2024年第3回定例会 石川すみえ区議 一般質問

質問日:2024年9月24日

 ただいまから日本共産党板橋区議会議員団の一般質問を始めます。
 アジア太平洋戦争が終結し79年が経ちましたが、世界を見渡せば、いまだに戦争が続いています。戦争の準備ではなく、平和のために力を尽くすことこそが政治家の役割です。9月

1 平和をつくるための方法について

そこで、初めに、平和をつくるための方法について質問いたします。
 今年8月20日から23日にかけて、マレーシア・ペナン植物園友好提携30周年記念公式訪問があり、22日には、マハティール元マレーシア首相に表敬訪問する機会がありました。マハティール元首相は99歳ですが、大変お元気な様子で、訪問団からの質問に答えてくださいました。私の「ウクライナやガザでは子どもたちも犠牲になっており、戦争に胸が痛む。戦争を止めるためにはどうしたらいいのか」という問いに、マハティール元首相は「暴力を使っては決して平和にならない。暴力で解決すると必ず国民が犠牲になる。平和には話合いが必要である。暴力を使って平和になっても、恨みが生まれて、また戦争に戻ってしまうから」とおっしゃいました。武力による威嚇と武力の行使を永久に放棄し、陸海空軍その他の戦力を保持しないと規定している、日本国憲法第9条の精神そのものだと感じました。ひとたび戦争が始まってしまえば終結は難しく、多くの国民の命が落とされ、次世代には憎しみを継承していくことになってしまいます。区長は、国家間の紛争を解決するための手段として、暴力、つまり武力を用いることについてどう考えているのでしょうか、教えてください。
 訪問団はペナン州政府やペナン植物園関係者との交流会に参加し、ペナン州でホームステイしている区立中学生たちから話を聞きました。その中で、生徒たちにとって本当にかけがえのない国際交流の機会となったことを実感しました。中学生という多感な時期に、同じアジアで生きる人々と交流したことは、貴重な経験になったのではないかと思います。アジアの国々との国際交流事業を充実させていくことが非常に重要です。マレーシア・ペナン州だけでなく、さらに交流できる都市を増やしていただきたい。クアラルンプール市と板橋の子どもたちの交流事業を始めていただきたいが、いかがでしょうか。

2 こども・子育て支援の充実について


 次に、子ども・子育て支援の充実について伺います。

(1)子育ての経済格差の解消にむけて


 まず、子育ての経済格差の解消に向けてです。子ども支援に取り組むNPO法人が6月下旬に公表したアンケート結果によると、物価高が続く中で、昨年より家計がとても厳しくなったと答えた回答が8割に上り、肉や魚、野菜の購入を控え、保護者の食事を抜いたりして対応する家庭も目立ちました。所得が低い家庭の方が、子どもが病気にかかりやすくなった、体重が増えていないと答える割合が多くなっています。自由記述欄には、おかずの量は完全に少なくなった。子どもの貧血がひどくなってしまった。ミルクは薄め、おむつは替える頻度を少なくしているなどと、厳しい生活がつづられています。物価高騰が続く一方で、国の支援は追いついていません。まずは区として実態を調査していただきたい。生活保護及びこの間の給付金対象となった世帯に対し、生活の困りごとのアンケート調査などをすべきですが、いかがでしょうか。また、実態調査を基に、緊急対策としての現金の追加給付を行うべきです。見解を伺います。
 葛飾区は来年度、中学生の修学旅行代8万円を無償にするほか、小中学校の移動教室の無償化、小中学校の副教材費の無償化、未就学児の一時保育の利用料、幼稚園・認定こども園の入園料も助成を拡大するとのことです。子育て世帯の経済的負担を軽減するものです。板橋区においても同様の支援策を実施することを求めます。
 さきに紹介したアンケート結果では、4割強の3人家族が1人1食110円で生活していることも明らかになりました。物価高騰の暮らしへの影響は深刻で、区は物価高騰対策として学校給食無償化を実現しましたが、今は米不足や米価の高騰が食卓に大打撃を与えており、学校給食への影響も必至です。他自治体では果物の種類が限られたり、おかずが減ったりという声が上がっています。学校給食の質を下げることなく、無償化を継続すべきです。いかがでしょうか。
 こども家庭庁は昨年7月、小中学校等の夏季等の長期休業期間中は、生活困窮世帯の生活状況に変化が生じたり、その子どもの食事等に配慮が必要である旨の通知を出しています。板橋区のあいキッズの注文弁当は、学校によっては夏休みしか注文ができず、1食400円程度です。全てのあいキッズで長期休暇中の注文弁当を可能にし、かつ無償にすべきです。冬休みにでも実施していただきたいと思います。

