2021年第2回定例会 一般質問 いわい桐子区議

 

質問日:2021年6月1日

続いて、日本共産党の一般質問を行います。

1、コロナ禍で求められる公共としての役割発揮を

⑴図書館などの公共施設の機能提供継続を
 初めに、コロナ禍で求められる公共としての役割について質問します。
 新型コロナウイルスの感染拡大は、国内的にも国際的にも続いています。3度目の緊急事態宣言は、新規感染者数は高止まりのまま、6月20日まで再び延長されました。インド型の変異株が発見され、感染力が従来型の2倍以上で、ますます緊張感が高まっています。しかし、小池知事や菅首相が繰り返し強調するのは人流の抑制です。都民と事業者の自己責任による行動の抑制を求めることばかりでは感染を抑え込むことはできません。
 連休明けには、国や都の要請で鉄道会社が通勤時間帯の運行本数を減らす対応を取りましたが、駅のホームに通勤客があふれる事態を招き、結果として減便は撤回となりました。こうしたちぐはぐな対策と、オリンピックばかりに執着し、やるべきことをやらない政府や東京都に対する批判も高まり続けています。自粛の生活が長期化する中で、子どもたちも高齢者も働く世代も心身共に疲弊しています。終わりの見えない状況下に、行政の公共の役割が問われています。
 板橋区は、3度目の緊急事態宣言を受けた当初、小・中学校、区立保育園、あいキッズを除く区立の施設をほぼ休館し、事業、イベントの休止、縮小、中止、延期等の対応を取りました。それは、人流を抑制するためという理由だけで、施設ごとの休館や休止の理由は示されていません。しかし、まちの人たちからは、公共施設が閉められたことで、むしろスーパーなど別の場所に人が多かったという印象で、結果として、目的や場所を変えて人が動いていたという状況です。
 そこで区長に伺います。公共施設などを閉じて、人流抑制になったのかお答えください。公共施設は、コミュニティの継続や住民にとっての居場所など、施設ごとに目的を果たす役割があります。どんな状況下でも、その提供ができる限り保障されなければなりません。しかし、区は3度目の宣言発令直後に図書館を全館休館にしました。公益社団法人日本図書館協会のガイドラインでは、図書館は社会基盤としての役割を継続的に果たすよう努力することが求められ、感染拡大を防ぐ対応を図った上で、図書館の役割を果たしていくことは、何もしない=休館では決してないと指摘しています。情報は図書館の新聞からしか得られないという区内在住の男性は、図書館が休館となったことで、コロナの情報さえも手に入らなくなったと話しています。区は、なぜ休館としたのでしょうか。図書館における社会的基盤の役割が休館によって閉ざされたことをどうお考えですか。
 既に3度目の緊急事態宣言です。区として、コロナウイルス発生後の公共施設の対応が、各施設の目的と照らしてどうだったのか検証し、今なお続く感染症の状況において、公共施設の果たすべき役割と在り方について示すべきと考えます。区長の認識をお示しください。

⑵公共機能を担う労働者の処遇改善を

公共施設が休止、休館となれば、そこで働く人の処遇が心配です。
 この間、コロナを理由に休止、休館などの対応を行ったとき、直営で運営する施設で働く正規職員、会計年度任用職員の賃金支給の対応をお示しください。全館休館したふれあい館は、各指定管理者の就業規則により6割補償の人件費となりました。指定管理で運営する施設も区の施設である以上、公務労働です。直営で運営されていたら、6割支給にはならないはずです。同じ公務現場で緊急時に、今まで以上の格差が発生していることに対する区長の認識をお答えください。また、昨年の学校休校時も、給食調理の委託会社へは区教育委員会から雇用の継続が依頼され、委託費は下げていません。しかし、実際に働いている人からは、休校当初は、10割支給された給与が、4月、5月は6割しか支給してもらえず、本当に苦しかったという声が寄せられています。指定管理施設や学校の給食調理、用務委託などで働く全ての労働者のコロナ禍における賃金支給額の影響についてお答えください。
 いこいの家の一部休止、地域センターの夜間利用中止などで、シルバー人材センターから派遣される高齢者の収入にも大きな影響が出ています。いこいの家では、休止しているゾーンも含めて、清掃や植木の剪定などで勤務日をつくるなどの努力を行っていますが、それでも賃金減の影響は少なくありません。シルバーの仕事は、発注者から受けた業務を会員に委任、請負する就業形態で、会員は個人事業主のようなもので、いこいの家では単価契約です。雇用関係が生じない、生きがい就労だと言っても、シルバー人材センターへの入会理由で最も多いのが、生活などの収入を得たいからという理由です。シルバーで働く収入が、生活費の一部を賄っていることは間違いありません。生きがい就労だとしても、区の施設を区の理由で休止する以上、シルバーで働く人の収入が減少しないよう、区として対策を行うことを求めます。

