発言日: 2023年11月28日
質問日:2023月11月28日
1 「ガザでの戦闘行為中止と即時停戦を」の声を板橋から
ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、一般質問を行います。
初めに、ガザでの戦闘行為中止と即時停戦をの声を板橋からについてです。
パレスチナ自治区ガザをめぐるイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が激化して50日、現地は地獄と化しています。WHOによると、ガザ地区にある36の病院のうち22が機能停止に追い込まれ、人工呼吸器や透析装置、保育器が動かなくなり、埋葬できない遺体がそのままになっていると伝えられています。攻撃で負傷した市民の治療も妨げられています。彼らが一体何をしたというのでしょうか。胸がえぐられる思いです。これらは明らかな国際人道法違反の戦争犯罪であり、許されません。ハマスが女性と子どもの人質の解放、イスラエルは収監中のパレスチナの女性と子どもを釈放することなど、4にさらされていることに変わりはありません。今求められているのは、戦闘中断にとどまらず、イスラエルによるガザへの大規模攻撃を中止させ、即時停戦を実現することです。この歴史的な悲劇の傍観者であってはなりません。そこで伺います。ガザ地区で起きている惨状について、区長の認識をお聞かせください。
また、平和都市宣言を掲げる自治体の首長として、政府に対し、ガザでの戦闘行為中止と即時停戦を働きかけるよう求めていただきたいが、いかがでしょうか。見解を伺います。
2 2024年度予算編成について
⑴ 行財政運営のあり方について
次に、2024年度予算編成について。
まず、行財政運営のあり方について伺います。今年8月29日に発出された令和6年度における予算・組織・職員定数に関する基本方針について(依命通達)では、区財政の見通しについて、現時点では楽観視できています。一方、令和4年度の決算では区民税・特別区交付金の増により、実質収支は101億円超となりました。また、令和5年9月補正でも増収となり、財政調整基金へのさらなる積立てが行われました。区は歳入改善が見込まれたとし、令和5年度は緊急財政対策を実施しませんでした。明らかに区財政は好転しています。一方、区民の暮らしは、長引く物価高の影響などにより改善していません。しかし、区はそうした区民の厳しい暮らしについてはどこでも触れていません。区民の暮らしは改善していると考えているのでしょうか。区の認識を伺います。
次に、人材確保についてです。依命通達では、例年と異なり、人材確保が困難になると強調しています。その上で、既存の業務形態や業務プロセスの抜本的な改善や事業自体の廃止にまで言及しており、問題です。職員不足により事業を廃止することは、公の責任を放棄するものであると考えます。区としてどのように職員を確保するのでしょうか。具体的方策をお示しください。
次に、社会保険料の負担についてです。国民健康保険料の賦課限度額は、後期高齢者医療制度が創設された2008年以降、14年間で34万円も引き上がりました。介護保険料は65歳以上、所得410万円以上の方で月額最大5千円増えるなど増額する案が示されています。介護保険料の第7期事業計画では、基金取崩し19億7286万円に対し、準備基金への積み立てが30億8296万円、第8期では25億円の取り崩しに対し、準備基金への積み立て35億円と、いずれも取り崩し額よりも積立金が上回っています。区はこれまで、介護保険法の趣旨から一般会計からの繰入れはできないとしています。しかし、第8期事業の際、世田谷区など引き下げに踏み切った自治体が4区あることに鑑みれば、厳しい区民の暮らしから保険料をどうしたら上げないようにできるかという判断が求められます。国保料、後期高齢者医療保険料、介護保険料、いずれも改定のたびに値上げが続いています。国保料は既に所得の10%を超える負担となり、高すぎて払えない状況です。社会保険料全体の負担軽減を求めます。とりわけ介護保険料については、区の介護保険準備基金35億円全額を投じ、不足分は一般会計からも繰り入れるなど、区として値上げとならないようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
⑵ 災害対策について