(2)いのちを守り、育む保育施策を求めて


 次に、命を守り・育む保育施策を求めて質問します。
 まず、こども誰でも通園制度についてです。こども誰でも通園制度は、保護者が就労していなくても、生後6か月から3歳までの保育所に通っていない子どもが利用できる制度で、全国どこでも、アプリで空き状況を調べ、直前でも予約できるシステムです。4月から4区でモデル実施が始まっており、令和8年度には全ての自治体で実施することが国より求められています。保育職員の半分は無資格でよいため、認可基準を満たさない施設でも実施が可能です。保育現場からは、この制度では、子どもを安全に預かることができないの声も上がっています。そこで伺います。区はこども誰でも通園制度の課題をどう認識しているのでしょうか。お答えください。
 今年3月に公表された区子ども・子育てに関するニーズ調査では、こども誰でも通園に対する設問があり、制度を使ってみたいと答えた保護者のうち、その第1の理由は育児疲れの軽減でした。育児疲れには子どもを預けることです。現在、区で行っている一時保育事業は、育児疲れを理由に利用することができます。区立では3園が実施していますが、枠は十分ではなく、1か月前には予約しないと利用できない状況です。また、保育所を利用するには、就労以外にも、妊娠、出産や就学、仕事を探している間といった保護者の状況が必要です。例えば、妊娠、出産の場合には、出産予定日の前後2か月で計5か月となっています。これは首が据わるかどうかといった月齢の子と上の子をワンオペで見るということです。求職中は3か月ですが、小さな子がいる仕事探しはまだまだ大変で、条件が合う仕事を探すのは厳しいのが現実です。子どもの思いや発達を考えたら、一度入ってお友達ができたり、先生たちとの関係ができた園には、保護者の状況の変化にかかわらず、就学まで通えることが最善ではないでしょうか。保育の市場化をさらに進めるこども誰でも通園制度ではなく、今ある一時保育事業の拡大と保育所入所要件の緩和を求めます。
 次に、保育事故の再発防止を求めて伺います。こども家庭庁は8月2日、令和5年教育・保育施設等における事故報告集計の公表を行いました。公表されたまとめによると、報告件数は前年より311件増えて2,772件、死亡の報告は、前年より4件増えて9件でした。区は2016年9月に区内認可保育施設において1歳2か月の男児が午睡中に心肺停止状態となり、救急搬送されたものの、その後死亡が確認されるという重大事故が起きたことを受け、検証委員会を設置し、重大事故の再発防止策を取りまとめました。その提言を基に、園長経験者などによる巡回支援指導を開始し、必要な指導、助言を行っていると説明してきましたが、保育サービス課が策定している事故防止と事故発生時対応には、区内で起きた死亡事故の事例については述べられていません。二度と区内保育施設で子どもが死亡する事故を起こさないよう、板橋区認可保育園死亡事故の検証委員会の報告書を活用して研修を行ってください。何といっても、保育士の処遇改善が必要です。この間、国や区が行ってきた処遇改善では、現場の人手不足は解決していません。さらなる処遇改善を求めますが、いかがでしょうか。

