2025年第2回定例会 いわい桐子区議 一般質問

質問日:2025年6月5日

 続いて、日本共産党の一般質問を行います。

 初めに、高島平のまちづくりについて質問します。
 昨年6月に区が発表した地区計画案に対し、旧高島第七小学校跡地の110メートルもの高さ制限緩和と隣接する区道の緑地帯を分断して高島通りにつなぐことに、住民が納得できる回答がないまま1年が過ぎました。住民の声に耳を貸さない区の姿勢に対し、一旦ストップしてほしいと、計画の撤回を求める声が相次いでいます。3月22日には、住民有志が呼びかけたまちづくりを考える住民集会に200人が集まり、区の横暴な進め方に怒りの声が上がりました。4月15日には、地元の高島平二・三丁目団地自治会が3,538筆の反対署名を区へ提出しています。この署名に高島平の20の町会・自治会のうち9つが協力したことは、過半数の町自治会が区の計画や進め方に問題があると考えているということです。このことを受けても、区は住民合意があると考えるのでしょうか。区長の見解をお答えください。
 4月28日、私たちは、住民の皆さんとUR都市機構に計画の全容を示すこと、住民合意がないまま進めないことの申入れを行いました。その際、URは33街区の1,995戸に近い世帯の転居先を、旧高七小跡地に建設する住宅だけではなく、現在の33街区にも賃貸住宅を建設し、戻り入居ができるようにすると回答しました。であるならば、無理して旧高七小跡に110メートルの高さの住宅を建てる必要はありません。このことについて、区長はいつから知っていたのか、お答えください。また、URは110メートルの高さ制限緩和は区が決めたと回答しました。なぜ110メートルとしたのか、根拠をお示しください。
 東京新聞に1990年の日野市多摩平団地の建て替え経過が掲載されました。住民から家賃が高くなる建て替えは反対と声が上がり、当時の団地自治会長からの話し合いながら検討しようとの提案を拒否せず、互いに歩み寄り、住民、公団、行政の三者勉強会が始まり、公団は予算内なら喜んで直すと、図面を50回以上も描き直したそうです。その結果、高齢者も大事にされたと、一般的な戻り入居の割合を超えて、60%の住民が戻ってきたそうです。URは多摩平団地の建て替えを合意形成した建て替えのモデル団地と位置づけ、日野市の都市計画課担当者も、三者勉強会に市がいることで一体的なまちづくりができたと話しています。90年代にできたことが今できない理由はありません。反対の声が上がったときこそ合意形成を構築するチャンスです。区とURの都合だけで計画を進めず、住民参加のまちづくりとなるよう、一旦立ち止まることを求めます。区長の見解をお示しください。

 次に、板橋区基本計画について質問します。
 現在、10年後の望ましいまちの姿を示す基本理念や将来像を掲げる板橋区基本構想が検討され、来年1月には基本構想に基づく10年間の板橋区基本計画と3年間の実施計画がセットで策定される予定です。10年間の計画は、区のあらゆる分野の計画も連携して検討されます。様々な分野でこれまでの10年がどうだったのか分析し、社会的課題に正面から取り組む視点や姿勢が必要です。