次に、災害対策についてです。まず、BCP(事業継続計画)についてです。区は、コロナ対策について、業務継続計画(新型インフルエンザ編)を準用しているとしていましたが、検討すべき事項の多くが検討されていなかったことが明らかになりました。さきの決算総括質問で、今後改定していく必要があると答弁しましたが、職員体制や対応について早急に定める必要があります。いつまでに改定するのか、スケジュールをお答えください。
次に、感震ブレーカーについて伺います。東京都は2023年度、首都直下地震などによる火災延焼被害を抑える目的で、地震の揺れを感知して通電を遮断する感震ブレーカーを老朽化した木造住宅密集地域の全約32万世帯に無償で配布する事業に踏み出しました。都内全域の感震ブレーカー設置率は、2020年度時点で8.3%です。都は、住民らによる初期消火を徹底した上で、ブレーカー設置率を50%に高めれば、首都直下地震で起きる火災による消失棟数・死者数をいずれも9割近く減らせると試算しています。火災延焼を抑え込む対策として、感震ブレーカー設置率を高めることが必要と考えますが、いかがでしょうか。区の認識を伺います。
東京都が、対象エリアとなる大山西町、仲宿など21町丁へ事業のお知らせを配布していると聞きますが、区民の多くの方に情報は届いていません。区として、東京都の感震ブレーカー無償配布事業について区民へ直ちに周知すべきと考えますが、いかがでしょうか。江戸川区は、都が対象とした配布事業に当てはまらない世帯に対する無料の配布事業を実施しています。足立区は助成事業を実施するなど、独自に踏み出す自治体も生まれています。板橋区も災害対策として対象拡大すべきです。見解をお答えください。災害対策活用基金も活用し、区として予防対策に踏み出すべきです。
⑶ 区民参加・住民周知について
次に、区民参加・住民周知について。まず、区民参画のあり方について伺います。いたばし№1実現プラン2025における本庁舎、常盤台地区、前野地区、富士見地区周辺施設の再編・整備について検討、公共施設のあり方検討では、体育施設、ものづくり研究開発連携センター、天津わかしお学校、郷土芸能伝承館、生涯学習センター、区立図書館などがいずれも2023年に結論としています。しかし、この3年間、議会への報告はなく、検討状況さえ明らかになっていません。公共施設は区民の財産であり、そのあり方は区民参画で検討すべきです。なぜ庁内検討にとどめ、開かれた検討会としないのでしょうか。検討過程を公開しない理由と区民の意見を聞かない理由を伺います。
次に、住民への周知についてです。来年4月からプラスチック分別に関わる住民説明会が10月から12月にかけて各地域センターで行われ、12月には全戸配布されると聞きました。また、子宮がん検診が未受診の方への受診券、国保の特定健診受診券などは、いずれも対象者へ個別に発送されています。一方、来年度22歳になる対象者約5千人に対し、自衛隊への個人情報提供を拒否できるというお知らせは、広報いたばし10月21日号とホームページ掲載などに限定し、個別に発送されていません。自分の個人情報が知らないうちに提供されてしまうかもしれないという重要な情報が対象者に通知されず、問題です。なぜ区民への周知方法が異なるのでしょうか。周知するための区の基準はどのように設定されているのか、お答えください。
区は区民への情報周知方法として、回覧板、区設掲示板への掲示、SNS投稿、ホームページ掲載、広報いたばし配布などで対応していると言いますが、周知の重要度などの基準がなく、所管任せになっています。7月から区の公式LINEが始まり、InstagramやX、旧TwitterなどSNSでの情報媒体が拡充していることは重要です。しかし、高齢者やデジタル機能を使いこなせない方は、区の情報を受け取ることは困難です。また、広報いたばしは新聞折り込みや公共施設、駅などへの配置も広がっていますが、新聞の購読数が減少している中、紙媒体の情報も全く足りず、区民が置き去りにされています。区民へのアンケートによると、広報いたばしを情報源とする回答が最も多く、全戸配布すべきです。併せて必要な情報は個別に送付するなど、区民が欲しい情報だけでなく、あなたが対象だと知らせることが必要だと考えますが、いかがでしょうか。見解を伺います。
3 大山駅周辺のまちづくりについて
次に、大山駅周辺のまちづくりについて伺います。