3 「株式会社スダチ」をめぐる問題と不登校対策について


 次に、株式会社スダチをめぐる問題と不登校対策について質問します。
 先月5日、不登校児童・生徒の支援をする会社スダチが板橋区と連携し、支援していくとのプレスリリースを行いました。これに対し、再登校が促されるのではないか、再登校を目指さないと学校や教育委員会から見放されるのではと、お子さんが不登校の保護者の方々からたくさんの不安の声が寄せられました。一方、区のホームページでは、現在3度目の修正を重ねた見解が示されています。この見解についても教育委員会への不信が募っています。8月15日には、様々な形で不登校やひきこもりに向き合い続ける各分野の団体と有志が連名で区長と区教育長宛ての公開質問状を提出しました。区議団も13日及び16日に教育委員会に対し説明を求めました。今回、なぜこのような事態が起きたのかを明らかにし、改めて区の方針をただすため、以下質問します。
 まず、教育委員会が昨年10月31日にスダチ社から事業の説明を受けるに至った経緯が明らかになっていない点です。東京新聞の記事やネットニュースには、自民党の間中りんぺい区議がスダチを紹介し、下村博文衆議院議員とスダチ社の社長が一緒に写っている写真も見受けられます。実際、それぞれのSNSでも確認できます。この仲介がなければスダチ社との接触はなかったのではないでしょうか。なぜスダチ社の話を聞くことになったのか、誰から紹介されたのか、明らかにしなかった理由を伺います。
 次に、スダチ社の不登校解決プログラムの問題点について伺います。スダチ社は、不登校の理由にかかわらず、3週間で再登校可能とうたっています。また、当事者の子どもに会いもせずに親への指導を行うもので、家庭に一方的に非があるようにうたっています。これは、不登校はその家庭に問題があるからだと決めつけるものです。区教育委員会指導室長と教育支援センター所長が、5月1日にスダチ社から改めて事業説明を受けた際に、区立小学校への説明の機会を設ける考えと、小学校の候補も提示すると伝えていますが、教育委員会は、不登校は家庭の問題だとするスダチ社の考え方をどう捉えているのでしょうか。また、スダチ社と時間をかけて協議を重ねることができていれば、教育委員会事務局が推進する不登校対応の在り方と、スダチ社の考えを十分すり合わせることもできたかと考えておりますと言いますが、保護者へのアプローチへの課題をスダチ社なら解決できると考えた理由をお示しください。
 教育委員会は、現在の学校は親子の関わり方や生活リズムについて教員が踏み込んで支援することが難しいとして、板橋区として保護者支援を開発したいと言っています。スダチ社に相談した人によれば、スダチ社からお勧めされるプランは、再登校面談の4万5,000円と1か月半の再登校サポートの39万6,000円で、計44万5,000円の費用が必要だそうです。大変高額です。現在、スダチ社以外にも、不登校は治せます、短期間で解決できますといううたい文句で高額な費用を保護者に支払わせるといった様々な不登校ビジネスが横行しています。不登校ビジネスではなく、例えば、子ども家庭総合支援センターなどのような公の機関との連携を強めることが先ではないでしょうか。なぜこうした企業に委ねようとしたのでしょうか、お答えください。
 学校や教育委員会が不登校についての相談窓口を適切に案内できること、スクールカウンセラーの相談にすぐつながる制度にこそすべきです。そもそも不登校は問題行動ではありません。それぞれ理由も違い、再登校が最適とは限りません。最も大切なことは子どもが元気に過ごせることです。また、児童精神科医は再登校の先に命を失ってしまうリスクがあることも指摘しています。教育委員会は、不登校児童・生徒増加対策プロジェクトチームを2020年に立ち上げ、教育委員会が行う不登校対応について検討を行いましたが、翌年、このチームは解散しています。このチームでは、フレンドセンター保護者交流会の実施、孤立化を防ぐために、関係機関の連携による訪問型支援を充実、地域の機関やNPO、フリースクールとの連携などが提起されています。学校に行かない選択をした子どもとその家庭の学習保障や孤立を避けるために、こうした事業の充実こそすべきです。今年からは、不登校または不登校傾向の児童・生徒の保護者を対象とした保護者交流会を行うことになりましたが、年1回のみです。保護者同士がつながる場をさらに増やすべきです。見解を求めます。
 とにかく人が足らないという声が、現場の先生方以外にも、付添い登校などで学校に頻繁に行く保護者からも寄せられています。あともう一人支援できる大人がいれば、この子は自分から授業に参加することができるのにというのが現場の声です。親のしつけがなっていない、学校に来れないのは甘え、子ども一人ひとりに合わせていたら切りがないという発想を変えない限り、不登校は減りません。どんな子でも受け入れるという構えこそが必要です。子どもたち一人ひとりに向き合うために、現在でも区で雇用することのできる学校生活支援員などの増員と処遇の改善を求めます。
 最後に、学校に行かないことは悪いことではありません。子どもたちが学校に行かないという選択肢を取るのは、学校がつまらないからです。その理由は多岐に渡るでしょうが、この事実に正面から向き合おうとしない教育委員会の姿勢は大問題です。それは、義務教育を受ける権利を放棄させるような状況をつくり続けていることにほかならないからです。変わるべきは家庭ではなく学校です。現状の対策のままでは、不登校児童・生徒数の増加に歯止めはかかりません。子どもに合った学校に変わっていけば通える子どもは増えるのです。新しい教育長の下、変わるのは子どもや家庭ではなく、学校そのものだと教育委員会が気づくことを心から求め、次の質問に移ります。
 

