質問日:2023月11月28日
1 物価高騰から区民生活を守る緊急対策を
日本共産党板橋区議会議員団を代表して、一般質問を行います。
初めに、物価高騰から区民生活を守る緊急対策についてです。
9月の総務省の家計調査は、家計を切り詰めても出費がかさむ実態を浮き彫りにしました。深刻なのは食料支出です。2人以上の世帯では、前年同月に比べて3.7%も購入量が減ったにもかかわらず、実際に支払った金額は5%も増えています。総務省の消費者物価指数によると、9月の物価は前年同月に比べ2.8%の上昇でした。とりわけ食料は9%と大幅上昇。帝国データバンクによると、食品主要195社の価格改定は2023年度全体では3万2189品目の値上げです。消費支出に占める食料支出の割合を示すエンゲル係数は29%と過去最高域になっています。政府の経済政策は、所得税・住民税合わせて4万円減税を来年6月以降に実施することと住民税非課税世帯への7万円給付です。しかし、1回限りの減税と給付金で、これが経済政策と言えるのか、その後に増税が待っているのでは話にならないと、世論調査で評価しないとの回答が6割前後を占めています。効果のない場当たり的な政策に内閣の支持率は急落しています。時事通信の11転換とくらし支援の緊急対策が必要です。そこで区長に伺います。第1に、消費税の減税とインボイスの中止についてです。区は消費税について、社会保障の恒久財源だと言い続けていますが、現在の経済状況で消費税減税が最も公平な、また効果的な物価高騰対策になるという世論をどう考えますか。見解をお聞かせください。
また、10月から始まったインボイス制度では、板橋区内でもインボイス登録をしないことをもって、日当から1割値引きをする、消費税分を値引きして請求書を出してくれと言われたなど、取引先から値引きを強要されるトラブルが報告されています。フリーランスの会が10月に行った緊急アンケートには3000人が回答し、約7割が廃業を含め悪影響が出ていると答えています。インボイス制度は小規模事業者やフリーランスに対する大増税で、営業と暮らしに大打撃となっています。中止の声を上げていただきたいが、いかがでしょうか。
第2に、低所得者・生活困難者に対して、急いで直接支援をすることについてです。日々区民の皆さんから寄せられる声は、暮らしを支えてほしいという切実なものばかりです。年金暮らしの高齢者からは、食品、着るもの全て値上げで四苦八苦の状態が続いています。先週は3つ買った果物が今週は2つの値段になっています。体調を守るためには大切な食べ物です。困ります。節約しようにも、どこを節約していいのか分かりません。スーパーでは、品物を見て手を出したり引っ込めたり、出るのはため息だけですという声です。7月・8月・9月と猛暑続きで、電気代もすごいことになりましたという声も寄せられています。節約にも限界があり、健康維持も難しいというせっぱ詰まった生活実態に、今こそ直接支援が必要です。非課税世帯だけではなく、均等割のみの世帯に広げることはもちろん、本人非課税者にも対象を広げて、広く区独自の生活支援給付金を年末までに支給していただきたい。
また、国民健康保険・介護保険・後期高齢者医療保険の各保険料について、新型コロナの影響で収入が減少した世帯に対して行った減免制度を物価高騰の影響で収入が減少した世帯を対象に実施をしていただきたい。見解を伺います。
第3に、中小・小規模事業者への緊急対策です。全商連付属・中小商工業研究所が行った2023年度下期の営業動向調査では、長引く物価高騰の下で、従業員5人以下の小企業者が、仕入値、経費の増大、収益の低迷を余儀なくされている実態が明らかになっています。区内の事業者の方からは、ガソリン価格について、政府は元売企業に補助金を出して値上げを抑えると言いますが、ガソリン価格は半分が税金です。消費税はガソリン税にも上乗せされて二重課税です。おかしくないですかと訴えられました。精肉店を営んでいる方からは、冷蔵庫・冷凍庫は24時間365日止めることができません。昨年は1年間で80万円だった電気代が今年は120万円、何とかしてほしい。こんな状態が続いたら商売を続けられないというせっぱ詰まった声です。杉並区では、今年の4月から9月までにかかった電気・ガス料金に対して、最大15万円の助成金事業を実施しています。板橋区においても、電気代・ガス代の補助、前年度から売上げが落ちた事業者に対する助成や家賃等固定費の補助など、これまで実施実績があり、区民から喜ばれている事業を改めて実施をしていただきたい。
また、燃料費の高騰は公衆浴場の経営を直撃しています。燃料費助成の額を引き上げ、期間を延長していただきたいがいかがでしょうか。