大山駅周辺では、都市計画道路補助第26号線、東武東上線鉄道立体化事業、駅前広場事業、2つの市街地再開発事業など、東京都、板橋区、民間主導の様々な事業が個別にそれぞれ進められています。しかし、多くの住民から、何がいつどのように進んでいるのか全く分からないと不安や不満の声が寄せられています。特に東上線立体化は2021年12月に事業認可されましたが、区は側道1から4号線に関わる地権者数も用地測量や用地買収率など進捗についても、東京都の事業であることを理由に議会で答えていません。そこで暮らす区民やなりわいに大きな影響が及ぶのにもかかわらず、東京都の事業だとして、都に進捗や情報を求めない区の姿勢は問題です。そこで伺います。事業認可後、区と都の協議はいつどのように行われてきたのかお示しください。また、1から4号線の立体化や側道に関係する地権者、土地所有者と借地権者の数についてもお答えください。加えて、用地買収の件数と買収率についてもお答えください。
9月に大山駅東地区地区計画の変更に関する素案説明会、11月には原案説明会が行われ、私も両方参加しました。参加者からは、駅前周辺の整備計画がどのような段階か、住民は大山全体がどうなるのか知りたい、まちづくり全体のビジョンを語る部署がないという声が多く、東地区地区計画の変更に関する質問や意見はほとんどありませんでした。住民はそれぞれの計画や事業が個別に説明されることを望んでおらず、大山のまちづくり全体、将来像が知りたいのです。そこで伺います。東京都、板橋区、東武鉄道3者の合同説明会を定期的に行っていただきたいが、いかがでしょうか。見解を伺います。
次に、大山町ピッコロ・スクエア周辺地区市街地再開発事業についてです。大山町ピッコロ・スクエア周辺地区市街地再開発事業は、A街区とB街区合わせて1.3ヘクタール。店舗と約560戸の住宅からなる2棟の高層マンション計画です。9月13日、組合設立が事業認可され、区は転出の意向を表明したと聞いています。事業計画地には約2034平米の区有地と約2334平米の都有地があり、地域住民は公有地は住民増により不足する学校、保育所、集会施設、図書館、公園などへ活用してほしい、公有地は区民のために使ってほしいと繰り返し求めてきました。近隣では、大山町53番地のマンション187戸、仲町のお茶の水女子大学の学生宿舎跡地のマンション計画約300戸、合わせて約1400戸の住宅が増えることが予定されています。住民増加に備え、公共施設を整備すべきであり、区民の財産である区有地を再開発のために売り払っている場合ではありません。1989年に日鉄ライフより36億円で購入した約2034平米の区有地は、当時、住民の皆さんが住民のために使えるよう運動があったと聞いています。まず、区有地購入の経緯についてお答えください。併せて、区民の財産である区有地は、売却せずに公有地として活用すべきです。見解を伺います。
次に、大山町クロスポイント周辺地区市街地再開発事業についてです。大山町クロスポイント周辺地区市街地再開発事業は、A街区からD街区の4棟で、B・C街区は今年度中、A・D街区は来年12月に完成予定とされています。資材や人件費が高騰している中、6月の都市建設委員会で、当初193億円とされていた工事費などが約202億円へ9億円も増額していることが明らかになりました。今後も増額となる可能性も見込まれます。また、権利変換した方からは、管理費や修繕積立金が高くて困っているとの声も寄せられています。住み続けられ、商売が続けられるまちづくりこそ必要です。多額の税金が投入される再開発事業でありながら、40店舗を超える商店、飲食店、クリニックなどが移転や廃業を迫られ、新たに建設されたビル内に戻れるのは2から3店舗と聞いています。結果的にまち壊しにほかならないと考えますが、いかがでしょうか。
4 子どもの権利について
⑴ 校則のあり方について
次に、子どもの権利について。
まず、校則のあり方について伺います。ツーブロックはなぜ駄目かと都議会での質問は話題になり、2021年度、都立高校で校則見直しが進められ、全国でも校則改革が動き出しています。区も板橋区立学校校則の見直しに関するガイドラインを作成し、子どもが校則について議論する機会を設けるとともに、保護者や地域の意見を聞く取組を行っているとしています。しかし、区内のある中学校では、体育着をズボンの中にしまうこと、男子の水着はスクエア型など服装の細部まで指定したり、髪の毛の規則が残されています。子どもたちからは、自分の個性などを生かせず、縛られてばかり、改善を求めたが対応してもらえなかったとの声が寄せられています。なぜこのような学校の決まり、暗黙のルール、いわゆる校則が残っているのか理由を伺います。