4 年をとっても障がいがあっても、自分らしく暮らすために

 次に、年を取っても、障がいがあっても、自分らしく暮らすために伺います。

(1)訪問介護基本報酬について


 まず、訪問介護基本報酬についてです。東京商工リサーチが、今月6日に公表した今年1月から8月期の介護事業者の倒産が114件と前年同期の1.44倍に激増しました。基本報酬が4月から引き下げられた訪問介護は、倒産件数の約半数を占めます。2000年に介護保険が創設されて以降の最多件数です。コロナ禍の影響を強く受けた2020年を大きく上回るペースで増加しています。倒産したほとんどの事業者は小・零細事業者で、大手チェーン企業が敬遠する利益の少ない生活援助の訪問介護やひとり暮らしの認知症の方など困難ケースを引き受け、地域の介護基盤を支えています。報酬引下げの影響は、この秋から本格的に表れると見られ、区としても支援が必要です。世田谷区では、区議会に高齢者・障害者施設への給付費不足対策として、緊急安定経営事業者支援給付金総額8億7,500万円を計上、訪問介護事業所へも2億3,000万円の補正予算を上程しました。世田谷区の緊急安定経営事業者支援給付金を板橋区でも実施していただきたいが、いかがでしょうか。

(2)株式会社「恵」グループの対応について


 次に、株式会社恵グループの対応について伺います。入居している障がい者に十分な食事を与えず、さらに食材費の過大徴収をしていたことで、障がい者向けグループホームが行政処分を受けました。国は6月25日に記者会見を行い、組織的な問題があることから、連座制を適用し、株式会社恵が運営する全ての障がい者施設の指定更新をできなくしました。全国12都県で約100事業所を運営する株式会社であり、利用している障がい当事者やその家族、そこで働く職員への影響は計り知れません。そこで伺います。板橋区民の利用者はいらっしゃるのでしょうか。また、さいたま市では相談窓口を設置するとのことですが、区も利用者の声をよく聞き、行き先確保を行うべきです。現在の状況をお示しください。
 成人期の障がいのある人たちが地域で働く、活動する、生活することを応援する事業所の全国組織であるきょうされんは声明を出し、深刻な人手不足に物価高騰、報酬改定の影響などで事業所運営が危機に瀕している状況の中で、再びこのような事案が起こることは必至であること、また、いわゆる障がい者ビジネスを否定しながら、それを放置する現行障害者総合支援法の根幹部分で大きな欠陥があること、障がいのある人たちの人権が守られ、安心して事業所を利用できる施設制度の確立を厚生労働省に対し強く求めています。今回のケースは、恵だけの問題ではありません。利用者本位であることを忘れ、暴利を追求する企業の参入を許してしまう福祉事業の指定基準にも問題があります。東京都が公表している2022年度の障がい者虐待の状況は、相談・通報件数で1,000件を超えています。本来あるべき障がいのある人の人権が守られる社会福祉事業への転換が必要です。区として、東京都と国に再発防止及び人権保障の障がい福祉施策となるよう、施設設置基準の引き上げ、人的配置の充実、何より人材確保ができるよう求めるべきです。見解を伺います。

(3)福祉分野の人材確保・育成について


 次に、福祉分野の人材確保・育成について伺います。練馬区では、福祉人材の確保、育成、定着の支援を目的として、練馬福祉人材育成・研修センターを委託運営しています。練馬区内の介護・障がい福祉サービス事業所を対象に、練馬区の方針に基づいた人材確保事業、人材育成事業、人材定着事業の3つの事業を実施しています。板橋区にも福祉人材育成・研修センターをつくるべきです。ぜひご検討いただきたい。

