年度の男女賃金格差は女性の賃金が男性の74.8%でした。政府は日本の男女賃金格差の要因について、主に管理職に占める女性の割合が低いことや女性の平均勤続年数が短いことを挙げていますが、それだけではありません。男女賃金格差の大きな要因の一つは、処遇の低い非正規雇用の約7割が女性であることです。板橋区でも2020年度に962人だった区の会計年度任用職員は、2023年度には1224人で、その83%が女性です。多くが保育園や子ども家庭総合支援センター、学校現場で働いています。板橋区において正規職員より処遇の低い会計年度任用職員の83%が女性であることが大きな男女の賃金格差の要因となっていることについて、区長の認識をお示しください。また、直ちに格差解消を図るため、既に常勤化している会計年度任用職員は正規雇用とすることを求めます。
財務省と文部科学省が、教員の成り手不足を理由に、公立学校教員の残業時間に応じた手当支給の導入も含めて検討していることが報道されています。しかし、給特法に基づく教員調整額の議論に終始しており、残業代支給制度への転換をめぐる議論は本格的な検討には進んでいません。一方で、文部科学省の2025年度概算要求において、公立小中学校の教職員定数は、小6の35人学級と小学校の教科担任制推進などによる約7600人の定数増に対して、少子化に伴う自然減、学校統廃合などで合計約1万3000人の定数減を見込んでいます。差引きで約5400人もの大幅削減です。定数を減らしていたら教職員の異常な長時間労働そのものが改善されることはありません。文部科学省が見込んでいる定数減に対する教育長の見解をお答えください。
3 高島平のまちづくりについて
次に、高島平のまちづくりについて質問します。
高島平のまちづくりは、旧高島第七小学校廃校後、跡地活用として検討が重ねられてきました。まちづくりの長期にわたる検討は、当初、シニア活動センター構想などを経て、ワークショップやUDCTakなどの取組が行われました。しかし、再整備地区のみを先行した地区計画策定になって、住民の思いとは大きな乖離が生まれています。旧高七小跡地に建設するというURの建設計画も示されず、構造物が建った後の影響も道路整備後の安全対策も示されず、地区計画だけを認めろと迫る区の姿勢に大きな不安が広がっています。今後の住民説明会8の予定は示されていません。さらなる説明もなく、住民合意が得られないまま計画を進めることは許されません。そこで区長に伺います。区長は、高島平二・三丁目地区の再整備地区における地区計画策定の説明が十分と考えていますか。独立行政法人都市再生機構は既存住宅を全国で8万戸削減する方針を掲げて進めてきました。団地の統廃合等のための近接地建て替えの可能性を盛り込んだ独立行政法人都市再生機構法の改正で、さらに団地の統廃合に拍車をかける方向となっています。これまでの建て替えが行われた団地では、建て替え直後は傾斜家賃などがあるものの、最終的に家賃が上がるため、転33居を余儀なくされた事例は少なくありません。また、建て替え対象の約2000戸に見合った戸数が新築住宅に建てられるとは考えられません。URが新たに建てる住宅の高さ、戸数、そこに入る商業施設の規模はいつ示されるのですか。それは地区計画策定前に住民に示されるのでしょうか。家賃の額について、どの段階で住民に知らされるのか、区として把握することを求めます。また、33街区の団地の解体やその後の利用についてはどうなるのか、それはいつ住民に示されるのでしょうか、お示しください。
住民合意が得られていない大きな理由に、ウォーカブルと交通ネットワークを理由に道路整備が計画されていることです。道路を整備することで、これまで車の心配をしないで徒歩で移動していた住民にとって、信号がつかないこともあり、今度は車をよけて歩行することが求められることになります。区の交通政策基本計画の基本理念には、歩いて乗って住んでよし、人が主役の交通都市とうたわれています。高島平のまちづくりにおける区のウォーカブルなまち、交通ネットワークは人と車どちらを優先とする計画なのでしょうか。区長の考えをお答えください。
4 上板橋駅北口の駐輪場増設を
次に、上板橋駅北口の駐輪場増設を求めて質問します。