2021年10月の日本若者協議会の校則見直しガイドラインでは、1つ目の柱として、校則の内容は、憲法、法律、子どもの権利条約の範囲を逸脱しないと記されています。校則の内容について、文科省の生徒指導提要において示されているとおり、学校が教育目的を達成するために必要かつ合理的範囲内において定められるものとしていますが、その範囲は曖昧で、児童・生徒への人権侵害や健康を害する校則、学校外での行動を不合理に制約する校則など、多くの学校で理不尽な校則の見直しが必要な状況にあるとしています。校則は、歴史的には児童・生徒の行動を制約するものであり、深刻な人権侵害につながってきた歴史もあります。学校任せにせず、教育委員会として、標準服、頭髪、髪色を強制する校則は撤廃すべきです。見解を伺います。
⑵ 子どもの権利条例制定を求めて
次に、子どもの権利条例制定を求めて伺います。1999年8月、国旗・国歌法が公布・施行され、日章旗が国旗、君が代は国歌と定められました。しかし、この歌を歌わなければならない、この旗に敬意を表す行動を取らなければならないと決まったわけではありません。国連は、政府、特に文部科学省は、学校行事への国旗・国歌への導入をめぐって、子どもの条約上の権利、特に思想・良心・宗教の自由に対する権利、自己に関わる問題について自由に意見を表明し、かつその意見を尊重される権利及び多様な価値観を保障する教育環境に対する権利が侵害されないよう、あらゆる必要な措置を取るべきであると勧告しています。区立学校における入学式・卒業式では国歌斉唱がプログラムに盛り込まれていますが、歌いたくない人に歌うことを強制しないようにすべきであり、一人ひとりの個人が、自己の思想・良心に照らして決めるべきです。国連に追加報告を行ったNGOレポートでは、国は国旗・国歌については、児童・生徒の内心にまで立ち入って強制しようというものではないと回答しているとされていますが、教育委員会はどのように考えていますか。見解を伺います。
今年4月、こども基本法が施行されましたが、子どもの権利条約が掲げた子どもの最善の利益、生命、生存及び発達に対する権利、意見表明権、差別の禁止の4原則を軽視し、予算と人を増やす担保がなく、不十分だと指摘されています。貧困、虐待、いじめ、不登校、自殺など、子どもの権利侵害は極めて深刻です。今必要なのは、子どもを権利の主体として明確に位置づけ、日々、直接子どもと関わる自治体こそ、子どもの権利の理念を共有する土台が必要です。板橋区も子どもの権利条例を制定すべきです。見解を伺います。
5 「住まいは人権」の立場で住宅政策強化を
次に、住まいは人権の立場で住宅政策強化を求めて質問します。
厚生労働省は、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制、地域包括ケアシステムの構築を2025年をめどに推進しています。しかし、高齢者は住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けたいと願っても、適切な住まいが見つからないなどの相談は後を絶ちません。区は、高齢者が新たに住宅を借りにくい理由についてどう考えていますか。お答えください。
区は2019年4月から新たな相談窓口、板橋りんりん住まいるネットを設置し、住まいに関するお困り状況に合った支援サービス情報の提供を行い、不動産協力店、居住支援法人の支援を受け、希望する物件へ円滑な入居の促進や不要なサービスを受けるための手続までスムーズな支援へつなげているといいます。しかし、区が委託している、住宅情報ネットワークでは、令和4年度の高齢者で新規84件、更新1022件と公表されているものの、相談件数が把握できません。また、区が設置する窓口での相談件数において、高齢者では、単身・世帯合わせた74件の相談に対し、公営住宅45件、高齢者等世帯住宅情報ネットワーク49件など重複した件数となっているため、必要とする方がどれだけ住まいの確保につながっているかは不透明です。ある不動産屋さんは、高齢者に部屋を貸すことはリスクが高すぎると述べています。貸す側が懸念する様々なリスクを区が軽減することが必要ではないでしょうか。認識を伺います。併せて、現実的には高齢者は住み慣れた地域で新たな住まいを確保できず、現状の区の事業では十分補完できていません。是正するための最善策が必要と考えます。区の見解を伺います。
高齢になるほど通院が増え、住み慣れた地域を離れること、コミュニティの変化は大きなストレスです。総務省の住宅・土地統計調査によると、2018年には空き家が849万戸に達し、全住宅の13%を占めるに至ったと推計されることから、板橋区においても同様に空き家・空き室は多いと推測できます。区が空き家を借り上げ、高齢者が安心して暮らせる住まいを確保すべきです。見解を伺います。