第4に、年末年始の対策です。12月の福祉事務所の生活相談窓口を広報し、年末年始も相談できるようにしていただきたいが、いかがでしょうか。また、街かどフードパントリーは生活支援の対策として大いに歓迎されており、もっと家の近くでやってほしいという声が上がっています。規模を拡大して広報し、実施場所を各地域センターへと増やしていただきたいが、いかがでしょうか。
2 経済の底上げのために、あらゆる分 野で賃金の引き上げを
次に、経済の底上げのために、あらゆる分野での賃金の引上げについて質問します。
厚生労働省の2023年版労働経済白書によると、実質賃金で見た場合、1996年を100とすると、日本は2021年でも102.4とほぼ横ばいです。一方、イギリスは154.5、アメリカは147.2、フランスは124.8など大きく増加しました。日本が他国と比べて賃金が上がらない国となっている状況を確認できると記しました。また、白書は日本の賃金が伸び悩んだ背景として、他の経済協力開発機構、OECD諸国と比較して、日本の労働分配率が大きく低下したことを指摘しています。要因の第1に、企業の内部留保を挙げました。1996年には約150兆円だった内部留保額は、2021年には約500兆円にまで増加している。企業は1996年以降、付加価値が増加する中にあって生じた余剰を必ずしも人件費や投資に回すのではなく、手元の資産として保有してきたことがうかがえるとしています。内部留保のため込みが労働者を犠牲にしていたことは否定できません。非正規雇用労働者は2100万人に達し、賃金は正規雇用者の67%、非正規雇用の増加が低賃金の構造を拡大し、日本を賃金が上がらない国にし、経済の長期停滞の大きな原因になっていることは明らかです。また、非正規雇用の7割が女性であり、男女の賃金格差の大きな要因になっています。最低賃金はどうでしょうか。日本は今年、全国加重平均で1004円、ようやく1000円台に乗ったという状況です。OECD各国では、ドイツは1923円、イギリスは1875円、フランスは1785円で国際的に大きく立ち後れています。イギリスは2024年度から9.8%引き上げて2132円とすることが発表されています。岸田首相は2030年代半ばに1500円にと言っていますが、生計費にも満たない現状を10年先まで我慢させるつもりでしょうか。そこで区長に伺います。第1に、現在の物価高騰から区民生活を守るためにも、また、停滞している経済を底上げしていくためにも、あらゆる分野で賃金の引上げをしていくことが必要だと考えますが、区長の見解を伺います。
第2に、区内の中小企業に働く労働者の賃上げについてです。中小企業にとっては、賃金を上げようと思っても、業績は一朝一夕に向上するものではありません。厚生労働省や中小企業庁などが、従業員の賃上げを条件に、業務改善助成金、キャリアアップ助成金等々を実施していますが、これらの助成金は賃上げを条件にしながらも、助成の対象は設備投資や規模の拡大、新しい事業への進出、業務改善などが対象となっており、賃上げに直接結びつけるにはハードルが高すぎます。区として、さらに条件を緩和して、直接賃上げに結びつくことができるような上乗せする補助制度をつくり、利用しやすくすることが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
第3に、介護や保育、障がい福祉など福祉分野で働く人々の賃上げについてです。政府は補正予算に介護職員と看護補助者を対象に賃上げを行った事業所や医療機関に1人当たり月額6000円の賃上げ相当額を補助することを盛り込んだと報じられました。しかし、厚労省の調査でも、介護職員・看護補助者は月額で全産業平均より9万円から12万円低く、6000円では桁が違うという声が上がって当然です。急増する離職者に歯止めがかかることにもなりません。しかも、来年度は診療報酬を引き下げるというのですから、話になりません。介護や保育、障がい福祉サービスなどは、公定価格によって報酬を決めるという仕組みそのものが低賃金構造をつくり出しています。多くは女性が担い、家事労働の延長のように扱われていては、職種そのものの存続さえ危ぶまれていくのではないでしょうか。公的責任で職の賃金を確立することが必要です。区として福祉分野で働く人々の賃金の引上げの必要性についてどう考えるか、また、区として支援をしていただきたいが、いかがでしょうか。
3 教員の長時間労働の解消を
次に、教員の長時間労働の解消について質問します。