5地域問題の解決にむけて


 最後に、地域問題の解決に向けて質問します。

(1)交通不便地域の公共交通の充実を


 まず、交通不便地域の公共交通の充実を求めて伺います。区は、東新町・小茂根地域の交通事情について、地域住民の移動に関する満足度が低いことを理由に、今年度計3回の東新町・小茂根地域交通意見交換会を行うこととしました。地域住民の皆さんからは、長年、コミュニティバスを求める要望が届けられており、区がこうした意見交換会を持つことは重要なことと考えています。しかし、道路幅員が足らない、運転士不足によって運行継続性に課題があるとして、コミュニティバスの取組は不可能として意見交換会が始まっていることに、地域住民から、それでは何のための意見交換なのか、ガス抜きではないのかとの意見が出されています。コミュニティバスの検討も含めて意見交換会を行うべきです。いかがでしょうか。
 地域で持続可能な公共交通を担っていくにしても、区の財政援助なしにしては、継続は困難です。今後、取り組む新たな地域交通についても、区の財政支援を約束していただきたい。いかがでしょうか。

(2)日大板橋病院の建て替えについて


 次に、日大板橋病院の建て替えについて伺います。日本大学医学部附属板橋病院と同学部校舎の建て替え・耐震化事業の再整備計画が始まります。同大学によると、今年度は仮設校舎建設に着工、2028年度末までに、現在の病院の耐震工事を実施、2032年7月頃に新病院開院としています。現病院は新病院へ機能移転後に解体されるとのことです。区では現在、日本大学医学部附属板橋病院に災害時の拠点病院や平日夜間応急子どもクリニックなどの重要な役割を担っていただいています。建て替えの間も役割を担ってもらえるよう要望してください。
 最後に、さくらテラスの活用について伺います。

(3)さくらテラスの活用について


 さくらテラスは廃止となった大谷口いこいの家の代替として、ケアホーム板橋の1階部分に設置されましたが、コロナ禍で長く休止していました、この4月から再オープンとなり、地域の方々が集まる居場所となっていて、うれしい限りです。会食サロンで使用していた機材なども活用し、地域の高齢者の憩いの場となるようにしてください。また、全ての地域に同様の交流スペースをつくってください。
 以上で私の一般質問を終わります。(拍手する人あり)

区長(坂本健) 

