2025年度当初予算に反対する討論

 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、議案第1号「2025年度東京都板橋区一般会計予算」、議案第2号「同国民健康保険事業特別会計予算」、議案第3号「同介護保険事業特別会計予算」、議案第4号「同後期高齢者医療事業特別会計予算」、議案第5号「同東武東上線連続立体化事業特別会計予算」に反対する立場から、また、議案第40号「同一般会計予算に対する修正動議」に賛成する立場から討論を行います。
 

 2025年1月の実質賃金は、前年同月比で1.8%減り、3か月ぶりのマイナスとなりました。消費者物価指数は前年同月比で4.7%上昇し、物価の高騰に賃金の伸びが全く追いついていません。年金は実質0.8%目減り、過去20年間で8%以上目減りしています。消費税の負担は所得の低い人ほど重くのしかかり、所得税、住民税を含めて累進課税の原則は崩れてしまっています。中小業者は、インボイスの導入による消費税の新たな増税に借金をしてしのがなければならない状況です。その上政府は、高額療養費の上限引上げを含め、4兆円の医療費削減や軍事費の8.7兆円への急拡大など、国民生活を脅かす方向に動いています。今ほど地方自治体が住民の命と暮らしを守るための本来の役割を発揮しなければならないときはありません。板橋区の新年度予算は、そうした区民生活の要請に応えるものになっているでしょうか。
 