著名な大学教授など20名による、教員の長時間勤務に歯止めをかけ、豊かな学校教育を実現するための全国署名が呼びかけられています。呼びかけ文にはこう書いてあります。人にはゆとりがないといい仕事ができません。ゆとりなく働きすぎると人は壊れてしまいます。実際、学校では長時間労働が蔓延し、病気による休職者は増える一方です。若者も教職を敬遠するようになり、学級担任も確保できない教員不足が起きています。このままでは学校がもちません。こうなった原因は、教員を取り巻くシステムにあります。教員に残業代を支給しない法律の下で、教員の残業は増え続けました。学校の業務量に見合った教職員が配置されているのかという問題もあります。子どもが学び、育つためには、ゆとりを持って真剣に接してくれる教員が必要です。板橋区においても、今年9月には21人の教員の欠員が生まれています。年度当初から補充されずにスタートして、専科の教員や算数の少人数授業の教員、副校長などが学級担任をせざるを得ない事態となっています。産休や育休、病気休職、休暇など、年度途中の欠員に対しても、臨時的な任用の教員が補充できないなどの深刻な実態が、決算審査の中で指導室から報告されています。私の地域でも10月の学校だよりで、学級担任が退職となって、副校長が担任になるというお知らせが手元に届きました。子どもたちの動揺も計り知れないものがあることが想像できます。学校現場の深刻な教員不足の状況を解決することが急務です。そこで、教育長に質問します。第1に、学校に長時間労働が蔓延する、病気による休職者が増える、若者が教職を敬遠するという状況が広がっている理由について、教育長の考えをお聞かせください。
第2に、特別区教育委員会は、東京都教育委員会に対して、小学校の授業コマ数の上限を設定すること、中学校の授業コマ数は高校並みにすることを求めています。これらを通じて、教員の長時間労働の改善がどれぐらい進むことになるのかお示しください。第3に、真に必要な教員数についてです。文部省が1958年に初めて教員定数を法律で決めた際には、1日8時間のうち4時間を休憩時間を含め正規の教科指導に充て、残りの4時間を教科外指導や準備・整理、その他の校務一般に充当するとし、1教員当たりの標準授業時数は1日4時間としました。しかし、その後、学習指導要領に基づく標準時数は増やされ続け、1日5コマ・6コマは当たり前になってしまっています。これで法律どおり休憩時間を45分取ったら、残る時間は25分しかありません。1日4時間、週20時間を基準に教員配置を行った場合、板橋区では何人の教員が必要になるのかお示しください。第4に、教員の長時間労働を解消し、教員が子どもたちにゆとりを持って真剣に接することができる状況をつくり出すためには、現在、国が進めている35人学級を前倒しで行うこと、30人学級はもちろんのこと、OECD各国では共通する水準になっている20人学級をも展望して、少人数学級を推進することが必要と考えますが、教育長の見解をお示しください。
4 障害者、高齢者の権利擁護を
…成年後見制度について
次に、障がい者、高齢者の権利擁護を、成年後見制度について質問します。
高齢者や障がい者の権利を守り、住み慣れた地域で安心して生活を継続していくために、自分の意思をうまく周囲に伝えられない人や判断能力が不十分になったときにも基本的人権が守られるよう、権利擁護による支援が必要です。判断能力が十分でない人を保護・支援する方法の1うことで、本人や家族の意向が実現しない、本人のためにお金が使えない、一度利用したらやめられないなどの課題が噴出し、利用は大きく広がっていません。障害者権利条約では、当事者の意思決定支援の準備を求めています。後見人には被後見人の意思決定の尊重義務があり、成年後見制度を意思決定支援制度に根本的に転換することが求められました。政府は、国連障害者権利委員会からの指摘を受けて、成年後見制度の基本的な方向性について、利用者を増やす利用促進という考え方から、本人を中心とした権利擁護支援の位置づけの下に、それを実現するための仕組みの1つとして位置づけるとしました。そして2020年10月、意思決定支援を踏まえた後見事務ガイドラインを発表し、現行の後見制度が権利条約に抵触していると非難されていた状態に対する一定の対応策を示しました。しかし、現実問題として、本当にガイドラインどおりに実践できるかどうかは大いに疑問です。なぜなら、ガイドラインには本人を支援する人たちのチームが存在して、そのチームに後見人も積極的に関わって、本人の意思決定や最も慎重に判断しなければならない代行決定に責任を負う存在でなければならないからです。本人との間の日常的な信頼関係の構築が必要であり、高度な福祉的なスキルが求められるものです。そこで区長に伺います。第1に、成年後見制度を、利用者を増やすのではなく、本人の意思決定支援に中心を置く制度にしていくことについて、区としてどのような考え方で取り組んでいくのかお示しください。
