日本共産党板橋区議会議員団は、2020年第4回定例会において、市民クラブ・無所属の会・無所属議員と共同し、15名で高校生等医療費助成を求める条例提案を行いました。本会議では市民クラブの議員が討論を行いました。提案者を代表しての討論となりますので、掲載します。
討論日:2020年12月14日
ただいまから、提案者を代表し、議案96号「東京都板橋区高校生等の医療費助成条例」の委員会決定「否決」に【反対】の立場から、討論を行ないます。
本議案は、高校生等の命と健康を守り、子育て世代の経済的負担軽減を図るため、現在中学生まで受けている子どもの医療費助成を18歳まで拡大するものです。
児童福祉法では18歳までが子どもとされています。保護者が板橋区内に住所があり、保護する高校生等が区外に住所がある場合も対象としているところが、子ども医療費との違いになります。対象となる人数は約12000人、医療費見込みは約3億5千万円、事務費としてR3年、4年にそれぞれ3500万円程度を見込んでいます。
提案者の一員として、本議案に賛成する理由として、高校生年代の子育て家庭にかかる経済的負担が大きいことがあります。板橋区が目指す切れ目ない支援の中で、支援が手薄になる年代でもあり、子育てがしやすく「東京で一番住みたくなるまち」を目指す板橋区として実施すべきと考えます。
18歳までの医療費助成は、東京都では7自治体、埼玉県では29自治体、千葉県では23自治体にまで広がっています。今回の議論では、コロナ禍で今後の財政危機が懸念される中で実現は難しいのではないか、との議論もありました。
しかし明石市では今年、中核市以上では全国初となる実施で、対象は約8000人、事業費は年間2億2千万円を見込んで実施に踏み切りました。報道によると市は「高校生がいる家庭が教育費などで経済的に苦しいという声が多く、支援を決めた」と述べています。同じく、東京都武蔵野市でも、12月の市議会で子どもの医療費助成の対象年齢を15歳から18歳に引き上げる条例改正案を市議会に提出するとの報道があります。新たな対象者は約3200人で、追加予算は年間約8000万円となるそうですが、松下玲子市長は「経済的理由で受診控えによる重症化を防ぐ効果もある。コロナ禍で経済不安が広がっているからこそ、先延ばしせずに実施したい」と語っています。
板橋区が行政として、どのような哲学を持って進むのかが問われています。どういう子育てをしたいのか。どういう福祉でありたいのか。区から提案があればぜひ議会で議論し、応援したいところではありますが、今回は議員提案条例として提案しました。
本議案と主旨を同じくする条例案は過去に何度も提出していますが、その都度、議会での議論で内容を精査してきました。本条例案には1年間以上の準備期間があり、子ども条例との整合性については十分対応できると考えます。
コロナ禍で、今後は厳しい財政状況が予測されます。
しかしその根本的な背景にあるのは、区民、個々の世帯の経済状況がコロナ禍の影響も受けて苦しい現状です。新型コロナの感染拡大を経て経済的な格差はさらに広がっている中で、子どもの貧困や格差の観点からも、子育て世代の経済的負担軽減を図るべきと考えます。現在中学生まで受けている子どもの医療費助成を18歳まで拡大し、病院にいくことをためらわない制度設計が必要と考え、議案96号「東京都板橋区高校生等の医療費助成条例」に賛成、委員会決定「否決」に【反対】の意を表します。以上で、私の討論を終わります。