2、新型コロナウイルス感染症を抑えこむために

⑴無症状者への社会的検査実施を
 次に、新型コロナウイルスの感染を抑え込む対策を求めて質問します。
 まず、無症状の感染者への検査についてです。感染が急拡大し、医療崩壊が現実のものとなる今、クラスターの大規模化を防ぎ、無症状の感染者を発見するモニタリング検査の強化が引き続き重要です。広島県では、4月から約280万人の全県民と県内で働く全ての人を対象に、無料でPCR検査を始めています。県内5か所のPCR検査センターと広島市内約200か所の薬局における検査で、5月11日までに11万5,233人が検査を受け、陽性者を641人発見し、保護しています。その一人ひとりが、3人、5人と感染を拡大させる危険を未然に防いだことは大きな成果です。その後、症状のある感染者と濃厚接触者の検査数が急増し、大規模検査は一時中断を余儀なくされましたが、広島県知事は、検査の重要性は変わらない、むしろ、もっと早く広範な検査をしておけばよかったと述べています。そして、今の状況が落ち着けば、無症状の人への大規模な検査を再開すると発言し、感染拡大を抑え込む姿勢を示しています。
 そこで区長に伺います。無症状の感染者から感染を広げないために、区長は何が必要と考えますか。ワクチン接種と並行して検査の徹底が求められていますが、東京都の検査は、7日間平均で、1月のピーク時でも1日約1万2,000件と極めて不十分です。その後は3月中旬まで、7,000件前後で推移しています。変異株検査の実施割合も、5月の連休明けで約40%という少なさです。本気の大規模検査への抜本的な転換が求められています。東京都に対し、無症状者への社会的検査を大規模に実施することを求めていただきたいが、いかがでしょうか。
 東京都は今年3月から、大規模な医療機関や介護施設などへ直接PCRキットを送り、検査を行っています。しかし、この検査結果について、陰性であれば一切板橋区に報告されない仕組みです。陽性者が発生しなければ、当該自治体に報告されないことはとんでもありません。区として検査の量や結果を把握するべきと考えますが、いかがでしょうか。
 板橋区が行っている高齢者と障がい者施設における手挙げ方式のPCR検査は、これまでの月1回から週1回に回数を増やしたことで、その効果への期待も高まっています。区内の高齢者と障がい者施設へのPCR検査の実施状況と課題、結果、今後の見通しについてお示しください。
 無症状の感染者からの感染を防ぐために、日常的に多くの人が接触せざるを得ない場所にPCR検査を広げ、感染者の発見と保護を進めていくことが重要です。区として、現在対象外になっている通所介護や訪問介護、保育園や小・中学校などへPCR検査の対象を広げることを求めます。

⑵都立・公社病院の独立行政法人化の中止を
 次に、都立病院・公社病院の地方独立行政法人化についてです。新型コロナウイルスの感染症によって、感染症発生時に、都立・公社病院の重要性がかつてないほど鮮明になっています。東京都には、八つの都立病院と外郭団体である東京都保健医療公社が運営する六つの病院があり、豊島病院は公社病院です。昨年1月、中国武漢から帰国した人で、症状のある人を先頭に立って受け入れたのは都立・公社病院でした。感染症病床は80床でしたが、患者の増加に合わせて、昨年5月には800床に、今年2月には1,700床に拡大されました。さらに、透析患者、妊婦、子ども、障がい者、外国人など、ほかの医療機関で受入れ困難な患者を積極的に受け入れていることも特徴です。コロナ医療における都立・公社病院はかけがえのない役割を果たしていると考えますが、区長の見解をお答えください。
 民間医療機関では採算が取れず、担い切れない医療を都立・公社病院が提供しています。不採算医療を安定的に提供し続けるには、東京都の財政支出は不可欠です。ところが、東京都は、その財政支出を削減するために、都立・公社病院の地方独立行政法人化を計画しています。区長は、地方独立行政法人化によって、豊島病院が行ってきた感染症医療、精神科救急、小児救急やリスクのある妊婦の産科、障がい者医療などの不採算部門が縮小や削減などにならないと考えているのでしょうか。見解をお答えください。東京都は、コロナ感染が広がる中でも、地方独立行政法人化の計画をやめようとしません。国は75歳以上の窓口負担を2割へ引き上げ、病床を削減しようとするなど、医療の削減に前のめりです。東京都まで医療を切り縮めることは、都民の命と健康を守る願いに背を向けるものです。地元自治体として、命のとりでの豊島病院を守るために声を上げるべきです。地方独立行政法人化の計画を中止するよう東京都へ求めていただきたいが、いかがでしょうか。

⑶医療機関への支援強化を
 次に、医療機関への支援についてです。今、医療機関は、受診抑制などで外来や入院の患者が減り、一時金の減額で退職者も出る事態で、運営継続そのものが厳しくなっています。区は板橋区医師会と連携し、コロナで入院していた患者の症状が軽症となったときの転院先の調整や転院費用への一部助成を今年1月に始めています。利用が広がり、当初予算の1か月14件を上回っているとのことです。軽症となった患者を受け入れている病院にとっても、経済的な支援となっていると聞いています。区の病院間連携による転院等の支援事業の現状と予算の確保などの見通しについてお示しください。
 財務省は4月15日、財政制度等審議会の分科会において、今後の新型コロナウイルス感染症に係る医療機関への支援策について、コロナ入院患者を受け入れている病院には、事実上、減収補填の必要性を認めました。一方で、コロナに対応しない医療機関への支援策については縮小、廃止を示唆しています。しかし、全国保険医団体連合会が行った医療機関へのアンケート調査では、9割の医療機関の外来患者数が前年比で減少し、保険診療収入が医科では2割、歯科では3割の減収になったと報告されています。地域医療は、コロナ対応医療と一般医療の両方の確保が重要です。コロナの患者を受け入れていない病院も、その役割を維持、継続できるよう、全ての医療機関を対象にきめ細やかな支援が求められています。コロナの患者対応を行っていない医療機関の減収補填に対する区長の考えをお聞かせください。
 また、受診抑制によって、がんや心不全の進行や重症化事例、検査の延期、服薬の中断によって心疾患、糖尿病などの悪化事例が多く報告されています。高齢者は、外出控えによるADL低下、認知症の進行、歯科では口腔状態の急速な悪化や子どもの虫歯が増える傾向も指摘されています。コロナ禍感染の収束はいまだ見えず、さらに長期化することが懸念されている中、行政として必要な医療を受けるよう発信していくことが必要です。より多くの人が必要な受診や予防接種、健康診断を受けるように、区として今まで以上の区民への働きかけや周知を行うことを求めます。