上板橋駅北口周辺のイトーヨーカドーがなくなり、自転車が止められなくなったという声が急増しています。上板橋駅周辺の区営駐輪場は、2022年に南口と北口で合計1510台収容できましたが、2024年には343台も減り、民営の駐輪場も769台分減少しています。さらに、ヨーカドー閉店に伴って、約150示しください。また、イトーヨーカドー跡地を新たに活用する事業者に対し、一定の広さの駐輪場設置を求めることに加えて、工事中に少しでも駐輪できる場所を提供してもらえないか求めていただきたいがいかがでしょうか。併せてお答えください。
5 介護事業所倒産を防ぐ手立てを
次に、介護事業所の倒産を防ぐための手だてを求め質問します。
今年1月から10月の介護事業者の倒産件数が145件と、これまでの年間最多を上回り、訪問介護が過去最多の72件と半数を占めています。このままでは介護事業者の倒産に歯止めがかからず、介護難民の発生が現実味を帯びていると指摘されています。世田谷区では、区内にある高齢者・障がい者施設への緊急安定経営事業者支援給付金の申請受け付けが始まり、事業者から助かると歓迎されています。世田谷区の担当者は、訪問介護の基本報酬引下げを受け、苦境にあえぐ事業者が区内でも増えているという実態を踏まえて、給付金を支給することにしたと話します。一方、坂本区長は9月の一般質問で、給付金実施の要求に対し、全体ではプラス改定だから必要はないと否定しました。私たちがこの間行ってきた区内の訪問介護事業所への実態調査では、事業所自体の基本報酬が下がったことで、ヘルパーの時給の見直し、コストカットなど、あらゆるところでマイナスが生じている、今回の報酬改定で本当に困っている、介護報酬が実質引下げなのにヘルパーの時給を引き上げなくては人が集まらないと悲痛な声が寄せられています。そこで区長に伺います。区長は訪問介護事業所への実態調査を求めても、次期計画策定でと繰り返すばかりです。次期計画策定を待っていたら、板橋区でも介護倒産が生まれかねません。区長は区内で介護倒産が起きてから対策を考えると言うのでしょうか。区長の認識をお示しください。区として訪問介護事業所への物価高騰対策緊急支援金の実施を求めます。
区の介護認定の期間が長くなっていることで現場は疲弊しています。医療機関では退院後の介護への連携を行おうと思っても、認定が進まないために退院できず、ベッドが空かないといった事例が区内でも発生しています。区は新型コロナ感染拡大の際の認定有効期間延長分による申請件数増加が要因として、臨時の認定審査会や審査会の件数上乗せなどの対応でコロナ前に戻るとしてきましたが、認定審査の委託先拡大は3か所にとどまっており、いまだ認定期間の短縮は見られません。今後も高齢者人口の増加に伴い件数増加が見込まれており、一層の体制強化が必要です。介護認定期間が30日以内となるのは一体いつなのか、お示しください。
認定期間が長くなっているのは新型コロナ感染拡大時の有効期間延長後の申請増加だけではなく、認定調査員となるケアマネジャーの成り手不足が大きな要因です。区として、どうやってケアマネジャー不足を解消しようと考えているのか、お答えください。また、認定調査委託料について、他の自治体と比較して低い状況だと認識していながら、調査委託の条件改善に向けた継続的な取組などと言っている場合ではありません。直ちに1件当たりの認定調査委託料の引上げを求めます。
6 災害対策強化を求めて
⑴ ペットと一緒に避難できる板橋に
次に、災害対策強化を求めて質問します。
まず、ペットとの避難についてです。災害時にペットを探しに行って被災し、命を落とすケースなどが発生し、この間の震災を機に、環境省の指針によって、板橋区でも避難所へ一緒に避難したペットを置く場所が設けられます。しかし、それはケージに入れて1か所にまとめられ並べるだけで、飼い主がペットと一緒に過ごすことができるものではありません。九州では台風や地震災害において、ペットの遠吠えやマナーなどのトラブルを経験し、ペットの同伴避難に取り組む自治体が増え、熊本市や久留米市ではテント型の避難スペースなどの確保により、家族がペットと一緒に寝泊まりできるスペースを用意しています。23区でも墨田区がいち早く区内の動物専門学校と連携し、ペットと飼い主が一緒に避難できる場所の確保に加え、指定避難所でのペットフードや獣医療器具などの物資提供も受けられる準備を整えています。