 新年度予算に反対する第1の理由は、区独自の物価高騰対策が盛り込まれておらず、区民生活の困難を反映する予算になっていないということです。2025年度の産業経済費の一般会計に占める構成比は、前年度比0.2ポイントマイナスで1.7%です。一般会計予算は8.8%増えており、区内中小業者への支援が伸びないのは問題です。いたばしPay事業は、キャッシュレス決済推進事業ではあっても、利用できない区民や事業者は取り残され、生活支援策にはなっていません。物価高騰対策として国の交付金の推奨メニューには、もっとたくさんの事業が紹介されていましたが、そうしたメニューを区として生かした新規事業が1つもないのは問題です。区民税の特別徴収の滞納が増えています。理由は資金繰りができていないためと考えられます。区は実態の聞き取りをしていないために、厳しい経営実態に寄り添った支援策が生まれてきません。非課税世帯への差押えはやめるべきです。また、国保料の滞納整理事務において、短期証が廃止をされて納付勧奨の機会が減ってしまいました。後期高齢者医療保険対象者も含め、非課税世帯への差押えが行われていますが、差押えなどによる徴収強化ではなく、納付相談を積極的に行い、生活再建につなげる支援を行うべきです。区は、2025年度、新たに事業を開始する人への家賃助成を、家賃の2分の1、限度額10万円で20件計上していることは重要です。しかし、既に事業をしている事業者への家賃助成はありません。2020年に実施した中小企業等緊急家賃助成など、区内事業者を守るという施策が必要です。また、年金暮らしで家賃を払わなければならない高齢者の暮らしは本当に厳しいです。若い世代や子育て世代も物価高騰や市街地再開発事業の影響などで家賃が引き上がっており、若い世代の9割が民間賃貸住宅に住んでいる実態からすれば、家賃助成の声は切実です。区営住宅の申込みは2024年5月時点で9.4倍になっています。都営住宅では、場所によっては77倍というところもあります。にもかかわらず、板橋区には区営住宅を増やす考えはなく、民間住宅の借上げの要求にも背を向けています。現在6か所あるけやき苑について、見守りの支援体制があることなどが大きな理由になって、入所希望者が1戸に対して62人に上っています。区営住宅の増設を求める声に応えるべきです。区の公共工事において、工事の前払い金が上限4億円に引き上げられたことは重要ですが、地方自治法の規定では、事業費、落札額の40%まで前払いできるとしています。法律に合わせて、事業者が資金繰りがしやすくなるように前払い金を引き上げるべきです。また、公契約条例の検討が開始されますが、理念条例ではなく、区独自の最低賃金を設定し、対象事業を狭く限定しないことと同時に、1年かけてではなく、早急に検討して早く実施することを求めます。区立小中学校では、不登校の児童・生徒が1344人に上る事態になっています。正面から向き合わなければなりません。校内別室登校の場所確保やスクールソーシャルワーカーの増員、区内大学との連携による居場所づくりなどの事業の拡充が盛り込まれましたが、学校に行けなくなっている家庭への経済的な支援は皆無です。昼食代やフリースクール代への助成、フレンドセンターに通う交通費など、経済的支援を早急に検討し、実施すべきです。災害対策では、消火器の購入補助は前年比で半減していますが、実績が上がらないのは、都が対象を木密地域に限定しているためです。区独自で対象を広げ、周知を徹底し、消火器の設置を増やして火災被害を減らす姿勢が必要です。防災カタログの申請は63%とのことですが、感震ブレーカーの申込みは9%にとどまっています。現状を想定内とする区の姿勢は問題です。2025年度予算案には、感震ブレーカーの必要性の周知や支援策がありません。感震ブレーカー100%設置への本気の構えが問われています。
 反対する第2の理由は、区自ら新たな不安定雇用を広げ、低賃金構造を助長する一方、増大する行政需要にふさわしく正規職員が増やされていないからです。人件費比率は23区平均を下回り続けています。過労死ラインの月80時間を超える超過勤務者がゼロにならない事態が改善されず、障がい者法定雇用率が目標に達しないのは、適切な人員配置が行われていないことの表れです。土木サービスセンターでは、道路補修等の班は1班が全て委託になりました。また、学校の用務の委託化がさらに拡大されました。現業職場の職員が減らされていくことは、災害時の緊急対応など、地域のセーフティネットの機能が失われていくことになります。現業職場の退職不補充の方針は見直すべきです。年度途中の欠員をカバーするとして、人材派遣に2億6000万円が計上されましたが、派遣労働者の賃金は予算額の7割程度とのことです。官製ワーキングプアの拡大にほかなりません。一時金が支給されている会計年度任用職員は20人分削減されます。保育園も同様です。経験の蓄積、業務の継続性が失われることなどの問題を考えるならば、欠員は正規で賄うべきです。一方で、政府が進めるマイナンバー関連では、今後もさらに事務量が増大し、そのための経費が増大し続けています。マイナンバー制度発足から10年目となる2025年度は、更新による再交付と電子証明書の発行と更新で、来庁される区民は14万5000件と見込んでいるため、交付窓口が拡充され、現在28名の行政補助員が36名に増員されます。今後も更新が毎年続き、委託料の増と人員増は継続することが予想されます。国に対して、マイナンバー制度の押しつけをやめるよう声を上げるべきです。福祉事務所では、ケースワーカーの1人当たりのケース数は平均で約85世帯、100世帯を超える人は解消されていません。にもかかわらず、正規職員、会計年度任用職員をそれぞれ3名ずつ削減することは許されません。生活保護資力活用適正化として、福祉事務所に3名の弁護士が配置をされます。ケースワーカーの負担軽減につながるならば一定評価はできますが、活動内容は法律上の課題に対する区職員への指導及び助言とされており、複雑化する生活困窮の課題改善につながるのかどうか、法律のアドバイスと福祉的な対応との違いが現場であつれきを生まないのか、大変心配されます。社会福祉法人への指導経費が増額され、経営悪化の早期発見を主眼とした財政分析を専門家に委託して行うとのことですが、区には財務指導の権限はないため、経営悪化の兆候が発見された場合、必要に応じて経営相談支援機関につなげるとしています。公設民営区立保育園が経営難により区立直営保育園になったことの教訓から、いつどのような介入が必要なのかなど、今後に生かすべきことを総括し、区民の不利益が生まれないようにすべきです。学校現場に今年度は新たにエデュケーション・アシスタントという職種が配置をされますが、人材派遣です。様々な人々が学校にいて、それぞれの役割を果たすことは重要ですが、労働形態が様々で、学校運営の一体性や民主的な学校運営をつくり上げる点で大いに問題です。正規職員を増やすべきです。
 