3、障害者への支援強化を
 次に、障がい者への支援強化を求めて質問します。コロナ災害とも言える状況でひとり暮らしの知的障がい者は、支援が必要であっても気づいてももらえません。コロナの情報も、昨年の特別定額給付金も、ワクチン接種も、行政から届く郵便物の内容を理解して、自分で返信文書に記入したりワクチン接種の予約を行ったりすることが難しいのです。緊急時こそ一人ひとりへの対応を丁寧に行う必要がありますが、現在、知的障がい者の側から困った、助けてと言わなければ支援の対応が始まることすらありません。今必要なのは、相談を待つ機能ではなく、困っている人を行政の側から捕捉する仕組みです。
 そこで伺います。区は板橋区障がい者計画2023で地域生活支援拠点等の整備を重点事項に位置づけたと言ってきました。その地域生活支援拠点は、ひとり暮らしの知的障がい者にワクチン接種の案内が届いたら、障がい者自身から連絡ができなくても接種の予約につなぐ仕組みになるのでしょうか。区の様々な計画や事業は、知的障がい者が一人で暮らすことが想定されておらず、その人数すらつかんでいません。量が分からなければ、実態に合った計画にはなりません。一人で暮らす知的障がい者が区内にどれぐらいいるのか、把握する必要があると考えます。区長の見解をお答えください。
 一般企業で働く障がい者へのコロナの影響も深刻です。ある区内の53歳の男性は、愛の手帳4度で、製本会社に勤務しています。コロナ感染拡大の経済状況によって、毎朝今日も仕事がないから来なくていいよと電話があり、自宅待機の状態が続いています。給料は従前の半額以下で、母親が残した蓄えを崩して一人で生活をしています。休業補償もありません。区の障がい者就労支援センター、ハート・ワークによる相談対応では、コロナ感染発生後、解雇はないものの、自宅待機や時間短縮などで賃金の減額などの影響がとても多く報告されているとのことです。また、受け入れている企業の倒産などで仕事を失うケースまで発生していると聞いています。区として、ハート・ワークや区内障がい者施設、団体などと協力し、一般就労している障がい者の勤務や給与の実態調査を行うこと、また、休業支援金の手続などを支援することを求めます。
 障がい者の働く施設の多くが経営難に苦しんでいます。外出やイベントの自粛などで商品が販売できず、企業からの仕事の受注も減っているためです。障がい者を支援する事業所の全国連絡会、きょうされんの調査で、昨年10月時点でも200か所のB型事業所のうち62.5%が減収となり、工賃も7割近い事業所で減額となっています。国は、コロナ禍で減収した就労継続支援事業所向けに、1事業所当たり最大50万円を支給する、生産活動活性化支援事業を設けていますが、要件が厳しく支援を受けられない事業所も多い状況で、そもそも働く障がい者の工賃減収を補填するものではありません。区として、国へ生産活動活性化支援事業の要件緩和や減収した工賃などへの支援実施を要請していただきたいが、いかがでしょうか。また、区として支援策を検討することを求めます。

4、必要な介護が受けられる板橋に
 次に、必要な介護の保障を求めて質問します。介護保険が始まって20年以上です。3年ごとに引き上げられた保険料基準額は、ついに月6,000円を超えました。高過ぎる利用料も大きなハードルになり、保険あって介護なしの実態は、この20年間の社会保障費削減路線によって、ますます深刻です。厚生労働省は昨年6月、コロナで経営が苦しくなっている介護事業所への救済策という名目で、デイサービス、ショートステイなどの報酬単価を加算することを決めました。その結果、利用者が負担する利用料は、サービスの内容は変わらないのに料金だけ高くなる結果となりました。さらに、この報酬引上げは、介護事業所が利用者や家族に説明を行い、同意が得られた場合にのみ適用されます。事業所が利用者を説得しない限り、事業所の収入は増えません。政府が決めた報酬改定にもかかわらず、説明して利用者の反発を買う役目は、事業者に押しつけるやり方に事業者からも批判が募っています。
 都営西台アパートに住む90歳の女性は、週3日デイサービスを利用していますが、利用料引上げの同意書に判を押せずに帰ってきたそうです。一緒に利用していた人たちが二人、三人と、もう来られなくなると言って利用を諦める様子を見て、年金が下がり続けているのに、保険料も利用料も払って、今度は、介護そのものを諦めなきゃいけないのかと悔し涙を浮かべて訴えています。低過ぎる介護報酬は抜本的に引き上げるべきですが、それを利用料に転嫁する仕組みが介護の利用抑制を生んでいます。区長の認識をお示しください。また、区として介護事業所へ実態調査を行うことを求めます。
 介護保険制度は、高齢者介護の一部分しか担えません。そのため、高齢者を総合的に支える視点が必要です。武蔵野市では、介護保険導入で、措置制度における高齢者福祉から介護保険へ移行した際、残る半分の予算を介護保険を補完する福祉施策の財源として活用しています。板橋区でも、高齢者介護の充実に一般会計からもっと活用できるはずです。区として、介護保険の利用料への軽減策を行うことを求めます。
 介護が保障されない問題の一つが、保険料滞納へのペナルティーです。保険料を2年以上滞納すると、後でお金に余裕ができて支払おうと思っても払うことすらできない仕組みです。利用料が1割、2割だった人は3割負担など、滞納があった期間に応じて負担割合が引き上がります。高島平に住んでいた73歳男性は、2年以上の滞納で3割負担の利用料が払えず、介護ベッドの利用を諦めました。手術後の膝の回復も思わしくなく、起き上がるのに時間がかかるため、サラ金で借りてでも滞納分を納めるから、介護を利用したいと懇願しましたが、滞納分を納めることも許されず、介護を利用できないまま亡くなりました。ペナルティーの仕組みが、介護を必要としている人に介護を保障しない構造になっていることについて、区長の見解をお答えください。また、区として何らかの対策を行うことを求めます。