板橋区のペットの避難も単なる同行避難からペットと一緒に避難生活を過ごすことができるスペースの確保にグレードアップすることを求めます。併せて動物を扱う事業者や専門学校などと連携し、ペットの災害時の対応を協議していただきたいがいかがでしょうか。また、NPO法人日本レスキュー協会は、ペットも避難所生活が穏やかにできるよう、備えと訓練が必要だと警告しています。区として、ペットを飼っている人がペットと一緒に防災訓練等を経験できる機会を設けていただきたいがいかがでしょうか。また、区のペット災害対策マニュアルを区内の飼い主に配布し、さらなる周知を行うことを求めます。
⑵ 防災用品カタログの積極的活用のために
次に、防災用品カタログの積極的活用を求めて質問します。区の防災用品カタログが届き始め、感震ブレーカーはどれを選べばいいのか分からない、感震ブレーカーが届いても設置できるか分からないなど、疑問や相談が多数寄せられています。区はコールセンターがあると言いますが、区民からは、自宅の分電盤がどのタイプなのか電話では説明ができない、届いてから設置ができなかったら無駄になるという声です。感震ブレーカーの100%設置が進むよう、区として対面による相談窓口と設置支援を実施することを求めます。また、区のカタログにも掲載されているように初期消火も重要です。今回のカタログでは感震ブレーカーと消火器を両方選ぶことができません。併せて、区として消火器購入費助成の対象を拡大していただきたいがいかがでしょうか。
最後に、個別避難計画についてです。板橋区でも災害時の避難支援を実効性のあるものにするため、2022年から個別避難計画の策定がスタートし、地域防災支援課で、この2年間で障がい者72人、高齢者69人の計画策定を進めてきましたが、区の個別避難計画は風水害に限定しています。自ら避難することが困難な人にとって、実際的な避難計画が必要となるのは風水害だけではありません。また、在宅避難を希望している人も個別避難計画策定の対象外としていますが、在宅避難していても常備薬の準備や必要な支援をどう確保するのかは検討が必要です。区の個別避難計画策定を地震災害も対象とし、在宅避難を希望していても計画を策定することを求めます。
個別避難計画の策定は、対象エリアを新河岸・舟渡エリアから高島平へと拡大し、今年度から障がいサービス課と長寿社会推進課がそれぞれ分担し、事業所などに1件7000円の委託費を支出して計画策定を進めています。障がいや介護の事業所につながっていない人には、区職員が2人1チームで対応し、計画策定を一件一件丁寧に策定しています。一人ひとりの命を守る計画をつくるのだから時間がかかって当然です。スピードを上げるためには人員増が必要です。個別避難計画担当者の人員増を行うことを求めます。
⑶ 個別避難計画について
最後に、避難行動の計画が必要になるのは障がい者と高齢者だけではありません。全ての区民が災害ごとに自分がどう動けばいいのか考えることが大切です。区の個別避難計画用紙は、自ら記入するだけでも、災害時にどう動けばいいのか、避難するときに何を持っていけばいいのか、日常的に飲んでいる薬の予備がどれだけ必要なのか、自分で考えることができます。自ら記入できる区民は、自分で、もしくは家族で話し合いながら記入し、災害時のことを考えておきましょうと呼びかけてはどうでしょうか。全区民対象に個別避難計画用紙を区のホームページからダウンロードできるようにし、様々な行事や町会・自治会、学校、保育園など個別避難計画用紙を配布して、私の、あなたの個別避難計画をつくってみようと呼びかけることを提案します。区長の見解をお答えください。
以上で一般質問を終わります。

◎区長(坂本健)
それでは、いわい桐子議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、最低賃金の引上げについてのご質問であります。令和3年度に内閣に設置されました新しい資本主義実現本部においては、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版を令和6年6月に閣議決定をいたしました。その内容につきましては、中小・小規模企業の賃上げの定着が必要であり、このため、中小・小規模企業の稼ぐ力の向上に全力を挙げるとあり、具体的な分析と取組が記されております。中小企業の賃上げが進むことを期待し、引き続き国の取組について注視したいと考えております。
