令和2年第3回定例会 一般質問 石川すみえ議員

質問日:2020年9月24日

ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、一般質問を行います。

1.新型コロナウイルス感染症対策とこどもたちへの支援
 

⑴安心安全の保育を求めて
 
 区内のある女性は、今年の4月に1歳のお子さんが保育園に入所し、4月11日から育休明けで仕事復帰の予定でした。しかし、新型コロナの感染拡大により、保育園から登園自粛の要請があり、育休を延長しました。そして、在宅子育てをしている間に体調を崩してしまい、職場から戻るところはないと言われ、退職を余儀なくされました。その後、仕事は10か所以上断られ、何とか探した仕事は体力勝負で続けられるか自信がないと言います。子どもは保育園に慣れ、楽しく遊んでいる、退園になるかもしれないと考えたら不安とショックで夜も眠れなかったと話しています。
 板橋区において、今年の4月に保護者が仕事を探すために保育園に入所し、8月末時点で保護者の就労が決まっていない児童は108名です。区の就労開始期限は8月末までのため、仕事が見つからなければ保育は打ち切られてしまいます。しかし、コロナ禍の就職難は深刻です。区は、待機している児童がいるので、公平性を保つために退園調整期間は変えないとしていますが、そもそも待機児童ゼロになっていないことが問題なのです。そのことをもって、既に保育園に通っている子どもから保育を取り上げることは、まさに保育政策のしわ寄せが子ども自身に及んでいると言うほかありません。
 江東区では、求職中で入園した人の勤務証明書の提出が令和3年4月まで延長になりました。現在の労働環境を見たら当然のことと思います。板橋区でも同様の対応が必要です。また、育休中の方の復職期間も同様に延ばすべきです。見解を伺います。
 この間、日本共産党板橋区議団は、コロナ禍の保育現場の現状の聞き取りを行ってきました。現場が一番心配しているのは、保育士自身が感染していないか、子どもたちにうつしてはいないか、うつされてはいないかということです。コロナ感染が急速に広がる中でも、保育士はPCR検査を受けることもできないまま保育を継続してきました。子どもと接触することが避けられない職場で日々の保育が行われてきたのです。まず、日々の保育の安心のためにも、保育士に対する定期的なPCR検査を実施することが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
 練馬区では、保育施設は屋内かつ互いの距離が近く、マスク等の着用の徹底も難しい環境であるとして、常勤職員1名につき2万円を給付しました。区議団の聞き取りでは、消毒の業務が増えたのに人員の補助はない。クラスニュースを作ったり、保育に必要な材料をそろえたりする時間で消毒作業を行っている。感染リスクが高まるので、大人の水分補給は保育室の外で行っています。タイミングを計って飲まないといけないので神経を使うという声が上がっています。水分補給もままならない状況は、保育士自身の健康にも影響します。保育を安定的に継続するためにも、板橋区でも保育士に対する慰労金の支給を求めます。
 区内保育所では、6月30日に陽性反応者が判明してから、現在まで13園で確認されています。臨時休園を行わなかった園もありますが、休園期間は1日のところから11日間までと様々です。陽性反応者が園で出た場合、当該園であっても、どのクラスで出たのかさえ分からず、濃厚接触者になって初めて伝えられる状況です。該当のクラスではないとしても、保育は密が避けられません。自分の子どもはPCR検査を受けられるのか、受ける必要がないとしても心配が残ります。不安を取り除くためにも情報は公開されるべきです。
 そこで伺います。陽性反応者が出た当該園以外の家庭にも、PCR検査数とその結果を公開するよう求めます。また、陽性者が出た園では、職員も含めて希望する人全員をPCR検査の対象とすることを求めます。
 日本保育学会の汐見稔幸会長は、日本の保育は国際的に見ても、1人でたくさんの子どもを見なくてはいけない、部屋も狭いという過剰に3密になりやすい条件があると指摘しています。このような条件の下でも、2018年の国際幼児教育・保育従事者調査では、日本の保育者は子どもに対する共感的・受容的な関わりを特に大切にしているという結果が出ています。コロナ禍でも保育園では、様々な制限のある中、現場の努力によって保育が行われています。このような中で、人員や施設環境を含めた望ましい保育の質とは何かを考えざるを得ません。
 厚労省の保育所等における保育の質の確保・向上に関する検討会は、今年の6月26日に議論の取りまとめを提出しました。この中で、保育の質とは、多層的で多様な要素によって成り立つとし、さらに、子どもにとってどうかという視点を中心とすることを求めています。従来の国が定めた保育士の配置基準、園庭なども含めた施設の設置基準などを見直して、これからの板橋区の保育は子どもにとってどうかという視点を中心とすることを求めます。保育定員の弾力化で詰め込むことはやめるべきです。

