2024年第3回定例会 小林おとみ区議 一般質問

質問日:2024月9月24日

ただいまから日本共産党板橋区議会議員団を代表して一般質問を行います。

1 物価高騰から区民生活を守るために


 初めに、物価高騰から区民生活を守るためにについて質問します。
 9月の食料品等の値上げは1,392品目、今年、2024年度は年間で1万品目を超える値上げが予定されています。1万品目を超えるのは3年連続です。7月に総務省が発表した全国消費者物価指数は2.7%上昇し、35か月連続で前年を上回りました。電力料金の値上げ、米不足の中、新米も価格が高騰しています。実質賃金は前年同月比1.4%の減です。実質賃金の減少は26か月連続で過去最長を更新しています。2012年から始まったアベノミクスの10年間で、全労働力の実質賃金は、33万6,000円も減少しました。2度の消費税の増税で国民の負担は1人当たり13万9,000円も増大しています。公的年金は2013年度以降、実質7.5から7.8%の減少です。暮らしが苦しいという声が上がって当然です。区長は、賃金の引上げが物価上昇に追いつかず、公的年金の給付も賃上げ分は反映されず、実質的に目減りしているという事実は、区民の暮らしが苦しくなっていることだという認識はありますか。見解をお聞かせください。
 一方で、大企業の経常利益は2.13倍、内部留保は1.62倍、総額600兆円と過去最高になっています。大企業にだぶついている内部留保を活用して、労働者の賃金引上げ、実体経済を動かして、物価高騰に苦しむ国民生活の底上げを図るように、政治のリーダーシップを政府に求めていただきたいが、いかがでしょうか。
 板橋区においては、2024年度末基金残高は、1,300億円近くにも上っています。区民生活を支えるために、今こそ大いに活用すべきです。区としての緊急生活支援策を打ち出していただきたい。いたばしPayの継続や東京都の低所得者向けの1万円の商品券や電子ポイントの給付などでは不十分です。板橋区としての上乗せ給付や、保育、障がい、介護などの事業所への支援、商店街装飾灯への電気代の補助、中小企業の賃上げの支援など、緊急に補正予算を組んで実施していただきたい。また、板橋区の公共施設の使用料・手数料値上げ方針が出されていますが、ここ数年は100億円以上も基金を積み上げている板橋区の現在の財政状況で、区民に1億3,000万円もの負担を求めなければならない理由は全くありません。物価高騰の中で、公共施設の使用料等の引上げは、区民の自主的な活動を制限し、健康増進、社会参加の機会を奪うものになりませんか。見解を伺います。