 第1に、女性や障がい者への差別など、あらゆる差別をなくすことです。まず、女性差別についてです。日本のジェンダーギャップ指数の順位は146か国中118位で、最初に発表された2006年の80位から大きく順位を落としています。G7主要7か国の各国がジェンダーギャップの克服を進める中で、日本は特に経済分野での管理職や政治分野の女性比率が大きく立ち遅れています。それは板橋区の女性管理職数が抜本的に改善されず、会計年度任用職員の約80%以上が女性であることなどにも表れています。しかし、区の基本構想の中間答申が男女平等の文字を削除し、多様性に一くくりにしていることは、女性差別をなくす姿勢の後退にほかなりません。この10年で女性への性暴力、男女の賃金格差、女性の貧困などは、いまだなくなりません。区長の女性差別に対する認識をお答えください。
 国連女性差別撤廃委員会が4度も勧告しているのが、選択的夫婦別姓導入に向けた法改正です。国会の法案審議入りに国民の期待も高まっています。日本が夫婦同姓を強制していることは、憲法にも女性差別撤廃条約にも反しています。選択的夫婦別姓制度は、賛成か反対かを問うものではなく、選択できることを認めるかどうかが問われています。憲法第24条は、婚姻は両性の合意にのみ基づいて成立しとうたい、これは親を含め、他人が結婚に口出しはできず、個人の尊厳と両性の平等に基づくと示されています。憲法制定の段階で、明治以来の家父長的家族制度は終わったのです。女性差別撤廃条約は板橋区も推進してきたSDGsの一環です。そこで区長に伺います。選択的夫婦別姓制度の導入において、姓名の変更や夫婦同姓を強制しない法整備とならなければ、女性差別はなくならないと考えます。区長の考えをお答えください。
 困難女性支援法の施行から1年。女性人口に対する女性相談支援員の人数が23区で最も少ないのが板橋区だと報じられました。女性相談支援員はDVや性被害、生活困窮などに直面する女性の深刻で複雑な悩みに応えた支援や対応が求められる業務です。区の女性相談支援員は各相談機関に1人ずつ配置されている3人のみで、多いときは1人当たり10件ものケースを同時に扱うこともあります。その際に緊急相談が入れば、相談員のやりがいという使命感に頼る状況です。休暇を取る際は、母子・父子自立支援員が臨時で対応しています。継続する案件を任せるわけにいかないのが実態です。豊島区では5人から6人のチームで対応し、ケース会議など対応の検討や相談相手がいることが、女性相談支援員1人に任せきりにならない状況をつくっています。板橋区の女性相談支援員を各相談機関にそれぞれ複数配置できるよう改善を求めます。
 区内在住の女性は、過去の性的DVによるPTSDを抱え、治療を継続してきた女性が生活保護を申請しようとした際、男性との面談も電話による通話も怖くてできないため、貯蓄が僅かになっても福祉事務所に相談できずにいました。区と話しても、総合相談は予約できないので、女性が対応できるとは限らないと言われ、保護申請に対する調査や担当ケースワーカーは男性のまま、繰り返す交渉でようやく面談の際に女性職員が付き添って対応することになりました。その女性にとっては最も頼るべき福祉事務所が不信感を募らせる対象になっています。医療機関による診断が明らかにもかかわらず、対応が遅れることがあってはなりません。そもそも福祉事務所に寄せられる深刻で複雑な相談が増えていることから考えても、人員増が必要です。過去の被害や経験により男性が怖いといった場合、必ず女性が対応するなど、総合相談やケースワーカーの体制強化を求めます。

 次に、障がい者への差別についてです。区の障がい者活躍推進計画は、2024年から2026年度が第2期の計画です。しかし、現在も区における障がい者雇用は2.57%で、2.8%の法定雇用率は守られておらず、2026年度に引き上げられる3.0%も達成しない見通しです。それどころか、障がい者活躍推進計画の目標値が2.8%のままで、2026年度の法定雇用率より下回ることは問題です。障がい者活躍推進計画における目標値を、法定雇用率が引き上がり続けることを前提に、法定雇用率を超えて掲げるべきと考えます。また、その実現に何が課題になるのか、区長の見解をお答えください。
 区の障がい者活躍推進計画には、区職員の障がい者雇用における募集・採用に、自力で通勤や介助者なしで業務遂行ができることを条件としないと示しています。しかし、区は、区職員は原則自動車通勤禁止を前提に、障がい者雇用で働く職員の庁舎地下駐車場の利用をあくまでも例外として、所属長が必要と認めたときとしていることは、障害者差別解消法が義務化した合理的配慮の提供に欠くものです。その上、障がい者雇用における駐車場の需要について、実態調査さえ行わない姿勢は問題です。区の障がい者活躍推進計画の自力で通勤や介助者なしで業務遂行ができることを条件としないとした障がい者雇用を区自身がどのように実現するのか、区長の考えをお示しください。