5、高島平のまちづくりについて
 次に、高島平のまちづくりについて質問します。高島平地域グランドデザインにおいて、高島平地域都市再生実施計画の策定が進められています。今年2月に骨子案が示され、9月には素案が報告され、来年2月に最終案が策定される予定です。骨子案では、高島平二・三丁目を重点地区と位置づけた方向性が示されましたが、住民への説明はコロナ禍の下、町会、自治会への説明にとどまっていて、延期して再設定した6月の住民説明会は、緊急事態宣言の延長でさらに延期になる見通しです。
 そこで、区の骨子案の重点地区について伺います。高島平地域は高齢者が多く、特別養護老人ホームなどの施設整備を求める声が高い地域です。区は、旧高島第七小跡地を活用した公共施設の再整備について、高齢者施設は、おとしより相談センターとふれあい館があるから充足しているとしてきました。しかし、都市再生実施計画の骨子案では、高齢者施設の導入検討と書かれています。重点地区の再生連鎖モデルのステップ1に示された高齢者施設の導入検討の高齢者施設とはどういう施設を想定しているのでしょうか、お答えください。住民からは、高過ぎる建物や大き過ぎる商業施設などを不安視する声もあり、区の考えを示す必要があります。骨子案に示された都市再生スキームの実現方策に書かれている用途地域の変更とは商業地域を広げるということでしょうか。また、形態規制の緩和とは、現在45メートルの高さ規制をさらに引き上げるということでしょうか。
 骨子案について、区有地である再整備地区の整備に向けた方針では、防災拠点となる高台等の空間確保が位置づけられています。高島平エリアは、荒川河川氾濫時に5メートルの浸水域になっています。原則、水平避難が呼びかけられているものの、水害の怖さはその水の来るスピードです。川から水があふれ出したら、もう水平避難は間に合いません。そこで伺います。これから整備する公共施設や大規模な民間住宅、URなどに、水害が及ばない高さへ避難できる空間を設ける必要があると考えます。区長の考えをお聞かせください。
 大規模災害時に配慮が必要な人が過ごす福祉避難所について、内閣府は運営に関するガイドラインを改正し、市区町村に周知するなど、災害時に福祉避難所の機能をきちんと活用できるよう取組が進められています。現在、高島平エリア内の福祉避難所は4か所で、受入れ可能数は150人です。その全てが荒川河川氾濫時の浸水域内にあります。大規模水害時の福祉避難所の在り方や必要量、今後の確保についてどのようにお考えでしょうか、お示しください。
 都営三田線の終点が、高島平エリアの西高島平駅です。西高島平駅前の三園陸橋は都道と国道の交差点を渡る大きな歩道橋で、三園地域から駅まで行くには国道の交差点に横断歩道がないため、とてつもなく長いスロープを越えなければなりません。高齢者やつえをついて歩くようになった方などから、とても歩いて渡れないという声が寄せられています。また、駅周辺には三園福祉園もあります。バリアフリーの視点で改善が必要です。国に対して、西高島平駅前の三園二丁目交差点の歩道橋にエレベーターなどの設置を求めていただきたいが、いかがでしょうか。
 高島平エリアを走る都営三田線の8両編成が2022年度に導入されることが発表され、利用者の期待が高まっています。一方で、電車内における痴漢被害の深刻な実態も明らかになりました。社会参加に支障が出るケースもあり、痴漢行為をなくすために女性専用車両を求める声が広がっています。現在、東京都は10両編成の車両には導入していますが、8両編成には導入していません。車両の数に関わらず安心して利用できるようにするべきです。そこで伺います。都営三田線の8両編成は、来年の何月から走るのでしょうか。また、都営三田線にも女性専用車両を導入することを東京都へ求めていただきたいが、いかがでしょうか。