⑵こどもも先生も安心して学べる学校へ
 
 2月27日に、安倍首相は新型コロナウイルス感染症対策として、全国全ての小・中学校を含む教育機関について春休み明けまで臨時休校すると発言し、文部科学省は臨時休校するようお願いする異例の事務次官通知を発出しました。文科省通知はあくまでお願いであって、各学校における休業日等の設定は、地域や児童・生徒の実態を踏まえ、板橋区教育委員会が行うものです。板橋区も3月2日の午後から休校となり、6月に分散登校が始まるまで、子どもたちはどのように日々を過ごしたのでしょうか。生活リズムが乱れ、朝起きられなくなった、マスクをして数人で外で勉強していたら、コロナなのに集まるなと怒られる、休校が明ける直前に家庭学習がたくさん出され困惑する、そんな状況でした。さらに、コロナを恐れ、学校に行くことのできない児童・生徒が、6月23日時点で小学校で39名、中学校で3名にも上っています。区は、このような休校の影響をどう考えているのでしょうか。こうした事態を把握しているのでしょうか。
 教育委員会は、授業時数の確保などを理由に、今年の夏休みを1週間ほど短縮しました。専門家の中には、学校再開後も授業の進み方が早くなったり、音楽や体育が少なくなるなどストレスがたまる日々が続いている。夏休みを子どもがやりたいことをたっぷりやらせてあげる時間にしてほしいという意見や、夏休みの本質は、ぼんやりすること、ほうけることだと思う。ふだんとは違うことをやって、ぼーっとすることも大切という意見があります。教育委員会は、夏休みの在り方について、子どもの休息という視点を持って検討したのでしょうか。夏休みは子どもの余暇の権利を十分保障するものでなければならないと考えます。教育長の見解を伺います。
 文部科学省は、小6、中3は学習の遅れを取り戻すとしつつも、その他の学年は二、三年間を見通した教育課程編成も検討するよう通知しています。区教委もガイドラインで、学習状況により年間指導計画を見直して、次年度での指導を行うことも考慮するとしています。しかし、2学期になっても、授業時間は45分から40分への短縮、7時間目授業、土曜授業を3時間から4時間にするなどして授業時数を確保している学校もあります。また、運動会や音楽会といった行事がなくなりました。ある小学生は、授業ばっかりで楽しみがなくなった。給食は前を向いておしゃべり禁止、グループで食べられないので楽しくない。修学旅行がなくなって寂しい、卒業でバラバラになってしまうのに楽しい思い出がないと言います。子どもに寄り添った対応がどの学校でも行われるべきです。ガイドラインにあるように、授業時数を詰め込まない指導計画が作成されているのでしょうか。お答えください。
 学校での感染者が引き続き発生しています。教職員の皆さんは、学校を安全な場所として、子どもたちみんなに安心して通ってもらえるよう、職員室のソーシャルディスタンスを保つことすらままならない状況で学校内の消毒に追われています。コロナ禍で公教育の在り方が大きく問われ、変化をしている中、自らの感染の恐怖と闘いながら教鞭を執る先生方が安心して子どもたちと向き合えるよう、教職員に定期的なPCR検査を実施することを求めます。保護者、そして子ども自身も感染の心配と闘っています。陽性反応が出たクラスでも、クラス全員が検査対象とならない実態もあります。7月10日に陽性者が出た学校の集団PCR検査を例外にしてはなりません。学校で陽性反応が出た場合、教職員も含めて、クラス全員検査対象にすること、また、希望する人全員にPCR検査を受けられるようにしてください。併せて、学校等の施設で感染が確認された場合には、全員陰性だったとしてもPCR検査の数と結果を公開するよう求めます。

⑶こどもの居場所確保と在宅子育て支援の拡充を
 
 児童館は、9月から、年齢別プログラムを徐々に再開しています。各部屋に定員を設け、利用者の滞在時間を制限し、徹底した消毒をこれまでと変わらない人員体制の中で行っています。利用者からは、人の多く集まる都心に行くのは怖いけど、児童館なら安心と、平日だけでなく土日の利用も助かるとの声があります。コロナ禍で家族が一緒にいる時間が増えましたが、これまでぎりぎりでやり過ごしてきた葛藤や亀裂が爆発し、子どもを管理する、叱責するとなった家庭もあります。さらに、暴力を振るう、放置するといった行為になっていくリスクは容易に想像できます。支援が必要な親子ほど支援を求めることが困難であることからも、親子で気軽に参加できるような居場所が地域にたくさんあることが大切です。
 区が2016年に児童館を12館、親子ひろばを2か所減らしたことで、区内の在宅子育てを支える場所が減り、地域によっては遠くまで行かなくてはなりません。区内のどこに暮らしていても、ベビーカーを押して行ける距離の居場所が必要です。児童館の土日利用を充実させるよう体制を強化し、さらに親子ひろば等の親子の居場所を拡充することを求めます。
 次に、在宅子育て支援の拡充を求めて質問します。
 出産後、母親はホルモンの劇的な低下により精神的に不安定な状況になります。母親自身の体の疲労も加わり、虐待等のリスクが高まるため、支援が必要な時期です。区では昨年度から宿泊型産後ケア事業がスタートしていますが、対象者は、初めてのお産で産後120日以下の方です。第2子以降の出産でも、コロナ禍で里帰り出産が難しくなり困っているという声があります。宿泊型産後ケア事業の対象者を第2子以降にも広げ、ホームページ等で明記してください。
 また、コロナ禍で在宅子育て時間が増え、居住空間の衛生を保つことがより重要になってきています。区では、ダニ等のアレルゲンを把握してもらうための健康快適居住環境推進事業を行っています。対象はゼロ歳児から2歳児の乳幼児がいる世帯です。昨年度は4件だった実績が、今年度は既に63件の申込みがあり、3月まで予約でいっぱいという状況です。もともとはぜんそく児の居住改善が目的ということですが、全ての子の保護者にとっても関心の高いものです。そこで、空気環境・訪問検査の周知を広く行い、対象を現在の2歳児までから未就学児のいる世帯まで広げてください。
 次に、すくすくカードについて伺います。
 すくすくカードの利用率は平成28年で46.4%、平成30年は15.8%と大幅に下がっていますが、その理由は、フォトスタジオのメニューがなくなったことと区は説明しています。すくすくカード事業は、保護者の育児不安・負担を軽減すること、外出を契機として、保護者が子と共に交流できる機会の提供などを目的としています。これからのすくすくカード事業には、コロナ禍での在宅育児を支援するという視点が必要です。利用者の声を聞くと、双子や年子の場合にはカードが残ってしまったという方もいました。また、移動に不安を伴う乳幼児連れの保護者から、タクシーチケットを求める声が多く上がっています。23区でも、タクシーチケットや交通系ICカードを支給している区があります。板橋区でも、すくすくカードのメニューの内容に、コロナ禍の在宅子育てを応援するためにタクシーチケットや交通系ICカードといった移動支援のメニューを加えてください。さらに、利用率を上げるためにも、兄弟間でシェアして利用できるようにしてください。

