陳情第107号「高齢者補聴器購入費用の助成金の増額等を求める陳情」に賛成する討論

討論日:2025年10月14日本会議 小林おとみ区議会議員

 ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、「陳情第107号 高齢者補聴器購入費用の助成金の増額等を求める陳情」について委員会決定「不採択」に反対して討論を行います。

 本陳情は、高齢者補聴器購入助成金の金額を144,900円に引き上げ、対象者の所得制限を撤廃するとともに、後期高齢者医療健康診査の健診項目に聴力検査を含めることを求めるものです。

 

 陳情に賛成する第一の理由は、板橋区の助成額は、23区の水準を大きく下回っているからです。

 板橋区においては、2021年度より住民税非課税世帯の65才以上の方に2万円、両耳への助成を開始し、2024年度より、金額を5万円に引き上げ、片耳へも助成を拡大したところです。区は、助成内容については、23区の状況を見て決めているとのことでした。23区の状況ですが、現在、23区の助成制度は急速に拡充されています。板橋区と同じ5万円台は、板橋区を含めて、目黒区、世田谷区、豊島区、足立区の5区ですが、足立区は所得制限はなく、目黒、世田谷、豊島は、板橋のように世帯非課税ではなく、本人非課税の方に広げています。また世田谷区は5年経過すると次の利用ができるようになっています。ちなみに5年経過すると再支給できる区は14区に上っています。5万円台の中で、最も条件が厳しいのが板橋区ではないでしょうか。

 さらに7万円台に踏み切る区が増えています。7万円台は中央区、品川区、文京区、江東区、北区、荒川区、練馬区の7区で、品川区と江東区と荒川区、文京区は所得制限なし、北区は住民税均等割の方、中央区、練馬区は本人非課税の方まで広げています。中野区は9万円です。144,900円の助成をしている区は千代田区、港区、葛飾区、台東区の4区ですが、非課税世帯としているのは千代田区のみで、港区、葛飾区、台東区は本人非課税の方です。また、この4区はいずれも課税の方に72,450円の補助をしています。5万円以下の区が6区ありますが、大田区以外は、課税の方にも対象を広げています。全体を見ると、板橋区の住民税非課税世帯に5万円というのは、住民税非課税世帯に35,000円の大田区に次いで、下から2番目という状況です。 5万円への改定を2024年にやったばかりと言いますが、23区の現在の状況を見れば、しばらく様子をみるという状況ではないのではないでしょうか。東京都が示している144,900円は、障害者総合支援法の補装具の最高額が参考になっています。認知症予防、聞こえのコミュニケーション支援事業としての事業の位置づけを高めて、東京都の水準まで引き上げることが必要です。

 第二の理由は、高齢者への支援策の所得制限について、少なくとも本人非課税を原則とすべきと考えるからです。区は、所得制限を住民税非課税世帯としているのは、その他の高齢者の福祉サービスが世帯非課税を原則にしているからと説明しています。家族の中に課税者がいれば、非課税世帯の非課税者より生活が安定しているという考え方があるからだと考えますが、現実はまったくちがいます。収入のある息子夫婦と世帯を同じにしていても、生活は全く別という世帯はたくさんあります。世帯に課税者がいても、実際には高齢者の少ない年金が生活の糧になっている世帯もたくさんあります。そうした現実を見るならば、いつまでも非課税世帯の非課税者のみとしているのはサービス水準が低すぎると言わざるをえません。長年日本社会に貢献してきた高齢者の支援策に、所得制限は必要ないと考えます。

 第三の理由は、高齢者の健康診査に「聴力検査」を加えることは、介護予防、認知症予防の観点からも重要であると考えるからです。後期高齢者医療の健診は「生活習慣病予防」が目的で、生活習慣病と聴力の間にエビデンスがないとのことですが、委員会審議では、後期高齢者健診には、「心身機能の低下による疾病予防」なども目的とされていることが紹介されており、後期高齢者医療の健康診断に聴力検査を加えることは十分に可能と考えます。広域連合に求めるとともに、区として一般健診などで行えるようにするべきです。委員会審議で、後期高齢者の健康診査の問診表の中に「聞こえのチェック」ができるようにするなどの前向きな答弁が行われたことは重要ですが、自己チェックの範囲内にとどまらず、医師の診断につなげられるように健診項目に加えることが必要です。

以上、高齢者のくらしを豊かにし、認知症予防、社会参加に大きな役割をもつ補聴器への助成を23区の水準に劣らない内容で拡充することを求めて、私の討論を終わります。

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