陳情第162号板橋区のエネルギー政策に関する陳情に賛成する討論

討論日:2021年10月12日 

 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、陳情第162号板橋区のエネルギー政策に関する陳情に対する、委員会決定不採択に反対し、陳情に賛成する立場から討論をおこないます。

 本陳情は、板橋区として政府が策定を進めている次期エネルギー基本計画を脱炭素、脱原発、再生可能エネルギーの割合を高める計画へと改定をおこなうように板橋区として意見書を提出することを求めるものです。その内容は、3つの項目があります。

 1つ目は、国の次期エネルギー計画で、再生エネルギー目標を2030年度に60%以上、2050年度に100%とすることを求めています。そのことに対して、区は「実効性に疑問のある目標を国に対して要望する考えはない」と述べています。しかし、日本の発電量における再生可能エネルギーの比率は昨年までで22%ですが、ドイツは48%、スペインは44%、イギリスは43%などと比較しても大きく立ち遅れています。また、世界では、グローバル企業を中心に、事業の100%を再生可能エネルギーでおこなうという運動が広がっています。政府の試算でも、日本における再生可能エネルギーの潜在量は、現在の国内の電力需要の5倍です。潜在的可能性をくみつくす再生可能エネルギーへの転換の戦略をおこなえば十分に可能です。

 2つ目は、原子力発電を即時廃止し、石炭火力発電を、2030年までに廃止することです。原発は、放射能汚染という最悪の環境破壊を引き起こしています。事故が起きなくても使用済み核燃料が増え続けて、数万年先まで環境を脅かし続けます。また、国連が、石炭火力からの計画的な撤退を要請し、グデレス事務総長は、日本など「最も豊かな国」に対して石炭火力発電の2030年までの段階的な廃止を求めています。区が「国の政策であり、区がその是非を判断するべきではない」と述べていることは問題です。陳情不採択を主張した委員から「区が国を動かしていく役割があるというのは、違うと考えている」という意見がありましたが、本来、地方自治体と国は対等平等の関係です。エコポリス板橋環境都市宣言を掲げる板橋区の姿勢が問われており、区として国に意見を言うべきです。

 3つ目は、再生可能エネルギー政策への転換を早急に進めることです。前首相が、国会で「2050年カーボンゼロ」をかがげ、区は「これまでの目標から非常に大きく踏み込んだものである」と評価をしています。しかし、2030年までのも目標が低すぎます。政府が、4月に発表した2030年度の削減目標は、2010年度比では42%の削減であり、国連が示した2010年度比45%減よりも低く、恥ずかしいものと言わざるを得ません。

 気候変動による脅威と被害は、日本でも極めて深刻です。2018年の西日本豪雨災害、千曲川や阿武隈川の堤防が決壊した2019年の台風19号、球磨川水系での大洪水が起きた2020年の熊本豪雨など、これまで「何十年に一度」とされていた豪雨災害が、近年では、毎年発生しており、気温の上昇や洪水などのリスクを避けるためにも、2050年までに温室効果ガスの削減が求められます。

 今こそ、気候危機に真剣に立ち向かう計画へと改めることを板橋区として政府に対して意見書を提出するべきです。

 以上の理由から陳情採択を求めて私の討論を終わります。

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