第2に、板橋区においては、権利擁護いたばしサポートセンターが権利擁護支援の地域連携ネットワークの中核機関とされています。今後、意思決定の支援が必要な高齢者・障がい者一人ひとりに支援チームが機能していくような支援体制をつくり上げるためには、権利擁護いたばしサポートセンター、成年後見人、地域包括支援センターや障がい者福祉センター、家庭裁判所、板橋区の関係部署などと、本人と家族をつなぐ役割をそれぞれがどう果たしていくのかがますます重要になると考えます。権利擁護サポートセンターの体制、地域包括や障がい者福祉センターなどの体制と連携、専門職の配置などの体制を抜本的に強化する必要があると考えますが、見解を伺います。第3に、高齢者・障がい者の権利擁護のための総合相談の窓口が必要ではないでしょうか。広く広報して、本人・家族・関係者が気軽に相談できる窓口を設置し、個々のケースへの相談体制を整える役割を果たしていただきたいが、いかがでしょうか。
5 聞こえのバリアフリー解消に向けて
…加齢性難聴者の補聴器購入助成について
次に、聞こえのバリアフリー解消に向けて、加齢性難聴者の補聴器購入助成について質問します。
加齢性難聴者が補聴器を購入しやすくすることは、認知症予防につながる大事な事業になっています。補聴器購入助成制度は、2023年3月末時点で全国120自治体が実施しており、これ以降も大きな広がりを見せています。東京都では、2023年9月15日時点で18区4市1村が事業を開始、4区1市が実施予定となっています。補助の上限額は13万7000円の港区や2万円の墨田区・江戸川区・大田区・板橋区などとなっています。2万円台の上限額で事業を開始した足立区・豊島区は、住民から増額の運動があり、2023年4月から5万円に改定しています。千代田区は、20歳以上で聴力レベルが40デシベル以上であれば補助が受けられます。補助方法としては、新宿区と江東区は公費で補聴器を業者からまとめて買取り、江東区は現物支給か3万円補助の選択制、新宿区は本人負担2000円の現物給付、ただし生活保護利用者は本人負担免除となっています。目黒区は9月の議会で、上限額5万円で、住民税非課税の人に11月から補助開始との回答がされています。板橋区においては、2022年度から上限2万円、65歳以上の非課税世帯の方に対して事業が開始されています。アフターケア付き証明書をもって購入した後、調整終了後、交付決定という現金支給まで少々煩雑な手続になっていますが、事業開始後の利用者数は10月末時点で206人です。板橋区としても、制度のさらなる拡充が求められます。そこで区長に伺います。第1に、対象を非課税世帯に限定せず、均等割のみ世帯や本人非課税にも広げ、上限額を購入費用の半額など抜本的に引き上げることを求めますが、見解を伺います。
第2に、認知症予防効果が期待される事業ですから、早期に発見し、早期に対応ができるように、区民健診に聴力検査を加えていただきたいが、いかがでしょうか。また、補聴器を利用する人たちの日頃のお困り事に対応する聞こえの相談や補聴器調整の相談窓口を区として設置していただきたいがいかがでしょうか。
第3に、国に対して補聴器購入補助制度または健康保険適用を認めるよう求めていただきたいが、いかがでしょうか。
6 地域の公共交通として、路線バス、コミュニティバスの維持・拡充を公的責任で
次に、地域の公共交通として路線バス、コミュニティバスの維持・拡充を公的責任で行うことについて質問します。
全国でバスの運転手不足が深刻化し、都市部でもバス会社は路線の廃止や減便を余儀なくされるなど、利用者に影響が出ています。運送業界で労働時間の上限規制が強化される2024年問題を控え、運転手不足は加速する見通しで、地域の公共交通網を維持するための取組が求められています。板橋区においても例外ではなく、今年9月16日から小茂根五丁目から下頭橋、大山を経由し、池袋東口に至る池55路線の平日10時から16時台の運行が停留所への貼り紙1枚で廃止になり、利用者や地域住民に大きな困惑と驚きが広がりました。区内を走る国際興業バスでは、池55路線だけではなく、幾つかの路線で減便が行われています。日本共産党区議団の国際興業への申入れに対して営業所の担当者は、運転手不足なので、利用者が少ない路線は撤退せざるを得ないと苦渋の心境を語ってくれました。