2.貧困の連鎖を断ち切るために


⑴手厚い実親支援を求めて
2020年2月6日、区立母子生活支援施設の一室から乳児の遺体が発見されるという事件が報道されました。報道によると、入居者が行方不明だと区を通じて警視庁に連絡があり、駆けつけた高島平署員が室内に置かれたかばんの中から乳児を発見、その場で死亡が確認されたとのことです。区はこの事件を受けて、どのように対応したのか、どういう教訓を引き出したのか伺います。さらに、この痛ましい事件について検証し、報告書を公開する必要性があると考えます。検証報告を公開することを求めますが、いかがでしょうか。
 区立母子生活支援施設は、18歳未満の子どもがいる母子家庭で生活上の様々な問題を抱え、子どもの養育が十分にできない場合に母子で入所できる唯一の児童福祉施設です。母子共に生活しながら、24時間体制で母子の見守りと双方への支援を行うことができます。かつては2か所あった区立母子生活支援施設は、現在は1か所です。さらに今年度より特別区広域利用が始まり、より入所待機者が出るのではと懸念されています。施設の入所期間は2年間で、自立ができた方は退所となります。退所時には自立ができたとしても、その生活を維持することは、コロナ禍ではより困難を伴います、引き続き支援が必要です。2度目以降の入所希望が全て可能となるような体制を整えるべきではないでしょうか。区立母子生活支援施設において再度受入れをすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 板橋区は、令和4年度に児童相談所開設を目指していますが、乳児院の計画はありません。乳児院は原則2歳までの子どもが入所し、ショートステイ、一時保護、家族への養育支援、母子の自立した生活を支援する施設です。国の新しい社会的養育ビジョンでは、施設への入所ではなく、特別養子縁組か里親委託率を上げていく方向性が示されています。しかし、まずは乳児院に子どもを入所させ、実親への自立支援、養育支援を行うことが必要です。ただ委託率を上げることを目指すのでは、複数の里親をたらい回しにされる事態にもつながります。区は、乳児院の必要性をどう考えますか。令和4年度の児童相談所開設に向けて乳児院の誘致を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。


 ⑵貧困から抜けられない若年単身世帯への支援について
 収入が不安定、低賃金の若者にとって、賃貸住宅を自分で契約することは難しくなっています。そうした若者は、親の家にとどまる定住と社員寮やシェアハウス、ネットカフェを転々とする漂流の2つのタイプが見られます。親の傘ありきの政策では、実家がない若者は生きていくことができません。漂流になる手前の状況で支援にたどり着くことが重要ですが、若い世代には特に、仕事が続かない、正社員になれないのは自分のせいといった自己責任論がはびこっています。こうした若者の暮らしを支援するために、コロナ禍でアルバイト等の収入が減った単身世帯に対し、区として住居を失うことがないよう、住み続けるための支援を行うことを求めます。また、支援しやすいよう、LINEをはじめとするSNSでの相談も受け付けるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 児童養護施設は、原則として18歳で施設を出なければならず、その進学率は、一般家庭と比較して著しく低く、厳しい経済状況が指摘されてきました。区は、児童養護施設卒園者の就学及び自立を支援するため、大学等に進学する児童養護施設卒園者の家賃の一部助成をクラウドファンディングを活用して進めてきました。利用者からは、アルバイトを詰め込もうとした時間に授業の予習復習ができるようになったなど声が寄せられ、学生生活のセーフティーネットとしての役割に期待が寄せられています。しかし、本来、このようなセーフティーネット的役割は寄附金で行うのではなく、必要な事業として予算を組んで実施すべきと考えます。見解を伺います。

3.小中一貫教育と少人数学級について
 区教育委員会が2018年度に取りまとめた小中一貫教育に関する検討会報告書では、学校施設整備について、学校の建て替え時期を捉えて整備するのを基本とし、施設隣接型もしくは、施設分離型を核として実施するとしています。現在、建設から50年以上経過した志村小学校は改築の対象です。昨年11月から、志村小学校に関係する町会やPTAなどで構成する協議会において検討が行われてきました。その中で区教委は、志村小学校の敷地内に仮校舎を設置して建て替える場合は、工事が複雑なため工事期間が6年かかり、子どもへの負担が高いことを理由に、現在の志村小に建て替えることは難しいと説明しています。仮校舎の代替地などの協議の結果、志村第四中学校敷地に、志村小学校との施設一体型の小中一貫校を設置する方向で、既に志村第四中学校の関係者も含めた協議が進められています。しかし、教育委員会における施設一体型の小中一貫校の教育的な課題や、子どもたちへの影響などについての検証や検討は、この8月にようやくスタートしたばかりであり、子どもたちにとって必要な教育と、そのための学校施設の在り方は置き去りと言わざるを得ません。区教委としての方針を取りまとめるまで協議会における検討は凍結すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 いたばし魅力ある学校づくりプランは、公共施設の総量抑制の方針の下、改築の際には、まず近隣校との統合を検討するとしています。その前提である2011年の区立学校適正規模及び適正配置審議会答申では、教育上望ましい規模は、小学校で12から18学級、中学校で12から15学級と示されています。しかし、教育上望ましい学級数を超えている学校は、プラン策定時には小学校では7校だったのが今は10校に、中学校でも1校から2校に増えています。答申では、大規模校の対応として、用地取得による増築や新校設置について教育委員会は努力すべきであるとしています。大規模校の解消に向けた努力こそ行うべきで、学校の統廃合を進めている場合ではありません。統合を前提に学校の規模を大きくするような、現在の魅力ある学校づくりプランの取組は改めるべきではないでしょうか。見解を伺います。
 8月19日に、中央教育審議会特別部会が中間のまとめ骨子案を公表しました。そこに、少人数学級を可能とするための指導体制や施設整備を図ることが盛り込まれました。さらに、全国知事会、全国市長会、全国町村会も7月2日、政府に対し、現在の40人学級では、感染症予防のために児童・生徒間の十分な距離を確保することが困難とし、少人数編制を可能とする職員の確保などを求める緊急提言書を提出しています。新型コロナウイルス感染の教訓の一つは、感染症が発生しても学校を休校せずに、安心して授業を受けられる学校にすることです。コロナ禍で、子どもも保護者も教職員も少人数学級を求めています。今こそ少人数学級が必要です。今年の第2回定例会において、その必要性をお答えいただけませんでしたが、改めて教育長に伺います。少人数学級についての見解をお示しください。