次は、自由時間拡大推進法についてのご質問であります。労働環境において、賃上げ、人材不足、長時間労働などが大きな課題であることを認識しております。法律の制定については国会の判断に委ねるところでありますが、引き続き国や東京都の動きを注視し、区民の福祉の向上に努めてまいりたいと考えています。
次は、家計への経済的な支援策についてのご質問です。令和6年度当初予算においては、昨年度に国の交付金を活用して実施した様々な支援策の多くを、区の一般財源を投入して継続しているところでございます。また、これまでも補正予算等で、国の給付金事業に区独自で対象を拡大、金額を上乗せする支援策などを強化し、実施してまいりました。新年度予算につきましても、景気や国の税制改正の動向を注視しつつ、区民生活や地域経済の実態を見極めながら予算編成を進めていきたいと考えています。
続いて、公共施設の減免拡大と子ども料金の無料化についてのご質問であります。区では、東京都板橋区公の施設の使用料減免規則において、施設ごとに使用料を減額できる場合を定め対応しておりまして、現在のところ減免対象の拡大を行う考えはないところであります。子ども料金につきましては、今回の使用料改定において、区の政策などに照らし、料金を据え置いたところであり、減免について見直す必要があれば、改めて検討していきたいと考えています。
続いて、国への保険料廃止の中止要求についてのご質問であります。区の国民健康保険では、加入者情報の通知やシステム改修など、12月2日のマイナ保険証を基本とする仕組みへの移行に向け、着実に準備を進めているところであります。区としまして、国に中止を求める考えはございませんが、被保険者の皆様にマイナ保険証を基本とする仕組みが正確に伝わるように、引き続き取り組んでいきたいと考えています。
続いて、制度移行の周知徹底と全被保険者への資格確認書交付についてのご質問であります。区では、マイナ保険証に関し、医療機関の受診方法のほか、マイナ保険証の登録方法や解除制度があることなど、機会を捉えて広報いたばし等で情報を発信しております。また、全被保険者に対する資格確認書の交付については、後期高齢者医療制度でのITに不慣れな後期高齢者に配慮した令和7年8月までの暫定的な運用であります。国は全被保険者に一斉に資格確認書を交付することは適当ではないとの取扱いを示しているために、区の国民健康保険としましても、全被保険者に資格確認書を交付する考えはないところであります。
続いて、本庁舎のペットボトル等の回収についてのご質問であります。リサイクルにおいては、資源として使えるものを正しいルートでリサイクルに出すことが重要と考えます。これまで本庁舎に設置している自動販売機は、設置した事業者が他で販売されたペットボトル等も含めて回収を行ってまいりました。しかし、他で販売されたペットボトル等が大量に入れられている事態となったために、回収ボックスを引き揚げることとなったものであります。今後も自動販売機の利用状況を踏まえて、持込み防止の徹底と販売品回収の観点から、よりよいリサイクルの在り方を検討していきたいと考えています。
次は、常勤化した会計年度任用職員ポストの正規職員化についてのご質問であります。会計年度任用職員の女性比率については、公募による採用選考の結果として高くなっているものであり、多様な働き方の観点から選択された影響もあると認識をしております。職を設定する際には、職務内容や業務量に加えて、職責の程度等を総合的に勘案しておりまして、一定の判断や調整が必要となる業務には正規職員を配置しております。現在設定しております会計年度任用職員の職は、正規職員が担うべきか否かを精査の上、適切に定めているところでございます。
次は、高島平のまちづくりに関連いたしまして、地区計画策定に向けた住民説明についてのご質問であります。高島平二・三丁目周辺地区地区計画につきましては、本年6月に策定に向けた区案を、 9月に原案を策定し、それぞれ住民説明会や意見募集を実施してまいりました。特に9月の原案説明会においては、全体説明会のほかに、オープンハウス型説明会や現地窓口相談会を実施するなど、開催方法を工夫しながら、丁寧な説明に努めてまいりました。地区計画策定に向けましては、法令に基づく都市計画手続を進めていく中において、地域住民の理解が得られるように、引き続き丁寧な説明と情報発信に努めてまいりたいと考えています。