2 気候危機打開にむけて


 次に、気候危機打開に向けて、質問します。
 今年1月、世界気象機関は、2023年の世界の平均気温は産業革命前に比べて1.45度上昇していると発表しました。2015年のパリ協定は1.5度未満に抑えることを目指すとしましたが、既に寸前まで来ています。地球温暖化への人間活動の影響は疑う余地がないとされ、諦めたら終了が世界の気候危機打開のスローガンです。日本政府の取組は、ようやく2050年実質ゼロを掲げたものの、2030年までの目標は2013年度比で46%削減というものです。これは、世界の平均よりもかなり低い水準にとどまっています。そして、石炭火力にしがみつく姿勢に化石賞という不名誉な賞が与えられている状況です。世界の先進国は、最低でも50%以上、60%台の削減目標を掲げています。先進国には、産業革命以来、CO2を長期にわたって排出してきた大きな責任があります。また、高い技術力と経済力を持っています。日本には世界平均以上の目標でCO2削減を進める責任があります。東京都は、2030年までに2000年比で、50%削減という目標を掲げていますが、2022年は実質4.4%という到達で目標水準にはほど遠い状況です。板橋区においては現在、2026年度から10年間の新たな環境基本計画2035の策定作業が進められています。今までの地球温暖化対策実行計画などを一体化・統合するとのことですが、現在の板橋区のCO2削減の目標は変えないと聞いています。しかし、区民全体の取組を一層引き上げていくためにも、せめてヨーロッパ並みの目標が目指されるべきではないでしょうか。そこで、区長に伺います。板橋区の2025年に2013年度比で30%削減という目標の達成の見通しはどうなっていますか。また、2035年までの次期計画で、2030年または2035年の目標値を定めるべきではないでしょうか。見解を伺います。
 ヨーロッパでは、CO2削減の取組は、生活の質を高めるものと回答する人が66%ある一方、日本では生活水準をおびやかすと答える人が60%に上るとの報道がありました。気候危機打開の取組を、暮らしを豊かにし、地域の経済を支えるものに一気に転換することが求められています。そのためには、気候危機打開に向けた様々な取組を、商業ベースだけではなく、公的責任で行うことが必要です。そこで、区長に伺います。省エネ、再エネ、断熱化等々の取組が急速に広がるように、区民が気軽に相談できる窓口の開設や、相談会などを、板橋区として定期的に行っていただきたいがいかがでしょうか。
 神宮外苑の森や日比谷公園の樹木の伐採が大きな社会問題になっている中で、樹冠被覆率という考え方が注目を集めています。土地の面積に対して、枝や葉が茂っている部分が占める割合を言います。高い樹木の下に行くと涼しく感じることは誰もが経験することです。これは樹冠が緑の日傘の役目を果たして、樹木の枝葉が地面を覆うことによって涼しくなるからです。樹冠被覆率は、緑がつくり出す温室効果ガスの吸収や、都市の冷却効果をまちづくりに取り入れるための大事な指標であると考えます。世界の主要都市では、気候変動対策に取り組む中で、樹冠最大化を目標に掲げています。ニューヨークは樹冠被覆率を現在22%を2035年までに30%にする目標、オーストラリア・メルボルンは40%目標で増やす計画です。東京都は2013年9.2%でしたが、2022年には7.3%に下がっており、増やす目標は持っていません。世界の主要都市と比較して大きく立ち遅れていると言わざるを得ません。板橋区の緑の基本計画2025では、緑被率を20.3%から21%に高める計画を持っています。しかし、緑被率だけでは、地球温暖化対策の指標としては不十分だと考えます。まちづくりにおいては、枝葉が生い茂った太く大きな木を伐採して、細いコンパクトな木を植えて地面を芝生で覆えば、緑被率は下がりません。しかし、樹冠被覆率は下がります。樹冠被覆率を引き上げる目標を持つことは、緑被率では生まれないCO2削減の効果を生むことにつながります。板橋区の樹冠被覆率を引き上げるために、再開発などのまちづくり計画や、学校施設を含めた公共施設のあり方も見直されなければならないでしょう。そこで区長に伺います。区として、樹冠被覆率の目標を持つべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 気候危機打開の問題の最後に、7月に起きたゲリラ豪雨の際の崖地の崩落問題について質問します。7月末のゲリラ豪雨では、徳丸地域で、崖地の擁壁にひびが入って崩れるおそれがあって、区が緊急避難を指示するという事態が生まれました。擁壁は緊急避難をした住宅だけではなく、周辺の住宅にも大きな不安を広げています。個人責任のままにしておくわけにはいかないのではないでしょうか。区としての対応が求められると考えますが、いかがでしょうか。

3 改定地方自治法について


 次に、改定地方自治法について、質問します。
 9月26日に施行される地方自治法の一部改定について、2点質問します。1つは、新たに盛り込まれた補充的指示権についてです。改定法は、大規模な災害や感染症を例示しながら国民の安全に重大な影響が発生し、又は発生するおそれがある場合に、国が自治体に必要な指示を出し義務を課すことができるとしています。2000年の第一次地方分権改革によって、国と地方は対等・協力の関係となり、国の地方自治体に対する関与は、必要最小限のものとして自主性及び自立性に配慮しなければならないとするルールが法定化されました。法定受託事務については違法な事務処理をした等の場合の是正の指示権はありますが、自治事務については是正の要求までしかできないことになっています。しかし、今回の法改正は、地方自治法という一般法の改正によって、一般的、抽象的に、政府の指示権を明記するというもので、地方分権の流れに逆行し、憲法に定められた地方自治の本旨を侵害するものです。法案に対して、閣議決定の段階から、全国知事会を含めて、多くの団体から、国と地方の関係を変質させるものとして懸念の表明がされてきました。しかし、改正法はその懸念を払拭するものにはなっていません。そこで区長に伺います。国民の安全に関わって、国と地方の間に軋轢が生まれる場面は、様々なケースで予想できます。この法律が施行された下で、これまでの国と地方の関係は変わらないと言える歯止めがどこにあるのかお示しください。
 2つ目には、指定地域共同活動団体という新しい制度の導入についてです。自助・共助・互助の推進がうたわれ、公共の役割を一層後退させるものになるのではないかという懸念があります。そこで区長に質問します。町会・自治会やNPOほか、地域の多様な主体を市町村が指定して必要な支援を行うことができるようにする、その際、随意契約で事務を委託したり、行政財産を貸し付けたりできるようにするということですが、区としてこの制度を導入する予定はあるのでしょうか。また、どういうことを理由に、どういう基準で、特定の団体を指定することになるのでしょうか。区の考えをお聞かせください。