6 地域課題について
⑴ 中丸町・南町地域に図書館機能の設置を求めて
最後に地域課題について。
まず、中丸町・南町地域に図書館機能の設置を求めて伺います。中丸町・南町地域は半径1キロメートルの図書館サービス圏域から離れた空白地域とされ、長い間、住民から図書館設置が求められている地域の1つです。第1回定例会には住民から陳情が出され、今年3月の私の予算総括質問においても、図書館設置までの間、圏域から離れた地域における図書館機能の構築を求めてきました。区はいたばし№1実現プラン2025において、図書館について令和5年に結論を出すとしていますが、明らかにしていません。どんな検討がされているのでしょうか、お示しください。
区は、空白地域全域を対象に返却ポストに限らずサービスを充実させる方策の検討。返却ポストの設置については、区内全域を対象に、適切な設置場所の選定や設置の可否について検討していくと述べています。改めて、図書館空白地域の各地域センター集会所などに本の予約・返却できる仕組みを求めます。せめて圏域外の地域へ返却ポストを早急に設置することを求めますが、いかがでしょうか。見解を求めます。
⑵ 中丸児童遊園を使用した都の汚泥管下水道工事について
最後に、中丸児童遊園を使用した東京都の汚泥管下水道工事について伺います。今年5月末、中丸児童遊園に下水道工事の予告看板が設置され、公園内の全ての樹木にこの樹木は伐採予定ですとのお知らせが貼り出されたことから、近隣住民や公園利用者などから、なぜ樹木が伐採されるのか、下水道工事はいつから行われるのか、公園が3年も使えなくなるのなど相談が寄せられました。区に確認したところ、区は5月に下水道局に対し占用許可を出したと聞き、大変驚きました。東京都・板橋区はどのような協議をしてきたのでしょうか。経緯を明らかにしてください。
今年2月には、下水道工事に伴う中丸児童遊園閉鎖を理由に、中丸児童遊園ふれあいイベント~ありがとう、どんぐり公園~が中丸児童遊園で行われたと聞きましたが、近隣住民も全く知りませんでした。住民の皆さんが下水道局に掛け合い、7月に二度にわたる住民説明会を開催させましたが、子どもの遊び場、老人クラブのペタンクの場所はどうなるの。一時集合場所としての代替地は。東京都はいつ、誰に、どのような説明をしてきたのか。家屋調査が終わるまで工事は行わないでほしい。工事後、公園は元に戻してくれるのか、など多くの質問で時間が足りないほどでした。しかも、説明するための必要な書類が不足し、参加した方から怒りの声が収まらない説明会となりました。11月に入り、下水道工事のお知らせや工事前の家屋調査のお知らせが近隣住民に配布されていると聞きますが、中丸児童遊園がどうなるのか、工事期間中の住民への影響もいまだに分からず、住民への周知があまりにずさんで問題です。東京都に対し、近隣住民へ理解が得られるよう説明・周知をすること、併せて工事終了後の復旧にかかる費用負担も求めていただきたいが、いかがでしょうか。区の見解を求めます。
以上で私の一般質問を終わります。
◎区長(坂本健)
それでは、山内えり議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、ガザでの戦闘行為中止と即時停戦をの声を板橋からのご質問であります。イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突により、パレスチナ自治区ガザにおきまして人道危機の事態が深刻化しているところであります。軍事行動により多くの民間人が犠牲となっている状況は断じて容認できるものではなく、平和都市宣言を掲げる自治体の長として、一層平和への希求の念を強くしているところでございます。国は現在、国際社会と連携をして、事態の鎮静化、人道危機の改善に向けた外交に努めておりまして、区としましては、情勢の変化を注視し、現時点におきましては、何らかの具体的な働きかけを行う考えはないところであります。
次は、区民の暮らしについてのご質問であります。内閣府の月例経済報告によりますと、景気はこのところ一部に足踏みも見られますが、緩やかに回復しているとされておりますが、区民一人ひとりの暮らしに対する感じ方は様々でありまして、一様に表現できるものではないと考えます。現下の物価高騰は広い範囲に影響を与えておりまして、今後予定されております国の経済対策に併せて、区でも機動的に対応していきたいと考えています。