バスの減便や路線廃止によって住民の足が奪われ、高齢者等の移動が制約され、住民の日常生活や地域活動、社会活動に支障を来す事態が進行しています。区民がいつでもどこでも自由に安全に移動することは、健康で文化的な生活を営む上で欠かせないものです。憲法に保障された生存権、移転の権利、幸福追求権などに基づき、移動する権利を保障する施策が国や自治体に求められています。そこで区長に伺います。第1に、バス事業者と板橋区との協議についてです。板橋区の公共交通会議は年2回のペースで行われています。6月26日に行われた令和5年度の第1回の会議では、バス事業者から運転手不足の窮状が報告されています。国際興業バスの委員は、板橋区内においても今後は的を絞って、減便ですとか廃止といったところを検討しなければ、区内全域の路線が共倒れになってしまうという状況になりかねません。具体化次第、今後改めて、こちらの会議に問題提起させていただくと発言されています。池55の路線の減便が9月に行われていますが、板橋区との協議も行われたのでしょうか。板橋区としてどのように対応したのかお聞かせください。
第2に、公共交通を守るための政治の責任についてです。路線バスの運転手不足の問題は、解決を事業者任せにして、住民の足、生活基盤である地域公共交通を維持・充実していくことは限界があるのは明らかです。区として、区民の足、路線バスの維持・充実について、責任を果たす必要があると考えますが、見解を伺います。
第3に、23区内のコミュニティバスの運行にも運転手不足の影響が出ている問題です。足立区や台東区、文京区などで、コミュニティバスの一部減便や路線廃止などが報じられています。コミュニティバスは自治体が運営する、走る公共施設です。区民の交通利便性の確保、区民福祉の向上という役割を果たさなければなりません。板橋区のりんりんGOについても、この立場で安定した運行と新たな路線の拡充の検討を開始することを求めます。見解を伺います。
7 「重要土地等調査規制法」について
最後に、重要土地等調査規制法について質問します。
政府は9月11日、重要土地等調査規制法に基づく第3次の注視区域、特別注視区域の候補として、25都道府県の180か所を新たに提示しました。既に全国219か所で施行されていますが、それに続くものです。今回の第3次の指定候補区域には板橋区が含まれ、補給統制本部となっている旧自衛隊十条駐屯地及び指揮中枢・司令部機能として自衛隊練馬駐屯地が注視区域の指定候補となっています。法律によれば、練馬駐屯地、十条駐屯地の敷地周囲おおむね1000メートルの範囲を指定するとされており、練馬駐屯地から1000メートルの範囲には徳丸三・四丁目、若木一丁目、上板橋二・三丁目、桜川三丁目、西台、赤塚、赤塚新町などが含まれます。十条駐屯地から1000メートルの範囲では、加賀一・二丁目、板橋一・三・四丁目、稲荷台などが含まれます。法律の目的は、重要施設、防衛関係施設等及び国境離島等の機能を阻害する土地等の利用を防止することとされていますが、その内容は、区域内の土地・建物所有者、賃借人等を対象に、住民、氏名、住所、国籍等や利用状況について、現地・現況調査、不動産登記簿、住民基本台帳の公簿収集、所有者等からの報告徴収などを行い、機能を阻害する利用の中止の勧告、命令を行うとし、国による土地等の買取りもできる内容になっています。特別注視区域に指定されると、そこでの土地・建物に係る契約については国への届出が義務づけられます。関係地域の住民の財産、土地・建物取引や個人情報など、基本的人権に重大な影響を及ぼす問題です。この問題で、基本方針では、地方公共団体の意見を聴取するとされています。法案審議でも、区域指定については関係地方公共団体と丁寧に意見交換すると答弁しています。そこで区長に伺います。第1に、内閣府と板橋区との意見交換は行われたのでしょうか。いつ、どのような内容と方法で行われたのか、お示しください。
第2に、重要施設等の機能阻害行為とはどういう行為を指すのかお示しください。
第3に、区として意見を述べる際には、住民の意見を十分に聴取すべきと考えます。区域内の住民及び広く区民に対して説明と意見聴取を行っていただきたい。また、板橋区として、区民の個人情報や基本的人権を脅かすような住民監視体制を強化することはやめるよう意見を述べるべきだと考えますが、見解を伺います。
以上をもちまして、私の一般質問を終わります。ご清聴、大変ありがとうございました。
◎区長(坂本健)