4 青少年に対する自衛隊勧誘問題について


 次に、青少年に対する自衛隊勧誘問題について質問します。
 5月24日発行の週刊金曜日は、子ども食堂で、自衛隊の勧誘が行われていたとの記事を配信しました。記事によれば、昨年秋、札幌市内の子ども食堂約80か所に、中学生以上の就職勧誘を打診し、実際に約10か所を訪れ採用案内を配布したとのことです。防衛省は事務次官通達で、中学生に対する募集広報については、当該中学生の保護者又は就学する中学校の進路指導担当者を通じて行う場合に限るものとしています。それは、国際法上、自衛隊は軍隊とされ、自衛官は兵士なので自衛官募集は兵士募集であること、子どもの権利条約は、少年兵撲滅のために18歳未満の戦闘参加を禁じていることなどによるものです。北海道でのこうした自衛隊の動きを注視するならば、全国で行われている自衛隊の小中学生へのアプローチは、十分に警戒する必要があります。単なる広報活動にとどまらず、募集、勧誘につながる行為が行われていないか、十分に注意を喚起する必要があります。そこで、教育長に伺います。学校や子どもたちの活動する場所で、自衛隊の隊員募集が行われることがないように、教職員や現場職員に注意喚起していただきたい。学校等における自衛隊車両の展示やグッズの配布など、隊員募集を目的とした自衛隊のPRを受けることはやめていただきたい。見解を伺います。
 次に板橋区の自衛官等の募集事務についてです。令和4年度以降、板橋区は、自衛官募集のための適齢者情報の住民基本台帳の一部の写しを防衛省自衛隊東京地方協力本部に提供することを開始しています。令和3年2月の防衛省と総務省の連名の通知に従って始めたことです。しかし、この連名の通知について、防衛省は、個人情報の提出に応じないことを理由に不利益な取り扱いをしてはならない、強制するものではないとの立場を表明しており、こうした動きの中で、全国では名簿の提供そのものをやめる自治体も生まれています。また、今年3月には奈良市の18歳の高校生が自分の個人情報を事前の承諾もなく市が自衛隊奈良地方協力本部に提供したのは違法・違憲だとして、市と国を相手取って、国家賠償を求める訴訟を起こしています。原告の高校生は、勧誘はがきが届いたのはやっぱり怖いなと思う。自分と同じような若者の個人情報が自衛隊に提供されているのはおかしいと思ったと語っています。そこで区長に伺います。板橋区においては、除外申出の案内も手続も十分に行われないまま、情報提供だけが確実に行われています。18歳、22歳の若者たちの個人情報が危険にさらされているのではないでしょうか。一人ひとりの区民の人権を守り抜く板橋区の立場から、自衛官募集のための名簿提供はやめるべきだと考えます。見解を伺います。
 自衛官の募集や広報活動への協力要請について、自治体として十分慎重になるべきだと考えるのは、この間、自衛隊の役割が大きく変化していることにあります。2022年末の岸田政権による、いわゆる安保三文書の閣議決定は、敵基地攻撃能力の保有と、軍事費をGDPの2%へと倍増させるなどを内容としたものです。米国が先制攻撃を含む戦争を始めれば、日本は攻撃されていないのに、安保法制に基づいて集団的自衛権を発動し、自衛隊が敵基地攻撃を行うことになります。さらに、今年4月の日米首脳の共同声明や、7月末の日米の2プラス2の協議では、日本の自衛隊が、在日米軍の司令部の指揮下に組み込まれて、米国が行う戦争にシームレスに参加していく道の準備が進められているのです。専守防衛や他国に脅威を与える軍事大国にならない、自衛隊員は戦争には巻き込まれることはないという立場とは、全く両立しません。板橋区の令和5年度区民意識意向調査では、平和の尊さや戦争の悲惨さを語り継ぐことについてどう思うかという問いに、92.6%の人が大切だと思うと回答しています。この夏の板橋区の平和の取組に参加した区民の皆さんは、戦争は絶対にやってはいけないことという思いを強めていることと思います。戦争を体験した90代の人たちが今、黙ってはいられない、次の世代の人たちに分かってもらいたいと、力で平和をつくろうというのは間違いだという声を上げています。力を持たなければ交渉も成り立たないという理屈は通らないのです。強大な兵器を持てば、その兵器の破壊力に匹敵するだけの規模の戦争が用意されていくことになり、おびただしい人々の命が奪われることになるからです。そこで改めて、区長に伺います。板橋区平和都市宣言の立場である、日本国憲法に定められた恒久平和主義の立場を堅持すること、そして、自衛隊の役割を変質させていくような、先制攻撃能力の保有や軍事大国化への道をやめるよう、平和首長会議に参加する区長として、声を上げていくことを強く求めます。見解を伺います。