 次に、公共施設整備についてです。区の公共施設等の整備に関するマスタープラン策定から12年です。このとき、生活保護費などの増と人口減を理由に特別区税や特別区交付金の減少による基金残高の減少で施設整備に基金を活用できなくなるとして、公共施設の総量抑制をベースに進めてきました。しかし、この12年、53万人の人口は58万人へ増加し、特別区交付金は増加し続け、基金残高は過去最高額です。それでも区は区立小学校2校、区立幼稚園1園廃止、区立特別養護老人ホームや区立保育園の民営化、集会所や児童館の一部廃止、いこいの家全廃など、公共施設の縮小・廃止・統合を強行してきました。一方で、廃止した施設の中には、文書倉庫などで住民利用ができないままの施設もあります。その上、残った公共施設は軒並み理不尽な使用料値上げです。公共施設等の整備に関するマスタープランに掲げた目標は総量抑制2割です。当初の公共施設488施設、延べ床面積85.1万平米は、この12年で何施設、延べ床面積何平米削減し、何割の削減となったのか、当時1.89平米だった区民1人当たりの公共施設面積は何平米になったのか、お答えください。また、そのことによってコストは幾ら削減できたのか、質の向上は何がどれだけ向上できたのか、お示しください。
 前提となっていた人口減少は、想定した減少のスピードとはならず、区の人口ビジョンは修正されました。基金総額は過去最高の約1,400億円という状況から考えれば、公共施設等の整備に関するマスタープランを見直すべきです。計画で掲げた総量抑制方針を転換し、これ以上の公共施設削減や民営化は行うべきではありません。区長の考えをお示しください。
 区は保健所跡地を中心とするグリーンホール、情報処理センターも含めた公共施設の再配置計画、旧板橋第四中学校にまとめる大原生涯学習センターとボランティアセンター、そして旧中央図書館跡地活用の計画策定を業者委託で進める方針です。まちづくりも、公園づくりも、土地の買収まで委託で行ってきたことで、職員自身が住民と直接向き合う時間は減り、住民参加は遠ざかっています。業者と区でつくった計画を説明はするけど、意見は計画に反映しない。そしてご理解くださいでは、住民と共につくる計画にはなりません。計画策定を委託せず、住民と職員で共に同じテーブルで検討し、住民合意の計画となるよう、あらゆる計画づくりに住民参加を位置づけることを求めます。

 次に、住宅政策についてです。基本構想・基本計画の改定に併せて、2026年度から2035年度までの10年間の区住宅マスタープランとなる住まいの未来ビジョン2035の策定が進められています。今、重要なのは、倍率が高止まりを続けている公営住宅の需要に応えて、必要な公営住宅を整備し、住民に提供できる10年間になるかどうかです。計画策定のため、国の推計プログラムを活用して算出された区の公営住宅の必要量は1万1,324世帯で、区内公営住宅の総戸数が1万2,420戸のため、公営住宅は充足しているとしています。しかし、その推計は、住宅セーフティネット法で定める住居確保要配慮者数約4万2,000世帯から障がい者を排除した上、現在の公営住宅入居対象に絞っていることで、需要より大幅に小さくなっています。これでは家賃負担が高いために親元を離れられないという若者の自立を阻んでいる社会問題などは住宅政策から置き去りです。そもそも、このプログラムの利用の手引きには、地方公共団体との厳しい財政状況の下、公営住宅の量的拡大は困難と決めつけて、公営住宅が必要な対象を絞り込んで小さく算出することが前提になっています。住まいの未来ビジョンの基本理念に、誰一人取り残さない社会を目指し、誰もがいつまでも暮らしやすい住まいを実現していくとうたうなら、社会的な需要を適切につかみ、計画的に公営住宅を増やすべきです。国の住宅確保要配慮者世帯数推計支援プログラムにより、住宅セーフティネット法が定める住居確保要配慮世帯数から障がい者や公営住宅の資格対象ではない60歳未満の低所得者数が排除されています。そのことで、本来必要な公営住宅の必要量が算出されていないことに対する区長の見解をお答えください。
 今、東京の住まいは、地価の高騰に連動して住居費が異常に高くなっている上、住宅の広さは都道府県で最低です。借家が狭く、広い家に移ろうと思っても、家賃や住宅価格が高く、もはや東京には住めない状況です。こうした状況を改善して、安心して住み続けられる状況をつくるのが住宅政策です。その一つとして、住生活基本法における居住面積水準の住まいの確保です。東京の家賃は高く、生活保護世帯が住宅扶助基準の単身で月額5万3,700円という家賃で住むことができる住宅を見つけるのは容易ではありません。そのため、最低居住面積を下回る住宅に住んでいるケースも少なくありません。住生活基本法における豊かな住生活の実現に届いているかどうか、実態把握を行い、計画に反映すべきです。住宅マスタープラン策定に当たり、生活保護世帯が居住する住宅の広さについて実態調査を行うこと、最低居住面積を確保できる住宅扶助を支給できるよう国へ働きかけることを求めます。