それでは、石川すみえ議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、国家間の紛争解決の手段についてのご質問であります。板橋区は、恒久平和主義の理念に基づきまして、緑豊かな文化的なまちづくりを目指すとうたう平和都市宣言を行いまして、様々な平和啓発事業を展開しております。私自身も世界平和を強く希求しておりまして、国家間の紛争は話合いや国際協調の下で解決するべきと考えており、暴力や武力行使の根絶を願っているところでございます。
 次は、国際交流事業の充実についてのご質問であります。マレーシアのペナン植物園と植物の種子の交換から始まった交流は、ペナン州への区立中学生の派遣事業につながるなど、交流の輪が広がっていると感じています。今回の訪問において、クアラルンプール市長との意見交換が実現いたしまして、水害対策など都市部特有の共通の課題が多いことから、今後も交流を深めていくことを確認いたしました。中学生の派遣事業につきましては、今後もペナン州を継続して行ってまいりますが、経由地であるクアラルンプール市において、中学生が異国の文化に触れる機会があれば、よい経験になると考えています。
 次は、子ども・子育て支援の充実に関連いたしまして、アンケート調査の実施についてのご質問であります。生活の困りごとの把握につきましては、生活保護、高齢者や子育て家庭など、各分野における相談支援を行う中において把握できるものと考えています。また、区では、生活困窮等の相談に応じるため、いたばし暮らしのサポートセンターの増設や地域福祉コーディネーターの配置など、相談体制の強化を図っております。引き続き、各分野での支援や生活に関する相談の中において、区民の困りごとに関する声を聞いていくため、改めてアンケート調査を実施することは考えていないところであります。
 次は、追加給付についてのご質問です。区では、子育て支援として、児童扶養手当受給中のひとり親世帯を対象に、子ども1人当たり1万円の独自給付を行うため、現段階で新たな上乗せ給付を行うことは考えていないところであります。
 続いて、こども誰でも通園制度の課題についてのご質問であります。国は、令和8年度からのこども誰でも通園制度の本格実施に必要な論点について、学識経験者を交えた検討会において、現在、議論を行っているところであります。また、全国115の自治体において、本制度の本格実施を見据えた試行的事業を行っているところでございます。国の検討状況や試行的事業の動向を引き続き注視しながら、区で実施する場合を想定した課題の整理を行っていきたいと考えています。
 続いて、一時保育事業の拡大と保育所入所要件の緩和についてのご質問であります。こども誰でも通園制度は制度の詳細が明らかでなく、一時保育事業への影響についても計りかねているところがあると感じています。また、保育所の入所については幅広く利用基準を定めておりまして、近年は保育の必要性が認定されれば入所できる園も増えております。出産や求職などによる短期間の入所については、丁寧に状況を聞き取りまして、必要に応じて要件変更を行うなど、保護者に寄り添った対応も行っておりまして、保育所への入所要件を緩和する予定はないところであります。
 次は、認可保育施設における午睡中の死亡事例に関する検証報告書を活用した研修の実施についてのご質問であります。報告書では、重大事故の再発防止策について、行政や事業者、保育施設に対する様々な提言を行っております。行政に対する提言には、緊急時対応や救命訓練など、子どもの安全に関する研修機会の充実を図ることなども含まれております。区で実施しております保育士や看護師を対象とした研修は報告書の趣旨を踏まえたものでありまして、重大事故の再発防止に向け、絶えず見直しを行っていきたいと考えています。
 次は、民間保育士の処遇改善についてのご質問であります。国は公定価格の改定や加算によりまして、平成25年度以降、累計でプラス23%の給与改善を行ったほかに、別途、月額最大4万円の処遇改善策を実施しております。また、本年4月からは、4歳児及び5歳児について配置改善加算が新設がされました。加えて、区におきましても、本年4月からパート保育士加算と要支援児保育充実費の単価を上げたところであります。
 次は、訪問介護基本報酬についてのご質問であります。今年度実施されました介護報酬の改定においては、訪問介護の基本報酬は減額となっておりますが、処遇改善につきましては加算がされておりまして、全体ではプラス改定となっております。そのため、区独自の新たな補助金制度を創設する必要性は現時点においてはないものと考えております。訪問介護をはじめとする介護事業の運営に対する支援について、国や東京都、他自治体の動向に注視しながら、継続的な情報の収集に努めていきたいと考えています。
 次は、株式会社恵グループの対応に関連いたしまして、現在の状況についてのご質問であります。株式会社恵グループの運営する施設については、9月1日現在、埼玉県や千葉県の6施設に7名の板橋区民が入居していることを確認しております。今年や来年、閉鎖が見込まれる施設はございませんで、当面は現在の生活を継続できることも確認しております。今後も各施設の状況を把握するとともに、入居者の意向を確認し、安定した生活を継続できるように寄り添った支援を行ってまいります。
 続いて、国や東京都への要望についてのご質問です。今回のような事態は決してあってはならないことでありまして、再発防止や人材確保の徹底の必要性は区としても認識しております。現在のところ、直ちに要望を上げる予定はございませんが、よりよい事業者支援の在り方について検討してまいります。
 続いて、福祉分野の人材確保・育成についてのご質問です。少子高齢社会の進展や障がい者人口が増加する中、サービス提供の根幹である人材の確保や育成は、施設の安定的な運営のために重要な課題と認識しております。区におきましても、専門的な人材の確保・育成に向けた取組として、支援者向けに様々な研修を実施しております。直ちに福祉人材・育成センターを設置することは考えてはいないところでありますが、他の自治体の先行事例を参考にしながら、人材確保や育成に向けた取組を強化してまいりたいと思います。
 次は、東新町・小茂根地域交通意見交換会についてのご質問であります。東新町・小茂根地域においては、バスが通行できる幅員を有する道路が限られておりまして、運行ルートを描くことが大変難しいと感じています。このため現状においてはコミュニティバスの導入も含めて検討することはできないと考えています。
 続いて、今後取り組む新たな地域交通への区の財政支援についてのご質問であります。現在地域交通について地域の意向を把握するため、意見交換会のほか地域住民を対象とするアンケート調査を実施しております。今後これらを基に地域の皆様とどのような対応とするか、また区がどのように関わるのかなどを考えていくため、現時点においては財政支援の約束はできないと考えています。
 次は、日本大学医学部附属板橋病院の建て替えについてのご質問であります。令和14年7月頃の新病院開設に向け、病院施設及び大学校舎の建て替え、耐震化をはじめとする再整備計画の検討が進んでいることを把握しております。区と病院は、小児初期救急平日夜間診療事業や災害時の医療拠点としての連携など、様々な場面において協力体制をとっております。建て替え期間中においてもこうした体制が引き続き円滑に図られますように機会を捉えて病院に要望を行っていきたいと考えています。
 次は、さくらテラスの活用に関連いたしまして、利用の促進についてのご質問であります。さくらテラスは、コロナ禍により令和2年度から5年度までの間運営を休止しておりましたが、令和6年4月から再開いたしました。再開後は地域の方々に交流スペースとして活用していただく一方、新たに区が主催する介護予防、フレイル予防の事業にも活用し、多くの方々にご好評いただいております。今後とも高齢者をはじめ多世代の方々に喜んでご利用いただけるように、設置されている設備の活用も含めて工夫しながら運営に努めてまいりたいと考えています。
 次は、交流スペースの拡充についてのご質問であります。さくらテラスは、運営法人のご理解の下、老人保健施設の一部を借用して運営しておりまして、同様の施設を他の地域に拡充することは簡単ではないと考えています。また、4月から運営を再開し、新たな事業も実施していることから、今は安定的な運営に注力すべきであり、他の地域に施設を拡充する考えは持っていないところであります。
 残りました教育委員会に関する答弁は教育長から行います。