5 都立北豊島工科・大山高校夜間定時制の廃止撤回を


 次に、都立北豊島工科・大山高校夜間定時制の廃止撤回について質問します。
 東京都教育委員会が8月に発表した都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)に驚きが広がっています。都立高校で、様々な困難を抱える生徒が増加傾向にあるため、昼夜間の定時制を充実させるプランだと言いながら、新たに6校を2026年で募集停止するとし、その中に板橋区内にある都立北豊島工科高校、都立大山高校の名前が挙がっていたからです。2つの夜間の定時制高校がなくなれば、板橋区内には夜間高校は単位制の都立板橋有徳高校を残すのみになります。そこで、教育長に伺います。板橋区の中学生にとって、都立夜間定時制高校は、どういう役割を果たしていますか。区立中学校の進路指導にとって、身近なところ、通えるところにある夜間定時制高校は大事な選択肢を提供するものになっているのではありませんか。見解を伺います。

6 学校教育の充実を求めて


 次に、学校教育の充実を求めて質問します。

(1)板橋区立小中学校適正規模・適正配置基本方針について


 初めに、板橋区立小中学校適正規模・適正配置基本方針についてです。板橋区立小中学校適正規模及び適正配置に関する基本方針が策定されました。2026年から2035年までのいたばし魅力ある学校づくりプラン後期計画の策定の基礎となるものです。基本方針では、現状について、児童・生徒数はピーク時と比較して5割減だが、学校数は1割減にとどまり、アンバランスが課題だと述べています。本当にそうでしょうか。児童・生徒数の減少に合わせて、教育環境を充実させる可能性が広がっていると、なぜ捉えられないのか理解に苦しみます。さらに、児童・生徒数のピーク時には大規模校が多くあったが、現在は適正規模が多くを占めており、35人学級編制の実施によって、学級数は横ばいになる学校が多くなる見込みであると述べています。であるならば、今ある学校を減らすという方針は出てこないはずです。ところが基本方針は、公共施設マスタープランで示した公共施設総量の抑制の方針に基づいて、学校施設を改築する際には、周辺校を含めた適正規模化を検討するとしています。35人学級への対応や新たな教育環境の整備のために学校施設の維持・充実こそ求められているにもかかわらず、基本方針は、学級規模も明記せず、大規模校はやりくりと高層化などで温存し、その他の学校は全て統廃合の対象にし、全体として学校施設の総量を減らしていくというもので、到底容認できるものはありません。そこで教育長に伺います。一人ひとりの子どもに目が行き届き、子どもの主体性が大事にされる教育を進めるためには、35人学級にとどまらず、さらなる少人数学級の実現が必要だと考えますが、教育長の考えをお聞かせください。
 将来にわたって、子どもたちのために少人数学級を実現していくためには、今ある学校施設の総量を減らす統廃合計画はやめるできだと考えますが、見解を伺います。