次は、区職員の確保についてのご質問です。生産年齢人口の減少等により、人材の確保は年々厳しさが増しておりまして、働きやすい環境・職場づくりはもとより、区職員として働く魅力をアピールすることが急務であると考えます。区として、今年度は新たに大学との連携を強化し、インターンシップや採用説明会の充実を図るとともに、中学生に向けたキャリア支援の取組に着手をしたところであります。また、特別区人事委員会におきましても、受験者数減少を受けまして、採用選考の見直しを進めており、区独自の取組と併せて、板橋区に愛着と誇りを持つ有為な人材の確保に取り組んでまいりたいと考えます。
次は、社会保険料の負担軽減についてのご質問であります。高齢化の進行により、保険料の料率算定基礎となる医療費や介護サービスの給付費が年々増加し、保険料の上昇が続いている状況であります。社会保険制度の持続性確保は喫緊の課題であると認識をしておりまして、国民健康保険・介護保険については、国や東京都に対し、特別区長会や全国市長会を通じまして、制度の見直しや財政措置に関する要望を行っているところでございます。また、後期高齢医療につきましては、東京都広域連合において、特別対策等保険料の軽減策が検討がなされております。介護保険の次期保険料額の算定に当たりましては、区独自の公費投入は行わないものの、第8期に倣いまして、保険料の急激な上昇を抑えるように、基金を適切に活用していきたいと考えています。
次は、災害対策に関連いたしまして、BCP計画についてのご質問であります。現時点におきましては時期は明らかになっておりませんが、国が改正されました新型インフルエンザ等特別措置法に基づきます行動計画の指針を策定する予定であります。その動向を踏まえつつではありますが、区の地域防災計画の改定を受けまして、令和6年度末に業務継続計画(震災編)の改定を予定しておりまして、同時期に業務継続計画(新型インフルエンザ編)を改定したいと、このように考えております。
次は、感震ブレーカー設置率についてのご質問であります。感震ブレーカーは震災時の通電火災を抑制する効果があるために、木造住宅密集地域におきましては、感震ブレーカーの設置率を高めることは望ましいことであると認識しています。
続いて、感震ブレーカー配布の周知についてのご質問です。東京都は木造住宅密集地域内の木造住宅に居住する全世帯を対象に、感震ブレーカーの申込書及び普及啓発のリーフレットをポスティングして周知を図っております。そのため、対象世帯には周知されていると認識しておりますが、区としましても、広報いたばしに感震ブレーカー配布事業を掲載して、周知や普及啓発を行っているところでございます。
次は、感震ブレーカー対策の対象拡大についてのご質問であります。感震ブレーカーは、個々の家屋や生活スタイルによりまして、設置に適している製品が異なっておりまして、設置費用も幅があるために、区では感震ブレーカーの設置を希望する方に対してあっせんを行っております。現時点におきまして、区として感震ブレーカー設置の助成は実施をしておりませんけれども、今回の東京都の感震ブレーカー配布事業の効果などを検証して、感震ブレーカーの普及啓発、設置支援について研究・検討をしていきたいと考えています。
次は、公共施設の検討における区民参画についてのご質問であります。公共施設の検討におきましては、不確定な情報や未成熟な議論による混乱を避けるため、まずは区が庁内で十分に検討を進め、適宜、責任を持って区議会へ状況を報告後に、公表する過程を経て、成案へ練り上げているところでございます。また、検討に当たりましては、日常的に寄せられている利用者等からの意見やアンケートを踏まえるなど、施設ごとに適した方法によって、区民の声の把握と反映に努めているところでございます。今後も案件ごとに適宜、適切な方法において情報公開と区民参加を推進し、次世代へ継承していく公共施設の魅力とサービス・機能の向上を図っていきたいと考えます。
続いて、区民への周知基準についてのご質問であります。区民への周知や情報の周知については、事業や施策のそれぞれの特徴・条件などを的確に捉えて、効果的・効率的に行えるよう努めております。区からの情報提供・周知の内容については様々、多岐にわたるために一律の基準は設定しておりませんが、各種広報媒体の特徴を生かした発信ができるように、全庁的な情報共有を図っております。
次は、広報いたばしの全戸配布についてのご質問です。全戸配布は、印刷、配布に係る経費が大幅に増えるほか、手に届くまで一定の時間を要する懸念もございまして、区の特徴である毎週発行を踏まえると、全戸配布に移行する考えは今のところ持ってないところであります。
