ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、議案第41号東京都板橋区国民健康保険条例の一部を改正する条例に反対する討論を行います。
本議案は、令和7年度の保険料率を定めるものです。新年度の保険料率は基礎分・支援分では前年比均等割額が1500円、所得割率では1.09%引き下がり、介護分については均等割額が100円引きあがり、所得割率が0.06%引き下がっています。基礎分・支援分で1人あたり保険料は7408円の引き下げ、介護分は190円の引き上げとなり、賦課限度額の区分世帯以外は、引き下げとなる改定です。保険料率が引き下がった要因は、東京都が昨年度の医療費の見込みを誤り、端的にいうならば今年度の保険料を取りすぎたからです。
議案に反対する第一の理由は、多くの区分で保険料が引き下げとなるとはいっても、保険料が家計にとって大きな負担だからです。
令和7年度の保険料は、基礎・支援分は令和5年度より1人当たり保険料が4423円高く、介護分は433円高くなっています。昨年より負担は減るとはいっても、一昨年よりは負担増なのです。令和7年度保険料で考えますと、世帯主40歳、配偶者40歳、子10歳で世帯年収が500万円の場合、保険料は62万506円となり、収入の1割以上を占めることになります。同様の世帯状況で、協会けんぽでは保険料は約30万弱となり国保料の半分以下です。物価高騰がとどまるところをしらない今、家計にとって非常に大きな負担であることに変わりはありません。また、賦課限度額に達する収入額は基礎分と介護分では、年収約850万円から約882万円となります。例えば、45歳夫婦、10歳と5歳の子がいる年収約900万円の場合は、基礎分と介護分で賦課限度額に達するため、令和7年度の保険料は約106万円と試算されます。年収の1割以上が保険料となることを考えると、夫婦と子どもが2人いる世帯の年収900万でも決して贅沢な暮らしはできません。
議案に反対する第二の理由は、区が保険者として、保険料を下げる工夫を十分に行っていないからです。
国民健康保険法には、同制度は社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的としており、同法第4条には、国はその目的を達成するために保健、医療、及び福祉に関する施策を積極的に推進する、とあります。しかし、国は保険者への負担割合を45%から30%に引き下げるなど、制度の維持のための努力を行っていないと言わざるを得ない状況です。特別区長会では国保制度を持続するため、住民負担を軽減するための要望が上がり続けています。
区は保険者として区民負担を抑えるべく、法定外繰り入れの解消に固執することなく、一般会計の繰り入れを増やすなどのあらゆる努力を行うべきです。国民健康保険事業は、高齢者、障がい者、無職の方などいわゆる社会的弱者とよばれる被保険者が多くを占めています。だからこそ徴収強化に力をいれるのではなく、支払うことが可能な保険料とする努力をすべきです。
議案に反対する第三の理由は、若者・子育て世帯への負担が重いことです。
板橋区国民健康保険料の全世帯にしめる滞納世帯の割合は約20%ですが、40歳未満の滞納世帯の割合は30%を超えています。これは、比較的健康な若い世帯にとっては社会保障に充てる必要性が低いということに留まらず、若者及び子育て世帯にとって国保料の負担が重く、医療にかかれていないことのあらわれです。医療費を抑制する基本は早期発見・早期治療であり、適切な時期に医療にかかることができる保険料にこそすべきと考えます。また、若い世代への負担軽減のためにも、子どもの均等割り減額の対象を拡充すべきです。子育てしやすい板橋区としても、区独自の支援に踏み切るべきです。
板橋区国民健康保険事業が、区民の社会保障及び国民保健の向上に寄与することを改めて求め、わたしの討論を終わります。
