ただいまから日本共産党板橋区議会議員団を代表し、陳情第93号 中小零細・個人事業主の支援のため原油価格・物価高騰対策の補助金制度の創設を求める陳情 委員会決定「不採択」に反対し、賛成する立場から討論を行います。
本陳情は、長引く原油価格・物価高騰により影響を受けている、板橋区内に在住または事業所を置く法人事業主、個人事業主、一人親方などの中小規模事業者を支援・育成するため、区独自の補助金制度の創設を求めるものです。
陳情に賛成する第一の理由は、苦境に立たされている中小規模事業者を支えることが自治体の責務と考えるからです。
長引く原油価格、物価高騰は、区内中小業者の経営に大きな影響を及ぼしています。
コロナ、消費増税で低迷する地域経済に凄まじい資材の高騰がさらに追い打ちをかけています。
例えば、3年前は1mあたり180円だった壁紙が1.3倍の240円に、床材のクッションフロアは1mあたり1080円が1.4倍の1530円になるなどしています。今年に入っても内装代が3回値上がりし、ある個人事業主は「なぜ、こんなに値上がりするのかとお客様から怒られる」「改修工事を検討するお客様が逃げていく」と話します。
建設関連事業者など多くの事業者は現場に移動する手段として車は欠かせません。しかし、ガソリン代や原材料の高騰分や人件費の上昇を価格に転嫁することができず、収益が悪化しています。
結果として、建設関連に限らず、労働者の7割が働く中小企業の賃金は上がらず、人手不足や後継者不足にますます拍車をかけ、経営が立ち行かないところまで追いつめられています。
区の産業振興条例で「区内産業振興のための施策を実施する」と示すように区内の地域経済を下支えする中小企業支援は、区の責務です。
江東区、足立区ではエネルギー価格高騰の影響を受けた事業者に対し、水道光熱費・燃料費の一部を補助するなど独自の補助を行っています。板橋区にできない理由はありません。
委員会質疑のなかで「区がやるべき施策は、経営改革支援、特にDXによるBPR、業務改善であり、補助制度より優先すべき」という意見がありましたが、「この先見通しが立たない」と嘆く中小零細・個人事業主などの小規模事業者への支援に業務改善や融資では経営を維持できるかどうかという瀬戸際の厳しい実態には全く届きません。
陳情に不採択を主張した委員からは「中小企業を取り巻く環境は非常に厳しいという認識」という意見があり、区も「厳しい状況が続いている認識」と答弁しています。
であるならば、板橋区として国や都の支援を待つことなく区独自の補助金制度を創設し、苦境に立たされている区内事業者を守るべきです。
賛成する第二の理由は、区の原油価格・物価高騰対策は全く不十分だからです。
区は、新年度、物価高騰対策の産業・事業者への支援として19億円余を計上しましたが、額も規模も足りません。そのうち90%を占めるキャッシュレス決済推進事業のいたPayやプレミアム付商品券事業は飲食店や多くのユーザーから喜ばれているものの、建設関連事業者など少なくない事業者がいたPayなどが使えず、区の施策の恩恵が受けられません。
加えて、区の新年度予算にはエネルギー価格高騰に対する支援策は公衆浴場へのガス代、電気代などの一部補助で4900万円とわずかな支援のみです。
区がコロナのときに実施した中小企業等緊急家賃助成やR4年度実施したエネルギー価格高騰対策設備更新助成は「とても助かった」と喜ばれています。今こそ、地域経済を支える区内事業者が事業継続できるよう直接的な支援をすべきです。
以上の理由から本陳情に賛成し、私の討論を終わります。