それでは、小林おとみ議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、消費税の減税とインボイスの中止についてのご質問であります。区は、物価高騰の影響に対する緊急対策など、今年度、 4度にわたる補正予算を編成し、区民生活や地域経済活動を支える取組を進めてまいりました。消費税は社会保障の安定財源としての位置づけから、減税については慎重にすべきとの考えがあり、インボイス制度は、複数の税率下で適正な課税を確保するために必要な制度であると認識をしております。国はデフレ完全脱却のための総合経済対策を打ち出して様々な対策を講じていることから、引き続きその動向を注視したいと考えています。
次は、生活支援給付金の対象拡大と早期実施についてのご質問であります。国は、今後行われる給付金について、支給対象を拡大して実施するとの見解を示しておりますが、具体的な対象範囲や支給方法等については、まだ明らかにされていない状況であります。支給対象者の拡大につきましては、国の方針が示され、その内容を把握した上で検討を行う予定であります。また、非課税世帯などについては、国の方針を確認の後、できるだけ早期に支給できるように準備を進めていきたいと考えています。
次は、保険料の減免についてのご質問です。区では、新型コロナウイルス感染症の流行による収入減少に伴う各種保険料の減免措置を国の通知に基づき実施をしてまいりました。国民健康保険、後期高齢者医療保険及び介護保険におきましては、対前年度比で3割以上の収入減少が生じた被保険者を対象に、令和4年度まで国や都の補助金を活用して保険料減免を実施してまいりました。一方、物価高騰の影響による減収に対する保険料減免につきましては、国から通知が示されていないほか、物価の高騰が家計の収支にどれほどの影響を与えたかを具体的に把握できないことから、行う考えはないところであります。
次は、事業者への補助についてのご質問です。国による原油価格に対する燃料油価格激変緩和措置や電気代・ガス代に対する電気・ガス価格激変緩和対策事業が、今年度末までに継続して実施されることが決定しております。物価高や円安に対する経済対策は、広範囲な権限を持つ国や東京都が責任を持って行うべきだと考えておりまして、現段階において、区で直接補助を実施する予定はないところであります。
続いて、公衆浴場への燃料費助成の延長についてのご質問です。昨年度の後半から実施をしております公衆浴場に対する燃料費の助成につきましては、燃料価格の推移や社会全体の経済状況などを踏まえて、継続の可否について検討をしております。区では、公衆浴場で行われるイベントや設備改修経費等の一部を補助しておりまして、これらの助成につきましては、公衆浴場の転廃業を防止し、区民の保健衛生を確保する観点から、これまでどおり実施をしていく考えであります。
続いて、年末年始における相談体制の充実についてのご質問であります。年末年始における生活の不安解消に向けた取組につきましては、これまでも事前に広報の上、年末直前の休日に生活相談会を開催してまいりました。年末年始に福祉事務所を開庁する予定はございませんが、物価高騰をはじめとする社会情勢の変化に応じた、きめ細かな相談支援体制が必要と考えています。そこで、 12月 23日に開催する生活相談会においては、従来の生活困窮の相談にとどまらずに、就労、住まい、家計改善など、より幅広い相談に応じることによって、適切な支援につなげていきたいと考えています。
次は、街かどフードパントリーの実施場所の拡大についてのご質問です。令和 5年7月から始まりました街かどフードパントリーは、食品支援に加えて、自立に向けた相談支援を要件として、生活の困り事の解決に向けた支援を目的としております。現在、事業の周知を行いながら、食品数の充実と利用者の拡大に努め、食の支援と生活の困り事の解決に向けた相談支援を推進しております。フードパントリーの拡大につきましては、事業内容の充実を図りながら、利用時間帯も含めて検討すべき事項であると認識をしております。
次は、賃金の引上げに関する見解についてのご質問です。政府は、今月決定したデフレ完全脱却のための総合経済対策において、賃上げを強力に支援し、賃上げしやすい環境をつくるとしております。賃上げにつきましては、区内の事業所で働く従業員の皆様の働く意欲や生活の向上につながるものと考えておりまして、区としましても、賃上げが進むことを大いに期待しております。
続いて、区内中小企業の賃金引上げについてのご質問であります。政府は、今年度のいわゆる骨太方針において、構造的賃上げの実現を掲げ、人への投資を促進する政策を展開しております。その一環として、国は中小企業の積極的な賃上げを支援するため、令和4年度から、給与等を増加させた場合に、その増加額の最大40%を税額控除できる賃上げ促進税制を実行しております。そのほか、国において、業務改善助成金など賃上げを条件とした各種の助成制度を設けておりますが、賃上げについては各企業の経営者が決定するものでありまして、区が賃上げのための補助制度を実施する予定はないところでございます。
