日本共産党板橋区議団を代表し、「陳情第84号 志村小学校・志村第四中学校小中一貫型学校 の工事延期に関する陳情」に対する、委員会決定不採択に反対し討論を行います。
本陳情は、志村小学校・志村第四中学校小中一貫型学校の改築工事延期の区からのアナウンスを受けて、疑問や不安をいだいた近隣住民、保護者から、説明会の開催と、志村第四中学校の単独改築を求めて提出されたものです。
陳情に賛成する第一の理由は、小中一貫型学校の改築スケジュールの変更について、住民、保護者、関係者への説明責任が果たされていないからです。
区は、「改築だより第5号」を地域84係者に配布して、今後の区の方針を説明したとし、配布したニュースが全ての情報なので説明会を開催する必要はないとしています。しかし「改築だより第5号」は、工事延期の理由について、「入札不調により」とするだけで、「入札不調とは何か」、原因と今後の見通しなど、最も関係者が知りたいことが説明されていません。また、工事の開始時期を来年夏頃とし、工事期間を28ヶ月から32ヶ月に延長し、改築スケジュールは「1年程度延期になる見込み」と言っていますが、どうしてそういう工期になるのか、その根拠は示されていません。
しかも、志村四中は設計上の問題から、早期に改築が必要としていたにも関わらず、今回の新たな方針では、「引き続き安心・安全な学校生活を送ることができる環境を整えて参ります」と記述するだけで、工期が1年間先延ばしになり、それも確実とは言えない状況が継続するなかで、志村四中の現状をどう解決するのかについての、区の方針が説明されていません。
区は、「改築だより第5号」を、6600枚、志村四中と通学区域内の小学校等を通じて保護者に配布し、志村四中の9月の入学説明会で説明し、問い合わせ先を明記したことで説明したとしています。しかし、ニュースを1枚配るだけでは、アナウンスにすぎず、説明ではありません。また、地域に対しては、町会の回覧板と地域センターで配布し、近隣住民については、志村四中周辺については200枚程度ポスティングしたものの、志村小周辺には行っていません。本計画は、周辺住民に大きな影響を及ぼす計画であり、紛争予防条例上の近隣住民のみとする姿勢は問題です。
陳情に賛成する第二の理由は、改築スケジュールの変更は、来春入学予定の児童、生徒、保護者に大きな影響を与えるだけでなく、小中一貫型学校計画そのものの是非が問われる重大な問題であり、区民や関係者に対する十分な説明と納得が必要だと考えるからです。
板橋区は、当初の計画では、夏までに施工業者を決め、2024年の第3回定例区議会に契約議案を上程し、冬頃から工事着手の予定でした。区は、この間、区の契約にかかわって入札不調がしばしば起きていることから、この計画については早めに準備を進めるとして5月頃から入札手続きをすすめていました。しかし、夏までかけて行った入札は、結局「不調」となり、第3回定例区議会への議案上程を断念せざるを得ない事態となりました。
狭い敷地に2つの学校を統合すること、周辺道路の狭さ、設計の複雑さ、周辺住民が反対していること、解体工事を含めた一括発注であること、計画が長期にわたること等々、施工業者にとって、資材や人件費の高騰などと合わせて、簡単に手を挙げることのできない案件であることは明らかなのではないでしょうか。当初の計画通りに進まないことが明らかになった現在、今後の区の方針について、保護者、学校関係者、地域住民によく説明し、話し合って決めていくべきと考えます。施工業者が決まったら工事説明会を開催するという区の姿勢は、スケジュール変更に対する疑問や不安をいだいている住民、関係者に真摯に向き合う姿勢津は言えません。
委員会審議でも明らかになったように、契約にかかわる仕組みは教育委員会では説明出来ず、区民に透明性をもって納得のいく形で説明ができていません。陳情者が述べているように、計画に責任を負う者が、対面での説明会を開催し、関係者の十分な納得を得る努力をしなければ、区政への不信が広がるばかりだと考えます。
陳情に賛成する第三の理由は、志村第四中学校を改築することが緊急に求められているからです。陳情者も述べているように、「雨漏り」「トイレの臭い」「水道が壊れて調理実習ができない」など、簡単な修繕で解決できる状態ではありません。「配管を全部入れ替えなければ根本的な解決にならない」と区も述べています。改築計画があるからと、学校も生徒たちも我慢を強いられて、何年にもわたって、家庭科室が使えず調理実習ができない事態になっているなど、放置しておくわけにはいかないではありませんか。青健事業の中学生料理教室も中止になる事態です。
早急に仮校舎を作って、当座の子どもたちの教育環境を守り、並行して校舎の改築計画を策定すべきです。プールは平成20年に改築したばかりです。校舎だけを普通の中学校として改築することは、難しいことではないと考えます。
志村小学校は、魅力ある学校づくりプラン前期計画の第二期計画で、昭和30年代に建築し、改築・大規模改修をしていない学校として、今回の計画の対象になっていますが、同じ環境にある対象校は6校あり、志村小以外はすべて現地改築の方針で計画がすすめられています。具体的に着手しているのは上板橋第一中学校のみです。他の学校と同じように志村小学校も、これからの計画に変更しても、まだ十分に使える学校です。しかも志村小学校は平成22年に耐震工事も完了しています。
施工事業者の手が上がらない一貫校計画に固執して、志村四中の改築が先送りになることは許されないと考えます。
以上の理由から、「陳情第84号 志村小学校・志村第四中学校小中一貫型学校の工事延期に関する陳情」に賛成する私の討論を終わります。