次は、URの建築計画等についてのご質問であります。区は、高島平地域交流核形成まちづくりプランにおいて、再整備地区の区有地の一部をURの団地再生に活用し、居住の安定に資する住宅等を配置する方針を示しております。URが新たに建設する住宅等の建築計画については、URから具体的な計画が示されていないところでありますが、地域住民の関心が高い内容であることは区としても認識をしているところであります。区は、UR団地の建て替えに対しまして直接的に関与するものではありませんが、居住者への丁寧な対応を行うようURに対して働きかけを行うとともに、情報の把握に努めていきたいと考えています。
続いて、二丁目33街区についてのご質問です。区は、UR団地のある33街区について、再整備地区の次の段階に当たる第2ステップ以降で整備していく方針をまちづくりプランの中で示しております。今後、先行して進められる再整備地区のUR棟が完成し、33街区の居住者の移転が完了した後に、既存建物の解体に着手することから、具体的な時期等は未定でございます。区では、今後もまちづくりの深度化に応じて、その内容を地域住民の皆様に周知するとともに、URが実施すべき居住者への説明についても、引き続き対応を求めていきたいと考えています。
続いて、ウォーカブルなまちについてのご質問です。区は、まちづくりプランで、けやき通りやプロムナードを中心に、誰もが歩いて楽しい、居心地がよい空間を形成することで、ウォーカブルなまちを実現する方針を示しております。そのため、自動車や自転車、歩行者等にとって、より安全で快適な道路空間となるよう、地域内交通を円滑に処理できる道路・交通ネットワークの再構築が必要と考えます。ウォーカブルなまちの実現には、多様な交通手段による適切な役割分担の下に、快適な移動環境を充実していくことが重要であると考えています。
次は、上板橋駅北口に関連いたしまして、駐輪場不足に関する認識と土地確保に向けた取組についてのご質問であります。区の自転車駐車場は、駅周辺地区を一つのエリアとして捉えて、民間駐車場の状況なども含めて、総合的に勘案して、需要に応じて整備をしているところであります。今般の大規模商業施設の閉店に伴い、北口の自転車利用者の利便性が一定程度低下したものと捉えておりますが、エリア内の区営駐車場においては空車となっている時間帯もございまして、全体として見た場合には、不足はしていないと捉えています。駅周辺の新たな用地確保は難しいところでありますが、北口利用者の利便性向上の観点から、引き続き情報収集に努めてまいりたいと考えています。
続いて、事業者への要望についてのご質問です。上板橋駅北口の大型商業施設の跡地活用については、区としても、その動向を注視しております。民間の建築計画における自転車駐車場については、関係法令等に基づいて、施設の用途や規模に応じて一定規模の設置義務が生じるものであり、区としましても、計画の事前協議や完了検査を実施する考えであります。また、工事中の自転車駐車場の設置については、建築工事に対する支障になることや、安全対策上好ましくないこともございまして、求めていくことは現実的に難しいものと認識しております。
次は、介護事業所の倒産についてのご質問です。区が指定する介護施設において、経営難を理由とする事業所の閉鎖件数については、令和6年度は前年同数の1件でございまして、現時点では報酬改定による顕著な影響は確認できていないと捉えています。区は、令和7年度に介護保険サービス事業所の経営状況や課題等について調査を実施する予定でありまして、国でも介護報酬改定の影響調査をすることとしております。今後もこれらの調査をはじめ、様々な機会を捉えて、事業所の状況把握に努めてまいりたいと考えます。また、区は事業者への直接的金銭給付による経営支援ではなく、ICTまたはDX化の推進による人材確保や負担軽減に向けた業務支援に取り組んでいきたいと考えています。