4.すべてのこどもの遊び場を
 板橋区の子ども子育て支援に関するニーズ調査では、子育て施策の中で重点的に取り組むべき事業は、子どもの身近な遊び場の充実という項目が上から2番目に上がっています。令和元年度板橋区区民意識意向調査でも、子育て政策の中で求めるものとして一番多いのが、子どもが安心して遊べる場があるとなっています。区民の子どもの遊び場への関心の高さを表しています。しかし、新型コロナの感染拡大によって外出自粛が求められるようになりました。密を避けるという理由で、公園の遊具は黄色いテープでぐるぐる巻きになりました。遊ぶ場所がなくなった子どもが、自動車の通らない私道で1人で縄跳びをしていたら、こんな時期に何しているんだと怒られ、公園でボール遊びしている子どもがうるさいと苦情が寄せられる。緊急事態宣言中には、保育園のお散歩中に保育士が、なぜこんな時期に外に出るのかと非難された事例もあります。これが板橋区の子どもの遊び場の現状です。
 子どもの遊ぶ権利のための国際協会日本支部は、新型コロナパンデミックのような危機的状況の際には、子どもが遊ぶことは、世界で起きている新しい経験や変化を理解すること、困難または恐怖の気持ちとうまく付き合うことにつながるとしています。身近な、密にならないコミュニケーションの場として公園があります。リモートワークが浸透していく中で、子ども連れの男性の姿も見え、お父さんの地域デビューの場ともなりました。近所にこんなに若い世代がいるんだ、と嬉しく頼もしく思ったという声もあります。ふだんは顔の見えない隣の家族が可視化され、地域の公園が公共空間として機能し、地域コミュニティが生まれていくことが期待されます。区は、コロナ禍における公園の重要性についてどのように考えているのでしょうか。見解を伺います。
 私は、板橋区でもプレーパーク事業が必要だと求めてきました。広島市ではニーズ調査を受け、子ども施策総合計画の中の重点施策として、子どもの遊び場と居場所づくりの推進を位置づけ、冒険遊び場づくりモデル事業を踏まえて本格実施しています。区は、パークマネジメント計画において、プレーパークの整備に向けて、プレーリーダーの担い手探しを行うと位置づけています。今年度から、東板橋公園、徳丸が原公園の2か所を指定管理者制度とし、事業者にプレーパーク事業を行ってもらうとしていますが、新型コロナの影響を受け、進んでいません。区の計画には、広島市のように子どもの成長・発達に遊び場が必要だという視点がありません。子育て事業として遊び場を位置づけていないので、プレーパーク事業が進まないのではないでしょうか。
 そこで伺います。板橋区次世代育成推進行動計画の中に、遊び場の確保、外遊びの重要性を位置づけることを求めます。
 板橋交通公園に隣接する旧大山小学校跡地を活用した暫定開放が4月から始まっています。夏の気温が高い時期には、原っぱ状態のこの地で遊ぶ子どもの姿はまばらでしたが、それでもボール遊びや虫取りをする子どもたちがいました。子どもの遊び場の確保は、コロナ禍でますます重要になっています。旧大山小跡地を、子どもの遊び場や地域のコミュニティの場として活用できるよう、住民との意見交換会を行っていただきたいのですが、いかがでしょうか。
 区は、新型コロナ対応として、今年の夏のこどもの池の利用を中止としました。23区ではコロナ禍でも、新しい生活様式の中で中止する理由がないとして実施した区もあります。区のこどもの池は管理する大人がいて、無料で水遊びができる事業です。最近では、保育園などの子どもたちも利用している大変貴重な場です。ですが、運営は町会、自治会に任されており、運営協力会の負担は大きくなっています。感染リスクの不安がある中で、運営を町会、自治会に任せるのではなく、区が体制を整えて、1か所でも2か所でもこどもの池事業を実施することはできなかったのでしょうか。あらゆる可能性を追求すべきだったと考えます。
 そこで伺います。区は、こどもの池の役割についてどう考えているのでしょうか。
 小学生の居場所の確保について伺います。
 コロナ禍を受けて、あいキッズのさんさんタイムは、今年度、利用再開の見込みが立っていません。児童館は現在、小学生の受入れを停止しています。現在、小学生の居場所、遊び場といえば、区の事業では学校の校庭開放だけですが、学校改修で使えない小学校が3校、指導員の確保ができず事業ができていない小学校が6校もあります。指導員の処遇の低さが原因の一つと考えられます。
 区は、小学生の居場所や遊び場の確保を行うべきです。児童館の小学生の受入れと校庭開放の指導員の条件を改善し、遊び場の確保を進めてください。

5.羽田空港新ルートの騒音について
 羽田空港の機能強化により、3月29日から、板橋区の上空を旅客機が山手線のダイヤと同じくらいの頻度で飛んでいます。飛行機の轟音が聞こえて、午後3時になったのを知るという住民もいるほどの轟音です。東山町にお住まいの方からは、今までの国交省の説明では、悪天時には好天時と違うルートとなっていたが、その後の問合せに対して、好天、悪天は関係ない、好天、悪天にかかわらず最短ルートを使用することが多いなどの回答があり、話が違う、静かな生活を返してくれといった切実な声が寄せられています。国は、新たな短期測定を9月末から10月上旬まで常盤台小学校の屋上で行いますが、それにとどまらず、まずは板橋区として騒音被害の実態調査を行うべきと考えますが、いかがですか。さらに、羽田空港機能強化に伴う騒音被害の相談窓口を設け、改善策を打ち出してください。見解を伺います。

