板橋区職員定数条例の一部を改正する条例に反対する討論

討論日:2024年2月29日 

 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、議案第15号 東京都板橋区職員定数条例の一部を改正する条例に反対する立場から討論を行います。

 本議案は、令和6年度の職員定数を現在の3,600人から3,610人に改めるものです。

 定数増減の内訳は、増員71人に対し減員61人で、10人の増員です。また、事務部局ごとの定数では、区長事務部局で16人の増の一方、教育委員会事務部局では2人減、学校では4人の減です。

 今年度比で増員ではありますが、区が進める職員定数管理のあり方に問題があると考えることから以下、反対の意見を述べます。

 反対の第一の理由は、61人もの削減は容認できないからです。

 削減の主な内容は区立保育園民営化で11人の減、給食調理・用務の委託で8人の減、事務の見直し効率化で17人の減、その他で25人の減となっています。

 区立保育園は区の保育水準を示し、全体の質を引き上げる役割があります。しかしながら区立園でサービス残業や業務過重があることは重大です。区立園でも事務作業の時間は1時間なく、パソコンも不足しているため、作業が集中し退勤時間を超えてしまう状況が日常化しています。

 また、保育園や学校の調理や用務については、退職不補充方針のもと新規採用をおこなっていません。区として業務を手放せばその専門性は保てません。直営があるからこそ、区の水準を示すことができるのではないでしょうか。他自治体でも現業職の新規採用を再開しています。今以上の委託を進めるべきではありません。

 第二の理由は体制強化が不十分だからです。

 今回3所の福祉事務所を1所に統合し、障害者支援の担当係を新たに再編するとしていますが、その人員は全体で1名増にとどまっています。新たな業務を含め、業務軽減になりえません。また、ケースワーカーについては、病欠による欠員への対応や経験年数などにより、120件を超えるケースを担当している職員も少なくありません。ケースワーカーは容易に代替できないことが分かっていながら、体制を補強しないことは、現場職員への過重負担を前提にするものであり、許されません。さらに、障害児者の支援についても利用者の利便性が向上するとしますが、生活保護制度を利用している方への連携が後退しかねません。業務過重という状況に対し、必要な人員を補強せずに組織だけを再編しても問題は解決しません。 

 また、子ども家庭総合支援センターは開所2年を迎え、新たな課題も生じています。保護や支援が必要な子どもや家庭の背景は様々であり、対応する職員には高い専門性が求められます。その専門性は一朝一夕に身に着けられるものではなく、経験の蓄積にこそ裏付けられるものです。しかしながら児相勤務の経験者はまだ少ない状況のため、経験の浅い職員が教えざるを得ない状況となっています。今回援助課で10人の増員となっていますが、経験値のバランスが取れた職場にするためには、スーパーバイザーの確保や人材育成をどう進めるか計画が必要です。しかし区として計画は持っていません。

 時間外勤務が年間360時間を超える職員を20名以内にする目標については、設定以来一度も達成したことがありません。そもそも目標に見合った人員を算出しておらず、達成する気があるのか大いに疑問です。目標と現状に乖離がある中では、目標達成に必要な人員増こそ図るべきです。

 第3の理由は、公務労働の非正規化を一層進める体制だからです。

職員定数10人の増に対し、会計年度任用職員は45人の増となっています。職員に占める比率は今年度42.6%に対し、新年度は43.7%と一層高まっています。会計年度任用職員については処遇改善が図られつつあるものの、同一労働同一賃金には程遠く、経験を重ねても殆ど賃金に反映されないことも問題です。雇用の安定や継続性でも保障がありません。継続的に必要な職は正規化すべきであり、非正規の拡大は改めるべきです。

 以上の理由により、改めて本議案に反対を表明し、討論を終わります。

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