 この項の最後に、子どもの権利保障について質問します。日本で子どもの権利条約が発効されてから5月で31年です。2022年4月に施行されたこども基本法には、子どもの権利条約にのっとり、子どもの意見表明と参加を通して子どもの最善の利益を実現するという原則が基本理念に明記され、これに基づく子ども施策が国と自治体に課せられました。いまだに子どもの権利救済機関が国として設置されない中、全国の自治体で69の自治体が子どもの権利条約に基づく総合的な条例を制定し、48自治体が権利救済制度を創設しています。そこで区長に伺います。子どもの権利条例と子どもの権利救済機関の必要性について、区長の認識をお示しください。また、区の各計画における子どもの意見表明権について、課題認識を伺います。
 子どもの権利保障は学校教育においても重要です。不登校児童・生徒数が増え続けていることは、板橋区の教育を見つめ直すときではないでしょうか。大人が思う解決を一方的にあてがうだけでは救済になりません。しかし、学校の決まりや校則などを子どもと一緒に見直す取組なども進んでいるとは言えません。子どもの意見表明権を前提に、子どもたちが行きたい、学びたいと思える学校はどのような学校なのか、子どもを主体として、子どもたち自身の要求をつかむべきです。そこで教育長に質問します。区の学校教育における子どもの意見表明権を保障する取組に対する課題についての認識をお答えください。また、子どもたちにとってどんな学校であってほしいのか、どんな先生であってほしいのか、学校教育に関するアンケート調査の実施を求めます。教育長の考えをお答えください。

 次に、地域課題について質問します。
 まず、交通量が多く狭い道路の改善です。高島平八丁目から新河岸地域に渡る徳丸橋とその前後の歩道が狭く、走行する自転車との接触に高齢者や障がいを持つ人たちが不安の声を上げています。しかし、車道も狭く、バス通りのため、自転車が車道を走ることもままなりません。高島平八丁目と新河岸地域をつなぐ徳丸橋と、その前後の歩道の拡幅の検討と安全対策を求めます。
 蓮根駅前通りから舟渡に抜ける蓮根橋前後の道路そのものがとても狭く、バス通りの上、大きなトラックなども抜けていく道になっています。しかし、歩道はなく、歩行者は狭い路側帯を歩いています。バス利用者は、バス停で車との接触に不安を抱えて利用しています。蓮根橋前後の道路を拡幅し、歩道を整備すること、直ちに安全対策を行うことを求めます。