6.防災対策について
 昨年の台風19号の際には、避難所が指定されても、石神井川を越えていけないなどの声が上がりました。早めの避難を心がけるとしても、やはりせっぱ詰まった避難というのは想定しておく必要があります。そのためには、大きな川や線路、道路などを越えて避難しなくても済むように、避難所の配置を検討する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 また、コロナ禍を受けて、防災計画と備蓄物資の見直しが必要になっています。区は現在、令和2年度板橋区大規模水害避難等対応方針(案)に、避難所での発熱、せき等が出た避難者への専用スペースの確保や感染防止策などの記載を行い、また、各避難所運営マニュアルの改訂、各学校を単位とした学校防災連絡会での対策の検討などを進めているとのことです。しかし、1人1.65平米として避難所の収容可能人数を数えてきたのが、コロナ禍を受けて1人4平米に引き上げられました。収容可能人数は今までの半分以下になっていることは間違いありません。少なくとも今までの収容可能人数を確保するためには、避難所の増設はどうしても必要だと考えますが、見解をお聞きします。
 コロナ禍で区も在宅避難を奨励していますし、乳幼児のいる世帯では自宅避難を選択する人も増えるのではないかと予想されます。家の中の安全対策として、家具転倒防止金具の取付けが重要です。経済的な支援として、家具転倒防止金具取付け費用の助成について、子育て世帯へも対象を拡大していただきたいが、いかがでしょうか。

7.平和教育について
 コロナ禍の下で迎えた戦後75年目の夏は、SNSを使った取組がありました。実在する3人の広島市民の日記などを基に、広島に原爆が投下される前後の市民の日常や思いを日々ツイートするというNHK広島放送局のひろしまタイムラインという企画です。特に原爆投下された8月6日のツイートには、そっちに行っちゃダメとツイッター経由で声をかけている人たちもいて、私自身も原爆という過去の事実をより身近に感じることができました。しかし、朝鮮人の奴らなどの記述が差別を助長するとして批判を浴びました。朝鮮近代史の研究者は、朝鮮半島を植民地化し、その住民を戦争に動員していたという説明を抜きにツイートしたことは問題だと指摘しています。
 私は、8月6日前後の広島になぜ朝鮮人がいたのか、広島の軍需工場にどれだけの朝鮮半島出身者が徴用工や労務者として働いていたのか、朝鮮人被爆者はどれだけいたのか、その人たちに被爆者手帳は交付されたのか、そうしたことを学ぶ機会にこそすべきだと思います。朝鮮半島の人々が日本にいたのは、日本が占領していた事実があるからです。私自身も含めて、日本の戦争に対する加害の歴史をしっかりと学ぶことが、現代において新たな差別を生まないことにつながっていくと思います。
 そこで区長に伺います。板橋区の平和事業において、日本の加害の歴史について学ぶ機会をつくっていただきたいが、いかがでしょうか。
 以上で私の一般質問を終わります。
     