6、大規模校の解消と少人数学級で教育の充実を
 次に、教育の充実を求めて質問します。コロナの感染拡大を受けて、子どもたちが1日過ごす学校の教室の密状態が課題となり、ようやく小学校だけ、35人を5年かけて進められることになりました。教職員の人件費増加などを理由に、中学、高校への導入が見送られたことは本当に残念でなりません。そもそも少人数学級は、コロナ前から家庭からも現場の教職員からも切望されていたものです。にもかかわらず、都も区もその願いに背を向け、学校選択制で小規模校を発生させて、財政効率が悪いとして、小規模校の統廃合を進めてきました。その結果、大規模校が増え、少人数学級実現のための教室不足などに新たな課題が生じています。
 区教育委員会の、区立小中学校の適正配置に関する基本方針は、教育上望ましい規模を、小学校が12学級から18学級で、1学級当たり20人から30人です。35人学級よりもさらに小さな規模です。また、中学校が12学級から15学級で、1学級当たり30人から35人としています。しかし、その進め方は、児童・生徒数の推移などによる適正化対象校の公表と協議会の設置だけで、大規模校を解消する具体策はなく、教育上望ましい規模を実現する計画すらありません。そこで伺います。教育上望ましい規模を、いつ、どのように実現するのですか、教育長の考えをお示しください。
 少人数学級によって、教職員の負担が軽減されることも大きな期待があります。文部科学省が始めた交流サイト、教師のバトンプロジェクトは、前向きな投稿で教師の魅力を発信するものです。若い人たちの教員志望を増やすという狙いに反して、開始直後から、出勤7時、退勤21時、休憩なし。もう限界です、など過酷な勤務実態の訴えが相次いで話題となりました。深刻な実態は、板橋区も例外ではありません。昨年の10月、小・中学校で80時間以上残業している人が199人で、100時間以上残業している人は99人と異常です。教育委員会の、教職員の働き方改革推進プラン2021は、主に事務効率の改善が中心です。働き方を改善するには、一人が受け持つ子どもの量を減らすといった構造的な改革がなければ根本的には解決しません。区の言う教育上望ましい学級規模にすることが、教員の負担を減らし、残業時間を改善することにつながると考えます。教育長の見解をお答えください。
 教育委員会は、施設一体型の小中一貫校を整備する場合の方向性を示す方針を来年2月に策定する予定です。それは、志村小、志村四中の一貫校整備に向けて、慌てるかのように後づけで発生した方針です。そもそも板橋区には、小中一貫校をどのくらいどこに整備するのか示した計画はなく、老朽化した学校の建設の際に、小中一貫校の建設についても検討するといった考え方だけです。今検討されている志村小は、今年度23人増えて、1学級増の14学級で414人です。志村四中も、14学級で514人と増加傾向です。また、特別支援学級は、小・中で合計17人も増加し、学級数も増えています。二つの学校を一つにすれば、大規模になることは当然です。そこで伺います。施設一体型の小中一貫校は大規模化になり、望ましい学校規模から遠ざかると考えますが、教育長の見解をお示しください。
 教育委員会は、施設一体型の小中一貫校を整備する場合の方針策定と同じ来年2月に、志村小と志村四中の基本構想を策定するスケジュールで、その委託費を今年度の予算に計上していました。しかし、今議会に学校施設改修経費の債務負担行為の補正予算を提案しています。それは、4月の文教児童委員会で、本来、教育委員会としての方針を策定してから個別の学校の協議をスタートすべきだとの各会派からの意見を受けて、基本構想策定の委託費を令和4年度に支払うことができるようにするとのことです。既に4月の地元検討会が書面開催されていて、今後も検討会の検討は予定どおりとし、基本構想も数か月先送りするものの、教育委員会の方針が出来上がる前に基本構想の検討が始まることは変わりません。教育委員会は文教児童委員会で、本来であれば、方針があって、方針に基づいて協議をすべきという順番はおっしゃるとおりだと認めています。志村小と志村四中の基本構想も地元の検討会も、今年度末の基本方針が策定されるまで凍結すべきです。そこで教育長に伺います。補正予算の債務負担行為は、区教育委員会の方針策定と志村小と志村四中の基本構想の策定の時期が若干ずれるだけです。それは順番が逆だとの議会の指摘に対するつじつま合わせではありませんか。教育長の見解をお答えください。
 35人学級が進めば、教室不足などから、各学校の受入れ可能数への影響もあります。学区の再検討も必要になるのではないでしょうか。小中一貫校などという大規模化を進めている場合ではありません。教育委員会の望ましい学級規模を全ての小・中学校で実現するための計画を策定することを求めます。教育長の考えをお答えください。

7、原発汚染水の海への放出中止を
 次に、原発汚染水の海への放出中止を求めて質問します。東京電力福島第一原発事故の解決は、私たち板橋区民にとって、電力を消費する当事者として重大な関心と責任を持っていかなければならない問題です。政府は4月13日に、福島第一原発で増え続ける放射能汚染水を処理した後の高濃度のトリチウムを含む汚染水を海洋放出するという方針を閣議決定しました。この決定に対し、福島県内の多くの自治体や漁業関係者から批判と抗議の声が上がっています。今回の政府決定は、2015年に政府と東京電力が漁業関係者に示した、関係者の理解なしには、いかなる処分も行わないとした約束をほごにするものです。そこで区長に伺います。東京電力福島第一原発の放射能汚染水は、海に流すことを前提にしなくても、あらゆる科学的知見を集めて、別の解決の道を探ることができると考えますが、見解をお聞きします。
 以上で私の一般質問を終わります。(拍手する人あり)