次は、福祉分野での賃上げについてのご質問であります。福祉分野で働く方々の賃金が十分でないという意見につきましては、区としても課題であると認識しています。報酬は法に基づいて定められておりまして、区として独自の支援を実施することは考えておりませんが、今後も国や東京都の動向を注視したいと考えています。
続いて、本人の意思決定支援に中心を置く制度についてのご質問であります。成年後見制度の運用に当たりまして、本人の意思を第一に考え、意思決定を含めた支援全般に取り組むことが重要と考えます。区は、国の示す意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドラインを踏まえながら、本人の意思決定支援を進めていきたいと考えています。
続いて、権利擁護支援の体制強化についてのご質問です。現在、国において成年後見制度をより利用しやすい制度とするための方策等について幅広い検討がなされていると思います。区におきましても、国の動向を見ながら、権利擁護の実施体制について引き続き検討していきたいと考えています。
続いて、権利擁護のための総合相談窓口についてのご質問です。区においては、板橋区社会福祉協議会が区や東京都の助成を受けて、権利擁護いたばしサポートセンターを設置し、成年後見制度や権利擁護に関する相談及び支援等に総合的に対応しております。今後、社会福祉協議会と共に、権利擁護いたばしサポートセンターのさらなる周知に努めてまいり、区の相談窓口との連携強化についても取り組んでいきたいと考えています。
次は、高齢者補聴器購入助成事業の見直しについてのご質問です。日常生活用具給付などの高齢福祉サービス事業におきましては、非課税世帯などの世帯収入を所得要件としておりまして、高齢者の補聴器購入助成事業についても同様に、現行の住民税非課税世帯の所得要件を変更する考えはないところであります。一方、補助上限額の引上げに関しましては、議会に陳情が提出されておりまして、補聴器の平均購入額も高額なことから、議会の意見も参考に、現在、補助上限額のあり方について検討しているところでございます。
次は、聴力検査導入と相談窓口開設についてのご質問であります。区の各種健診事業については、健康増進法や高齢者の医療確保に関する法律に基づいて実施がされておりまして、聴覚検査は健診項目とされていないところでございます。また、補聴器は機種ごとで調整方法が異なり、専門知識が必要なことから、聞こえの相談など、入口の段階から補聴器の購入後のケアまでが可能な補聴器販売店や医療機関での相談が最適であると考えます。このため、区として各種健診に聴覚検査を導入することや相談窓口を設置する考えはないところでございます。
続いて、保険適用等に係る国への要請についてのご質問です。国の保険診療に係る基準においては、日常的に使用する補聴器は、医師が治療上必要とする治療用装具に該当しないことから、保険適用の対象外となっておりまして、このことについて、区として保険適用にするよう国に要望する考えは持っていないところでございます。しかしながら、補聴器の購入費用は高額であり、高齢者の負担も大きいことから、東京都の補助制度の動向を見据えて国への補助制度創設の要望に関しまして検討していきたいと考えています。
次は、池 55系統の路線の減便についてのご質問です。区では、国際興業株式会社との協議や打合せのたびにバス路線の維持等について要望を行っておりますが、池 55系統を含むダイヤ改正については8月の下旬に報告を受けております。池55系統は平日の日中の利用が少ないため、以前から運行頻度が減少し続けておりまして、利用状況を注視していた路線でもございます。国際興業株式会社からは、深刻な運転手不足による減便と報告を受けておりまして、区内全路線の利用状況に鑑みますと、残念ながら受け入れざるを得ないというふうに考えております。
次は区民の足、路線バスの維持・充実についてのご質問であります。区では公共交通の維持・充実に向けて、交通事業者と連携をしながら取り組んでいるところでございます。このたびのバスの減便については運転手不足が原因でありますが、対象となった路線については利用者の少ないことも起因していると認識しています。区では公共交通サービスを将来にわたって維持していくため、機会を捉えて路線バスの認知度を高めて、これまで以上に利用していただく取組を強化をしていきたいと考えています。
