発言日: 2019年10月11日
ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、陳情第41号「『羽田空港の機能強化』による増便計画についての陳情」及び陳情第52号「都心低空飛行問題に関する陳情」に賛成し、討論を行います。
国土交通省と東京都は、増大する来日観光客に対応するとして、羽田空港の国際便を年間3万9,000便ふやすために、来年の3月から新ルートの運用を始めようとしています。新ルートは、地元自治体と協議をして、過去に決定した海から入って海に出るという従来の原則を踏みにじり、都心上空を飛ぶルートとしています。板橋区では、上空およそ1,200メートルを最大で2分に1回通過する計画です。
陳情第41号は、教室型説明会の開催、新ルートの下の学校・幼稚園・保育園などへの周知と説明、騒音モニタリングポストの設置とそのデータの公表を求めています。これは、新飛行ルートに不安を感じる住民の当然の要求です。
都市建設委員会で不採択を主張した委員は、安全強化を図ることを求めながら経済効果を理由に新ルートの必要性を主張していますが、本陳情は新ルート見直しを求めているのではなく、説明と周知徹底、騒音調査と結果の公表を求めており、不採択の理由にはなりません。
また、板橋区も、航空機部品の落下事故等の徹底調査と原因究明、その安全対策強化と再発防止を求める要望と、空港での機体チェック実績や不都合な指摘・改善の公表と監視の要望について、一定の部分については結果が出ているとしながらも取り下げてはいません。今の段階で教室型説明会の開催など、住民の不安に応えるための対策を否定することは問題です。
陳情第52号は、騒音・頻度・高度・大気の調査とルート下の学校・幼稚園への周知を求めているとともに、従来の海から入って海に出る原則を守る飛行ルートに見直すことを求めているもので、住宅の上を低空飛行することに不安を感じている住民の願いです。
国土交通省は、騒音軽減対策として、都心上空での飛行高度を引き上げるために着陸時の降下角度を3度から3.5度引き上げるとしました。しかし、これによる騒音低減効果は1デシベル程度と測定機の誤差程度の小さいものです。また、3.5度の急な降下角度は、世界の多くのパイロットが未経験で、着陸の難易度を引き上げて世界で最も着陸の難しい空港となり、着陸のやり直しや尻もち事故などの危険性が機長経験者などから指摘されています。これでは安全対策が十分とは言えません。
不採択を主張した委員は、過去10年間で落下物はないと言いますが、事実ではありません。国土交通省によると、2009年から2016年の8年間で451件の部品脱落の報告があります。また、海上には船もあるから、その安全を図ると言いますが、陸上にはもっとたくさんの人や建物、車などがあり、被害は海上よりも大きくなることは必至で、その発言は大きな矛盾を抱えています。
都と国土交通省は、新飛行ルートの実施は地元の理解と協力が前提と言ってきましたが、今年3月には、品川区議会で新ルートに対して反対決議が全会一致で採択され、渋谷区議会では、計画の見直し等を強く求める意見書が採択されています。こうした状況から見ても、地元の理解が得られたとは言えません。
そもそも国際便の増加と言いますが、増加枠の半分は北米路線の拡充に充てられており、訪日観光客の8割を占めるアジア方面の拡充ではありません。羽田空港の機能強化が、訪日外国人のためではなくアメリカのためのものであると言わざるを得ません。羽田空港新ルートは撤回すべきです。
以上の理由で本陳情の採択を求め、討論を終わります。