陳情122号 「国連の核兵器禁止条約の遵守と実施を促進するために核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN:アイキャン)が世界の都市に呼び掛けている『CITY APPEAL』に板橋区も賛同し、日本政府に対して核兵器禁止条約への参加を促すことを求める陳情 第2項 政府への要請の件」に賛成する討論

 討論日:2020年12月14日

 ただ今より、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、「陳情第122号 国連の核兵器禁止条約の遵守と実施を促進するために核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN:アイキャン)が世界の都市に呼び掛けている『CITY APPEAL』に板橋区も賛同し、日本政府に対して核兵器禁止条約への参加を促すことを求める陳情 第2項政府への要請の件」に対する、委員会決定『不採択』に反対する立場から討論を行います。

 本件は、板橋区として、日本政府に対し核兵器禁止条約への参加を要請するよう求めるものです。

 核兵器禁止条約は、批准国が50か国に到達し、年明けの1月22日に発効となることが確定しました。条約の発効に向け取り組んできた日本原水爆被害者団体協議会やヒバクシャ国際署名連絡会の関係者も記者会見を開き、大きな喜びを表明しました。

 核兵器禁止条約は核兵器の非人道性を示し、その開発や実験はもとより、生産・保有・使用・威嚇においても全面的に禁止し、違法化するものであり、完全に廃絶するためのプロセスが明記されています。1946年1月に国連総会において『原子兵器の撤廃を提起した』第一号決議以来の画期的な国際条約です。このことは、核兵器のない世界を求め、核兵器がいかに非人道的であるかを訴え続けてきた広島や長崎の被爆者の方々を始め、圧倒的多数の国際世論による、歴史的な到達と言えます。

 核兵器廃絶に向けた世界的な機運の高まりの一方で、唯一の戦争被爆国である日本政府が条約への批准を拒否し続けていることについては、ますます厳しい批判が強まっています。

 菅政権が国連に提案した新たな決議案『核兵器のない世界に向けた共同行動の指針と未来志向の対話』は、11月3日に第一委員会で採択されたものの、賛成国は昨年より9か国減り、一昨年と比較すると21か国も減っています。共同提案国も2016年は109か国であったのが、今回は26か国へと激減しています。日本政府は、これまで核保有国と非核国との『橋渡し役』と強調してきましたが、国際社会の支持は得られていないことが改めて証明される結果となっています。このような結果となったのは、日本政府の決議案が、核兵器禁止条約にも触れず、また、核保有国を拘束するNPT再検討会議の合意などについても、昨年の決議案には盛り込まれていた『合意の履行』との文言が削除されているなど、核保有国への最大限の配慮が前面に打ち出されているからです。核の傘の下にあるNATO加盟国のカナダ・ドイツ・オランダや核保有国であるロシアと中国も反対しており、『橋渡し役』などの言い分が全く通用しないことは明らかです。

 国際社会からの信頼失墜を回復するためには、日本政府として核兵器禁止条約への批准・署名を行うほかに道はありません。国内での世論調査でも、7割の方が禁止条約への参加を支持するとの結果が示されています。また、約500の地方議会で署名・批准を求める意見書が可決しています。こうした声にこそ、政府は向き合うべきです。

 今回提出された陳情では、板橋区が日本政府に署名・批准を求めることは、区が掲げる『平和都市宣言』や『日本非核宣言自治体協議会』、区長も参加している『平和首長会議』が掲げる理念や宣言にも合致するものとの意見が述べられています。また、区が独自の事業として取り組んできた『中学生平和の旅』など、様々な平和記念事業は『核のない世界』の実現を目指す上で、大変重要な取り組みであることも評価されています。こうした取り組みは、板橋区平和都市宣言にある通り、『世界平和実現のために積極的な役割を果たさなければならない』ことを具現化するものです。

 ところが、区は、日本政府に対しては、外交政策に関わるとし、『推移を見守る』との姿勢をとり続けています。核廃絶を全世界に訴えることは行いながら、なぜ、背を向け続ける日本政府にはものを言わないのでしょうか。日本国憲法に地方自治が明記されたのは、国民を戦争に巻き込んだ過去の過ちからの教訓があるからです。政府の間違いを質すために積極的に発信すべきです。同時に、こうした区の姿勢を変えるために、区議会としての判断が求められています。

 本陳情の第2項目について、趣旨には賛同するとしつつ、『政府の動向を見据える』との意見といわゆる『核の傘論』を理由に日本政府に求めることには賛成できないとの意見表明がなされました。

 長年の被爆者や被爆地の願いであった核兵器禁止条約の発効を目前に控え、未だ条約にさえ触れない日本政府の動向を見据えている時期ではありません。また、核の傘論事態が、破たんしていることは、日本政府の決議案が国際社会から見放されている状況から見ても明らかであり、固執する姿勢は、核廃絶に向けた取り組みを阻むものであり、到底理解できません。加えて今回提出された陳情の第1項『CITY APPEAL』への賛同の件は、企画総務委員会では、賛成多数となりました。  『CITY APPEAL』は、地方自治体から自国政府に署名や批准を求めるものであり、政府に直接要請することと違いはありません。『CITY APPEAL』への賛同に賛意を表しながら、本項について反対することは矛盾するものと考えます。

 改めて『核なき世界』の実現に向け、核兵器禁止条約への参加を要請するよう求める陳情に賛意を表し、本陳情の採択を求め、討論を終わります。

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