続いて、りんりんGOの安定した運行と新たな路線の拡充についてのご質問であります。りんりんGOは朝の通勤通学時間帯の利用が多いものの、運賃収入で全ての運行経費を賄えずに、毎年区から補助金を支出しております。沿線の方々の移動手段として利用が定着をしておりまして、さらなる利用を得て収支を改善しながら、バス事業者と共に今後も継続をして運行したいと考えています。りんりんGOは、道路幅員の制約や既存路線との競合を避けてルートを設定をしたことや運転手不足などもあり、新たな路線の整備は困難な状況でもあると考えています。
次は、重要土地等調査規制法に関連いたしまして、意見交換についてのご質問であります。重要土地等調査規制法に基づきまして、9月11日付け文書により内閣府から区へ注視区域等の指定案に係る意見聴取があり、10月2日に回答いたしたところでございます。意見聴取の内容につきましては、地域の地理的情報、開発計画等に関するものでありまして、個別の意見を伝える形式ではなかったために、特段の意見は付していないところでございました。
次は、機能阻害行為についてのご質問であります。安全保障上、重要な施設等の機能を阻害する機能阻害行為は、重要施設等の機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本方針に類型が明記されております。該当する行為としては、自衛隊等の航空機の離着陸やレーダーの運用の妨げとなる工作物の設置や施設に対する妨害電波の発射等が例示がされております。また、機能阻害行為に該当するか否かにつきましては、個別具体的な事情に応じて適切に判断するとしております。
次は、国への意見表明についてのご質問です。注視区域の指定区域案につきましては、現在国において検討、調整段階であるため、内閣府が非公表としていることから現時点においては区による住民説明は予定をしていないところでございます。また、個人情報は法に基づき適正に取り扱われ、国が示すとおり、一般生活や事業活動に影響はないものと認識をしています。区では情報提供が可能となり次第、区民に分かりやすい周知に努め、国と協力をしながら適切に対応していきたいと考えています。
残りました教育委員会に関する答弁は、教育長から行います。
◎教育長(中川修一)
それでは、小林おとみ議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
初めに、学校における長時間労働の蔓延などの理由についてのご質問ですが、学校現場は、授業以外にも不登校児童・生徒への対応、生活指導や学校行事の企画実施業務、さらに、新しい教育課題への対応等、業務の一方的な増加が続いております。このような労働状況が長時間労働につながり、教員のストレスや疲労を招いている一因と思われます。また、教員採用試験の受験者数が年々減少傾向となっていることは、長時間労働に象徴される教員の厳しい労働状況等がその要因の1つとして考えられると思います。
次に、授業コマ数の見直しに伴う教員の長時間労働の改善についてのご質問ですが、特別区教育長会では、週当たりの授業持ち時数上限を小学校は講師時数算定基準の20時間、中学校では東京都立高校算定基準並みの18時間に改善するよう東京都へ要望しているところです。上限授業時数を要望時数と設定した場合、1人当たり週当たりの授業時数は小学校では授業時数が最も多い高学年で約6時間分、中学校で約5時間分の時数の軽減が見込まれることになります。
次に、1日4時間、週20時間を基準とした教員配置における教員の必要数についてのご質問ですが、小学校及び中学校の教科ごとの標準的な授業時数は、学校教育法施行規則において定められています。教員の担当授業コマ数を週20時間分と仮定した場合、同規則に定める標準授業時数を基に算定しますと、小学校1166人、中学校は437人の教員が必要と想定されます。
最後に、少人数学級の推進についてのご質問ですが、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の改正により、小学校の学級編制の標準が令和3年度から令和5年度にかけて35人に段階的に引き下げられております。本区において、令和5年度は小学校の第1学年から第4学年まで35人学級を実施しており、令和7年度までに全学年で35人学級を導入していく予定です。今後も少人数学級の推進につきましては、各小学校の施設の状況も踏まえつつ、法律改正に沿う形で適切に対応してまいります。
頂きました教育に関する質問の答弁は以上でございます。