教育長(長沼豊) 

○議長(田中やすのり議員) 教育長。
     〔教育長(長沼 豊)登壇〕

◎教育長(長沼豊) それでは、石川すみえ議員からの一般質問のうち、教育に関する質問にお答えします。
 まず、子ども・子育て支援の充実についてのご質問です。子育ての経済格差の解消に向けた子育て経費の無償化についてです。中学校の修学旅行や小中学校の副教材費などについては、既に生活困窮世帯に対する就学援助により経済支援を実施しています。本区では、就学援助の認定基準を23区の平均より高く設定することで支給対象世帯の範囲を広げ、子育て支援の向上に努めています。そのため現時点では修学旅行代や小中学校の副教材費などの無償化を実施する予定はありません。
 次に、学校給食の無償化の継続についてです。学校給食の食材調達においても物価高の影響を受けている状況です。このような中、令和6年度については、1食当たりの給食費の単価を見直し、学校給食の質の確保及び安定的な運営を図っています。今後も栄養バランスなどを考慮しながら給食の質の確保に努め、令和7年度についても学校給食費の無償化を継続していく考えです。
 次に、あいキッズにおける昼食提供についてです。あいキッズにおける長期休業中の昼食提供については、運営受託法人のオプションサービスとして利用者の希望に応じて外部事業者による弁当の注文を可能としております。夏休み以外の長期休業中も全てのあいキッズで弁当の注文が可能となるよう引き続き各法人へ働きかけていきます。一方で、昼食費の無償化については、対象者が昼食提供サービスの利用者に限定されるため、公平性の観点から実施する予定はありません。
 次に、株式会社スダチをめぐる問題と不登校対策についてのご質問です。まず紹介についてです。令和5年10月にスダチ社から説明を聴取したときは、区議会議員からの紹介が契機となりましたが、その後令和6年5月に再度説明の場を設けた際は、教育委員会事務局指導室から依頼したものです。本件については実質的に指導室が主体となり進めたものであることから、教育委員会事務局の動きを中心に捉え、ホームページに掲載いたしました。
 次に、保護者へのアプローチについてです。教育委員会事務局では、保護者へのアプローチについて、スダチ社の取組が不登校の全ての事例に有効であるとは考えていませんでした。スダチ社の成果を聞く中で、本区の事例にも適用し得るものがあればとの思いで話を進めたものでした。
 次に、民間との連携についてです。教育委員会としては、不登校に対する様々なアプローチの必要性を感じており、選択肢の1つとしてスダチ社の取組から知見を得ようと考えていたものでした。
 次に、不登校児童・生徒を対象とした保護者交流会についてです。教育委員会では、フレンドセンターでの保護者交流会の成果を踏まえて、去る9月8日に区内在住の不登校や不登校傾向のある児童・生徒の保護者交流会を実施しました。実施後のアンケートでは、9割以上の参加者から定期的な開催及び実施回数の拡充の要望や次回への期待が寄せられました。参加した保護者からの要望を踏まえ、今後実施回数の拡充など保護者同士がつながる場の充実を図っていきます。
 次に、学校生活支援員の増員と処遇の改善についてです。教育委員会では、学校生活上の困難や課題を抱える児童・生徒の支援を行う人材として、学校生活支援員を通常学級に73名、特別支援学級に36名配置しています。児童生徒一人ひとりに向き合い、適切な指導や支援の充実を図るため、学校生活支援員の増員と処遇の改善を引き続き検討していきます。
 石川すみえ議員からの質問に関する答弁は以上となります。

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