     〔区長(坂本 健君)登壇〕

◎区長(坂本健君) それでは、石川すみえ議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、育児休業、求職中世帯の復職、就職期限の延長についてのご質問であります。
 育児休業、求職中の世帯でありましても、その世帯の状況により、在園の継続を希望するか否か、その意向は様々であります。これまでも保護者から数多くの相談を受けてまいりましたが、世帯の状況や意向を詳細に確認をし、世帯ごとに個別の対応を行ってまいりました。今後も、一律に復職、就労期限を延長するのではなく、各世帯の状況や意向を丁寧に聞き取りながら、保護者に寄り添い、対応していきたいと考えています。
 次は、保育士に対する定期的なPCR検査についてのご質問であります。
 保育士の皆様が感染の不安を抱え仕事をしておられ、PCR検査の希望があることは認識をしております。PCR検査は、精度が7割程度であることや、結果が検査時の状況のみ反映していることなど、現時点においては複数の課題があるものと考えています。また、PCR検査の検査間隔や頻度につきましては定まった基準がなく、定期的な実施について検討できる段階にないと考えています。今後の研究や国の方針が示されることを注視していきたいと考えています。
 次は、保育士への慰労金の支給についてのご質問であります。
 3密が避けられない保育現場において、日々細心の注意を払いながら保育に当たっている保育士の方々には感謝を申し上げたいと思います。一方において、慰労金の支給に関しましては、一地方自治体で対応すべきものではなく、国において支給の是非を含め検討されるべきものと認識しています。
 次は、検査結果の公表についてのご質問であります。
 陽性者が出た保育園では、濃厚接触者をはじめ、多くの関係者がPCR検査を受検することとなります。そのため、当該保育園の保護者には臨時休園期間など正しい情報を伝える必要があり、PCR検査の受検者数とその結果をお伝えしているところであります。一方において、他園の保護者には必要以上に不安をあおることがないようにとの観点から、該当者の人権等に配慮しながら、発生事実のみを公表することとしております。
 次は、保育園で陽性者が判明した場合のPCR検査の対象者についてのご質問であります。
 保育園において陽性者が判明した場合、保健所では聞き取り調査の上、濃厚接触者の範囲を定め、検査を案内しております。保育園児はマスクの装着が難しいため、保育士が感染した場合においては、濃厚接触の範囲が絞りにくく、感染拡大防止のため、当初から、園児、職員全員を検査の対象とすることもあるとしております。陽性者との接触が明らかな場合においては、希望があればPCR検査をご案内しているところでありますが、検査の精度等に課題があるため、状況を確認の上、柔軟に対応してまいりたいと考えています。
 次は、施設の設置基準の見直しについてのご質問であります。
 国が定めた施設の設置基準は、いわゆる詰め込みには当たらないものと認識しています。基準を上乗せした場合、保育事業者へ厳しい条件を課すこととなり、私立保育所開設への影響が過大となることから、現行の基準の見直しは考えていないところであります。
 次は、教職員の定期的なPCR検査についてのご質問であります。
 教職員の皆様が、感染の不安を抱え仕事をしておられ、PCR検査の希望があることは認識をしております。PCR検査は精度が7割程度であること、結果が検査時の状況のみ反映していることなど、現時点におきましては複数の課題があると考えています。また、PCR検査の検査間隔や頻度につきましては定まった基準がなく、定期的な実施について検討できる段階にないものと考えています。今後の研究や国の方針が示されることを注視したいと考えています。
 次は、学校で陽性者が判明した場合のPCR検査の対象者についてのご質問であります。
 学校において陽性者が判明した場合、保健所では聞き取り調査の上、濃厚接触者の範囲を定め、検査をご案内し、検査結果が陰性であった場合も14日間の自宅待機をお願いしております。教職員が感染した場合には、感染拡大防止のため、当初からクラス全員の検査を対象とすることもございます。PCR検査は検査精度に課題があること、陽性の場合は行動制限が求められることなど、2類感染症以上の制約があり、必要な方に検査を受けていただくべきと考えております。
 次は、学校などの施設において感染者が判明した場合の情報公開についてのご質問であります。
 区では個人情報に留意しながら、ホームページで新型コロナウイルス感染症の患者数や検査数についてを掲載しております。学校などの施設において感染者が発生した場合には、個人を特定されることがないよう配慮の上、公開・公表しております。現在、学校などの濃厚接触者の検査結果は公表しておりませんが、該当の施設の関係者にはお知らせをする方法を検討したいと考えています。
 次は、児童館の体制強化についてのご質問であります。
 コロナ禍における児童館の土日開放につきましては、平日利用と同様に、入館管理や衛生管理等を遵守するとともに、平日の開館状況に合わせて段階的に運営を行っております。引き続き、利用者ニーズを把握しながらサービスの提供をしていくとともに、安心・安全に施設を利用していただけるよう努めていきたいと考えています。また、子育てひろば事業につきましては、平成28年から児童館でも新たに展開をしておりまして、今後も東京家政大学森のサロンと児童館の計27か所において、在宅子育て支援を展開していきたいと考えています。
 次は、宿泊型産後ケア事業についてのご質問であります。
 宿泊型産後ケア事業の対象者につきましては、原則は第1子の方としておりますが、家庭状況などをお聞きし、必要と判断した場合には産後ケアを利用していただいているところであります。今後はホームページ等でも、第2子以降につきましてもご相談に応じていることを周知していきたいと考えています。
 次は、健康快適居住環境推進事業の拡大についてのご質問であります。
 本事業につきましては、小児ぜんそくの予防を目的に、2歳までの乳幼児のいる世帯を対象として実施をしております。予防のためには早期の介入が効果的であり、対象年齢の拡大は考えていないところであります。今年度は保育園等で周知を行ったところ、保護者の関心が高いことが確認されましたので、来年度からは受診率の高い4か月健診の機会を利用して周知をしていきたいと考えています。
 次は、すくすくカードの充実についてのご質問であります。
 すくすくカード事業は、子育て世代への支援のため、保護者の外出や子育ての負担軽減を目的として実施をしております。今年度につきましては、オンラインでのベビーマッサージ教室の実施やイオン株式会社との協定によるいたばし子育てWAONをメニューに加えて、好評を得ているところであります。ご提案の趣旨も踏まえ、すくすくカードのメニューの追加や利便性の向上を図り、さらなる利用促進を図っていきたいと考えています。
 次は、母子生活支援施設の事故後の対応についてのご質問であります。
 今回の事故を踏まえ、特別な支援が必要な母子に対し、個別に支援を行うため、職員1名を増員することといたしました。また、施設の運営につきましては、入所間もない入居者への面談を実施するとともに、乳児の状況を確認するため、毎日、定期的に母親への声がけを実施しております。福祉事務所や健康福祉センター、子ども家庭支援センターなどの関係機関での情報共有、児童相談所との連携など、これまで以上に母子の安心・安全を図っていきたいと考えています。
 次は、事故の検証についてのご質問であります。
 今回の事故につきましては、本年3月に板橋区要保護児童対策地域協議会の個別ケース会議が行われました。会議の報告書は非公開でありますけれども、当該の事案につきましてアドバイザーから意見を頂戴しております。今後、改めて検証する予定はございませんけれども、いただいた意見を踏まえ、情報の収集と共有、特別な支援が必要な母子への対応や児童相談所との連携など、区としてしっかりと取り組んでいく考えであります。
 次は、母子生活支援施設の入所についてのご質問であります。
 母子生活支援施設においては、利用者が地域生活を送ることができるよう、入所期間中に本人の能力を発揮できるプランを組み立て、自立に向けた支援を行っております。施設を退所された方に対しましては、アフターフォローとして、適宜、施設の職員が相談などに応じております。再入所の希望があった場合においては、改めて選定会議で入所の可否を判断することとなっております。