(2)「小中一貫教育ガイドライン」について


 次に小中一貫教育ガイドラインについて質問します。文部科学省の第4次教育振興基本計画策定に向けて一般社団法人日本経済団体連合会は、教育のデジタル化、社会課題解決能力、国際競争力の強化のためにルール形成を主導できる人材育成、持続可能な企業価値向上のための人への投資などを提言しました。これらを受けて、昨年6月に閣議決定された第4次教育振興基本計画では、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実、多様な学び、1人1台端末の活用などが打ち出されました。板橋区においては、これらを受けて、小中一貫教育ガイドラインの改訂が行われましたが、板橋区において進められている小中一貫教育が、子どもたち一人ひとりの成長発達が大事にされるものになっているか、大変疑問があります。そこで、教育長に伺います。ガイドラインでは、あくまで中一ギャップに固執して、学年名称をつなげるなど形だけの連続性だけが追求されているようにしか思えません。小学校から中学校への成長・発達の節目の検証は行われたのでしょうか。見解を伺います。
 学びのエリアごとに目指す子ども像が設定され、各学校でも設定され、子どもたちは目指すものがたくさんあって、本当に大変です。あなたはあなたのままでいいというメッセージはどこにあるのでしょうか。お示しください。
 小中一貫教育カリキュラムでは、学びのエリアでの指導の統一、約束・ルールづくりが推進されています。施設一体型小中一貫校では、他の学校よりもさらに様々なルールづくりが行われることは想像に難くありません。また、読み解く力を育成するとして教科書を用いて教科書を学ばせることを意識する、授業規律を整えるために、板橋区授業スタンダードの徹底などが目指されていますが、授業の形を決める、授業の形を整えることが、教員の指導力向上につながるのでしょうか。全体として子どもたちにとって、板橋の教育はとても窮屈なものになっているのではないでしょうか。また、そのことが1,000名にも及ぶ不登校児童・生徒を生み出す原因になっているのではないかと考えますが、見解を伺います。

7 仲宿地域に公衆浴場を


 最後に、仲宿地域に公衆浴場を求めて質問します。
 昨年7月28日に火事で焼失した、仲宿にある銭湯梅の湯の解体工事が、ようやく9月に入って始まりました。地域では、この10年余りの間に次々に銭湯がなくなってしまい、お風呂のない人は20分以上も歩いたり、バスに乗ったりして遠くの銭湯に行かねばならず、大変不便をしています。公衆浴場は、生活衛生や健康増進、コミュニティづくりにも大いに役立つ施設です。今年4月15日に区議団が、梅の湯の跡地利用について区に申入れを行った際に、区はこの地域に行政需要がないというふうに回答されていましたが、困っている人がいるということは、行政需要があるということではないでしょうか。見解を伺います。
 港区では、公設で浴場組合に運営委託をする形で公衆浴場の新設の動きがあると聞いています。板橋区の力で、仲宿地域に公衆浴場が復活できるように取組を検討していただけないでしょうか。心からお願い申し上げます。見解を伺います。
 以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴大変ありがとうございました。(拍手する人あり)

区長(坂本健) 

