陳情第98号「アスベスト被害防止対策を板橋区としてできることからすみやかに取組むことを求める陳情(補助金制度の件)」に賛成する討論

討論日:2021年10月12日

 ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、陳情第98号「アスベスト被害防止対策を板橋区としてできることからすみやかに取組むことを求める陳情(補助金制度の件)」に対する委員会決定「不採択」に反対し、討論を行います。

 本陳情は、板橋区に対して、国土交通省の社会資本整備総合交付金を活用して、アスベスト除去工事に対する補助金制度を創設することを求めていています。

 陳情に賛成する第1の理由は、社会資本整備総合交付金は、自治体が補助制度を創設しなければ、活用できない制度であるからです。同交付金は、アスベスト除去工事にも適用されますが、所有者や解体事業者が直接国へは申請できず、自治体が補助金制度作ってはじめて補助額の1/2が自治体に支給されるもので、2025年まで利用できることになりました。国の制度を利用するためにも、区が補助制度を創設することが必要です。

 第2の理由は、補助金制度なしでは、アスベスト対策が十分進まないからです。厚生労働省の2020年人口動態調査によると、アスベストが主な原因とされる中皮腫での死亡者が1600人を超え、「世界疾病負荷」では、日本の2019年のアスベストによる年間死者数が初めて2万人を超えました。これほど危険なアスベストの飛散から区民の命と健康を守る取組みには、あらゆる対策が必要です。厚労省は、建築物の解体・改修工事を行う際に必要な措置が実施されていない事例が散見されるとして、アスベスト対策について「大切な命を守るためには、一刻の猶予もありません」と警鐘を鳴らしています。区が強化するとしている職員のパトロールや区民からの通報だけでは不十分であり、除去工事への財政的支援を実施し、自治体の責任を果たすべきです。

 陳情に反対した委員からは、区の財政的負担が重いとの意見がありました。しかし、アスベストを使用した建物の解体工事が現在増加しており、2028年にはピークを迎えようとしていることを考えれば、一刻の猶予も許されません。さらに、アスベスト対策は、いつまでも必要な制度ではなく、長期的な区の負担は決して大きなものではありません。23区中11区もの区が実施に踏み出していることは、そのことを表しています。

 以上の理由から、本陳情の採択を求め、討論を終わります。

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