     〔区長 登壇〕

◎区長 それでは、いわい桐子議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、人流抑制の効果についてのご質問であります。昨年4月の緊急事態宣言から、今回3度目の緊急事態宣言となりましたが、区施設の対応につきましては、その都度、国の基本的対処方針や東京都の措置要請に基づいた対応を行ってまいりました。今回の休館等の措置につきましては、短期間での徹底した人流の抑制を図ることが重要であるとの考えから、区がこの期間にできる感染拡大防止策の一つとして決定をしたものであります。要請内容に基づく対応策は毎回異なるために単純比較はできないところでありますが、前回の時間短縮要請時と比べますと、一斉休館等による人流抑制の効果はあったものと考えています。
 次は、コロナ禍における公共施設の果たすべき役割と在り方についてのご質問であります。
 緊急事態宣言下における区施設の対応は、国や東京都の方針や措置要請の内容によって、その都度、区としての方向性を定めていかなければならないものと考えています。区には、各施設を運営し、区民の利便性を高めるという事業者としての側面と、区民の安心、安全な暮らしを守る基礎自治体の責務との二面性を持って対応を検討することが求められていると考えます。コロナ禍という未曾有の事態にありまして、いまだ収束の兆しが見えないところでありますが、この間の様々な対応について、しかるべきときに検証していきたいと考えています。
 次は、区の直営施設で働く職員の賃金についてのご質問であります。
 緊急事態宣言期間中、正規職員と会計年度任用職員には、自己研鑽を含めた在宅勤務の活用を促し、感染症に罹患した場合や罹患の疑いがある場合においては有給の特別休暇を適用してまいりました。また、会計年度任用職員につきましては、任用時の勤務日数を維持し、賃金面で感染症による影響が出ないように配慮をしているところであります。
 次は、賃金格差に対する区の認識についてのご質問であります。
 新型コロナウイルス感染症の影響により履行されなかった指定管理業務に係る指定管理料につきましては、年度終了後に精算することとしております。一方で、施設休館中等に実施した新たな代替業務につきましては、履行されなかった指定管理業務に代わる業務と認めていることから、実際に行った公務労働に対する賃金は適切に支払われているものと認識をしております。
 次は、指定管理施設における賃金支給額の影響についてのご質問であります。
 指定管理業務に伴う人件費につきましては、多くの指定管理者で令和2年度の返還額が発生していないことから、賃金は適正に支払われていると認識をしております。コロナ禍におきまして休止、縮小する業務がある一方で、感染症対策や新たな業務を行うなど、様々な工夫をしながら指定管理業務を履行していただいたものと認識をしております。
 次は、施設休館に伴う就業者の減収対策についてのご質問であります。
 区は高齢者の就労機会の提供を支援する立場から、地域センターなど多くの公共施設の管理について板橋区シルバー人材センターに業務を委託しております。コロナ禍で休館となっている各施設については、板橋区シルバー人材センターと協議をし、維持管理等の必要に応じた対応を行っております。区は就業会員と直接雇用契約関係になく、減収対策の考えはございませんが、今後とも地域社会の担い手として、高齢者の社会参加や生きがいなどの充実を支援していきたいと考えています。
 次は、無症状者からの感染予防対策についてのご質問であります。
 新型コロナウイルス感染症では無症状の感染者がいるため、区ではホームページや区報を通じて、基本的な感染防止対策の実施の呼びかけをしております。PCR検査の課題や限界は変わっておりませんで、無症状で検査を受けた方が陰性だった場合に安心をしてしまい、感染予防策をおろそかにすることの懸念もございます。区では、引き続き必要な方が検査を受けられる体制の維持に努めてまいりたいと考えています。
 次は、東京都に対する検査実施の要求についてのご質問であります。
 東京都は、令和3年3月から、重症化リスクの高い高齢者施設等の集中的、定期的検査を実施しております。また、東京都は戦略的検査強化事業として、繁華街や飲食店等において無症状で希望する人の検査も実施をしております。区としましては、東京都のこれらの事業を注視していきたいと考えています。
 次は、都が実施する検査状況の把握についてのご質問であります。
 重症化リスクの高い高齢者施設等における検査の実施状況の把握につきましては、感染対策上重要であると認識をしております。東京都に対して、区の施設の実施状況についての情報提供を求めていく考えであります。
 次は、区内施設における検査実施状況についてのご質問であります。
 高齢者施設においては、施設が主体となって検査を実施しているため、区として詳細な実施状況は把握していないところでありますが、陽性者がいた場合においては連絡や対応の相談を受けているところであります。障がい者施設においては、令和2年度は3施設、28人に検査を実施し、全員陰性でありました。今後も、各施設の従事者などが利用できる検査の周知に努め、検査で陽性者が見つかった場合においては、施設の感染予防と陽性者の療養支援を行っていきたいと考えています。
 次は、PCR検査の対象拡大についてのご質問であります。
 国は基本的対処方針において、高齢者施設の従事者に対する検査を求めておりまして、東京都は実施計画を特別区と協議の上、作成しております。区では、東京都の実施計画に含まれていない介護保険サービスを提供する施設に対し、民間が提供している無料のPCR検査を紹介しています。保育園や小・中学校につきましては言及されていないことから、一律に検査を行うことは考えていないところであります。
 次は、都立・公社病院の役割についてのご質問です。
 都立・公社病院は、新型コロナウイルス感染症の流行初期から積極的に患者を受け入れ、東京都の増床要請にも迅速に対応するなど、その果たす役割は大きいと考えています。
 次は、都立・公社病院の地方独立行政法人化に伴う豊島病院の機能縮小についてのご質問であります。
 東京都は、都立・公社病院の独立行政法人化の目的を、超高齢社会に伴う医療課題が深刻化する中においても、質の高い医療の安定的・継続的な提供や医療政策への貢献などの役割を将来にわたって果たすこととしております。地方独立行政法人におきましては、採算の確保が困難な医療につきましては、東京都が運営費を現在と同様に負担をすることとなっております。したがいまして、感染症医療、周産期医療などの行政的医療につきましては、地方独立行政法人化後も安定的、継続的に提供されるものと考えています。
 次は、地方独立行政法人化の中止要望についてのご質問であります。
 豊島病院は、今回の新型コロナウイルス感染症においても、大きな役割を果たしている区内の重要な医療機関でございます。東京都の地方独立行政法人化は、質の高い医療の安定的、継続的な提供を目指し、財政面での支援やガバナンスも機能するものと認識をしており、区として計画の中止を求める考えは持っていないところであります。
 次は、支援事業の現状と見通しについてのご質問であります。
 本事業は、新型コロナウイルスに感染した高齢者等の在宅復帰支援のための転院先を確保することと専用病床の有効活用を目的としているものであります。令和3年1月から事業開始をし、年度末までの利用者は45人、令和3年度、これまでの利用者は32人であります。これは、5月26日現在の数字であります。新型コロナウイルスに感染した方のうち、入院が必要な方が速やかに入院できることは極めて重要であるため、利用状況に応じて、事業継続のために必要な措置を講じていきたいと考えています。
 次は、コロナ対応を行っていない医療機関の減収補填についてのご質問であります。
 区ではこれまで、医療機関でのPCR検査、コロナ病床確保事業、転院支援事業等、新型コロナウイルス感染症対策に協力くださる医療機関への独自支援を行ってまいりました。現在は、コロナワクチン接種に協力いただく医療機関への上乗せ支援を決定しているところであります。新型コロナ対策で医療機関の協力は不可欠でありまして、医療機関に担っていただく役割に対して手厚く支援することによって地域医療を守っていきたいと考えています。
 次は、必要な医療や健診の受診勧奨についてのご質問であります。