 次は、乳児院についてのご質問です。
 児童相談所の開設において、乳児の保護は最も重要な懸案事項の一つであり、乳児院の設置の必要性については認識をしているところであります。しかしながら、人員の確保や国のビジョンによる家庭養育優先の方針など、課題が少なからずあると認識しています。引き続き、乳児院の誘致に向けた十分な情報収集と検討を進めていきたいと考えています。
 次は、金銭面での支援についてのご質問であります。
 区では現在、賃貸住宅にお住まいで、収入が減少したために家賃の支払いが難しくなった方に対し、住居確保給付金をはじめ、各種貸付けなどの制度をご案内しております。今後も、ご相談の内容に応じて利用可能な制度をご案内し、住み慣れた住居で安心して住み続けることができるように支援をしていきたいと考えています。
 続いて、オンラインでの相談についてのご質問であります。
 区では、既にメールによるお問合せに対応できるシステムを導入し、運用を図っております。LINEなどのSNSの活用につきましては、他の自治体の先進事例も参考にしながら検討を進めてまいりたいと考えています。
 次は、家賃助成についてのご質問であります。
 社会的養護への取組につきましては、国や都道府県が実施主体でありまして、一定の自立支援事業が行われておりますが、より丁寧なケアが必要であると認識しています。今回の家賃助成につきましては、卒園者が抱える課題や支援の必要性を広く発信し、地域全体で子どもたちの未来を支える仕組みにつなげるため、寄附制度を活用いたしました。来年度につきましても、同様の事業を継続すべく、準備を進めているところでありますが、今後も国や東京都の動きを注視しながら、本事業の成果を踏まえ、必要な見直しを図っていきたいと考えています。
 次は、コロナ禍における公園の重要性についてのご質問であります。
 公園は、コロナ禍においても、室内に比べ飛沫感染や濃厚接触しにくい条件を備えており、室内生活での運動不足解消やストレス発散の場として有用な施設と認識しています。しかし、緊急事態宣言中、利用の集中する施設等が複数確認されたため、区では、感染防止を優先するため、84施設において使用禁止の措置を行ったところであります。現在は、感染防止に対する意識やマナーも普及し、危険の少ない利用が行われつつあることから、区としましても、新しい生活様式としての公園利用を推進していきたいと考えています。
 次は、計画への位置づけについてのご質問であります。
 子どもたちの居場所として遊び場の存在は大きなものであり、その環境を整備するためには、地域全体が子どもの遊び場の重要性に対する理解を深めていく必要があると考えます。次世代育成推進行動計画改定の際においては、板橋区パークマネジメントガイドラインなど各種計画との整合を図っていく考えであります。また、庁内の検討会議や子ども・子育て会議での議論を踏まえながら検討も進めていきたいと考えています。
 次は、旧大山小跡地の活用に関する住民との意見交換会についてのご質問であります。
 暫定開放している跡地は区立公園に準じたものとしており、その範囲において、他の公園と同様、ルールを守りながら自由に利用できる施設となっております。暫定的な施設のため、形態の大きさ変更は考えておりませんが、利用方法については、地元の方々や利用者の皆様からご提案があれば相談に応じたいと考えています。
 次は、こどもの池の役割についてのご質問であります。
 本区のこどもの池につきましては、地域の方々が、地域の子どもたちのために運営する施設として、昭和43年から水遊びやコミュニティの場としての役割を果たしてまいりました。近年、子どもの遊びや夏休みの過ごし方も変化をしてきているため、こどもの池が果たすべき役割につきましても、地域の考え方や施設の状況等も踏まえて検討を続けているところであります。なお、今期の運営中止につきましては、準備期間を差し引いた利用需要、感染の危険性などを総合的に勘案し、運営する地域の方々との合意に基づいて選択をしたものであります。
 次は、児童館での受入れについてのご質問であります。
 通常、児童館では小学生のみで利用するケースが多く、コロナ禍におきましては、感染拡大防止や安全性の確保を考慮し、当面の間、小学生以上の利用を見合せているところであります。9月以降はプログラムを一部再開するなど、入館管理や衛生管理等を遵守しつつ、段階的な運営をしているところであります。今後も、新しい生活様式における利用者ニーズの把握に努めながら、児童館の活用に向けた検討を進めてまいりたいと考えています。
 次は、羽田空港新ルートの騒音に関連いたしまして、区の騒音実態調査についてのご質問であります。
 本年3月下旬から運用されております新飛行経路においては、三園から赤塚新町に至る航路直下に当たる赤塚第二中学校に国の固定騒音測定局が設置されておりまして、既に稼働しているところであります。また、小豆沢から向原に至る航路直下の区内には、固定の測定局はございませんが、同一航路の延長線上にある北区と豊島区の施設には、国の固定騒音測定局がそれぞれに設置されております。国が設置したこれら3つの固定騒音測定局の測定値によりまして、区内上空を飛行する航空機の騒音はほぼ捕捉可能であることから、区独自に固定騒音測定局を設置する考えはないところであります。
 次は、区の相談窓口の設置と改善策についてのご質問であります。
 区ではこれまでも、工場や建築現場から発生する近隣騒音はもとより、航空機等の騒音につきましても、環境政策課が総合的な相談受付窓口として対応してまいりました。また、今般の新飛行経路に係る航空機騒音につきましては、国が新たな相談窓口を設置するとともに、いわゆる航空機騒音防止法が適用される地域における改善対応を行っているところであります。区では、引き続き騒音に係る受付窓口として対応し、区に寄せられた相談内容等について、様々な機会を捉えて、国や東京都との共有化を図るとともに、改善を適宜要望していきたいと考えています。
 次は、風水害時の避難所配置についてのご質問であります。
 昨年の台風19号対応の経験を踏まえて策定した、令和2年度板橋区大規模水害避難等対応方針において、河川氾濫の危険度に応じて3段階にフェーズを分けて、避難所を開設する方針を定めました。第1段階で開設する避難所は、土砂災害警戒区域や浸水想定区域からの避難経路等も勘案して選定いたしましたが、舟渡、新河岸地域など、河川や幹線道路を越えての避難が余儀なくされる地域においては、早期の避難行動を呼びかけていく考えであります。避難等対応方針に関しましては、今年度の運用を踏まえ、さらなる改善を図る予定でありまして、その中で開設する避難所の配置につきましても、必要があれば検討していきたいと考えています。
 次は、コロナ禍における避難所の増設についてのご質問であります。
 今出水期においては、一定以上の勢力で東京を直撃することが想定される台風については、昨年の台風19号時を上回る23か所の区施設を開設し、避難スペースの確保を図る予定であります。台風19号レベルの台風が接近した場合には、高台にある安全性の高い避難所を全て開設し、最大で70か所まで増設をする予定であります。併せて、安全な地域における在宅避難や親戚・知人宅などへの縁故避難の呼びかけを重ねて実施し、地震災害時の対応も含めて、区民の分散避難による避難所の混雑低減を図っていく方針であります。
 次は、家具転倒防止金具取付費用助成についてのご質問であります。
 災害発生時に自宅で難を避ける在宅避難は、コロナ禍における避難所での感染拡大の抑制に大変有効であり、家具の転倒防止策は、発災直後の身の安全や在宅避難を確保する上で重要な対策の一つと認識をしております。現在の助成制度は、金具の取付けが難しい高齢者や障がい者の世帯を対象としておりまして、子育て世帯を含む一般世帯につきましては、自分の身は自分で守るという自助の範疇での取組を想定しております。今後、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえつつ、乳幼児の親子が集う児童館での出前講座を拡大するなど、子育て世帯への家具転倒防止策の普及啓発に努めていきたいと考えています。
 最後になります。平和教育についてのご質問であります。
 平和事業は、戦争の惨禍を後世に伝え、平和の尊さを学ぶ機会としております。この事業においては、起こった事実を正確に伝え、差別意識が生じることがないように配慮しながら、区民の方々の平和意識醸成につなげていきたいと考えています。
 残りました教育委員会に関する答弁は、教育長から行います。