続いて、介護認定についてのご質問であります。介護需要の増加などによりまして、介護認定に要する期間は、他自治体を含め、30日以上を要しております。この解消の時期を具体的には示し得ないところでありますが、所要日数の短縮に向けて、事務改善の取組を行っていきたいと思います。介護産業全般に共通する人材不足に対しましては、確保のための入門的研修や育成・定着支援として、主任ケアマネジャー研修など、継続的に実施をしていきたいと思います。また、介護認定調査の委託料については、調査業務の受託条件改善に向けて、引き続き取り組んでいきたいと考えています。
次は、ペットとの同伴避難と事業者等との連携についてのご質問であります。避難所でのペットの受入れについては、令和5年度にペット災害対策マニュアルを作成し、ペットとの同行避難を円滑に行われるよう努めているところであります。ペットとの同伴避難については、避難者の中には動物アレルギーのある方がいるなど、様々な課題があるために、現時点では困難と考えています。ペットとの同伴避難とともに、動物を扱う事業者や専門学校との連携については、他自治体の事例を踏まえて、今後研究してまいりたいと思います。
続いて、防災訓練とマニュアルの配布についてのご質問であります。来年2月に東京都と合同で実施する避難所開設・運営訓練の際に、実践的なペット同行避難を実施する予定でございます。訓練の実施結果を踏まえて、ペット同行避難の実効性をより一層高めてまいりたいと考えます。また、ペット災害対策マニュアルについてはホームページに掲載しているとともに、動物病院に配付し、飼い主が閲覧できるようにしておりまして、飼い主への周知を図っているところでございます。
次は、防災用品カタログの積極的活用のためにのご質問であります。区では、区民の命を守るために、地震発生時の出火防止対策の一つとして感震ブレーカーの設置を推奨しています。感震ブレーカーの設置については、コールセンターでの説明やホームページでの動画配信に加えて、来年2月以降、説明会を6回開催し、設置を支援する予定であります。また、木造住宅密集地域を対象とした消火器購入助成の対象範囲の拡大については、東京都の補助制度を前提とした事業であるために、現時点では困難であると考えています。
次は、個別避難計画の対象範囲の拡大等についてのご質問であります。区では、令和4年度から8年度にかけて、荒川氾濫時の浸水区域と土砂災害警戒区域を対象として、個別避難計画の作成を進めております。令和9年度以降については、関係各部で構成する要配慮者支援検討委員会において、個別避難計画の対象範囲を含め審議し、その審議結果などを踏まえて、総合的に決定していく方針であります。
次は、個別避難計画作成に伴う人員増についてのご質問であります。令和4年度から開始した個別避難計画の作成については、作成対象者の増に伴いまして業務量が増加している一方で、作成のノウハウが年々蓄積されてまいりまして、効率化が図られているという側面もございます。個別避難計画作成に伴う年間の業務量に基づきまして、今後も適正な職員配置を行っていきたいと考えています。
次は、全区民を対象とした個別避難計画についてのご質問です。令和6年度か年間をかけて、18支部ごとの地区別防災マニュアルを更新し、地区防災計画として位置づける予定であります。地区別防災マニュアルの更新に併せて、地震編と水害編の防災マップを作成し、地区内の全世帯に配布をする予定であります。防災マップには、いつ、どこに、どのように避難するかを各世帯ごとに記入していただく欄を設ける予定でありまして、個別避難計画ではないものの、趣旨を踏まえたものになるように作成していきたいと考えています。
いわい桐子議員の教育委員会に関する答弁は教育長から行います。
◎教育長(長沼豊)
それでは、いわい桐子議員からの一般質問のうち、教育に関する質問にお答えします。
文部科学省が見込む教員定数についてのご質問です。文部科学省は、来年度の予算編成に当たり、35人学級の推進と教職員の定数や処遇の改善により予算の増額を要求しています。一方で、教職員定数の自然減等に伴って減額の要求としていますが、義務教育費国庫負担金全体では、対前年度で約180億円の増額としています。教育委員会では、全ての子どもたちの豊かな育ちと学びを保障するため、国に対して教職員の定数改善を求めており、今後も国の動向を注視してまいります。
いわい桐子議員からの質問に対する答弁は以上となります。