 今年度の区民対象の健康診断につきましては、受診期間の延長や昨年度未受診者も受診対象とすることで受診機会の拡大に努めているところでございます。子どもの予防接種につきましては接種の年齢が重要であり、昨年度もほとんどの方が必要な時期に受けていただいております。今後も、健診の必要性や予防接種の分かりやすい周知に努めていきたいと考えています。
 次は、地域生活支援拠点についてのご質問であります。
 ひとり暮らしの知的障がい者のワクチン接種申込みにつきましては、日常の介護者による申込みの手助けとともに通所事業所の協力も得ながら、周知や予約のサポートを行っていく考えであります。障がい者のお困り事に関しましては地域で支える体制が重要であり、引き続き、地域生活支援拠点の一つである障がい者福祉センターを中心に相談体制を強化し、適切な窓口等につなぐ仕組みを推進してまいりたいと考えています。
 次は、ひとり暮らしの知的障がい者についてのご質問であります。
 区内の知的障がい者の数につきましては、令和2年度で愛の手帳1度が161人、2度が931人、3度が977人、4度が2,078人、合計で4,147人となっております。国の平成28年度、生活のしづらさなどに関する調査におきましては、知的障がい者全体の5.5%がひとり暮らしでございましたので、板橋区も同程度とすれば228人と推計されます。今後、地域生活支援拠点の整備を進める中におきまして、利用者ニーズを見極めるために、ひとり暮らしの知的障がい者の実態把握に努めていきたいと考えています。
 次は、障がい者の勤務や給与の実態調査についてのご質問であります。
 新型コロナウイルスは、人々の健康面だけではなく、経済や雇用状況、企業経営などに対しましても非常に大きな影響を及ぼし、それは障がい者にとっても例外でないものと考えます。板橋区のハート・ワークからも、自宅待機などを余儀なくされている一般就労の障がい者が多くなっている状況について報告がなされております。今後、区といたしましても、ハート・ワークや区内障がい者施設、障がい者団体等を通じまして、勤務状況や給与等の実態把握に努めていきたいと考えています。
 次は、休業支援金の手続の支援についてのご質問であります。
 新型コロナウイルス感染症による休業によって事業主から休業手当の支払いを受けられなかった方は、国に対して直接休業支援金の申請ができるとされております。こうした申請手続の支援につきましては、ハート・ワークをはじめ、就業支援に関わる事業者とともに連携をしながら、周知方法なども含めて検討していきたいと考えています。
 次は、要件の緩和や工賃への支援についてのご質問であります。
 国は、コロナ禍で減収となりました就労継続支援事業所への支援策として、支援金上限額50万円の生産活動活性化支援事業を実施しております。区としましては、こうした制度の周知に努めるとともに、あらゆる機会を通じまして、障がい者を雇用する事業所への支援に向けまして、事業者や就労者の意見、要望等を国に伝えてまいりたいと考えています。
 次は、障がい者雇用事業所への支援策についてのご質問であります。
 障がい者の雇用につきましては、まずは雇用の継続が重要と考えまして、ハート・ワークをはじめ関係者等と情報共有に努めているところでございます。また、障がい者を雇用する事業所への支援策につきましては、国や他の自治体の動向を注視しながら、区としてできる支援策などを関係者等の意見や要望を伺いながら検討していきたいと考えています。
 次は、報酬改定の利用料への転嫁についてのご質問であります。
 今回の報酬改定は、介護の担い手である施設職員の処遇や職場環境の改善に向けた取組をより実効性あるものとする観点を含め、見直しがなされたものと考えています。介護サービスの持続的供給を確保するためには、介護報酬や利用者負担額、利用料の一定の増加はやむを得ないものと考えています。今後、給付実績などを継続的に捕捉するとともに、機会を捉えて事業者のニーズを把握し、介護サービスの利用実態の変化を適切に捉えていきたいと考えています。
 次は、介護サービスの給付制限についてのご質問であります。
 社会全体で介護を必要とする方々を支える保険制度の持続的運営には、保険料の納付が根幹にあるものと考えます。また、納付されている方々との公平性を確保するためにも、給付の制限などが設けられております。保険料を滞納しましても、何ら制限なくサービスを受けられるような措置は未納や滞納を助長する可能性もございまして、制度の根幹を揺るがしかねないものと考えます。未納、滞納をなくしていくことが根本的な解決策でありまして、今後も納付相談における丁寧な対応や制度について周知に努めていきたいと考えています。
 次は、高島平地域都市再生実施計画骨子案についてのご質問であります。
 区では今年度、都市再生の実現に向けた都市整備やまちづくりに関わる事業の指針となることを目的として、高島平地域都市再生実施計画の策定を目指しております。再生連鎖モデル検討のステップ1で示しました内容につきましては、具体的な施設整備を目指すものではなく、高齢者にも配慮した住環境の整備を検討していくものであります。
 次は、高島平地域都市再生実施計画骨子案の都市計画の変更についてのご質問であります。
 高島平地域の都市再生の実現に当たりましては、用途地域及び形態規制をはじめ、必要となる都市計画等の変更や決定について、その方向性を素案の中で示していく予定であります。
 次は、垂直避難のための空間確保についてのご質問であります。
 荒川が氾濫した場合、浸水域においては、最大で5メートル以上の浸水が2週間以上続くことが予測されていることから、まずは早い段階において高台への避難を推奨しております。しかし、荒川氾濫の危険性が高まり、高台へ避難する時間的な猶予がないと判断した場合において、浸水域内に残る区民に対し、建物上層階への緊急垂直避難を呼びかけることとなると考えます。公共施設や拠点となる大規模な施設等に緊急垂直避難に資する避難場所を設ける協定など、区民を水害から守るための有効な方策についても今後も検討していきたいと考えています。
 次は、大規模水害時の福祉避難所についてのご質問であります。
 荒川の氾濫等、大規模水害発生時におきましては、浸水想定区域にある福祉避難所の開設は困難であるため、高島平地域内にある福祉避難所は開設できないことが見込まれております。具体的には、区内52か所の福祉避難所のうち、浸水想定区域内にある13か所が開設できなくなる見込みであるために、福祉避難所全体の受入れ可能人数が減少するものであります。引き続き、浸水想定区域外の福祉避難所における受入れ体制の強化を含め、福祉施設数の増加に向けて協定締結を推進するほか、浸水想定区域外にある親類宅などへの分散避難につきましても啓発強化に取り組んでいきたいと考えています。
 次は、西高島平の歩道橋にエレベーターの設置をとのご質問であります。
 三園二丁目交差点にある歩道橋にエレベーターを設置するよう地元から要望が出されていることにつきましては、区として了知しているところでございます。今回、管轄の東京国道事務所に確認をしたところ、当該歩道橋に対するエレベーター設置要望があることにつきましては承知をしておりますが、設置する計画はないとの回答でございました。区としましては、今後とも当該エリアの状況につきまして注視していきたいと考えています。
 次は、都営三田線についてのご質問であります。
 都営三田線の8両編成の車両につきましては、東京都交通局の昨年10月時点における発表において、令和4年度から営業投入とございまして、具体的な運行開始時期についてはまだ明らかになっていないところでございます。また、都営地下鉄の女性専用車両につきましては、朝の通勤、通学のラッシュ時に都営新宿線で実施されていることは認識をしているところでございます。都営三田線での女性専用車両の導入の可能性につきましては、8両編成後の運行状況や車両の混雑率等を踏まえて注視していきたいと考えています。
 最後のご質問でございます。原発汚染水の海への放出中止をとのご質問であります。
 東京電力福島第一原子力発電所の処理水の処分方法につきましては、専門家による技術的な検討を経た報告を受け、国が判断をしたものと認識をしています。国は、処理水の安全性の確保や風評払拭に向けての対策を行っていくことを表明しておりまして、区としましても今後の動向を注視したいと考えています。
 残りました教育委員会に関する答弁は教育長から行います。