 反対する第3の理由は、まちづくりや公共施設の再整備計画が住民不在で進められていることです。区がブランド戦略と位置づけている4つの地域のまちづくりは、大手デベロッパーによる市街地再開発事業として進められています。大山でも、板橋駅西口でも、上板橋駅南口でも、今まで住んでいる人たちが住み続けることも営業を続けることもできないまちづくりになっています。タワーマンションだけはできたものの、道路や東上線立体化の見通しもついておらず、駅前広場の同意は15%しか得られていません。高島平では、今住んでいる住民がどうなるのかということも不透明なまま、住民合意も得られていない道路計画など、地区計画づくりを急ぐ区の姿勢に強い批判の声が上がっています。住民合意が得られていない地区計画策定は見送るべきです。都市整備費用は、4つのまちづくり計画で、今年度総計74億2100万円が計上されています。一方で、公園・公衆トイレの整備は進まず、和式トイレしかない公園がいまだに76か所も残されています。公共施設の再整備では、旧中央図書館跡地利用について、文化施設などの住民要求は用途地域の制限を理由に退けながら、急浮上した自転車駐車場の移設は、建築審査会を開いてでも優先していくという姿勢は、住民が納得できるものではありません。魅力ある学校づくりプランでは、過小規模校の統廃合を視野に地域の意見を集約する方向が示されていますが、区として学校を閉校させない努力や方向が全く示されないのは問題です。また、志村小学校・志村第四中学校の小中一貫校計画は、入札不調になったにもかかわらず、新年度予算でさらに推し進めようという姿勢は許されません。反対の声が強い小中一貫校計画は立ち止まるべきです。
 

 反対する第4の理由は、基金ため込み優先の財政運営と経営刷新計画以来の行革リストラが継続していることです。基金活用方針は、積み上げる方針はあっても活用の在り方は示されていません。そのため、2024年度に最終補正で83億円も積んだ財政調整基金は、2025年度の当初予算で活用することもなく、余剰財源は、義務教育施設整備基金と公共施設整備基金に2年分積み上げられました。資材が高騰しているから活用方針を見直して目安額を増やすべきとの意見もありましたが、ここ数年、義務教育施設整備基金も公共施設整備基金も年間の活用額は10億円を下回っています。実態に見合ったものにすべきです。経営刷新計画以来、区は、現金給付をしないのは区の方針という答弁を繰り返してきましたが、この間、コロナ対策や物価高騰対策で行ってきた支援金事業について、現金給付事業ではないのかという我が党の総括質問に対して、現金給付事業であると認める答弁が行われました。現金給付はしないという区の方針は、明確に撤回をすべきです。同様に、刷新計画で示された受益者負担の原則もいまだ貫かれており、時代に合ったものになっていません。使用料・手数料の負担増は、2025年の見込額で約1億2000万円に上り、しかも算出根拠に問題があり、負担増の必要はなかったことも明らかになっています。財政事情は、経営刷新計画が進められた2004年当時とは全く違っています。古い方針は撤回して、暮らし支援の積極支出の方針が打ち出されるべきです。
 

 最後に、日本共産党区議団提出の予算修正提案についてです。内容は、介護・障がい福祉の訪問系事業所への支援金支給、家族介護慰労金の支給、ひとり親家庭への家事援助者派遣の対象拡大、省エネ促進のためのコールセンターの設置、バス運転手確保のための助成金、区立小中学校の児童・生徒に対する学用品費無償化経費など、総計10億9000万円の修正です。一般会計予算の0.4%、基金総額の0.8%、財政調整基金の3%でできるものです。議員各位におかれましては、議員の議案提案権に基づく予算修正の意義を十分にご理解いただき、ご賛同いただきたいと思います。
 

 2025年は被爆80年の年です。今年8月、広島・長崎で行われる平和祈念式典は、核兵器使用の危機が迫る世界に向けて、核兵器廃絶を訴える歴史的な式典になります。坂本区長自ら区民を代表して式典に参加されることを心から呼びかけます。
 また、本年3月末日をもって退職されます区職員の皆様の長年のご苦労に、心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
 以上をもちまして、日本共産党板橋区議団の2025年度板橋区当初予算に対する反対討論を終わります。ご清聴大変ありがとうございました。

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