     〔教育長(中川修一君)登壇〕

◎教育長(中川修一君) それでは、石川すみえ議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
 初めに、新型コロナウイルス感染症対策と子どもたちへの支援に関しまして、休校の影響及び事態の把握についてのご質問ですが、教育委員会では、新型コロナウイルス感染症の影響により、様々な活動が制限される中、多くの子どもたちは、通常とは異なる不安やストレスを抱えていると認識しております。そのため、6月の学校再開時には、段階的な分散登校を行い、学校生活にスムーズに戻れるよう配慮するとともに、児童・生徒の登校状況を調査し、登校できない児童・生徒に対しましては個別に学習支援を行うよう指示したところです。
 次に、夏休みの短縮についてのご質問ですが、今年度、新型コロナウイルス感染症による臨時休業が長期にわたったことから、児童・生徒の学びを保障するため、夏休みを短縮いたしました。夏休みは日常では味わえない自然体験をしたり、好きなことに集中して取り組んだりすることができるなど大変貴重な時間であり、児童・生徒の豊かな人間性や学ぶ意欲、主体性を育む上で大変重要であると認識しております。引き続き、子どもたち一人ひとりが成長することができる大切な期間となるよう、適切に夏休みを実施してまいります。
 次に、授業時数を詰め込まない指導計画の作成についてのご質問ですが、区立小・中学校では、4月、5月の臨時休業における学びを保障するために、夏季休業期間の短縮や新たな土曜授業の設定等を行い、各教科の年間指導計画の見直しを図りました。教育委員会では、6月以降に臨時休業措置を講じた学校には、第6学年及び第9学年以降以外の学年については、今年度の学習内容の一部を次年度に指導することも可能とし、児童・生徒の実態に即した年間指導計画を作成するよう指示しているところです。
 次に、小・中一貫教育と少人数学級に関しまして、小・中一貫型学校の方針決定までの協議の凍結についてのご質問ですが、平成29年度小中一貫教育に関する検討会検討報告書では、改築のタイミングを捉えて、小・中一貫型の学校の整備を検討していくことなどを示しております。志村小学校の協議会では、現在地での建て替えを検討しましたが、難易度が高く工事が長期化することや、区の小・中一貫教育の取組を踏まえ、志村第四中学校関係者を加えた協議会で小・中一貫型の学校整備の方向で検討を進めているところです。区として、協議会の方向性を踏まえ、小・中一貫型の学校が備えるべき具体的なイメージの検討をスタートしており、学校改築に関する基本構想、基本計画を策定するまでに、区議会にもご報告の上、まとめていくため、協議会を凍結する必要はないと考えております。
 次に、統合前提の魅力ある学校づくりプランの見直しについてのご質問ですが、いたばし魅力ある学校づくりプランは、施設整備のタイミングを契機とし、将来にわたる適正な規模の維持や適正な配置を検討していく取組であり、統合を前提としているものではありません。板橋区が置かれている現状は、老朽化による学校施設が相当数控えており、施設更新需要は増大していくことは明らかです。将来的な人口減少社会におきまして、現在の公共施設数を将来世代が維持していくことを考えると、学校の統合を選択肢の一つとして、学校施設の改築、改修を進めていくことは、現在世代の要求に応えながら将来世代の要求に応える能力を損なわないようにするために必要な手法であり、現在のプランの方向性は維持していく所存です。
 次に、少人数学級の見解についてのご質問ですが、教員の人数を増やし、一人ひとりの児童・生徒に向き合う時間を確保することや、きめ細やかな学習指導を実施することができる、少人数学級の重要性は十分認識しております。一方、教職員の確保や教室数の確保等、対応困難な課題が山積しており、国の教育再生実行会議でも議論が継続していることから、その動向を注視していきたいと思います。
 最後に、子どもの遊び場の確保についてのご質問ですが、子どもの遊び場事業は、土曜日、日曜日、祝日に区立小学校の校庭を開放し、子どもたちが安全に楽しく遊べる場所を提供するものであります。子どもの遊び場指導員は、この事業に有償ボランティアとして協力いただいており、従事日数に応じて謝礼金を支払っているところです。昨年度、子どもの遊び場事業を実施できなかった学校は8校でありましたが、今年度は6校と、少しずつではありますが、指導員の確保を図っているところです。有償ボランティア活動の条件は良いにこしたことはございませんが、今後も子どもたちのためにご協力いただける方へのお願いなど、区としてできる努力を続けていきたいと思っております。
 いただきました教育に関する質問の答弁は以上でございます。

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