それでは、小林おとみ議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、区の景況についてのご質問であります。総務省が発表いたしました東京23区の8月の消費者物価指数におきましても、前年同月比で2.4%上昇するなど、依然として物価高が区民生活に影響を及ぼしていることは認識しているところでございます。一方、27か月ぶりにプラスに転じました6月の実質賃金については、一時的なものと見られますが、電気・ガス価格激変緩和対策の再開や最低賃金の引上げも予定されており、これらの影響についても十分に注視していきたいと考えております。
 次は、区民生活の底上げについてのご質問であります。内部留保については、各企業が不測の事態や設備投資などの備えとするものでありまして、経営方針や財政状況によって各企業の考え方が異なるものと認識しております。なお、政府は、令和6年6月に経営財政運営と改革の基本方針2024を閣議決定いたしまして、所得増加と賃上げ定着を主要政策に掲げ、物価高を上回る所得増に取り組むとしておりまして、区から政府に対して働きかけを行う予定はないところであります。
 続いて、緊急生活支援策の実施に関連いたしまして、区独自の上乗せ給付についてのご質問であります。区では、児童扶養手当受給中のひとり親世帯への独自給付を予定しておりまして、現段階で新たな上乗せ給付を行うことは考えていないところであります。一方政府は、秋の経済対策の一環としまして、年金生活者や低所得世帯への給付金などを検討すると表明しておりまして、区としても、その動向を注視したいと考えております。
 次は、事業所などへの支援についてのご質問であります。物価高や円安に対する経済対策は、広範囲な権限を持つ国や東京都が責任を持って行うべきだと考えています。現段階において区で直接補助を実施する予定はないところであります。区では、中小企業の事業継続や雇用の維持、安定のため、他の融資からの借換えも可能な、経営安定化特別融資を今年度も継続して実施いたしました。なお、企業活性化センターにおいては、経営に関する総合的な相談に対応できる経営改善チームを設置しておりますので、必要な場合はご相談いただきたいと考えています。
 続いて、使用料引上げによる影響についてのご質問であります。区としましては、持続可能な区政経営の観点から、区民の自主的な活動や健康増進、社会参加の機会を積極的に推進していきたいと考えています。一方、行政サービスの提供には一定のコストがかかっておりまして、公平性の観点から、利便を受ける方に相応の負担を求めていることについてご理解をいただきたいと考えます。
 次は、温室効果ガスの削減目標についてのご質問であります。区内の温室効果ガス排出量は、2013年度を基準に2025年度30%減を目標としているところ、直近の令和3年度実績では、15.7%の削減でありまして、確実な目標達成には不断の努力が必要であると認識しています。令和8年度からの次期環境基本計画においては、今般の地球温暖化の状況を鑑みますと、高みを目指した目標を設定していく必要があると考えています。
 続いて、脱炭素の取組の相談窓口についてのご質問です。区民や事業者の脱炭素の取組については、区のホームページやパンフレットなどで周知を行っているほか、電話や窓口での相談に対応して必要に応じて関係機関につないでいるところであります。相談内容は多岐にわたっておりまして、相談のニーズの把握を深めるため、職員の一層のスキル向上を図りながら、相談の手法も検討しながら効果的な情報提供、助言に努めていきたいと考えます。
 続いて、樹冠被覆率についてのご質問です。区におきましては、いたばしグリーンプラン2025において、緑被率を目標値として設定しております。この緑被率の内訳において、草地率、農地率のほか、樹冠比覆率とほぼ同意義の樹木被覆地率を把握しておりまして、平成31年度時点においては、緑被率が19.4%、樹木被覆地率は13.6%となっております。区では荒川河川敷の広大な草地や赤塚、徳丸に残る農地なども貴重なみどりの資源として捉えておりまして、今後も樹木のみに特化せず、みどり全体を把握できる数値を目標にして施策を展開していきたいと考えています。
 次は、豪雨被害における対応についてのご質問であります。7月31日の大雨によりまして、私有地の間にある擁壁が倒壊し、下の敷地に被害が出ておりますが、その改善については当事者間によるところになると考えます。区としましては、区民の安心・安全を担っているため、相談に乗ったり、当事者間の話し合いの場を設けるなどの改善に向けた対応に努めているところでございます。また、定期的なパトロールを継続しながら安全確認を行うとともに、擁壁の上の敷地所有者が進める建築計画において改善が図られますように協力を求めていきたいとも考えます。周辺住民の不安解消のために、改善に向けた情報などの提供を図っていきたいと考えます。
 次は、改定地方自治法に関連いたしまして、補充的指示権についてのご質問であります。補充的指示権については、法案の議論段階における意見を踏まえ、地方公共団体への適切な措置に係る努力義務や、事後の国会への報告が手続に追加され、制定されたものと認識しております。これまで構築されてきた国と地方との関係性が損なわれることのないように議論が重ねられ、改正された経緯に鑑みて、適正な運用が図られるものと受け止めております。
 続いて、指定地域共同活動団体制度の導入についてのご質問であります。指定地域共同活動団体制度は、地域における行政サービスの提供や課題解決の担い手としての位置づけを整備し、多様な主体と連携・協働できる仕組みであります。制度導入に必須となります条例制定は予定しておりませんが、地域経営、都市経営の視点も踏まえて他自治体の動向等を注視したいと考えております。
 次は、自衛官等の募集のための名簿提供についてのご質問であります。自衛官募集事務は、法定受託事務でありまして、自衛隊法令に基づく防衛大臣の求めに応じて板橋区情報公開及び個人情報保護審議会の答申も踏まえ、令和5年1月から紙媒体で適切に情報を提供しております。情報提供を望まない人の意向を尊重する除外申請の仕組みを設けるとともに、個人情報の厳重管理に関する覚書を締結した上で実施しておりまして、名簿提供についての方針は変わりはないと考えています。
 次は、恒久平和主義等の意見表明についてのご質問です。板橋区は、昭和60年1月1日、核兵器の廃絶と戦争の根絶等をうたった平和都市宣言を行いまして、様々な平和事業を実施し、平和意識の醸成に努めてまいりました。今後も平和都市宣言をしている自治体の長として、世界の恒久平和を実現するために積極的な取組を進めていきたいと考えます。
 最後のご質問になります。仲宿地域に公衆浴場をとのご質問であります。公衆浴場が入浴の機会を提供することで生活衛生や健康増進、コミュニティづくりなど地域に貢献する役割を担っており、多くの方に需要があることは認識しております。区では、公衆浴場に対し、設備改修の補助や利用者を促進する事業への補助、令和4年10月からは燃料費緊急補助金など、様々な支援を行っております。区が仲宿に公衆浴場を整備する計画はございませんが、仲宿周辺を含む区内全ての公衆浴場に区の補助制度を活用し、地域における重要な役割を担っていただきたいと考えます。
 残りました教育委員会に関する答弁は教育長が行います。