 次に、暮らしやすい新河岸地域を求めて質問します。都営新河岸団地の建て替えによって、第1期には都営住宅の1階に入っていた郵便局の電気屋さんも戻れず、郵便局は高島平八丁目に移転し、第2期の解体工事を終え、第3期対象エリアの住宅の1階にあったスーパーや商店がなくなりました。高齢者や障がい者にとっては買物も預貯金の引き出しもコンビニエンスストアでしかできなくなり、郵便局の通帳記帳や生鮮食品の買物はバスで行かなければなりません。もともと新河岸地域は都営住宅建設をきっかけに、工業地帯から住まいと工業が共生するまちに発展しました。住民生活を支えるために、団地内に商店や電気屋さん、郵便局などが整備されたのです。当時以上に高齢化が高まっているのに、不便な状態が続けば、住み続けることはできません。都営新河岸団地の建て替え第3期エリアに郵便局や生鮮3品が購入できる店舗を設置できるよう東京都へ求めていただきたいが、いかがでしょうか。
 郵便局が高島平八丁目に移転しましたが、近くにバス停がありません。また、従前から高島平中央総合病院と駅を結ぶ交通がなく、駅からタクシーに乗るか、高齢者や病人が比較的長い距離を歩かなければなりません。そこで区長に質問します。新河岸地域から最も近い八丁目郵便局付近と高島平中央総合病院や公共交通機関のない新河岸三丁目へつなぐバス路線の設置を民間バス会社の路線や区のコミュニティバスりんりんGOも含めて進めていただきたいがいかがでしょうか。

 最後に、子どもへの戦闘訓練や自衛隊の勧誘を許さない板橋区になることを求めて質問します。
 5月13日、私たち区議団に、蓮根で元自衛官がジュニアサバイバルスクールをやっている。子どもにこんなことをやっていいのかと問合せがありました。調べてみると、埼玉県新座市に事務所を持つ一般社団法人こんにちはが運営し、区立蓮根地域センターで区内の小中学生を対象に戦闘体験事業を行っているとのホームページの記載に大変驚きました。あろうことか、月額5,000円の参加費を徴収し、子どもに迷彩服を着せて、匍匐前進やモデルガンを構えさせて戦闘訓練を体験させています。区は営利目的であることを理由に、5月末をもって利用登録を中止していますが、6月から場所を変えて、UR新蓮根団地の集会所で継続していることは大変問題です。この事業の基本理念や心構えに、積極的な服従の習性を培う、命令に対する服従は誠実厳正に行うなどと書かれており、まだ自立的判断が十分できず、保護が必要な小中学生に服従を教え込むことは、異常な体験や訓練です。そもそも専守防衛の自衛隊は憲法第9条第2項の戦力に該当しないという憲法解釈を取る政府でさえ、自衛隊について、武力の行使を行う組織であることから、国際法上、一般的には軍隊として取り扱われるものとし、自衛隊が軍隊であり、自衛官が兵士であるということを認めています。その自衛隊で経験したカリキュラムを元自衛官が直接指導するとうたい、子どもに指導することは、軍隊の教えを子どもに体験させることにほかなりません。板橋区平和都市宣言を掲げる板橋区の公共施設で、小中学生に対し、モデルガンによる射撃体験や服従の習性を培う、命令に対する服従を行うなどという活動が行われていたことに対する区長の認識をお答えください。
 以上で私の一般質問を終わります。

◎区長(坂本健) それでは、いわい桐子議員の一般質問にお答えいたします。

 最初は、地区計画に対する住民合意についてのご質問であります。高島平二・三丁目周辺地区地区計画においては、都市計画手続の各段階におきまして、全体説明会、オープンハウス型説明会、個別相談会を合計42回開催してまいりました。地区計画は専門的内容が多いことから、理解度や関心事に応じた丁寧な説明が必要でありまして、継続的な個別対応を繰り返すことによって、着実に地域住民の理解が深まっているものと区は考えております。一方で、現時点では具体的な建物や道路の計画を示す段階ではなく、住民の心配や不安につながっているものと考えることから、引き続き検討の進捗に応じた丁寧な説明や情報発信に努めていきたいと考えております。