     〔教育長 登壇〕

◎教育長 それでは、いわい桐子議員の教育委員会に関する一般質問にお答えいたします。
 初めに、コロナ禍で求められる公共としての役割発揮に関しまして、図書館の役割と休館についてのご質問ですが、公共図書館はできる限り区民の希望に沿い、学校教育を援助し、家庭教育の向上に資するなどの役割を果たすよう努めなければならないと認識しております。3度目の緊急事態宣言を受けた図書館の休館は、短期集中の人流抑制を目的とし、人出が特に多い大型連休を含め、積極的な対応策を取ったものであると認識しております。現在は感染拡大の防止を図りながら開館しており、今後も状況に応じた図書館運営を継続していく考えであります。
 次に、コロナ禍における学校の委託労働者の賃金への影響についてのご質問ですが、教育委員会では、昨年度の学校一斉休業期間中について、各事業者に対し円滑な学校再開を図るため、消毒も含めた清掃の強化、休止中の機器の点検実施等の履行及び雇用の継続を求めたところであります。各事業者が雇用している労働者の賃金へのコロナ禍の影響につきましては、各事業者の経営状況及び労働者との雇用契約に基づくものでありますが、適法に支払われていると認識しております。
 次に、教育上望ましい規模の実現についてのご質問ですが、教育上望ましい規模につきましては、施設整備と適正規模、適正配置を一体的に推進する、いたばし魅力ある学校づくりプランの中で示していくべきと考えております。令和3年度には、いたばし魅力ある学校づくりプラン前期計画の検証に着手し、令和6年度をめどに後期計画の検討を進めていく過程において、教育上望ましい規模についても区の考え方を示す予定であります。
 次に、教員の負担軽減と残業時間改善への効果についてのご質問ですが、学級規模につきましては、法改正がなされ、小学校において35人学級へ段階的に移行することになりました。その効果としては、個別最適な学びときめ細かな指導の実現、さらには教員の負担軽減にもつながることなどが挙げられております。しかし、一方で教室の不足、少人数学級編制を可能とする教員の確保、ICT機器や備品等の整備など、35人学級を進める上で検討すべき課題も多いのが実情であると認識しております。
 次に、小中一貫教育についてのご質問ですが、小中一貫教育に関する制度類型は大きく分けて、義務教育学校と小中一貫型小学校・中学校がございます。学校教育法施行規則第79条の3では、義務教育学校の学級数は18学級以上27学級以下を基準とするとしており、小中一貫型小学校・中学校もこれに準ずるものとしています。今後、小中一貫型小学校・中学校の学校整備を進めていく中で、この基準を大きく逸脱しないよう調整を図ってまいります。
 次に、補正予算編成の意図と今後の検討についてのご質問ですが、今回の補正予算におきまして、志村小、志村四中の施設一体型校舎の基本構想、基本計画の策定を令和3年度から4年度にかけて行うため、債務負担行為の編成をお願いしているところでございます。これは文教児童委員会における意見を踏まえ、整備方針の策定を進めてから基本構想の検討に着手し、整備方針を基本構想に反映できるようにするものであり、議会の意見を真摯に受け止めた対応であると認識しております。また、学校設置検討会では、施設整備に関する項目だけを検討するわけではなく、施設整備以外にも検討すべき項目があるため、検討は予定どおり進めてまいりたいと思います。
 最後に、望ましい学級規模実現のための計画策定についてのご質問ですが、望ましい学級規模につきましては、施設整備と適正規模、適正配置を一体的に推進する、いたばし魅力ある学校づくりプランの中で示していくべきと考えております。いたばし魅力ある学校づくりプラン前期計画の検証と併せて、令和6年度の策定をめどに学級規模の課題を分析し、後期計画の検討を進めてまいります。検討の過程におきまして、児童・生徒数の予測やまちづくりの進捗状況の把握に努め、35人学級編制に関する国、都の動向に注視し、適正規模の実現に取り組んでまいります。
 いただきました教育に関する質問の答弁は、以上でございます。

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