次は、対象者への情報周知についてのご質問であります。区では、区民の方々に直接情報が伝達できる手段として、SNS関連のツールを導入するなど、情報発信の充実・拡充に取り組んでいるところでございます。引き続き、新しい手法の開拓も含めて、各種伝達手段の特徴を捉えながら、必要な方に適切に情報が届くように努めてまいりたいと考えています。
次は、連続立体交差事業における都区の協議内容と進捗状況についてのご質問であります。東京都が施行する大山駅付近の連続立体交差事業における都区の協議につきましては、事業認可後、用地補償説明会に向けた調整など、適時、事業推進に向けた必要な協議を行ってまいりました。また、鉄道付属街路1から4号線の用地取得に関係する地権者の数は約250名、対象画地数については16件でございまして、現在、用地折衝を行っておりますが、契約に至っている画地はないと東京都から聞いております。
次は、関係機関の合同説明会の実施についてのご質問であります。大山駅周辺地区における実施中の各事業につきましては、パンフレット配布や区役所ギャラリーモールで開催いたしましたパネル展などによりまして、積極的な情報発信を行ってきております。今年度も地区内へのパンフレットの全戸配布や1月中旬から2月末までの期間において、パネル展の開催を計画しておりまして、関係機関の合同説明会の実施は予定をしていないところでございます。
次は、区有地取得の経緯と活用についてのご質問であります。ピッコロ・スクエア地区再開発事業の区域内にある区有地は、平成元年に、まちづくりの事業用地として区が民間から取得したものであります。区はこの地区におきまして、再開発ビル内に新たな公共施設の整備は行わないため、地権者として権利変換による床の取得を行う予定はないところであります。
次は、再開発事業によるまちづくりについてのご質問です。再開発事業は、地域にお住まいの方々や事業者等が主体となって、関係権利者の合意の下に進められる民間の事業でございます。再開発事業において、権利変換を希望するか、転出するかにつきましては、土地等をお持ちの権利者の方々が、それぞれご自身で判断をするものであります。再開発事業は、道路、公園、広場等の整備や建物の共同化による防災性の向上など、公共性の高い事業でありまして、区は安心・安全なまちを実現するため、引き続き取り組んでまいりたいと考えています。
次は、子供の権利に関連いたしまして、条例の制定についてのご質問であります。令和5年4月にこども家庭庁が発足し、併せてこども基本法が施行されたことで、社会全体で子どもを守り育てる取組を強力に推進する状況が整ったと考えています。こども基本法においては、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、全ての子供について意見を尊重することや最善の利益を優先することを基本理念としております。区として条例を制定する予定はございませんが、様々な施策に法の基本理念を反映することができるように努めてまいります。
次は、高齢者が住宅を借りにくい理由についてのご質問です。高齢者が住宅を借りにくい理由として、入居中の孤独死、認知症の発症へのリスクに不安があることと認識しています。また、契約時には、入居者と連絡が取れ1ない場合、所在の確認に必要となる緊急連絡先が見つからないことも理由の1つとして挙げられております。
次は、大家等が懸念するリスクの軽減についてのご質問です。高齢者に対する懸念には、孤独死や認知症など、入居中に起こる可能性があることへの不安だと認識しています。その一方において、高齢者は長期間にわたり入居する傾向があるために、退去の際のクリーニングや手続等、また、新規の募集の経費が節約できるという側面もございます。板橋区居住支援協議会においては、このような課題と利点を共有し、各関連団体の事業を展開しておりまして、今後も不安感の軽減につながる協議を行ってまいりたいと考えています。
続いて、住み慣れた地域での住まい確保についてのご質問であります。住み慣れた地域において、昔からの友人やかかりつけ医などを理由に、住み続けていきたいという高齢者の方の思いがあることは認識をしております。一方、希望する条件が多いほど物件探しが難しくなるため、優先する条件を整理していただくことによって、区でも住まい探しのお手伝いをしております。まずは住まいの相談を丁寧に聞くことによって、転居が必要となる背景等を十分に把握し、円滑な住まい探しにつなげてまいりたいと考えています。
