発言日: 2020年03月03日
ただいま上程されました議案第38号「中高年のひきこもりに対する実効性ある支援と対策を求める意見書」につきまして、提案者を代表し、提案理由の説明を申し上げます。
従来、ひきこもりは、主として若年・青年層の課題としてイメージされてきました。しかし、最近では、就職氷河期世代も含め、中高年層に及ぶ大きな社会問題としてクローズアップされてきています。政府が中高年層を対象に初めて実施した全国規模の調査が2019年3月に公表されましたが、40から64歳のひきこもりが全国で約61万人にのぼるという推計は、社会に大きな衝撃を与えました。ひきこもり期間の長期化や高齢化により、高齢者の親とともに社会的に孤立するケースも少なくありません。
政府としては、これまで、都道府県・政令市へのひきこもり地域支援センターの設置やひきこもりサポーター養成研修・派遣事業を行ってきましたが、今後は、より身近な場所での相談支援の実施や社会参加の場の充実など、就職氷河期世代も含めた中高年のひきこもりに対して、これまで以上に実効性ある支援と対策を講じるべきです。
よって、板橋区議会は、政府に対し、中高年のひきこもりは個々人やその家族だけの問題ではなく、社会全体で受け止めるべき大変重要な課題と捉え、次の事項について早急に取り組むことを強く求めます。
1、より身近な場所での相談支援を行うため、自立相談支援機関の窓口にアウトリーチ支援員を配置し、同行相談や信頼関係の構築といった対本人型のアウトリーチ支援を実施すること。また、自立相談支援の機能強化に向けたアウトリーチ等を行うための経費については、新たな財政支援の仕組みを創設すること。
2、中高年のひきこもりに適した支援の充実を図るため、市区町村によるひきこもりサポート事業の更なる強化を図ること。具体的には、中高年が参加しやすくなるような居場所づくりやボランティア活動など、就労に限らない多様な社会参加の場を確保するとともに、家族に対する相談や講習会などの取組みを促進すること。
3、8050問題など世帯の複合的なニーズやライフステージの変化に柔軟に対応できるよう、断らない相談支援や伴走型支援など、市区町村がこれまでの制度の枠を越えて包括的に支援することができる新たな仕組みを構築すること。
以上につきまして、議員各位におかれましては、提案趣旨をご理解いただき、ご賛同賜りますようお願い申し上げ、提案の理由の説明といたします。