 続いて、地区計画による建築物等の高さ緩和についてのご質問であります。令和4年2月策定の高島平地域都市再生実施計画においては、区有地を種地として活用し、居住者が2度移転することなく団地建て替えを行う連鎖的都市再生を打ち出しております。そのため、区は33街区の建て替えが完了した後、将来的にその街区の一部をUR都市機構が次なる連鎖のために活用し、賃貸住宅を建設する可能性があることは以前から認識しているところであります。建て替えに伴う移転先住戸を確保するために、再整備地区の高さの緩和が必要となり、駅の拠点性や区内の近傍事例を踏まえて総合的に勘案した結果、区が高さの数値を設定したものであります。

 続いて、住民参加のまちづくりについてのご質問であります。建設から50年が経過した高島平地域においては、少子高齢化の進行、公共施設を含むインフラの老朽化、水害等への備えなど、解決すべき都市課題が顕在化しております。約10年に及ぶ計画策定段階を終え、実行期に移行したまちづくりでは、課題解決とともに、次の50年、100年先を見据えた持続可能な都市への転換が求められていると考えます。長期にわたる都市再生の第一歩となる交流核の形成を早期に実現して、その効果を地域全体に波及させるために、区はスピード感を持ってまちづくりを進めながら、引き続き地域住民の理解が得られるよう、丁寧に対応してまいりたいと考えています。

 次は、女性差別に対する認識についてのご質問であります。女性をめぐる課題は、性暴力等の被害、男女の賃金格差、生活困窮など、多様化・複雑化しておりまして、解決すべき社会問題として認識をしております。区では、板橋区男女平等参画基本条例の基本理念に、人権の尊重と性別による差別的な取扱いを受けない社会の実現を掲げ、各種取組を推進しております。引き続き、性別に関係なく、全ての人が個人としての人権が尊重され、あらゆる差別の解消へ向けた施策に取り組んでいきたいと考えています。

 次は、選択的夫婦別姓制度についてのご質問であります。我が国の婚姻制度においては夫婦別姓が認められておらず、多くの場合、女性が姓を変更し、社会生活において不利益や負担を強いているという意見があることは承知しているところでございます。一方において、選択的夫婦別姓制度については、婚姻制度や家族の在り方と関係する重要な問題であり、国民の意向を踏まえた上で、国において慎重に検討を進めていくべきと考えております。

 続いて、各相談機関に女性相談支援員の複数配置を求めるとのご質問であります。女性をめぐる課題は複雑化、多様化、深刻化しておりまして、困難な問題を抱える女性への支援は喫緊の課題であると認識をしております。こうした女性の立場に立って相談に応じる女性相談支援員を各相談機関1名配置しておりますが、必要に応じて、母子・父子自立支援員などとも連携をして対応しております。各相談機関に女性相談支援員を複数配置することにつきましては、相談の現況や他区の配置状況などを勘案して見極めてまいりますが、当面は現状の配置で適切に対応していく考えであります。

 次は、総合相談やケースワーカーの体制強化についてのご質問であります。令和6年度の組織改正におきまして、ケースワーカー及び面接相談員については、社会福祉法の標準数に基づきまして80対1で配置をし、体制の強化を図ってまいりました。また、様々な困難や課題を抱えた方については、その方の状況に合わせて、複数の職員によるチームで対応することも実施をしております。今後も困り事を抱えた区民の方々の不安の解消に向けて、寄り添った支援を実施していきたいと考えています。

 続いて、障がい者活躍推進計画の目標値についてのご質問です。区は、障がい者雇用率の令和8年度目標値を法定基準である2.8%としており、これまでも継続して障がいのある方の採用を進めております。目標達成に向けましては、障がい特性に応じた業務内容の整理や環境整備に加えて、庁内の理解促進と任用後の定着支援に取り組むことが重要であると考えています。昨年度から、障がいのある職員に対しまして、人事課による伴走型支援を開始しておりまして、さらなる充実に向けて、継続的な検討と改善を行っていきたいと考えています。