教育長(長沼豊) 

○議長(田中やすのり議員) 教育長。
     〔教育長(長沼 豊)登壇〕

◎教育長(長沼豊) それでは、小林おとみ議員からの一般質問のうち、教育に関する質問にお答えします。
 まず、青少年に対する自衛隊勧誘問題についてのご質問です。自衛隊の隊員募集についてですが、区立小中学校において自衛隊の隊員募集や募集を目的とした自衛隊車両の展示、グッズ配布等の自衛隊のPR活動は行われていないと認識しております。今後も区立小中学校において自衛隊の隊員募集が行われるということは聞いておりません。
 次に、都立北豊島工科及び大山高校夜間定時制の廃止撤回をというご質問についてです。令和5年度の板橋区立中学校の卒業生のうち、都立の定時制が進路先として選択されていることは把握していますが、都立北豊島工科及び都立大山高校を選択した人数は把握していません。今後も区立中学校生徒の高校進学における志望状況の変化を注視し、生徒のニーズに応じた進路指導の実現を目指していきます。
 次に、学校教育の充実を求めて板橋区立小中学校適正規模及び適正配置に関する基本方針についてのご質問です。まず、少人数学級の実現についてです。少人数学級に向けた法令改正により、小学校については令和7年度より全ての学年が35人学級編制となります。一方で、さらなる少人数学級については、区独自教員の採用や学級数増に伴う普通教室の確保など、困難な課題が多いことから実現は難しいと考えます。区立小中学校では、習熟度別少人数指導のように学習進度に応じた望ましい規模での細やかな指導がされており、これからも子ども一人ひとりの学びを大切にする教育を続けていきます。
 次に、統廃合計画についてです。公共施設等の整備に関するマスタープランにおける公共施設総量の抑制方針は、学校施設においても適用されるため、改築時には周辺校を含めた適正規模化を検討することになります。現時点では具体的な学校の統廃合計画はありませんが、魅力ある学校づくりプラン後期計画では、老朽化対策と適正規模・適正配置の取組を多様な学びへの対応等の教育課題と併せて検討する予定です。また、整備対象校の選定に当たり、将来的な児童・生徒数の減少が見込まれる中では、当該校のほか、周辺校の状況も踏まえ、教育環境整備に向けた検討が必要であると考えております。
 次に、小中一貫教育ガイドラインについてのご質問です。中1ギャップの検証についてですが、中1ギャップについては特に検証は行っていませんが、区立中学校の7年生では、小学校から中学校に円滑に適応できるように系統的な学習指導や生活指導を行っております。
 次に、めざす子ども像についてです。学びのエリアにおけるめざす子ども像は、学習指導要領や区のめざす人間像を踏まえて設定するものです。めざす子ども像は、子どもを縛るものではなく、子どもが育つ方向性を示したものであると認識しています。学びのエリアにおいて学校、保護者、地域がめざす子ども像を共有することにより、学習指導要領で示されている生きる力が備わった児童生徒を育んでいきます。
 次に、板橋区授業スタンダードや学びのエリアのルールについてです。全ての公立小中学校において、主体的、対話的で深い学びの実現を目指すため、板橋区授業スタンダードを設定し、共通理解を図り、授業改善に努めてまいりました。また、学びのエリアの実情に応じた生活指導や学習規律等のルールについても、一定の共通理解を持つことは必要であると認識しています。各学びのエリアの特性を生かし、授業の形や学びのエリアのルールについては、多様な児童・生徒の実態に合わせ、柔軟に対応していきます。
 小林おとみ議員からの質問に関する答弁は以上となります。

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