区立志村小学校・志村第四中学校小中一貫型学校改築工事の見直しを求める陳情に賛成する討論

 ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、陳情95号 区立志村小学校・志村第四中学校小中一貫型学校改築工事の見直しを求める陳情 委員会決定「不採択」に反対し、陳情に賛成する立場で討論を行います。


 本陳情は、区立志村小学校・志村第四中学校小中一貫型学校改築工事の見直しを求めるものです。


 陳情に賛成する第一の理由は、小中一貫校計画は、子どものために、板橋の教育をどうするかということよりも、老朽化し改築が必要になった学校を統廃合していくことが優先された計画になっているからです。教室の配置図が文教児童委員会で報告され、もともと7階建ての学校が5階に変更となった経過もあり、教室不足が深刻になると考えます。区は、多様な学びを推進していくとしていますが、それには十分な教室数が必要です。報告された配置図では、カウンセリング室は地域開放スペースがある一階にあり、「友達にあいたくない」「相談することを知られたくない」という場合には配慮が十分にできない可能性があります。また、校内別室は二階に1部屋あるのみです。仕切りをいれてスペースを分けることが可能としていますが、そもそも、小学校と中学校の最低2部屋分は必要なのではないでしょうか。また、志村小学校には特別支援学級があります。周辺区立学校より合理的配慮が必要な児童生徒が多く通っており、区全体でも特別支援教育を必要とする児童生徒数は今後も増えていく傾向で、特別支援教育のための教室が足りていません。加えて、中学校の35人学級の方向性が都知事から示されており、教室不足にますますの拍車がかかります。中一ギャップの解消を掲げ、小中一貫教育を進めながら、不登校は過去最高に上る事態になっていることについての検証も全くされていません。1校の中学校の敷地に小学校を併設させて、1000名を超える大規模校を作ることでは、教育条件は良くなりません。志村小は志村小のまま、志四中は志四中のままで改築することが、最も子どもたちにとってよりより教育環境をつくることになると考えます。


 第二の理由は、改築工事の入札の内容に重大な問題があるからです。
一つは金額です。今回の契約は解体工事費も含めて121億円ということです。昨年の入札は90億円で、30億円引きあがったとのことです。直近で改築を行った上板橋第二中学校は解体工事費を含めた工事費用は約39億円です。板橋第十小学校は約28億円、上板橋第一中学校は約48億円です。ちなみに上二中と板十小を合わせると約67億円です。上一中と板十小をあわせると76億円ほどです。延べ床面積にそれほど大きな差はありません。この金額が本当に妥当なものなのか、またこれだけの金額をかけてどうしても作らなければならない建築物なのかが問われます。
さらに受注した事業者の問題です。昨年度の2回の入札が不調となり、今年度に入って、やり直した入札では参加者は2者で、しかも1者は辞退し、落札率は98%です。条件付きの一般競争入札で透明性を高めていると言いますが、結局、金額の折り合いがつくのはここしかなかったということではないでしょうか。落札した事業者は板橋区での実績は全く無く、区内事業者とJVを組むでもなく、単体での申し込みです。つまり、板橋区で実績のない事業者が、板橋区内の地元の業者の協力を得られる保障もなく行われる工事ということです。さらに、辞退した事業者は辞退理由について、「工期が短かったため」「現場等地理的な問題があったため」の項目を選択し、コメント欄には「仮設作業スペースが狭く、大型重機の搬入、据え付けに問題があり、完成期限までに工事を完成することが困難と判断したため」とされていることが、その後の調査で明らかになりました。この課題を、落札した事業者が解決できるのか区は何も説明していません。


 陳情に賛成する第3の理由は、十分な理解が得られないまま、近隣住民に小中一貫型学校の計画が押し付けられているからです。紛争予防条例に基づく住民説明会は、長時間に渡るも区の頑な姿勢により、住民の理解を得られずに終わりました。この計画で引っ越しを余儀なくされた家庭もあり、「決まったことに従ってください」と言わんばかりの区の対応に、近隣住民は強い不信感を抱いています。


 そもそも、志村小学校が単独で改築できない根拠も十分に説明されておらず、現行の計画では志村小学校の跡地は第二グラウンドとして使うとしています。やはり、小学校と中学校をそれぞれ別々に改築すればよかっただけの話なのです。


 地域住民から強い不安と不信の声が寄せられ、子どもたちの教育条件の後退につながる、志村小・志四中の小中一貫型学校改築工事を強行する区の姿勢に強く抗議するとともに、工事を中止し、計画を見直すことを求めて、陳情に賛成する私の討論を終わります。

一覧へ

検索