 続いて、障がい者雇用に伴う任用条件についてのご質問です。障がい者を対象とする特別区職員採用選考においては、活字印刷文または点字による出題に対応できることのみを条件としておりまして、その他の条件は付していないところであります。選考を経て区の新規採用予定者となった者には、配慮が必要な事項を丁寧に聞き取って、合理的配慮指針を参考としながら、これまでどおり柔軟に対応していきたいと考えています。

 次は、公共施設の総量抑制の現状についてのご質問です。施設数48施設、延べ床面積約1万2,500平方メートル、削減割合については約1.5%の減となっております。区民1人当たりの公共施設面積は約1.47平方メートルでありまして、ライフサイクルコストの削減効果については約83億円であります。また、中央図書館やこども動物園、美術館が外部機関から表彰され、高い評価をいただいていることは、質的な成果の一部であり、施設利用者の増という形にも表れているものと考えています。

 続いて、総量抑制の方針転換についてのご質問です。公共施設の整備に当たりましては、経済性を追求しながらも、その設置目的の発揮とともに、新たな魅力が加えられるように努めてまいりました。将来、ライフサイクルコストの上昇が懸念される中、安心・安全で魅力ある公共施設を展開するためには、集約・複合化等による総量抑制を基本とする施設整備は必須であると考えています。

 続いて、住民参加型の計画策定についてのご質問です。これまでも計画策定の際には、民間事業者の知見も必要に応じて活用しながら、住民参加型の検討手法を取り入れて進めてきております。引き続き、事案に即した効果的な手法によって、いただいた意見を反映した計画策定に努めていきたいと考えています。

 次は、公営住宅の必要量についてのご質問であります。地方公共団体が公営住宅の必要戸数や民間賃貸住宅を活用した目標戸数を適切に設定するため、国土交通省国土技術政策総合研究所においては、住宅確保要配慮者世帯数推計支援プログラムを公開しております。区はこのプログラムを活用して、著しい困窮年収水準未満世帯のうち、最低居住面積水準と高家賃負担率の観点から、特に住宅の支援が必要となる要支援世帯数を推計したところでございます。その要支援世帯数に対しまして、低廉な家賃の民間賃貸住宅を含めた公営住宅等のストック推計については十分に供給できる戸数であると認識しています。

 続いて、住宅面積の実態調査の実施についてのご質問であります。生活保護世帯については、ケースワーカーが定期的に家庭訪問を実施し、生活状況の把握をしておりまして、その中において住宅状況についても確認を行っております。生活保護受給者の方が狭小住宅に住んでいる場合においては、福祉課内で検討会議を開催の上、住環境改善の観点から転居しているケースもございます。現在のところ、居住面積の実態調査を実施する考えはございませんが、今後も家庭訪問で生活保護受給者の生活状況を確認する中において、住宅環境の課題についてを把握していきたいと考えています。

 次は、最低面積を確保できるように、国への働きかけについてのご質問であります。国が定めている住宅扶助の基準額については、大都市の生活実態に合わせた額とするように、東京都を通じまして国に要望を行っているところでございます。現在のところ、住宅居住面積拡大に特化した要望を行う考えはございませんが、住宅扶助の拡充については、引き続き国に要望していきたいと考えています。

 次は、子どもの権利と意見表明についてのご質問であります。子どもの権利保障については、こども基本法及び東京都のこども基本条例に基づき取り組んでいるところでありまして、区として条例の制定や救済機関の設置は予定していないところでございます。一方で、現在、基本構想審議会の中間答申におきましても、子どもの権利等について言及がされておりまして、次期基本計画や子ども未来応援宣言において、意見表明に係る課題の整理と取組を検討している最中であります。