続いて、高齢者向けの空き家の借り上げについてのご質問です。板橋区営住宅再編整備基本方針においては、借り上げたけやき苑を順次オーナーに返還することとしておりまして、区営住宅に集約しているところでございます。区は新たに空き家・空き室を借り上げることは考えていないところでございます。
次は、東京都との協議の経緯についてのご質問であります。下水道工事に伴う中丸児童遊園の占有については、平成27年度から下水道局と協議を続けておりまして、主な議題については、地域との合意形成の状況や占用範囲・期間、復旧等がございます。本年4月には、下水道局と地元3町会において、要望を踏まえた覚書が締結をされ、地域との合意形成が図られたと報告を受けたために、工事に必要な範囲と期間で占用許可を行ったところでございます。
続いて、東京都への要望についてのご質問です。中丸児童遊園における下水道工事は、広域的な下水道環境を維持するために必要なものでありまして、区としましても、地域の理解と協力が得られるように、下水道局との調整を進めていきたいと考えています。一般に、占用期間満了時に工事施工前の状態に戻すことを求めますが、中丸児童遊園については、隣地や道路との段差といった課題もあるために、解決に向けた調整を行うこととしております。工事後の整備形態や合意形成の方法、費用負担に関しまして、現時点での計画は未定ではございますが、地域に愛される公園として再生ができるように、関係機関等との協議を重ねてまいりたいと思います。
残りました教育委員会に関する答弁は教育長から行います。
◎教育長(中川修一)
それでは、山内えり議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
初めに、校則のあり方に関しまして、校則が残っている理由についてのご質問ですが、教育委員会では、現在、板橋区立学校校則の見直しに関するガイドラインの周知徹底を図っているところであります。本ガイドラインでは、児童・生徒自身が主体的に考え、行動できる力を育成するため、校則の見直しに主体的に参画させることを明記しております。学校によりましては、教員を含めた児童・生徒同士の話し合いの結果、校則等について現状でよいと結論づけている場合もあり、校則の教育的意義を踏まえて校則を継承しているところであります。
次に、校則の撤廃についてのご質問ですが、社会規範の遵守について適切な指導を行うことは重要であり、学校の教育目標に照らして、校長により定められる校則は、教育的意義を有するものと考えられます。しかしながら、目的が共有されていない校則や前例踏襲等で残っている決まり、現在の社会情勢等に鑑み、不必要な決まりについては、撤廃や改正が必要であると考えます。教育委員会としましては、校則の見直しを通して、児童・生徒が自らの生活をよりよくしていこうとするなど、社会参画の意識を高めることができるよう、学校に対して助言してまいります。
次に、国旗・国歌についてのご質問ですが、学習指導要領には児童・生徒が将来、国際社会において信頼され、活躍するために、国旗・国歌の意義を理解し、尊重する態度を育てることが重要であると示されています。学校では、学習指導要領に基づき、特別活動、社会科、音楽科などにおいて、学習内容と関連させながら、国旗・国歌の指導を行っております。
次に、図書館のあり方検討の内容についてのご質問ですが、図書館のあり方につきましては、令和3年度から令和5年度にかけて、4つの項目を設定し検討しております。具体的には、図書館の設置数、氷川図書館及び高島平図書館の施設整備、図書館の運営形態、図書館の圏域から離れた地域へのサービス向上であります。これらの検討項目につきましては、令和5年度末をめどに結論を出す予定であります。
最後に、図書館空白地域の図書館機能の設置についてのご質問ですが、図書館の圏域から離れた地域に図書の予約受け取り・返却機能を備えることは、場所の確保や機器の設置、図書資料管理に要する人員やコストなどの事情により、現状困難であると考えます。また、図書館サービスの返却機能の一部である返却ポストの新設につきましても、設置場所の確保や安全性、利便性、輸送経路などの課題があります。図書館の圏域から離れた地域のサービス向上につきましては、中丸町・南町のみならず、区全体のバランスや各地域の特性などを配慮し、引き続き検討してまいります。
頂きました教育に関するご質問の答弁は以上でございます。