 次は、徳丸橋の前後の歩道拡幅と安全対策についてのご質問であります。ご指摘をいただきました道路につきましては、両側に歩道が整備がされておりますけれども、植栽があることによって、実際に歩行する空間として、部分的には狭い場所も存在しております。同様のご要望につきまして、以前にもいただいているところでありますが、沿道に民有地が並び、バスや大型車が通る現状においては、歩道拡幅などの抜本的な改善は現実的には困難な状況と考えます。過去には、徳丸橋南側の一部区間におきまして、埋設企業者の工事に併せて、歩道内の植栽をなくして、歩行空間を広げるなどの対策を行っておりまして、今後、区で道路を補修するタイミングには同様の対策を検討していきたいとも考えています。

 続いて、蓮根橋の前後の歩道整備と安全対策についてのご質問です。ご指摘をいただきました蓮根駅前通りの大部分は、両側に歩道が整備されているものの、蓮根橋の南側の一部には歩道がなく、ご要望の趣旨は理解をするところであります。しかし、さきの答弁と同様に、沿道の状況を踏まえますと歩道整備は難しく、幅員が狭い道路でバスや大型車両等が通行している現状においては、防護柵などの設置も困難な状況と考えます。区としましては、カラー舗装による通行区分の明確化や注意幕の設置などの対策をしてまいりましたが、引き続き警察と連携しながら、できる限りの安全対策を講じてまいりたいと考えています。

 次は、新河岸地域に関連いたしまして、郵便局の設置についてのご質問です。新河岸地域での郵便局の設置が地域の方々の切なる要望であることは認識しておりまして、複数回にわたり、東京都等へ働きかけを行ってまいりました。新河岸二丁目団地の第2期工事に際しまして、東京都からの意見照会に加え、区民と区長との懇談会で要望がございましたことも、東京都及び日本郵便株式会社へ伝えているところでございます。残念ながら実現には至っておりませんが、第3期工事についても働きかけを継続していきたいと考えています。

 続いて、都営住宅敷地への店舗の設置についてのご質問であります。新河岸二丁目団地の建て替えが進む中、東京都は日常の買物が困難な方への支援策として、都営住宅の敷地において、食料品や日用品等の移動販売サービスを実施しているところでございます。現時点においては、店舗の設置について東京都に要望する予定はございませんが、こうした支援事業が継続して行われるように、引き続き東京都と連携を図っていきたいと考えています。

 続いて、民間路線バス、りんりんGOの導入検討についてのご質問です。新河岸三丁目付近は、駅やバス停まで比較的距離があり、高齢者の方が病院や買物等でご苦労されていることは、区として承知をしているところでございます。運転手不足によるバス路線の減便及びバスが走行可能な道路幅員の確保や、運行経費の増大への対応等の課題がございまして、新たなバス路線の導入は困難と考えています。

 次は、子どもへの戦闘訓練や自衛隊の勧誘を許さない板橋へとのご質問であります。民間団体の活動や、その活動への参加は自由意思に基づくものでありまして、区が直接の見解を示すことは慎重であるべきと認識しています。一方で、戦争の悲惨さを忘れず、区民の平和意識の醸成に努めることが平和都市宣言をしている板橋区の責務であるとも考えています。戦後80年を迎え、戦争の記憶が薄れていく中において、板橋区平和都市宣言の下、これまで以上に平和意識の醸成に注力をしていきたいと考えています。
 いわい桐子議員の教育委員会に関する答弁は教育長から行います。

◎教育長(長沼豊) いわい桐子議員からの一般質問のうち、教育に関する質問にお答えします。

 子どもの意見表明権の保障と調査についてのご質問になります。子どもの意見表明権の保障に向けて、学校の決まりを子どもが見直すルールメイキングや、子どもが自己選択する場面を授業で設定するなど、各校で取り組んでおります。工夫した取組が進んでいる一方で、学校間で取組や意識の差があることが課題であると認識しており、好事例について、各学校への周知を図ってまいります。子どもを対象にした調査については、各学校の実態に応じて行っており、教育委員会としても子どもたちの意見が反映されるよう学校現場を支援してまいります。
 いわい桐子議員からの一般質問に対する答弁は以上となります。

一覧へ

検索